防音室を自宅に導入たい……と思ったことのある方は少なくないと思います。有名なものとしては、ヤマハの「アビテックス」やカワイの「ナサール」といったものがあります。価格は大きさや防音性能などにもよりますが、50万円〜300万円程度とそれなりの価格となります。また軽いモデルでも約300kgあるし、工事が必要となりマンションやアパートでは設置自体が難しかったり、賃貸の場合だと許可が下りないケースもありそうです。
そんな中、もっと手軽に導入できる防音室があるのをご存知でしょうか?それが「OTODASU」です。価格は99,000円(税別)からと非常に手ごろながら、アビテックスやナサールなどの下位モデルに近い防音性能-30dB前後を実現。防音室内で出した音を約半分に抑えることができ、家の外に出てしまえばほぼ聴こえないレベルに軽減することが可能です。OTODUSは、発売からまだ4年ですが、すでに4,000台以上を販売し、音楽クリエイタだけでなく、配信者や実況者にも人気を集めています。さらに、1人で組み立てられるほど軽量で、引っ越し時の移動も簡単。今回は、そんなOTODASUについて、実際にショールームに伺ってきたので、紹介していきましょう。

99,000円から導入できる防音室OTODASU
サイズは3種類。カラーは、ホワイトとブラックの2色展開
OTODASUは、音楽用配信用としては大・中・小の3つのサイズで分かれており、それぞれ吸音材あり、なしを選択できるようになっています。またカラーは、ホワイトとブラックの2色展開。以下の表に価格とサイズなど、情報をまとめてみました。
OTODASUⅡ Light | OTODASUⅡ 吸音材あり | OTODASUⅡ DEKA | OTODASUⅡ DX145 | |||||
サイズ | 小 | 大 | 中 | |||||
仕様 | 本体のみ | ファンあり | 吸音材あり | ファン・吸音材あり | ファンあり | ファン・吸音材あり | ファンあり | 吸音材あり |
価格 | 99,900円 (税抜) | 119,900円(税抜) | 159,700円(税抜) | 179,600円(税抜) | 244,400円(税抜) | 324,400円(税抜) | 268,800円(税抜) | 348,400円(税抜) |
外寸 | W1,240×D1,240×H1,912mm | W1,240×D1,240×H1,912mm | W1,740×D1,740×H1,940mm | W1,590×D1,590×H1,940mm | ||||
内寸 | W1,100×D1,100×H1,900mm | W1,050×D1,050×H1,900mm | W1,600×D1,600×H1,890mm | W1,450×D1,450×H1,890mm | ||||
ドアタイプ | マジックテープ式 | マグネット式 |
一番小さいサイズのOTODASU Ⅱには、OTODASUⅡ Lightという名前で本体のみまたはファンあり。また吸音材あり、吸音材とファンありの4つが存在していたりと、用途によっていろいろとカスタマイズができるようになっていますね。表には載せていませんが、Gが付くモデルは、カラーがブラックとなっています。サイズの目安として、OTODASUを展開しているCoolish Music株式会社 代表の角村 周一さんにお話を伺ったところ、
「アコギの演奏や中で1人で歌うような環境であれば、OTODASU Ⅱでも十分だと思いますよ。一方でDTMなど、机を入れたり、機材を入れたりするのであれば、中サイズのOTODASU DX145や大きいサイズのOTODAS DEKAとなりますね。これであれば、88鍵の電子ピアノも設置することができますよ」とのことでした。
一番小さいサイズのOTODASU Ⅱの本体のみの場合は、99,900円(税別)。フルカスタマイズとして、一番大きいサイズのOTODASUⅡ DX145の吸音材ありであれば、348,400円(税抜)。価格差でいうと25万円あるのですが、それでもほかの防音室と比べると、お手頃価格であることは間違いないですね。なお小さいモデルは1人でも組み立てることができますが、推奨は2人。専用のロックパーツが付属しているので、これを取り付けて組み立てる方式となっています。
ちなみに、OTODASUに使われている素材は厚さ9mmのプラスチック製の板。低価格の防音室でいうと、ほかにも、だんぼっちという製品がありますが、これと比較してOTODASUにはどんなメリットがあるか伺ってみました。
