この春、日本を代表するプラグインメーカーDOTEC-AUDIO(ドーテック・オーディオ)から2つの新しいプラグインが登場しました。1つは、低域の存在感を自在にコントロールするDeeBottom(5,000円税抜)、もう1つ世界初の仕組みでアタック感を自然に強調するDeeAttack(5,000円税抜)です。いずれも、DOTEC-AUDIOらしく超シンプルなデザインで、直感的に操作可能な即戦力型のプラグインとなっています。
従来のツールにありがちな難解さを排除しながらも、プロの現場に対応できる音質と操作性を実現している、この2製品。DeeBottomは、曲中の低域バランスを自動で調整し、場面ごとの変化にも対応して一定の聴感を保つことができる低域補正プラグイン。DOTECのDeeSubBassのようなサブベース生成とは異なり、素材に存在するローエンドを補強する設計となっています。またスマホの内蔵スピーカーで再生してもしっかりとした厚みのあるサウンドを鳴らすための機能も搭載。一方、DeeAttackは、トランジェント成分をリアルタイムに検出し、自然なエンベロープ処理によってアタック感を際立たせるプラグイン。従来のトランジェントシェイパの問題点を解決し、滑らかな音の立ち上がりと粒立ちを両立。パーカッションだけでなく、リードやマスタリング用途でも活躍する製品となっています。また現在、新製品発売セールも開催されており5月6日まで、5,000円の製品は3,000円に、2,500円の製品は1,000円になるなど、超お得なタイミングとなっています。そんなDeeBottomとDeeAttackについて、開発者であるDOTEC-AUDIOのフランク重虎さん、飯島進仁さんにお話しを伺ったので紹介していきましょう。

DOTEC-AUDIOの新製品、DeeBottom(左)とDeeAttack(右)
この春DOTEC-AUDIOから、DeeBottomとDeeAttackが発売された
いつもDOTEC-AUDIOの製品は、音系・メディアミックス同人即売会「M3」が開催されるタイミングでリリースされていましたが、今回DeeBottomは、3月29日に開催された日本音楽著作権協会(JASRAC)が運営する音楽クリエイター向けDXプラットフォーム、「KENDRIX」が主催するイベント「KENDRIX EXPERIENCE」にあわせて登場しました。フランク重虎さんによれば、もともと2製品を同時に開発しており、そのうちのひとつをKENDRIXのイベントにあわせて前倒しでリリースした形だったとのことです。

KENDRIX EXPERIENCEではフランク重虎さん、RAMRIDERさん、Watusiさんによるセミナーも行われた
リッチな重低音を引き出すバスブースタDeeBottom
まずは、先に発売されていたDeeBottomから紹介していきましょう。DeeBottomは、低音の存在感を聴感上で一定に保つという、これまでにないタイプのプラグイン。単純にEQで低域を持ち上げた場合、静かな場面では過剰に響いてしまい、逆にリードや中高域が派手に鳴るサビなどでは埋もれてしまうことがあります。そういった問題に対して、ユーザーが任意の箇所で設定した理想的な低域バランスを、曲全体を通じて維持してくれるという製品になっています。「たとえばサビで設定したバランスが、Aメロでも自然に保たれるような動作を目指しました」とフランク重虎さん。その鍵となるのが、内部で動作するダイナミックEQの自動制御機構です。

DOTEC-AUDIOのフランク重虎さん
複数のEQバンドが内部で連携して動作し、ユーザーはスライダーを上げるだけで、理想の低域処理が完成します。この手軽さこそが、DOTEC-AUDIOが長年こだわってきた部分ですね。bottomスライダーを調整すると、高域の増幅量に応じた最適な低音バランスを自動調整するので、オートメーションを書く必要もなく、調整した場所の雰囲気を楽曲全体に自然と反映させることができるのです。そのため、これまで手間がかかっていた低域の調整作業を短縮することができるようになっています。
さらにDeeBottomには、warmというもう1つのスライダーが用意されています。これは中低域の厚みや温かみを補うパラメーター。またモバイルスピーカーやスマートフォンなど、再生環境が限られた場面でも、低音が鳴っていると感じられるような音に調整することができます。つまり、リスニング環境に左右されず、音の密度を保つための設計がなされているということですね。warmは単純に中低域を持ち上げるのではなく、音の温もりや実在感を補う方向で設計されており、特にSNS投稿や動画配信など、モバイルデバイスでの再生を意識するユーザーにとっても、非常に有効なパラメータとなっています。

