電車の中や外出先などでちょっとDTMで音楽を作ってみたい……そんなときスマホで行う人も増えてきています。ただ、スマホだとどうしても画面が小さいため、打ち込みなど細かな操作がしづらいのも事実。やはり手軽に持ち歩けるタブレットがあったら……という人も少なくないと思います。DTM用途でいうと、これまでiPadが圧倒的に強かったのも事実ですが、最近Androidも性能が大きく向上するとともに、DAWやシンセなどアプリも増えてきたことで、かなり快適に使えるようになってきています。
そうした中、先日Lenovoが発売したゲーミングタブレットなる小さなタブレット、Lenovo Legion Tab(8.8″,3)なるものを借りる機会があり、使ってみました。ゲーミングPCならぬゲーミングタブレットなんてものがあるのかと初めて知った次第ですが、Snapdragon 8 Gen 3搭載で、12GB LPDDR5メモリと256GB UFS 4.0ストレージを搭載するなど、非常にパワフルなAndroidマシンで、価格はLenovo公式サイトで79,860円。これならばDTM用としても結構使えるのではと試してみたところ、かなり快適に使えたのです。名前の通り8.8インチの画面で、約350gと非常に軽量。内蔵スピーカーはかなりいい音だし、USB Type-C端子が2つあるのでオーディオIFやMIDIキーボードと接続するのにも抜群なんです。実際どんなものなのか紹介してみましょう。
Snapdragon 8 Gen 3搭載の高性能Andoroidタブレット
Lenovoが出したゲーミングタブレット、Lenovo Legion Tab(8.8″,3)。Legion(レギオン)というのはLenovoのゲーミングマシンの名前であり、これまでいくつもの人気ゲーミングPCがあったわけですが、そのLegionの名前のAndroidタブレットとして登場したのが、このLenovo Legion Tab(8.8″,3)です。
重さ約350gで8.8インチディスプレイのコンパクトなマシンの中枢にはQualcommのSnapdragon 8 Gen 3というパワフルなプロセッサが搭載されています。これはCPUが8コア、Qualcomm独自のGPUであるAdreno750が12コア、さらにQualcomm独自のAIエンジンであるHEXAGON NPUを搭載したというもの。まさにゲーミングプロセッサとして、これが選ばれたわけで、Androidタブレット用に登場している数多くのゲームアプリを存分に楽しめる仕様となっています。
またRAM容量は12GBで、内部ストレージ容量は256GB。そして最大165Hzのハイリフレッシュレートに対応しているため、滑らかな画面表示が可能になっています。
実際に起動してみて、おっ!と驚くのがそのサウンド。ステレオスピーカーを搭載しており、結構バランスのとれたいい音が出るんです。そう、横持ち時の左右側面にスピーカーがあり、パワフルでいい音で鳴ってくれるます。ちなみに3.5mmのイヤホン/ヘッドホンジャックは非搭載。この点については賛否分かれそうですが、後述するとおり、USB-C端子にオーディオインターフェイスを接続することで、より高音質なサウンドで入出力可能であることを考えると下手なヘッドホン端子は不要かな、とも思うところです。
2つのUSB-C端子にオーディオインターフェイスやMIDIデバイスも接続可能
Lenovo Legion Tab(8.8″、3)のハードウェアにおいて、大きなポイントになるのがUSB-C端子が2つ搭載されているという点。それぞれで充電もできるし、各種周辺機器との接続も可能なわけですが、2つあるから片方で充電しながら、もう片方でオーディオインターフェイスやMIDIキーボードなどと接続して使えるという意味では、DTMでの活用という意味では大きな威力を発揮してくれます。たとえばライブで使用する、といったときでもこれなら安心ですね。
ちなみにUSB-Cの端子なのでUSB-C対応のオーディオインターフェイスであれば、そのままUSB-Cのケーブル1本で接続可能ですが、そうでないUSBデバイスの場合は間にOTGケーブルを噛ます、というのがポイント。これはLenovo Legion Tab(8.8″、3)に限らず、Androidスマホ、iPhone/iPadでも同様です。
実際に試してみて多くのUSBオーディオインターフェイスと接続が可能となっています。ただしこの端子からの電力供給力は弱いため、基本的にはバス電源供給ではなく、別途外部から電源供給して使う形になります。機材によっては外部からの電源供給なくても、Legion側から認識されることもあるのですが、やや不安定になることも多いので、やはり外部電源必須と考えるのがよさそうです。
一方、MIDIキーボードやドラムパッドなどOTGケーブルを介して接続できましたが、MIDIの場合、Bluetooth-MIDIにも対応しているので、モバイルでの利用であれば、Bluetooth-MIDIを使うのがお勧め。たとえばInstaChordやElefueなんかでも、そのまま接続することができました。レイテンシーに関しても、ほかのBluetooth-MIDIで使っているのとまったくそん色ない感じなので、Bluetooth-MIDIデバイスをお持ちの方であれば、ぜひ使ってみてください。
また以前「現時点、最強のBluetooth MIDIかも!? 各種BLE-MIDI機器と自動でペアリングしてくれるWIDI Masterがスゴイ!」という記事で紹介したWIDI Masterも使えたので、この辺もセットで活用すると便利だと思います。
CubasisやZenbeats、FL Studioも快適に動作
さて、以前はAndroidにおけるDAW環境ってあまりなく、まともなものとしてはFL Studioがあったくらいでしたが、現在はSteinbergのCubasis、RolandのZenbeatsなども登場し、かなり充実してきています。これらが、Lenovo Legion Tab(8.8″,3)で使えるのか試してみました。
まずはCubasisです。Cubasisについては「iOS、Androidで使えるCubasisが3.2に進化。Wavesプラグインがさらに充実し、ピッチ補正のTune Real-Timeも利用可能に!」という記事でも紹介していましたが、2025年3月現在でCubasis 3.7というバージョンになっていますが、まさにCubaseと非常に近いUI、機能を備えた完璧なDAWです。
