みなさんもよくご存知のとおり、昨今、音楽制作におけるAIの位置づけ、役割が急速に高まってきています。「そこまでできるのか!」、「そんなことまでして大丈夫なの!?」と驚くことが次々と登場しているのが実情です。もちろん一言でAIといっても、いろいろなアプローチがあるわけですが、中でも注目を集めているのがSunoやUdioに代表される自動作曲を行う生成AIです。一方で、AIによる音源分離技術もどんどん精度を上げてきており、2ミックスの楽曲をボーカル、ドラム、ベース、ギター、ピアノ……とステム分解する技術もだんだん標準的なものになりつつあります。
そうした中、生成AIと音源分離のAIの両方をうまく組み合わせ、DTMの新たな世界を築き上げたツールとして話題になっているのがイギリスのメーカー、Hit’n’MixのRipX DAW ProおよびRipX DAWです。Hit’n’Mixの製品についてはは以前にもDTMステーションで何度か取り上げたことがありましたが、これは2ミックスのサウンドをステム分解するだけでなく、それをピアノロールのように分解してピアノロール化して、エディットまでできてしまうという夢のツール。それが最近さらに進化して精度を上げるとともに、SunoやUdioなどと連携できるようになったのです。つまり、AIに自動で完成度の高い楽曲を作成させた後、それをステム分解、さらにはMIDIデータとして取り出すことができるため、Sunoなどが作った楽曲をまさに自分の楽曲として自由自在にアレンジできてしまうのです。倫理的に見て、こんなことができてしまって大丈夫なのか……という怖さもありますが、実際どんなものなのか紹介してみましょう。

Hit’n’MixのRipX DAWがSuno、Udioと有機的に連携するようになった
完成度の高い楽曲をAIで作り出す、SunoやUdio
今回の本題であるHit’n’MixのRipX DAW ProおよびRipX DAWの話の前に、昨今大きな話題になっている音楽系の生成AIであるSunoやUdioについて簡単に触れておきたいと思います。

AI自動作曲で世界中の注目を集めるSuno
読者の皆さんの中でもSunoやUdioを使ってみたいという方は少なくないと思います。私がSunoを最初に知って衝撃を受けたのは2023年末だったので、そこから1年半弱が経過したわけですが、その後もどんどんと進化をしているようです。
もし、ご存知ないという方がいらっしゃったら、ぜひ以下のリンク
にアクセスしてみてください。トップページには数多くの楽曲が並んでいて、すぐに聴くことができるようになっていますが、いずれも簡単なプロンプトを与えただけでAIが自動で作り上げた楽曲です。

UdioもSunoと同様、簡単にプロレベルの楽曲を生成できる
これだけのクオリディーの曲がそんなに簡単にできてしまっていいのかと、今も驚くし、やはりAIによる革命が起きているんだな…と感じてしまいます。ここでSunoやUdioの使い方を解説するつもりはありませんが、誰でも簡単に使うことが可能で、とりあえずは無料で使うことができるというのもスゴイところです。
日本語で歌わせることも可能であり、もはやプロクオリティーの楽曲をAIが作り出すようになったといって過言ではないと思います。
SunoやUdioにおける問題点、課題点
では、AI作曲ができるようになったらすべてOKかというと、いろいろな問題点、課題点があるのも事実です。見る方向によって、その問題や課題も変わってくるのですが、まず楽曲を作るほうから見てみると、細かな調整、ツメがしにくいという点があります。
プロンプトを与えると、すぐにステレオの2ミックスされたデータが出来上がってくるのですが、音楽制作に携わってきた方であればあるほど、「ちょっとこのコード進行変えたい」、「ベースフレーズがいまいちなので、少し修正したい」、「キーボードの音色気に入らないから、変更したい」、「ドラムのリズムパターン少し変えられないの」……などなど、気になる点がいっぱい出てくると思います。

Sunoで楽曲生成できたらオーディオファイルとしてダウンロードをする
でも、現在のSunoやUdioだと、改めて別のプロンプトを与えて、曲をまったく別に作り直す形になるので、そう簡単にはいきません。そして、またでき上るのはステレオ2ミックスであるため、手元で修正するといったこともできないんです。
一方で、商業利用や著作権といったところにも、気になる点はいろいろあります。まずSunoやUdioを無料で使った場合に生成された楽曲にはいくつかの制限がかかるので、有料にすることで、自分の楽曲として自由に使うことは可能にはなります。

SunoやUdioはアメリカで著作権訴訟を受けているのも事実
でも、ご存知の方も多いと思いますが、SunoやUdioに対し、ユニバーサル、ワーナー、ソニーミュージックが著作権侵害を理由にアメリカで提訴をしているという問題も出てきています。これはSunoやUdioが数多くの楽曲を勝手に学習に使っている、という訴えであり、膨大な金額の賠償請求となっているようなのです。ということは、出来上がった曲は本当に安全なの?という点でもちょっと心配になってくるところではあります。
夢の耳コピツールとして登場したHit’n’Mixがさらに進化したRipX DAW ProとRipX DAW
さて、ここで本題のHit’n’Mixの最新ソフトウェア、RipX DAW ProおよびRipX DAWの登場です。冒頭でも少し紹介した通り、これはAIで音楽を解析する超強力なソフトです。DTMステーションの「常識を覆す魔法のオーディオ・エディタ、Hit’n’Mix Infinityの破壊力」という記事で紹介したのが5年前で、ちょうどコロナ禍に入り外出禁止令が出ていたころ。
その後、さらに大きく精度を向上させ、機能アップも図ってきており、現在の製品名は
RipX DAW
という上位版、下位版の2ラインナップとなっています。
基本的なコンセプトは5年前と大きく変わっておらず、まず2ミックスされた音源を読み込ませると、自動的に解析がスタートし、その結果、まずはボーカル、ベース、ドラム、キック、ピアノ、ギター……など複数のパートに分解してくれます。いわゆるAI音源分離というものですね。使っているコンピュータのCPU速度にもよりますが、3分の曲を3~5分程度かけて解析していく感じです。また、その分解した結果をステムデータとしてそれぞれ別パートのWAVファイルとして書き出すことも可能になっています。

