PC連携機能を備えるZOOMのマルチエフェクトの最高峰、G5nは3万円!

今年のNAMM SHOWで発表されたZOOMのギター用マルチ・エフェクトの最高峰、G5n。2012年にリリースされたG5の新モデルということで気になっている人も少なくないと思います。ストンプボックス風なUIのG5nは68種類のギターエフェクトに、5種類のアンプモデル、5種類のキャビネットモデルを内蔵しており、これらを自由に組み合わせることができるシステムとなっています。

 

もちろん単体で使うことができる一方、ここにはUSB端子も搭載されており、PCと接続することでパッチの管理ができるほか、USBのオーディオインターフェイスとして機能するのも面白いところ。またCubase LE 8もバンドルされているので、G5nをきっかけにDTMの世界に入るということも可能になっているのです。ここでは、あえてG5nのPCとの連携機能にフォーカスを当てて紹介してみたいと思います。


USBも搭載するZOOM最高峰のマルチエフェクト、G5n

とはいえ、まずはG5nについてこれがどんなものなのかを簡単に紹介しましょう。これはZOOMが出した最新のギター用マルチ・エフェクトで、床に置いてフット操作で切り替えていく機材。形的には、ストンプタイプのエフェクトを4つとペダルを並べてボックスに入れた風になっていますが、見かけからも分かるとおり、一体型になっており、さまざまなエフェクトに変身してくれます。


 ストンプエフェクト4つとフットペダルを並べたようなUIのZOOM G5n

 

また4つのエフェクトが並んでいる風ではありますが、実際には最大9つのエフェクトを並べて使うことができる仕様になっています。パネルを見ると5つの液晶がありますが、このうち一番上の横長の液晶には、その9つまでのエフェクト・チェインが表示されています。あらかじめ100種類のパッチがプリセットとして用意されているので、まずは、これを選択することで、さまざまなサウンドを鳴らすことができますよ。


一番上にある横長の液晶でエフェクトチェインを表示できる 

 

また、より細かくエディットしたい場合は、エディットモードに入ることで最大9つあるエフェクトチェインのうち4つを下側にある4つのストンプエフェクト風なところに割り当てた上で、操作していくことができます。これらには、それぞれ液晶ディスプレイがあるので、何のエフェクトであるかが表示されるとともに4つのツマミをいじって音を変えていくことができるので、まさにアナログのエフェクトと使い勝手は一緒ですね。


パラメータを動かしてエディットできるので、普通のストンプエフェクト感覚で使える 

 

変更した結果はそのまま保存できるほか、新たなパッチとして保存することもできるようになっており、その数は全部で200種類。これだけあれば、ライブなどで使うのにも十分ですよね。

 

これらのエフェクトは内蔵されるDSPで実現しているわけですが、
・DYNAMICS
・FILTER
・DRIVE
・MODULATION
・SFX
・DELAY
・REVERB
・PEDAL

とジャンル分けされています。中身を見てみると、たとえば、DRIVEにはAco.SimDYN DriveEP StompGoldDrive……と数多くのものがあり、ここから選択できるようになっていて、その数はトータルで68種類。さらに、これらエフェクトとは別にアンプシミュレータおよびキャビネットも用意されているのです。


FenderのTwin Reverbなど著名なアンプモデリングが5つ用意されている

 

そのアンプシミュレータ、具体的にはMarshall JCM800Fender Twin ReverbMESA Boogie Mk3Bogner Ecstasy Blue ChannelBritish 30W Class A Comboの5種類。さらにこれらのアンプに対応したキャビネットも用意されているので、これらを各種エフェクトと組み合わせて使うことができるわけですね。

 

つまりアンプシミュレータやキャビネットのモデリングを利用すれば、実際のギターアンプを使わずに、そのままPAに入れて音をだしたり、レコーディングしてしまうことができるのがG5nの便利なところとなっているのです。もっとも管理上はアンプシミュレータもキャビネットシミュレータもエフェクトの1つなので、全部で78種類のエフェクトがある、と考えるのがわかりやすいかもしれません。

 

実際にG5nを通すとどんな音が出るのか、ZOOMがいくつかのデモサウンドを用意しているので、ぜひ聴いてみてください。

さて、そのG5nにはUSB端子も搭載されているのですが、これをPCと接続することでさまざまな活用ができるようになっています。


PCと接続するためのUSB端子が搭載されている

その1つ目は専用アプリケーションであるZOOM Guitar Labを使ってのパッチ管理です。まずPCとUSB接続してこのアプリを起動すると、G5nの画面は「PC MODE」と表示されて、すべての操作はPC側に委ねられます。


ZOOM Guitar Labを起動すると「PC MODE」と表示され、パッチ選択などもPC側に委ねられる

この際、G5nの中にあるパッチすべてがPCに吸い上げられ、PC上でパッチおよびエフェクトを一覧することができます。


G5n内のパッチ情報が読み込まれ、PC上でテキストをエディットできる 

 

必要に応じてパッチの順番を変更したり、パッチ名を書き換えたり、コメント欄を書き換えることが可能になっているほか、そのデータをバックアップしたり、リストアすることも簡単にできるようになっています。そのため、ライブ用にセットリストを作って、簡単に切り替えられるようにし、終わったら、また元に戻すといったことができるわけです。


