イタリアのMIDIパッド・コントローラ、iRig PADSを使ってみたよ

MIDIキーボードのほかに、MIDIパッド・コントローラも1つ持っておきたいな…」と考えている人も少なくないと思います。USBで簡単に接続できるMIDIパッド・コントローラはトラックメイキング、DJプレイの世界では標準的な機材になっていますし、リズムの打ち込み用途でもとても便利に使えます。

最近はPC用としてだけでなく、iPhoneやiPadで使える機材もいろいろと登場してきています。先日もAKAIのMPC ELEMENTという製品を紹介しましたが、イタリアのIK MultimediaからもiRig PADSという製品が登場しました。さっそく入手して使ってみたので、これがどんな製品なのか紹介してみたいと思います。


伊IK Multimediaから新たに発売されたMIDIパッド・コントローラ、iRig PADS


iRig PADSは4×4のパッドとともに、スライダー、ノブ×2、プッシュボタン・ロータリー・エンコーダー、ボタン×2などから構成された製品でiPhone 6 Plusと並べてみると、こんな大きさの機材です。

iPhone 6 Plusと並べてみると大きさの雰囲気がわかるはず

厚さ23mmのプラスティックシャーシなので、持つと軽いですが、結構しっかりとした作りになっており、パッドを思い切り叩いても不安はありません。ちなみに先日紹介したMPC ELEMENTと並べてみると、こんな感じで、MPC ELEMENTより一回り小さいけれど、厚さはありますね。


MPC ELEMENT(左)とiRig PADS(右)

MPC ELEMENTが完全にPC版のMPCソフトやiOS版のiMPC用の機材としてできているのに対し、iRig PADSはもう少し汎用的な機材となっています。大きな違いとしてはスライダーやノブなどが用意されている点で、各種DAWと接続した際にも、コントローラとして威力を発揮してくれます。


スライダーやノブなども用意sれている

4×4のパッドは、手触りも気持ちいいラバー素材になっており、叩く強さに応じてベロシティーを感知してくれ、強さによって色が変化するようになっています。あまりベロシティーを効かせたプレイは得意ではない…、という人のためにFIX VELというモードも用意されており、常にベロシティー100を送るということもできるようになっていますよ。


FIX VELというボタンをオンにすると、パッドを叩く強さにかかわらず、ベロシティー値は100になる

接続端子を見てみると、iPadやiPhoneに接続するためのミニDIN端子およびmicroUSB端子が用意されています。ケーブルもmicroUSBでPCと接続するもの、LightningでiOSデバイスに接続するものが付属しているので、自分の使いたい機材とすぐに接続することが可能です。

右がPCと接続するmicroUSBで、真ん中がiOSデバイスと接続するミニDIN、左はフットペダルと接続する端子

電力供給量がわずかしかないiPhoneやiPadでも、外部ACアダプタなどに頼ることなく、Lightning端子からのバス電源供給だけで動作してくれ、パッドもちゃんと光ってくれます。ちなみにmicroUSBケーブルとミニDIN-Lightningケーブルの両方が刺さっている場合は、ミニDIN-Lightningケーブルのほうが有効になるようですね。

一方、microUSB端子、ミニDIN端子の隣には標準ジャックの端子がありますが、これはフットペダルに接続するためのもの。そう、フットペダルを踏むと、デフォルトではMIDIのコントロールチェンジのエクスプレッション(CC #11)の信号を出すようになっています。

といったところが、iRig PADSの基本的な概要なのですが、問題はこれでいったい何ができるのか、ということですよね?その例をいくつか紹介してみましょう。


Sample Tank Freeでドラム音源を読み込むと、すぐに使うことができた 

まずiPadと接続し、IK Multimediaが無料で出しているアプリ、SampleTank Freeを起動させてみます。このSampleTank Freeでドラムの音色を読み込んで、iRig PADSを叩いてみると、しっかり鳴らすことができますね。スライダーを動かすとモジュレーションが効き、1番のノブを動かすとPANが動いてくれます。またプッシュボタン・ロータリー・エンコーダーを回すとボリュームが変わってくれますね。何の設定もせずに簡単に動いてくれました。もちろん、有料版のSampleTankでも同様です。