RipX DAWは2ミックスの楽曲をパートごとに分解したうえで、ピアノロール化してくれる
そして分解された結果がピアノロールのような形で表示されます。この辺はMelodyneのような感じというと分かりやすいかもしれません。実際、そのピアノロール上での編集作業も可能なので、2ミックスされた楽曲なのに、ボーカルのメロディーをちょっと変更してしまう、なんてこともできてしまうのです。さらに、ピアノロール化した解析結果を元にMIDIデータとして書き出すこともできるのです。
ちなみにRipX DAW ProもRipX DAWも、こうした解析、分解においてはほぼ同機能となっていますが、RipX DAW Proの場合、
・アンピッチドオーディオのクリーンナップ
・ハーモニックエディターの有無
・Phythonカスタム
といった機能が追加されているので、こうした機能が必要であればRipX DAW Proを選択するのがよさそうですね。
RipX DAWがSunoやUdioと連携するようになり、問題点、課題点を解決!?
すでにお気づきかと思いますが、RipX DAW Pro/RipX DAWの機能があれば、SunoやUdioの問題点はいろいろ解決されそうです。実際、Hit’n’Mixもいち早くそうした可能性を見出したようで、最新のRipX DAW ProおよびRipX DAWには、Suno、Udioに加え、Stable AudioさらにはGoogleのMusicFXと連携する機能を備えています。

RipX DAWを起動し、Music Generatorボタンをクリックする
使い方はいたって簡単。Music Generatorボタンを押すと、ブラウザが起動し、Suno、Udio、Stable Audio、MusicFXの選択画面が表示されます。この中から使いたいサービスを選択すると、SunoやUdioなどが開くので、自分のアカウントでログインした上で、楽曲を生成し、できあがった曲をダウンロードするのです。

ブラウザが起動するので、使いたいAI生成ツールを選択
すると、ダウンロードした段階でRipX DAWが開き、そのダウンロードしたデータを解析する設定画面が現れるのです。

楽曲が生成されたらダウンロードすると、自動的にRipX DAWに戻る
ここで必要な指定をした上で、OKをすると、解析がはじまり、しばらく待てば、解析結果が表示されるのです。そう、2ミックスだけではどうにもエディットのしようがなかったSunoやUdioのデータをステムとして分解することができ、それをRipX DAW上でエディットすることもできるわけですから、いじることができない、というSunoやUdioの課題が大きくクリアされることになります。

しばらく待つと、RipX DAWがパートごとに分解し、ピアノロール化してくれる
さらに、それをMIDIにして、それで別の音源を鳴らす…とまでなれば、SunoやUdioが作り出した原型もほぼなくなるので、絶対とはいえないけれど、外部から何等かの指摘をされる可能性も大きく減るのではないでしょうか?
RipX DAWで分解したステムやMIDIをDAWに取り込んで再構築する
もう少し具体的にいうと、解析した結果を元にExportという機能を用いることで、WAVで書き出したり、MIDIで書き出すことが可能なので、それを改めてDAWに取り込むことで、自由自在に加工していくことが可能になります。

必要に応じてSTEMとしてオーディオを出力したり、MIDIファイルとして出力できる
たとえばボーカルにおいてはSynthesizer VやVOCALOIDなどに置き換えてしまうのも手ですし、もちろん生の歌声をDAWでレコーディングしていく、というのもありだと思います。

RipX DAWでできあがったSTEMのオーディオやMIDIファイルをDAWに取り込めば自由に編集できる
さらに、ピアノ、ベース、ギター、ドラムなどは音源を差し替えてしまうのもいいと思いますし、ステム書き出ししたオーディオとミックスする形でも、だいぶ雰囲気を変えていくことは可能です。
ここから先はアイディア次第というところだと思いますが、SunoやUdioのアイディアを少し利用しつつ、自分の創造性を大きく発揮していく、ことが可能になると思います。価格も手ごろですし、もちろんSunoやUdioのためだけでなく、さまざまなシーンで活用できるソフトなので、持っておいて損はないと思います。
4月24日~5月12日までセール展開中
そのHit’n’MixのRipX DAW ProおよびRipX DAWが2025年4月24日~5月12日まで、日本国内限定のセールを実施中です。実は少し前までワールドワイドで25%オフというセールを行っていたのですが、この日本国内限定のセールでは、さらに高い割引率となる30%オフ。
具体的には
RipX DAW 16,800円 ⇒ 10,890円
という形です。せっかくのチャンスなので、ぜひこのタイミングで入手してみてはいかがでしょうか?
【関連情報】
Hit’n’Mix RipX DAW Pro製品情報
Hit’n’Mix RipX DAW製品情報
【価格チェック&購入】
◎ハイ・リゾリューション ⇒ RipX DAW Pro , RipX DAW
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