FL STUDIOの生涯無償アップグレード権を使って最新のFL12にしてみた

DAWに限らず、大半のソフトウェアは何年かに1度は大きいバージョンアップがあり、ユーザーはその度にバージョンアップ料金を支払っていく必要がありますよね。これを「お布施」なんて言い方をする人もいますが、最新バージョンを入手し、快適な環境を得るためには仕方のない行事ではあります。

ところが、そうした「お布施」を必要とせず、生涯無償でアップグレード可能という気前のいいソフトウェアもあるんです。それがベルギーImage-Lineが開発し、国内ではフックアップが販売しているDAW、FL STUDIOです。「ライフタイムフリーアップグレード」という名前の特典となっていて、実際に新バージョンを無償で入手することができるのです。これを利用して、国内ではまだ発売されていないFL STUDIOの最新版FL STUDIO 12を入手してみたので、実際の手順などを紹介してみたいと思います。

ライフタイムフリーアップグレードを利用して無償でFL STUDIO 12を入手して使ってみた


ちょっと独特な世界観を持つDAW、FL STUDIO。特にEDM系の音楽制作ツールとしては世界的にも非常に高いシェアを持っているし、国内においても着実にユーザー数を伸ばしてきています。VOCALOIDを使っている人たちの間でもFL人気はかなり高いようですよね。


国内で発売されているパッケージ版は現時点ではFL STUDIO 11

さて、そのFL STUDIO、機能の良さもさることながら、ユーザーに大きく支持されている理由の一つに、ライフタイムフリーアップグレード対応というものがあることは間違いないでしょう。前述のとおり、これは新バージョンが誕生しても常に無償で入手できるというユーザーにとってはこの上なく嬉しい制度です。

ライフタイムフリーアップグレードに対応しているのは、海外版だけで国内でのパッケージは非対応」なんて話をネットで見かけることがありますが、FL STUDIO 10からは国内パッケージバージョンでもライフタイムフリーアップグレードに対応していますよ。


日本のパッケージには「ライフタイムフリーアップグレード」と大きく表記されている

また、価格的にも国内版のほうが圧倒的に安く入手できるというのも事実。メイン製品であるFL STUDIO SIGNATURE BUNDLEの場合、税込み3万円弱と、海外からのダウンロード購入よりも安いし、海外版には存在しない、クロスグレード版というのも国内には存在し、ほかのDAWから乗り換え(別にそのDAWを使い続けても構わない)であれば2万円もしないで入手できますよ!その低価格でありつつ、無償アップグレードできるというのは、何ともお得ですよね。


インストール後、 HELPメニューから「Register acess to web site」を選択

では、その手順を簡単に紹介しましょう。まずパッケージに入っているCD-ROMを用いてインストールを行い、FL STUDIOが起動したら、HELPメニューから「Register acess to web site」を用いてImage-Line社のサイトへと接続します。


まだユーザーアカウントを持っていない場合は、ここで作成 

すると、サインインの画面が現れますが、もしまだアカウントをもっていなければ、「new customer」を選択してアカウントを作成します。


メールアドレス、パスワードを入力すれば、すぐにアカウントが発行される

この際、名前とメールアドレス、それにパスワードを入力すれば簡単に作成できますよ。その後、改めてログインし、パッケージに入っているシリアルナンバーを入力すれば、基本的にそれで製品のユーザー登録は完了です。


改めてログイン後、シリアルナンバーを入力すれば、ユーザー登録は完了 

では、ライフタイムフリーアップグレードって、どうしたらいいんでしょうか?これが、また非常に簡単に使えるようになっているんです。まず、ソフトのダウンロード自体は対象ユーザーに限らず、誰でも無償で行えます。


Image-Lineのサイトに行き、FL STUDIO 12のページから「demo & full」をクリックしてダウンロード

単純にImage-Line社のサイトからFL STUDIO 12のページに行くと、「demo & full」というボタンがあるので、これをクリックしてダウンロードし、そのままインストールすればいいだけなんです。以前に「FL STUDIOのデモ版の気前がよすぎる!」という記事を書いたことがありましたが、このデモ版自体は機能制限も時間制限もなく、セーブ機能も含めて、すべての機能を誰もが使える形になっています。デモ版における唯一の制限はユーザーがセーブしたデータを読み込むことができないという点。ここさえ目をつぶれば、すべて無償で使えてしまうわけなのですが、なかなかそうもいかないですよね。