GarageBandのドラムもすぐに叩くことができる 

実は、同じ設定のままGarageBandを起動して、ドラム音源を表示させてみても、まったく同じように使うことができるし、Cubasisでドラム音源のトラックを作っても、FL Studio Mobile HDでドラム音源を呼び出しても同じ。iRig PADSがデフォルトでGM音源のドラムキットに割り当てられているので、当たり前といえば当たり前なのですが、とにかく簡単で便利ですね。


FL Studio Mobileも同様にドラム音源がすぐに使える

とはいえ、GM音源のドラムキットでの利用できるというのは、iRig PADSの利用法の一例に過ぎません。iRig PADSにはシーンメモリーというのがあり、全部で16種類の設定が記録できるようになっています。したがって、3番にはAbleton Live用の設定、10番にはStudio One用の設定……なんていういように、自分でパッドやノブをアサインしてしていくことも可能なんです。


SCENEボタンを押すと、現在1、2、5~8のメモリーにデータが入っていて、1番が選択されているのがわかる 

iRig PADSのSCENEボタンを押せば、各シーンメモリーを簡単に呼び出すことができます。初期設定では1番のGM音源ドラムキットが選択されていたから、SampleTank FreeGarageBandがすぐに反応してくれたわけですね。そしてそのシーンメモリーには、そのほかにも工場出荷時には以下のような設定がされています。

1:GM音源ドラムキット
2:クロマティック
5:AKAI MPC Bank A/AKAI iMPC PRO
6:AKAI MPC Bank B
7:AKAI MPC Bank C

8:AKAI MPC Bank D


AKAIのiMPCでもバッチリ使うことができる 

そう、ちょっと目立っているのがAKAIのMPCですよね。そこで、シーンメモリーの5番、AKAI MPC Bank Aを選んだ上で、以前にも紹介したAKAIのiMPCおよびiMPC PROを起動してみました。なるほど、バッチリです。AKAIのMPCのパッドの配列はGM音源のドラムキットとは異なるため、MIDIのノートナンバーをこれに合わせてあるわけですね。


iOSのMIDIの動作状況をチェックする上で非常に重宝するMidi Tool Box 

ちなみにデフォルトの設定ではスライダーがモジュレーション(CC #1)で、ノブ1がPAN(CC #10)になっているほか、ノブ2がエクスプレッション(CC #11)、プッシュボタン・ロータリー・エンコーダーがボリューム(CC #7)で、ペダルはノブ2と連動しているようです。またボタン1がCC #20で、ボタン2がCC #21に割り当てられていることをMidi Tool Boxというアプリのダンプリスト機能で確認することができました(Midi Tool BoxはART Teknikaという日本のソフトハウスが開発したものですが、とっても便利で愛用してます!)。


本体右上にあるプッシュボタン・ロータリー・エンコーダー

このように、iRig PADSはiOSアプリで便利に使うことができるのですが、もちろんWindowsやMacとの連携もできますよ。CubaseでもSONARでもLiveでも基本的にはドラム音源のパッドとして利用できるし、各DAWのMIDIのラーニング機能を用いて、各パッドやノブ、スライダーを割り当てて使ってもいいですね。反対にiRig PADS側で各パッドをノートにするかCCにするかなどの設定もできるので、かなり自由度高く使うことが可能となっています。

なお、iRig PADSには豪華なオマケもついてますよ。具体的にはSampleTank 3 SEというサンプラーソフト。先日も紹介したSampleTank 3の特別版なのですが、約4.5GBものライブラリも付属しているので、かなり使えますよ!


iRig PADSを購入するとSample Tank 3 SEを無償ダウンロードできる 

以上、IK MultimediaのMIDIパッド・コントローラ、iRig PADSについて紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?MIDIパッド・コントローラを1つ持っておきたいと思っていた人なら、この機会に入手してみてはいかがでしょうか?
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【関連情報】
iRig PADS製品情報(フックアップ:日本語)
iRig PADS製品情報(IK Multimedia:英語)

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