「遮音性の部分では、体験したことがないので、なんともいえないですが、それぞれの製品で、いいところ、悪いところがあると思います。1つ、いえるとしたら、だんぼっちは素材が段ボールなので、湿気を吸いやすいだろうなと感じました。そこで経年劣化が出てくると。一方、OTODASUはプラスチックなので、経年劣化はあまりありません。建設現場でも使用されるものと同じ素材なので、外に置いても大丈夫ですし、雨に打たれても全然平気です。雨漏りについては別の話としてですよ。野ざらしで使われるようなものなので、引っ越しの手軽さも合わせて、長くご愛用いただけます」とのこと。
■独自開発の吸音遮音材
またOTODASUに使われている遮音材・吸音材は、独自開発のものとなっており、吸音遮音材を設置した性能は東京都立産業技術研究センターという、しっかりとした機関で性能チェック済み。どのサイズのモデルでも、-25〜-30dBの性能を出しており、約半分に音の大きさを軽減することが可能です。もちろん、この性能は周波数によって異なり、OTODASUの場合は500Hz以上、1kHz付近で一番減衰するように作られています。なお、吸音材を設置していないモデルも販売されていますが、もちろん本体のみだと、遮音性は下がります。低音域をカットする防音室を作ることも技術的には可能だそうですが、その分コストが上がってしまうため、OTODASUは人の声に近いところにフォーカスして作られているというわけですね。
吸音材はカラー展開に合わせて、ホワイトとブラック2色用意されており、吸音材の素材は白がPET材、黒がフェルト系で、どちらも吸音の性能にほぼ違いはないとのこと。また床に、市販の防振マットなどを敷くことで、ピアノのペダルといった、直接的な振動を防ぐことができますね。
吸音材の定番というと、ウレタン系の表面がデコボコしたものをよく見かけますが、独特なニオイがするんですよね。ユーザーからの要望もあって、開発者の方もいろいろと実験したそうなのですが、ウレタン系は天日干しでニオイを軽減させることができるものの、常にニオイが出続けるので、OTODASUでは非採用となっています。実際に私もOTODASUの中に入りましたが、そういった嫌なニオイは感じることなく、長時間でも作業できるな、と感じました。
また自宅でスピーカーを鳴らすとなると、近隣への音漏れ以外にも、問題になるのが反響ですよね。キャリブレーションできるスピーカーがたくさん登場しているとはいえ、反響の多い場所では、いくらキャリブレーションしても音が改善しません。部屋の適切なところに吸音材を貼るという方法もありますが、賃貸の場合だと、なかなか難しいこともありますよね。一方、OTODASUであれば、この反響もコントロールしやすく、さらに「植物の葉の成長メカニズムを参考に、黄金角と黄金比を用いて数学的にデザイン。音響拡散体 オトノハとは!?」という記事で紹介した、調音パネルなどを設置すれば、なかなかいい空間が作れると思いましたね。
空調ファン、配線口なども完備
防音室は密閉空間のため、その性質上、室内に熱がこもりやすいですが、OTODASUには天井に空調ファンが搭載されているモデルが用意されています。搭載しているファンは4箇所。外気の冷気を吸うファンと、室内で温まった空気を外に排出するファンの2種類が設置されています。この天井のファン用の穴が空いていると、遮音性が低くなるのでは、と心配される方もいるかもしれませんが、実際に蓋をした場合と比べても1,2dB程度の誤差ともいえる差しかないので、ファンはできれば取り付けておきたいところです。
また、1箇所、配線用の穴が空いていて、ここからコンセントまで電源を伸ばしたり、ボーカルブースとして使う場合はケーブルを通すことができます。
また、天井や扉が半透明なのもポイントで、白いモデルであれば外部から光が入り、OTODASU内を明るくすることが可能。

天井や扉が半透明なので、防音室内も明るい
ドアはマジックテープ式とマグネット式があり、OTODASU Ⅱ DX145はマグネット式の扉、それ以外はマジックテープ式となっています。なお、これは見た目の違いで、マグネット式はアルミフレームが入っているので、強度が増しているものの、音には影響がないとのこと。
ちなみにOTODASUは直販サイト以外でも、島村楽器とビックカメラで一部モデルの取り扱いがあります。また直販では買えないモデルとして、島村楽器では奥行きが10cm大きいモデルと、幅と奥行きが10cmずつ拡張されたモデルが用意されており、ビックカメラでは小さいモデルで扉がマグネット式になったタイプが販売されています。
以上、OTODASUについて紹介しました。手頃な価格、しっかりとした遮音性能、そして設置の手軽さ。自宅にもう1つの作業部屋を求めている方に、OTODASUはぴったりの選択肢かもしれません。また渋谷にあるショールームへは、来場予約をすれば訪問可能なので、ぜひ気になっている方は実際に体験してみてはいかがでしょうか?
【関連情報】
OTODASU製品ページ
コメント