各エフェクトも確認でき、パッチ名なども編集はできるが、パッチの並び替えなどは本体で行う必要がある 

 

せっかくだったら、このアプリ上でエフェクトの並び替えやパラメータの設定などもできてしまうとよかったのですが、そうした操作は今のところ本体で行うようになっています。一方、ZOOM Guitar Labを使うことで、G5nの機能を進化させられるのも大きなポイントです。


エフェクトのチェインの順番などはG5n本体エディットする

現時点では前述のとおりアンプモデリングは5種類だけですが、今後、新たなモデリングデータがどんどん発表される予定になっており、これらZOOMのWebサイトから無料ダウンロードして転送することで、G5nが成長していく仕掛けになっています。


 WindowsにはASIOドライバ、MacにはCoreAudioドライバが用意されている

 

さて、このUSBによるもう一つの大きなメリットは、これがオーディオインターフェイスとして機能する、という点です。WindowsにはASIOドライバが、MacにはCoreAudioのドライバが用意されているので、これを使ってレコーディングしていくことが可能なのです。


Cubase LE 8のライセンスカードがバンドルされており、そのコードを入力すればCubase LE 8をダウンロードできる

 

しかも、G5nにはCubase LE 8がバンドルされているので、これを無料ダウンロードできてしまうのです。ここでCubase LE 8についての詳細は割愛しますが、以前「Cubase AI 8とLE 8がこっそり登場していた!」という記事でスペックなどについて紹介しているので、ご覧になってみてください。


とっても強力な機能、性能を持つDAW,SteinbergのCubase LE 8

気になるのはG5nがオーディオインターフェイスとして、どのように機能するのか、という点についてです。実際に試してみたところ、なかなかよくできています。まず、DAW側から見ると2IN/2OUTのオーディオインターフェイスとして見えます。もちろんCubase LE 8で使えるだけでなく、Ability Proをはじめとする、各種DAWで使うことができますよ。


インターネット社のDAW、Ability ProでもG5nのASIOドライバで快適に使うことができた

 

また、その2chのステレオ入力というのは、G5nの各種エフェクトを通った音となります。つまりギターの生音ではなく、エフェクトの掛け録りというわけですね。ただ、中には「ディストーションやディレイ、アンプシミュレーターなどは掛け録りでいいけれど、リバーブだけは後で調整したいんだ……」なんて思いの人もいるかもしれません。それも大丈夫ですよ。G5nにはダイレクト音とDAWからの音のバランスを調整するパラメータがあるんです。初期設定では50%:50%となっているので、リバーブだけはDAWのモニターを利用することが可能なわけです。


ダイレクトモニタリングとDAWからの戻りのバランスやレコーディングゲインの設定ができる 

 

もちろん、DAWで録音済みのオケをプレイバックしながらレコーディングしていくこともできるし、この際の音量は必要に応じてこのバランスで調整すればいいわけです。またダイレクト音がモニターできているのでPC側によるレイテンシーがないのも大きなポイント。これなら気持ちよく演奏できますね。


ギター入力端子の隣にはAUX INがあるが、AUX INからの入力はDAWへは行かない

ちなみにG5nには外部入力用にAUX INというステレオミニ端子が用意されています。これはiPodなどを接続して再生しながらギターを弾くことを想定した端子なのですが、ここから入ってきた音はDAW側へは行きません。あくまでもギター演奏した音だけを録っていけるのもうまくできているところですね。


Ability Proのオーディオ設定画面 

 

一方、G5nには簡単なリズム機能も用意されています。一人で練習する際などにリズムを鳴らしながら弾くために用意されているものなのですが、このリズムはエフェクトの1つとして位置付けられているんです。そのためDAWにはリズムも一緒にレコーディングされてしまいます。もし、あくまでもテンポをとるためのメトロノームとして使いたいというのであれば、DAW側のメトロノーム機能を使うか、DAWでドラムトラックを作成し、それをバックにレコーディングするようにしてくださいね。


G5nに用意されている各種設定メニュー

以上、G5nについて見てきました。これだけの機能を持って30,000円というのは、ちょっと安すぎるようにも感じましたが、いかがでしょうか?「気になるけど、やっぱり実際の弾いているところを見てみたい」という人もいるでしょう。そこで、3月22日に予定している第51回ニコニコ生放送、DTMステーションPlus!において、ギタリストのEITA(@eitahime)さんをゲストにお招きして、G5nの実演をしてもらおうと思っています。


3月8日のDTMステーションPlus!ではEITAさんをゲストにお招きしてG5nのサウンドを披露します(写真は2014年3月3日の放送)

 

EITAさんの登場は、2回目となりますが、この見かけからは想像できない、パワフルなサウンドが飛び出してくるはず!G5nが気になる方も、EITAさんが気になる方も、ぜひチェックしてくださいね!

ニコニコ生放送 第51回 DTMステーションPlus!
日時:2016年3月22日 21:00~22:30
URL:http://live.nicovideo.jp/watch/lv253562961 

※初出時3月8日の放送とご案内してしまいましたが22日の間違いです。訂正するとともに、お詫びいたします。

【関連情報】
ZOOM G5n製品情報

【価格チェック】
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