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あのMaselec MEA-2、MLA-4を最大誤差0.018dBの超高精度で再現。TC ElectronicのSystem 6000をエミュレートするREV6000も誕生。Relabが3製品をリリース

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デンマークのプラグインメーカーRelab Developmentから3つの新製品、Maselec MEA-2Maselec MLA-4REV6000が4月2日に発売されました。Relab Developmentは、Bricasti、SSL、IK Multimedia、Kush など、多くのトップメーカーと契約を結ぶ、最高峰の技術力を持つメーカー。2006年から約20年間、伝説的なハードウェアの正確なデジタル化を行っており、今回発売された3製品も、そんなRelab Developmentの技術力が詰め込まれています。この3製品の元となったオリジナルのハードウェアはどれも名機と呼ばれる機材で、ハードウェアの価格はMaselec MEA-2が約170万円、Maselec MLA-4が約150万円、REV6000の元となったTC ElectronicのSystem 6000は中古でも約100万円する代物。

MEA-2およびMLA-4はMaselec公認でプラグイン化されており、Maselec社のWebサイトでもトップでも紹介されているのもユニークなところ。REV6000のほうはメーカー公認というわけではないようですが、いずれも36,850円で入手することが可能となったのです。しかも4月14日まで発売記念セールが実施されており、Maselec MEA-2とMaselec MLA-4は35%OFFの23,980円、REV6000は22,110円で入手できます。また以前DTMステーションで紹介した伝説のデジタルリバーブLexicon 480Lを完全再現した、LX480も通常64,350円のところ半額の32,175円で発売中。ちなみにMEA-2とMLA-4に関しては、メーカー名が出ているように実は本家のお墨付き。Maselecのページで紹介するほど高い精度で再現されており、実際に発生する最大誤差は0.018dBなんだとか。そんなRelab Developmentの新製品を試してみたので、紹介していきましょう。

日本でも発売されたReLabの3つの新製品、4月14日までセール実施中

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伝説的な機材を高い精度で完全再現するRelab Development

以前Relab Developmentが日本に上陸し、最初の製品発売になった際に「伝説のデジタルリバーブLexicon 480Lを完全再現!Relab Development LX480が日本上陸」という記事を書きましたが、現在Relab Developmentから発売されていて日本で取り扱っている製品は、今回登場した3製品を加えて、5製品となりました。なお LX480はEssentials版とDual-Engine Reverb版があるので、6製品が並んでいます。

現在日本で発売されているのは、LX480のEssentials版とDual-Engine Reverb版を含めると6製品

このメーカーは「究極のハードウェア・エミュレーションをソフトウェアプラグインで実現する」ことをモットーにデンマークで創業された企業。高度な機械学習技術を得意としており、複雑なオーディオ機器でさえ、正確にデジタル的に分解および再構築することができるのです。スーパーコンピューターで満たされた部屋を使用しており、何ヶ月にもわたって数値を計算し、すべてのランダムなニュアンスと独特の特徴を1対1のサンプル精度でモデル化。とにかく、アナログ機器を完璧にデジタル化することの技術が高い会社なわけですが、その技術は冒頭でもお伝えしたように、実はBricasti、SSL、IK Multimedia、Kush などのトップメーカーでも使用されています。

Relab Developmentの技術は、Bricasti、SSL、IK Multimedia、Kush などのトップメーカーでも使用されている

また、Relab DevelopmentのプラグインはFOX NETWORKS、WARNER BROS.、UNITED RECORDING、UBISOFT、SONY、SKYWALKER SOUND、PlayStation、PINEWOOD STUDIOS、NBC UNIVERSAL、musicube academyといった、企業などでも使用されており、音楽はもちろんのこと、世界的な映画、ゲームの制作でも利用されているプロも認める製品です。

Relab Developmentのプラグインはさまざまな企業で使用されている

誤差わずか0.003dBの高精度でプラグイン化したMaselec MEA-2

さて、ここからは今回発売されたMaselec MEA-2、Maselec MLA-4、REV6000について、それぞれ概要を紹介していきましょう。まずは、Maselec MEA-2から。これは、まさに元となったハードウェアとまったく同じ名前をしているのですが、本家のMaselec(マセレック)は、もともと伝説的なエンジニアLeif Mases(リーフ・メイス) によって設立されたブランド。ちなみにLeif Masesは、Led ZeppelinやABBA、Jeff Beckといった世界的アーティストのレコーディングやミキシングに携わってきたエンジニアで、その豊富な現場経験からプロ向けのオーディオ機器開発を行ってきたのです。

