イタリアのIK Multimediaから先日、iPhoneやiPadと直接接続が可能な37鍵のミニキーボード、iRig KEYSが発売されました。iPhone、iPadに直結可能なキーボードとしては、Line 6のMobile Keysがありますが、Mobile Keysはフルキーで本格プレイに適した機材であるのに対し、iRig KEYSはより気軽に使うためのミニキー。その意味では、KORGのmicroKEYの競合となりそうな製品です。
価格的には1万円強とmicroKEYと比べて若干高めですが、Camera Connection Kit不要で直接接続できるし、microKEYでは使うことができないiPhoneでも利用可能。またmicroKEYの場合、iPadからの電源供給で正式に動くのが25鍵モデルだけなのに対し、iRig KEYSは37鍵なのにしっかり駆動してくれます。さらには、ちょっと信じられないオマケまで付いているのです。先日、その発売されたばかりのiRig KEYSを借りてみたので、どんな製品なのか紹介してみましょう。
iRig KEYSは横幅503mmの37鍵キーボードで、iPadを後ろに置くと、ちょうどいい感じの大きさです。660gと軽量だから、カバンにiPadといっしょに入れても気にならない重さですから、常に持ち歩くデバイスとしても良さそうです。ミニキーとはいえ、キータッチも結構しっかりしているので、弾きやすいですよ。
左側にあるモジュレーションホイール、ピッチホイールは、やや重めなしっかりした部品が使われているので、そこも好感が持てるところでした。
Lightning-30pinアダプタ経由でiPad miniやiPhone5との接続も可能
現状付属しているケーブルは30pinのDOCKと接続するタイプで、Lightningケーブルはありませんが、Lightning-30pinアダプタを使ってiPhone5やiPad miniと接続してみたところ、こちらも問題なく動作してくれました。
iOSデバイスとの接続はリアにあるDIN端子を使う。
その左にあるのはサスティンペダルやエクスプレッションペダル兼用の端子
やはり嬉しいのはiPhoneでも使えるという点。前述のmicroKEYやnanoKEYのようなUSB接続のキーボードの場合、iPadへの接続はできても、iPhoneの仕様上、これとの接続は許されていません。でも、iRig KEYSの場合は、正式なiPhone対応デバイスであるために、接続すればすぐに使えてしまいます。
ホームボタンを2回連続で押してアプリを切り替えるのが得策
iPhoneからの電源供給だけで動作するという機材だけに、非常に省電力設計になっているのもiRig KEYSの売り。実は、単純にケーブルを接続しただけではiRig KEYSの電源は入らず、iPhoneやiPad側でCoreMIDI対応のアプリ、つまりGarageBandであったり、IK Multimediaの音源、SampleTankなどを起動させると、それを検知して電源がオンになるという形になっているのです。
ただ、そうした設計であるために1点気をつけなくてはならないこともありました。それはアプリを終了すると、iRig KEYSとの接続が切れてしまい、再度アプリを起動しても今度は繋がらなくなるという点。この場合は、一度ケーブルの抜き差しが必要とのことです。ただし、抜き差しせずに使うワザも1つありました。予め切り替えたいアプリを起動しておき、ホームボタンを連続で2回押すと下部に表示される起動中のアプリ一覧から選択して、切り替えると切断されることなく利用できます。またバックグラウンドで動作するアプリを使っている場合も大丈夫ですね。
操作ボタンも充実しており、結構使いやすい
操作ボタン類を見てみると、こちらも結構充実しています。オクターブ切り替え、プログラムチェンジはもちろんのこと。オクターブ切り替えボタンを2つ同時に押すとEDITモードに入りキーボードを利用してMIDIチャンネル、ベロシティなどを設定することも可能。また、ボリュームノブが搭載されていて、MIDIボリュームをいじれるのも結構便利に思えました。
プレイバックサンプラーとして著名なSampleTank FREE
CoreMIDIに対応したデバイスなので、現在あるiPhone、iPad用のシンセサイザ類はほぼそのまますぐに使うことができますが、IK MultimediaからもiRig KEYS用に2つの音源アプリがリリースされています。そう、SampleTank FREEとiGrand Piano FREEのそれぞれ。
新たに登場したピアノアプリ、iGrand Piano FREE
その名前からもわかるとおり、もともと無料アプリではあるのですが、一般ユーザーが無料で使うものとはちょっと違いがあるのです。そう、普通にダウンロードして使う場合は使える音色数がわずかに限られるのに対し、製品シリアル番号を登録すると拡張音色が自動的に使えるようになるのです。
iOSデバイスへ接続するコネクタとは別にPCと接続するためのUSBコネクタも装備されている
これらも大きなオマケといえるわけですが、冒頭で触れたオマケとは、それを遥かに上回る、ちょっと驚くべきものなのです。そうiRig KEYSにはiPhone、iPadと接続するためのコネクタのほかに、USBコネクタも搭載されており、付属のUSBケーブルを使ってMacやWindowsのPCに接続することが可能です。この場合もUSBクラス・コンプライアントのデバイスになっているため、ドライバ不要ですぐに利用することが可能となっています。
SONARで確認しても、MIDIデバイスとしてしっかり認識されている
そのため、SOANRでもCubaseでもProToolsでも何とでも組み合わせて使うことができるのですが、IK Multimedaといえば、ソフトシンセのメーカーとしても有名であり、その代表製品はSampleTankですよね。
14,000円前後のMac/Win用ソフト、SampleTank 2Lがバンドルされている
(正確にはシリアル番号がバンドルされており、ソフト本体はダウンロードする)
SampleTankにはフリー版から最上位のSampleTank 2.5XLまでいくつかのバリエーションがありますが、そのひとつとして、SampleTank 2Lというものがあります。ネットで検索してみるとわかりますが、14,000円前後で現在も販売されています。10月にダウンロード版が2,500円での期間限定の特価販売などもあったようですが、そのSampleTank 2LがiRig KEYSにバンドルされているのです。そう、1万円強の製品を買うと14,000円程度のソフトがオマケで付いてくるって……!?
まあ、現在14,000円程度で販売されているのは、流通在庫であって、新規出荷はすでに終えている様子ではありますが、なかなか不思議な現象ですよね。もし、SampleTank 2Lが欲しいと思っている人なら間違いなく、iRig KEYSを買ったほうがお得ですよ。