for Mobile speakerの位置までwarmのスライダーを上げると、モバイル環境でも厚みのあるサウンドを作れる
さらに各スライダーには個別のバイパススイッチが用意されており、BOTTOMとWARMをそれぞれ独立してオン・オフできるようになっているため、比較検証もしやすく、直感的な操作性にも優れています。
DeeBottomは実在する低音を補強するためのプラグインであり、新たな音を生成するものではなく、DOTEC-AUDIOが過去にリリースしたDeeSubBassなどのように、サブベースを足すタイプとは異なる役割を担っています。DeeBottomは、あくまで素材に含まれるローエンドの存在感を調整し、最適化することを目的としているのです。このため、他社のサブベース系プラグインとの併用や、既存のEQとの組み合わせにも対応しやすくなっていますよ。
自然にアタック感をプラスできるDeeAttack
続いてDeeAttackは、音のアタック感、特にトランジェントと呼ばれる立ち上がりの成分を自然な形で強調するためのプラグインとなっています。
「従来トランジェントシェイパと呼ばれるタイプのエフェクトでは、どうしても音が不自然にバツバツとしたサウンドになりやすく、調整の難しさがありました。DeeAttackはこの問題に対し、リアルタイムでトランジェントを検出し、なめらかに補強するという全く新しいアプローチを採用し、波形をバッファにため込んで処理するのではなく、リアルタイムで音の変化を捉え、トランジェントが始まる部分を自然なエンベロープで持ち上げていく方式をとっています。これにより、元の波形のつながりを保ったまま、違和感なくアタック感をプラスすることができるのです」と、フランク重虎さん。
そんなDeeAttackに搭載されているパラメータはDEPTHとRATIOの2つのみ。DEPTHはアタックがどの程度の範囲に効くかを決めるしきい値のようなもので、RATIOはその効き具合の強さを調整するためのパラメータです。操作はシンプルですが、非常に細かな音作りが可能となっており、ドラムのバスドラムやスネア、ハイハットといったパーカッションはもちろん、リード楽器やベースにも応用できる汎用性があります。

DeeAttack
また、トータルコンプレッサで潰れてしまったアタック感を補正する目的でも使用可能。ミックス全体にかけるトータルコンプは音圧を上げるうえで非常に重要な工程ですが、それと引き換えにアタック感が損なわれてしまうことも多いです。DeeAttackは、そうした潰れたアタックを後から自然な形で取り戻すことができるため、マスターバスやグループバスにも対応しやすくなっています。
使い方のコツとして、まずはRATIOを50%以上に設定します。次にDEPTHを狙ったパートのアタックを強調したい部分に引っかるように調整。その後、再度RATIOを上げ下げし、好みのアタック感が得られるように音作りを行っていきます。たとえばドラムトラックにキック、スネア、ハイハットが含まれている場合、DEPTHを少しずつ上げていくことで、まずはキックに、次にスネアに、そして最終的にはハイハットにまでアタック処理が及ぶようになるので、ここを見極めていく感じですね。ちなみにトランジェントシェイパと違って、RATIOを100%で使っても破綻しないよう設計されているので、極端にアタックを強調しても、すごくナチュラルに再生されますよ。
5月6日まで、新製品発売セール実施中
冒頭にも書いたように、DeeAttackとDeeBottomを含めた全製品が5月6日までセール中です。
「新製品発売セールとして、5月6日までDeeAttackとDeeBottomは通常5,000円ですが、税抜き3,000円で販売します。オンラインの方では税込み3,300円、また今回もM3に参加しますので、M3現地では税込み3,000円となっています。会場(企02)では、ご質問はもちろん、ノベルティなどもお配りしておりますので、ぜひ遊びに来てくださいね。DeeAttackとDeeBottom以外も、各種セール中なので、こちらのチェックもぜひよろしくお願いいたします」と飯島さん。

DOTEC-AUDIOの飯島進仁さん
以上、DeeAttackとDeeBottomを紹介しました。DOTEC-AUDIO製品には、ほかにも初心者でも扱いやすい簡単操作でプロクオリティに仕上げる製品が揃っているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?
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