伝説的なエンジニアLeif Masesによって開発されたMaselec MEA-2をプラグインで完全再現

そんなMaselecの最初の自社製品となったのがPrism Soundと共同で1995年に開発したMEA-2。その実機ハードウェアは国内ではミックスウェーブが代理店として取り扱っており(現在、一時生産停止中)、実売価格は170万円程度の機材となっています。

デジタル録音技術の急速な普及に伴い、アナログ特有の自然な音質と精密でクリーンなEQカーブを両立できる機材が求められていた中登場しており、音楽制作のみならず、放送や映画など、プロの現場で使用されてきました。サウンド的には音の色付けが非常に少なく、素材本来のニュアンスを自然に引き出すことができる機材となっています。色付けが少ないと聞くと、それならデジタルのEQでいいじゃんとなりそうですが、MEA-2は以下のように独特なEQカーブを持っているんです。

赤線はMaselec MEA-2。青線は一般的なEQカーブ

このEQカーブは手作業で丹念に調整された独自の非対称Qカーブとなっており、これがMEA-2の魅力でもあるのです。またシェルビングも一般的なEQとは違った動きをしていて、通常より広範囲の周波数を滑らかに調整することで、不自然で唐突な音の変化を防ぎ、高域は耳障りな鋭さがなく繊細な輝きを保ち、低域は濁りなく深みのあるリッチな響きを生み出すのです。

赤線はMaselec MEA-2。青線は一般的なEQカーブ

ハードウェアEQの名機としてManley、GML、Pultec、Sontecなどと肩を並べる存在であるMEA-2。これをプラグイン化するために、Relab Developmentは高度な機械学習技術を活用。実際に完成したプラグインは、何千ものテストから約300万のデータポイントを収集し、プラグインとハードウェアとの差が限りなく少ないことが検証されています。

Band Frequency range Maximum error
Low band 1 1Hz – 50kHz 0.018dB
Low band 2 1Hz – 50kHz 0.015dB
High band 1 1Hz – 50kHz 0.003dB
High band 2 1Hz – 50kHz 0.005dB

平均すると、ハードウェアとプラグインの偏差は0.010dBで、もっとも大きな差で0.018 dB、最小の差はわずか0.003 dBという結果となっています。ハードウェア同士でも起こる、個体差レベルまで、完璧にエミュレートしているのが、Relab Developmentが開発したMaselec MEA-2というわけですね。

オリジナルハードウェアMaselec MEA-2

そんなMaselec MEA-2は、プラグインならではのハードウェアを超える機能も搭載しています。Mid/Side機能や特定の周波数を聴くためのSolo機能などなど。また、BALANCEとGAINという中央に新たな2つのツマミを追加するなど、現代の音楽にマッチしたアップデートが行われているのです。

ハードウェアを超えるプラグインならではの機能も搭載している

Led Zeppelin、ABBA、Jeff Beckを手掛けたLeif Masesが開発したMaselec MLA-4を完全再現

続いて、Maselec MLA-4。同じくMaselec社のMLA-4をエミュレートした製品なわけですが、もともとのMLA-4は2000年代初頭に登場した、MLA-3の改良版として設計されたマルチバンドコンプレッサ。Daft PunkのRandom Access Memoriesを手掛けたマスタリングスタジオThe Exchange Mastering StudiosでもMLA-4は使用されており、まさにスタジオ機材という存在なのです。こちらも実機はミックスウェーブが取り扱っており(こちらも現在一時生産停止中)、150万円前後となっています。

マスタリングスタジオでも使用されるMLA-4をプラグイン化

そんなMLA-4を完全再現したRelab DevelopmentのMaselec MLA-4は、透明感のある音質を保ちながら、帯域ごとにしっかりとダイナミクス処理を行うことができ、元のミックスの質感を損なうことなく自然な仕上がりにすることが可能。特にマスタリングやミックスバスでその力を発揮し、音楽的なダイナミクスを滑らかに整えることができます。ジャンルを問わずオールラウンドに活躍するプラグインとなっており、本物のアナログ機材を使ったような、プロの音を作り上げることができるのです。

