RolandのR-MIXとボカロで遊んでみた!

これまで何度か紹介してきたRolandの凄い技術、V-Remasteringを搭載したソフトウェア、R-MIX。昨年にiPad版のR-MIX Tabはリリースされたものの、心待ちにしていた肝心のPC版(Windows/Macハイブリッド)のリリースが当初予定より遅れていました。

が、先日ようやく3月中旬発売予定ということが発表され、ゴールデンマスターが数日前に完成したようです。その話を聞いて、ローランドの担当者に無理やりお願いをし、できたばかりのゴールデンマスターをウチで使わせてもらいました。やっぱり多機能なだけに、いろいろな使い方ができそうなのですが、とりあえずということでVOCALOIDと組み合わせて使うことを試してみたので、レポートしてみたいと思います。
3月中旬に発売になるRolandのR-MIX



以前の記事をご覧になった方には、少し繰り返しになる面もありますが、まずは簡単に、R-MIXの概要を紹介しておきましょう。これはCDなど、ステレオ2chにマスタリングされた音楽素材を、2次元で視覚的に表現すると同時に、それを加工するというソフトです。

画面中央にあるキレイなグラフィック画像が表示されている部分を「HARMONIC PLACEMENT」といい、左右がPAN、上下が音の高さ、色が明るいほど大きい音を表しており、音楽を再生するとリアルタイムに表示が動くようになっています。

R-MIXの中心部分であり、中枢部分であるHARMONIC PLACEMENT 

これを見ると、「真ん中の上のほうにボーカルがいる」、「少し左の下のほうにベースがいる」、「右の真ん中辺にギターがいる」……というように、各パートが見えてくるのです。そしてその部分を囲んで、内側だけを消すとそのパートが消えたり、反対に外側だけを消すとソロ演奏になるという、なんとも不思議で画期的なソフトとなっています。

もっとも、どんな楽曲でもOKというわけではなく、60年代、70年代あたりの左右の定位がハッキリしたものが得意で、最近のコンプで思い切り潰した楽曲、定位がハッキリと定まらない楽曲では、ハッキリと1つのパートを指定するのは難しいですが、それでも今までは、絶対にできなかったことを可能にしてくれるソフトという意味で画期的だと思います。

PC版には2つのトラックがあり、同時に使うことができる

これを使うことで、マイナスワン演奏をしたり、ひとつのパートを取り出して耳コピ用に使うなど、いろいろな使い方が考えられそうです。またPC版には、iPad版のR-MIX Tabと違いさまざまな付加機能が搭載されています。まずは2トラックになっているということ。2トラックを同時に鳴らし、それぞれでこの技術を使えるため、組み合わせての編集作業が可能になっています。

VariPhraseのエンジンを搭載しているのも大きなポイント

またエフェクト機能があるので、取り出したボーカルだけにリバーブをかけるといったことができたり、ノイズリダクション機能により、嫌なノイズ成分だけを除去したり……といったこともできます。さらにRoland自慢の技術、Vari Phrase(バリフレーズ)のエンジンも搭載されているので、音質はそのままに、ピッチを変更したり、テンポを変更するといったこともできるようになっています。

ここで、今回の本題。そう、R-MIXとVOCALOIDを組み合わせにチャレンジしてみました。R-MIXの使い方としてすぐに思いついたのが、これだったからです。つまり、ある楽曲からボーカルを消した上で、VOCALOIDに歌わせた音に差し替えようというもの。まずはいろいろと操作してみた以下のビデオをご覧ください。

どんな楽曲を使ってもよかったのですが、一応著作権上問題がないということだったので、以前にも使ったR-MIXに入っている曲「The Water Is Wide」を素材に使ってみました。

これ、最初から下のトラックにVOCALOIDの音を入れていますが、もちろんまずはこのVOCALOIDの打ち込みから作業はスタートします。まあ、ボーカルなので、耳コピにそれほど苦労することはなく、R-MIXの力を借りることもなくVOCALOIDに音程を入力していきます。使ったのは手元にあったVY1です。実は英語の歌をボカロに歌わせたのが初めてだったので予想以上に苦労しましたが、まあ、その話は置いておきましょう(笑)。

テンポは実際に流し込んで比較しながら試した結果、73でほぼピッタリ。とくにVari Phraseの力を借りることもなく、うまく合った形です。波形を拡大して、声の出だしの頭部分を揃えることで案外簡単に合ってくれました。まあ、1分程度の短い曲だったので、音のズレがなくすんだのかもしれませんが、微妙にズレる場合は波形をあらかじめ分割しておいほうがいいかもしれませんね。

なるべく元の楽曲のボーカル以外を消してしまわないように、ボーカル部分だけを切り取るようにしたり、VOCALOIDがエクスポートする音量レベルが小さ目なので、トラック2を少しブーストした上でリバーブをかけるなどの処理を施しましたが、R-MIX側での操作はいたって簡単です。

当初、VOCALOIDの定位を少し右に振ってみようかなど試しましたが、やはり真ん中が、一番座りがいいため、そのままいじらずにおきました。そうして完成したのが以下のビデオです。

R-MIXとVOCALOID以外、何も使わずに作ったのですが、英語を歌わせる苦労以外は、あまり難しいこともなく、簡単にできてしまいます。まあ、もっと凝ったことをするのであれば、SONARなどのDAWと組み合わせるほうが効率がよさそうですが、ボーカルの差し替えということであれば、R-MIXだけでできちゃいますね。ちなみにDAWと組み合わせる場合は、R-MIX側にWAVでもエクスポート機能があるのでこれで作成したWAVをDAWで読み込むという形になります。

【関連サイト】
ローランド R-MIX Tab製品情報
ローランド R-MIX製品情報

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