FL STUDIO 12を起動してみると、だいぶ雰囲気が変わっている。デフォルトではFL-Chanキャラクタの壁紙表示はなくなった

さて、さっそくインストールしたFL STUDIOの最新版、FL STUDIO 12を起動してみると、ちょっとビックリ。画面の雰囲気がだいぶ変わっているんです。長年、バージョンアップしてもまったくUIが変わらなかったFL STUDIOが大変身した、という感じです。


ミキサーも見た目が変わり、結構使いやすくなった 

タブレットやマルチディスプレイに対応できるようにしたということなのでしょうか……、ディスプレイのサイズに合わせて自在に拡大、縮小もできるようになり、拡大しても荒くならないようになっているようです。

またミキサーのデザインも大きく変わり、サイズも自由に動かせるし、メーターとフェーダーの比率なども自由に設定できるようになっています。これまでの独特なミキサーから、少し一般的なDAWに近づいたという感じでしょうか……。

現在再生中の波形が上から下に流れてくるように表示される。画面下ではルーティングができる

しかも、このミキサーチャンネルからチャンネルへのルーティングをReasonのようにパッチアニメーションで表示させて行えるようになったり、再生時に波形を縦に表示して流していくことができるようになるなど、かなりドラスティックに変化しています。


ピアノロールの雰囲気も変わり、より高機能化が図られている

また使ってすぐに「おや?」と思ったのは、ステップシーケンサ上にあったピッチやベロシティーなどの設定項目がなくなり、クリックすればすぐにピアノロール画面に移るようになったこと。こうした点でも、少し普通のDAW風になった感じですね。さらに、ピアノロールでもスウィングが使えるようになったり、コードを入力するためのスタンプ機能が使いやすくなるなど、かなり大幅な強化がされているんですよね。

と、ここまでの機能を確かめるだけなら、デモ版でもできるわけですが、ライフタイムフリーアップグレードを適用させ、ちゃんとした製品版として使うためにはどうすればいいのでしょうか?


Image-LineサイトでUNLOCK PRODUCTSメニューから「this link」をクリックするとFLRegkey.Regがダウンできる

実はこれが至って簡単なんです。Image-Lineのサイトにログインし、UNLOCK PRODUCTSというメニューからFLRegkey.Regというファイルをダウンロードして、これを起動すればいいんです。これは「レジストレーションキー」と呼ばれるWindowsのファイルであり、ここに各種設定情報が記載されているのですが、ダブルクリックすると、それらの情報を取り込むことができ、結果としてデモ版のロックが外れ、製品版に切り替わるようになっているんです。


ダウンロードしたFLRegkey.Regをダブルクリックして起動する。警告がでるが、このまま実行すればOK

そして、このFLRegkey.RegはFL STUDIO 12に限らず、FL STUDIO 11でもさらに古いバージョンでも有効のようです。試しにFLRegkey.Regを実行後、FL STUDIO 10のデモ版をインストールしても製品版化されたのでオールマイティーになっているようですね。


その後FL STUDIOの?メニューからaboutを見ると、自分の名前が記載され、正規版として動いていることが確認できる

ただし、新たに新バージョンがリリースされ、それをインストールした場合は、改めて最新のFLRegkey.Regをダウンロードしてインストールする必要があるようですね。

ところで昨年末、突然Mac版の開発がアナウンスされるとともに、大きな話題にもなりました。すでに、そのベータ版も出ているので、私も先日、このMac版をImage-Lineサイトからダウンロードしてインストールし、ちょっとだけ試してみましたが、ほぼWindowsと変わらないもので、ちょっと驚きました。


Mac版をダウンロードして試してみたところ、Windows版とまったく変わらない内容だった

そしてこのMac用ベータ版も、このFLRegkey.Regを読み込ませることで機能制限のないバージョンになってくれます。「なんでWindows用のレジストレーションキーが読めるの?」と不思議に思いましたが、システム的には完全にMac用に作り直したというのではなく、Mac環境でWindowsアプリを動かす仕組み「Wine」を使って作られているからのようですね。とはいえ、ベータ版ながらも問題なく、そして安定して動作してくれるので、正式版はリリースされたら、ユーザーも大きく広がるのではないでしょうか?