実際、オーディオインターフェイスと接続してレコーディング/プレイバックができるのはもちろん、各種MIDI音源を立ち上げて打ち込みもでき、エフェクトについても使えるので完璧ですね。
同様にZenbeatsもiOSやWindows、Macと同様に動作してくれます。また、CubasisもZenbeatsもレイテンシーという点において、まったく気にならないレベルであり、非常にパワフルなDAWとして利用できることが確認できました。
一方、FL Studioは、やはり古くからあるアプリだからか、オーディオエンジンの最適化ができていないようで、CubasisやZenbeatsと比較すると若干のもたつきを感じます。これはほかのAndroidデバイスでも同様なので、そういうものと思って使う必要がありそうです。
なおAndroid全般の問題かもしれませんが、マルチ入出力を持つオーディオインターフェイスにおいても2in/2outという認識となってしまい、どのDAWでも同様でした。この辺については、またいずれ詳細をレポートしてみたいと思っています。
※2025.4.6追記
上記で、マルチ入出力ができないのはAndroid全般の問題では…と記載しましたが、AndroidのOSの問題ではなくアプリ側(CubasisやFL Studio、Zenbeats)の問題とのご指摘をいただきました。現時点、まだ試せていませんが、Audio Evolution Mobile StudioというDAWアプリを使うことで、マルチ入出力対応できるとのことです。
bs-16i、Synth FM、Synth Pro……シンセ類もレイテンシーなくバッチリ
では、個別のソフトシンセはどうでしょうか?これについてもいくつか試してみました。まずはいつも愛用しているbismarkさん開発のソフトシンセ、bs-16iから。これはSoundFontにも対応した音源で、MIDI周りが非常に扱いやすいので、チェックしてみたところ、やはりとっても優秀。レイテンシーをまったく感じることなく、使うことができ、本体内蔵のスピーカーで鳴らしても、オーディオインターフェイス経由で鳴らしても、とっても快適でした。
またGoogle Playを使ってシンセサイザで検索するといろいろなものがヒットするので、いくつか試してみたのですが、DX7互換という6オペレーターのFM音源、Synth FMもとっても優秀な音源として使うことができました。
また同じくFM音源のシンセとしてSynprezFMも使い勝手がよく、サウンドもいい感じの音源です。
さらにSonic Synth、Digitron、DRC、Synth Pro……などどれも使っても、とてもいい感じのものばかり。MIDIキーボード、オーディオインターフェイスとセットで利用すれば、そのままライブなどでも利用できるなど、使い道は豊富だと思います。
このLenovo Legion Tab(8.8″,3)は、プロセッサがパワフルであるため、DTM用途としてみても、非常に使えるAndroidタブレットであることが確認できました。
音質も抜群、ノイズキャンセリング機能も搭載のワイヤレスイヤホン、Lenovo TWS YOGA PC Editon
DTM用途というわけではないのですが、同じLenovoの音モノの機材ということで、TWS YOGA PC Editionというワイヤレスイヤホンも試してみました。深い青緑色のボディーで同じ色のケースに収めて充電できる仕様のもの。そのケース右にあるボタンを押すことで、Bluetoothペアリングできる形になっています。
TWS YOGA PC Editionとなっていますが、別にLenovoのYOGA専用とかPC専用というわけではなく、普通のBluetoothのワイヤレスイヤホンなので、iPhone/iPad、Macほか何でも接続可能です。Lenovoサイトの製品情報には記載はありませんでしたが、チェックしてみたところ対応CODECはSBCとAACとなっています。
実際音を聴いてみると低域から高域までしっかり音が出ていて音質的にはとてもいい感じです。また47gと軽量であり、フィット感もよくこれなら長時間装着していても気にならない印象でした。
イヤホンの側面のメタリックな部分がスイッチとなっていて、長押しするとノイズキャンセリングのオン/オフが可能。電車内などでも快適に利用可能です。またダブルタップで、再生/一時停止ができたり、左右両方を長押しすることで、マイクのミュート/ミュート解除も可能です。そう、これはヘッドセットとしても使えるので、幅広い活用ができそうです。
価格はLenovoの直販価格で11,920円(税込)と手ごろ、1つ持っておいて損のないイヤホンだと思います。
【関連情報】
Lenovo Legion Tab (8.8”, 3)製品情報
Lenovo TWS YOGA PC エディション(タイダルティール)製品情報
【価格チェック&購入】
◎Lenovo ⇒ Lenovo Legion Tab (8.8”, 3)
◎Lenovo ⇒ Lenovo TWS YOGA PC エディション(タイダルティール)
コメント
いつも楽しく拝読しております。
オーディオのマルチ入出力に関してはAndroidの制限ではなく、アプリ側の仕様の問題かと存じます。
マイナーですが「Audio Evolution」という老舗のAndroid用DAWがあり、こちらはオーディオインターフェースの機能通りマルチ入出力を行うことができます。
マルチ入出力が可能になるとライブ時の同期再生マシンとして実用できるようになるので、Cubasisが対応してくれればいいなと数年前から淡い期待をしていますがなかなかそうはなりませんね…。
さておき、AndroidにおけるDAW環境について取り上げてくれてありがとうございます。
これからも応援しております^^
神宮さん
こんにちは。ご指摘ありがとうございます。なるほど、アプリ側の問題だったんですね。Audio Evolution、だいぶ以前に使ったことがありましたが、すっかり忘れていました。
CubasisのiOS版がマルチ入出力に対応しているので、使えるものだとばかり思いこんでいました。記事に追記しておきます。