みなさんはPro Toolsってどんなイメージを持っていますか?「プロのレコーディングスタジオで使われる業界標準システムだよね」「個人では手が出せない超高価なものなんでしょ?」「映画製作のMAなどで使われることが多いんだよね」「Mac版を使っている人が多いけどWindowsでも動くんだっけ?」「昔あったM-Boxに付属してたソフト」、「そういえばM-Poweredなんてバージョンがあったような」……とさまざまな印象、記憶がある人がいると思います。でも、そこには誤解があったり、現在のPro Toolsとは違った認識をしている人も多いようですので、少し整理していきたいと思います。
大きく3つのバリエーションに分かれるPro Tools シリーズ
一方、そのPro Tools | HDとほぼ同じ機能、ユーザーインターフェイスを備えながら、自宅のMacやWindowsにオーディオインターフェイスを接続した環境で使えてしまうのがPro Toolsであり、ソフトウェアとしてのDAWなんです。もちろんPro Tools | HDとデータの互換性もあるので、レコーディングスタジオで録ったセッションデータを自宅に持ち帰って編集する…といったこともできるんです。
そのPro Toolsの購入方法や価格については、いくつかのバリエーションがあるので、詳細は先日の記事を参照してもらうとして、完全に新規ユーザーがパッケージソフトとして購入する場合で74,600円。もし1か月だけ使うというのなら、たった3,500円から始めることもできる手頃なソフトでもあるのです。
現在のPro Tools 12はTASCAM、Roland、Steinbergなど各社のオーディオインターフェイスで使うことができる
またMacでもWindowsでもまったく同じように動くというのも重要なポイントとなっています。つまり、スタジオのMacで録ったセッションデータをWindowsで開いてもまったく同じように扱うことができ、そのWindowsで編集した結果を、Macで使っている別のPro Toolsユーザーに渡してもそのまま開ける柔軟性を持っているのもPro Toolsの重要なポイントとなっているのです。
ピアノロール、数値エディット、スコアエディタなど、各種MIDI編集機能を搭載している
ここで気になるのがプラグイン環境についてでしょう。現在Pro Toolsが採用しているプラグイン規格はAAX(Avid Audio eXtension)というものです。従来あったRTASからAAXに完全に切り替わっており、エフェクトも音源もすべてAAXです。このAAXについては以前「Pro Tools 11のAAXプラグインってどんなもの?」という記事でも書いているので、そちらも参照いただきたいのですが、Pro Tools 12単体で考えると、このAAXに対応したエフェクト、音源が膨大にバンドルされているので、通常はこれで十分過ぎるほど使うことができます。
とはいえ、VST/AUのプラグインも使いたいという方もいるかもしれません。そんなときは、以前「VST、AU、AAX、RTAS…何でも来い、Blue Cat PatchWorkが超便利!」という記事で紹介したPatchWorkというソフトを使ったり、Vienna Ensemble Proなどを使うことで利用できますから心配はいりませんよ。
ここでちょっと紹介しておきたのが、Pro Tools 12になってから追加されたコミットという機能。これを使うことで、AAXのインストゥルメントで鳴らすトラックを、そのままオーディオトラック化させてしまうことが可能なんです。マシン負荷を減らすという点ではフリーズ機能と同様ですが、オーディオトラック化できるから、エフェクトの扱いやフェーダーの扱いなど、ほかのオーディオトラックと同じように扱えるというメリットは大きいですね。また、コミットではインストゥルメントまでをオーディオ化させて、後段のエフェクトは編集可能にしておく、といった使い方も可能となっています。
しかもこのコミット機能はAAXのインストゥルメントだけでなく、ReWire接続する外部ソフトに対しても行えるのもほかのDAWにはない特徴ですね。たとえばAbleton LiveやReasonと接続したものを、即オーディオ化して、波形で見れてしまうのはやっぱり便利ですよ。
さらにAUXトラックもコミットもしくはフリーズ可能となっています。そのためマルチアウトできるBFDやBatteryなどのプラグインはマルチの状態でコミットできるのもほかのDAWにはない便利なポイントですね。
このように、音楽制作用途においても、まだまだ進化しているPro Toolsですが、間もなく実装される機能として大きな注目を集めているのが、Cloud Collaborationというもの。これは、クラウドを介して、メンバー同士で共同で音楽制作をできるようにする、というもの。私自身は、まだ触っていないのですが、以前デモを見せてもらったところ、かなり軽快に動いているのを確認しました。このCloud Collaborationについては、また近いうちに詳しくチェックしてみたいと思っているところです。
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