オリジナルハードウェアMaselec MLA-4

このプラグインも、オリジナルのハードウェアにない機能を持ち合わせており、低域、中域、高域に独立したゲイン補正を行うオートスペクトラルバランス機能を搭載。ミックスバランスを自動で保ち、元のサウンドを残したままダイナミクスをコントロールできます。またバンドごとのTHDコントロールにより、低域に暖かみを加えたり、中域に豊かさを加えたり、高域を原音に戻したりすることが可能。バンド単位のソロや左右チャンネルごとのカット機能も搭載し、ロー/ミッド/ハイの各帯域に対して、コンプレッションやエキスパンションがどう作用しているかを明確に確認できたり、ステレオのバランスを微調整する際に、片チャンネルの影響だけを聴き取ることができるようになっています。

THDコントロールやソロ機能が追加されている

ハリウッドの定番リバーブREV6000

さて最後に紹介するREV6000は、TC ElectronicのSystem 6000をエミュレートしたプラグインとなっています。System 6000は、1999年に登場した製品で、2000年にはオリジナルのSystem 6000、2005年にはMastering 6000、2010年にはSystem 6000 MKIIでTEC アワードを3回受賞した、世界トップクラスのレコーディング、映画、ポスト、マスタリングスタジオ、放送制作スタジオで使用されたリバーブ。

TC ElectronicのSystem 6000をエミュレートしたプラグインREV6000

90年代後半にTC Electronicがプロフェッショナル向けの最高峰システムを作ろうとし、ハイエンドスタジオで使われていたLexicon 480LやEventide Orvilleなどと並ぶ、次のスタンダードを目指して開発が行われた機材。Lexiconとは音の方向性が異なり、480Lや960Lが音楽的に気持ちいいようにデフォルメされている一方、System 6000は実際の空間の音の広がり方や反響の減衰を数式ベースでモデル化することによりリアルさを追求しています。System 6000はステレオだけでなく5.1chや7.1chにも対応できる設計思想だったことからも分かるように、映画や放送での使用を見越しており、リアルな響きが重視されています。

オリジナルハードウェアTC ElectronicのSystem 6000

そんなハリウッド映画でも定番とされた伝説的なリバーブであるSystem 6000を世界最高レベルで正確に再現したのがREV6000であり、このプラグインにはオリジナルにも採用されていた30年以上にわたる手作業の調整により完成した高度なレイトレーシングアルゴリズム(音波の反射や減衰を物理的にシミュレートする手法)が継承されています。通常のリバーブとまた違ったナチュラルという言葉だけでは言い表せない、独特の魅力を持ったリバーブとなっているのです。

上がオリジナルのSystem 6000の波形、下がREV6000の波形

上の波形は比較的小規模な空間設定においてオリジナルのSystem 6000とReLabのREV6000を比較したものです。リバーブの場合、音が反響を重ね合わせるので、音が拡散してボケてしまいがちですが、目視で比較してもほぼ一致していることが分かると思います。

ちなみにTC Electronicはデンマークの会社でMaselecはスウェーデンで始まった会社。Relab Developmentもデンマークなので、その北欧繋がりというで今回製品化が行われたのかもしれませんね。もっともMaselecはその後移転して現在はイギリスの会社、またTC Electronicは2015年にBehringerを筆頭とするMusic Tribeに買収されているので、状況は変わっているようですが……。

4月14日までスプリングセール 2025を開催中

冒頭でもお伝えしましたが、4月14日までRelab Developmentの4製品がセールを実施中です。価格は以下の通りとなっています。

製品名 通常価格 セール価格 割引率
Maselec MEA-2 ¥36,850 ¥23,980 35%
Maselec MLA-4 ¥36,850 ¥23,980 35%
REV6000 ¥36,850 ¥22,110 40%
LX480 Dual-Engine Reverb ¥64,350 ¥32,175 50%

以上、Maselec MEA-2、Maselec MLA-4、REV6000について紹介しました。世界中で今も使われていたりする100万円レベルのハードウェアを完全再現したプラグインをぜひ試してみてはいかがでしょうか?7日間の無料デモ版もあるので、まずはサウンドをチェックしてみてください。

【関連情報】
Maselec MEA-2製品情報
Maselec MLA-4製品情報
REV6000製品情報
Maselec MEA-2(ハードウェア)製品情報
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