まだMac版がライフタイムフリーアップグレードの対象であるかの正式アナウンスはありませんが、クロスプラットフォームでの対応となってくれるとますますお得感もでてきますよね。

なお、国内でFL STUIO 12のパッケージ版が発売されるのも、そう遠くないとは思うのですが、現状まだ発売されていないため、これから新規にFL STUDIO 12を導入しようという方も、まずはFL STUDIO 11のパッケージ版を購入した上で、このライフタイムアップグレードで12にするのが近道だと思いますよ。

【関連情報】
FL STUDIO製品情報(フックアップ)
Image-Lineサイト
FL STUDIO 12関連情報(フックアップ)

【価格チェック】
◎Amazon ⇒ FL STUDIO 12 SIGNATURE BUNDLE
◎サウンドハウス ⇒ FL STUDIO 12 SIGNATURE BUNDLE
◎beatcloud ⇒ FL STUDIO 12 SIGNATURE BUNDELE
◎Amazon ⇒ FL STUDIO 12 SIGNATURE BUNDLEクロスグレード
◎サウンドハウス ⇒ FL STUDIO 12 SIGNATURE BUNDLEクロスグレード 
◎beatcloud ⇒ FL STUDIO 12 SIGNATURE BUNDELEクロスグレード
※DAWユーザーならクロスグレード版を、VOCALOIDユーザーならプロデューサ優待版が確実に安いようです。

Commentsこの記事についたコメント

6件のコメント
  • FLくん

    シグネーチャーバンドルに、Harmless、Newtone、GrossBeat、Picher が追加されたというのも太っ腹ですよねー

    2015年5月19日 10:11 AM
  • 匿名

    わけもなく仮想化に対してあまりいいイメージを持たないんですけど、mac版のFLの安定性が気になりますね。中身が同じならブートキャンプ上と仮想環境上での安定性の違いとか、調べてみると面白そうな。

    2015年5月19日 10:56 PM
  • 藤本健

    匿名さん
    Wineは仮想化とは違うと思いますよ。単にWindowsのAPIをMacOSから呼ぶことを可能にするもので、Mac上でWindowsを動かしているのとは違う、と。まあ、そんなことよりも実際の安定性ですが、まだ使いこんでないものの、かなり安定はしています。ただ、レイテンシーには現時点では難点もありそうです。ちゃんとCoreAudioには対応してくれるものの、バッファサイズを詰めていくと限界が来てしまうっぽく、リアルタイム演奏用としては多少難あり、という感じです。この辺が製品版になる過程で解消してくれるといいのですが…

    2015年5月20日 1:07 AM
  • 通りすがり

    私も 生涯アップグレード権持ってるんで FL12 にしてみました
    UIデザインに手を入れたみたいでここにもフラットデザインの波がと思いました。
    軽さが信条のDAWなのとドラスティックな変更がないのでFL好きなんですが
    あんまり無茶しないでいいよと思っちゃいますね。
    以前 ubuntu + Wine での動作報告したのも私ですがそっちも入れたら報告します

    2015年5月20日 11:17 PM
  • YK-3

    はじめまして。
    ベーマガ別冊付録からの一読者です。
    記事や生放送で楽しませてもらっています。
    さて、Crossover版FLですが、Image-Line公式フォーラムによりますと、FL開発言語のDelphiがOSX対応となったことで、OSXネイティブ版FLの開発を検討中、これに伴いCrossover版については今後の計画が無い状態…のようです。
    なお、FL付属の一部プラグインについては、すでにOSXネイティブ対応(VST版)に成功しているようです。
    詳しくは、公式フォーラムトップから
    → FL Studio Mac OS X BETA (Crossover Wrapped)
    → NATIVE OS X FL STUDIO STATUS UPDATE April 2015
    をご覧ください。

    2015年5月24日 9:04 PM
  • 藤本健

    YK-3さん
    情報ありがとうございます。
    それは素晴らしいですね。今のままだと、どうしても限界がありそうですから。

    2015年5月24日 9:41 PM

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