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【NAMMレポート10】NIのNKSがよりオープンな規格に。KORG、AKAI、Novation、Nektar、M-Audioの各機器がNKSに対応

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Native Instrumentsの規格であるNKS(Native Kontrol Standard)。NKSはソフトウェア音源やエフェクトとハードウェアを有機的に接続するプロトコルであり、Native Instrumnetsのソフトウェアに限らず、これまで250を超えるメーカー(ブランド)が2,000を超えるNKS対応ソフトウェアをリリースしてきました。これらNKS対応ソフトウェアをNIのKontrolキーボードやMaschineシステムなどNKS対応のハードウェアで使うことで、MIDI信号だけではできなかった、さまざまな情報を双方向でやりとりすることが可能になり、より便利に操作したり、直感的で分かりやすい操作、演奏が可能になります。

そのNKSも2023年にNKS2へとアップデートされ、より強力なものへと進化していましたが、今年1月のNAMM Showにおいて、驚くべき発表がされました。それは、これまでNative Instruments製品に限られていたNKS対応ハードウェアが、ほかのメーカーにも開放され、よりオープンな規格となる、という内容だったのですした。具体的にはKORGAKAI ProfessionalNovationNektarM-Audioとのパートナーシップが発表され、今後さまざまなNKS対応ハードウェアが出てくる、というのです。すでに2月20日にはKOMPLETE Kontrolの新バージョンがリリースされ、各社のハードウェアがNKS対応製品として使えるようになっているのです。これがどういうことなのか、その概要を紹介してみましょう。

AKAI、M-Audio、KORG、Nektar、Novationの製品がNKS対応することが発表された

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NAMMのプレスカンファレンスでNIが突如発表

実は、先日のNAMMへの取材の中で一番最初に飛び込んできたのが、このNKSに関するニュースでした。その意味では、まず最初にこのニュースを取り上げるべきではあったのですが、諸々の事情と、私のパワーの問題でずいぶんと遅くなってしまったことをお詫びします。また、その間に、さまざまなニュースサイトなどで、このNKSに関する報道がされるだろうから、DTMステーションで取り上げなくても大丈夫かな……と思っていのんびり構えていたものの、あまり報道されていない状況なので、今さらながら記事にしてみた次第です。

そう、NAMMのイベント自体は1月23日~25日の3日間だったのですが、その前日にさまざまなメーカーが一同に会してのプレスカンファレンスが行われ、そこになんとなく参加していたのです。実は、Rolandの新社長である蓑輪雅弘さんがプレゼンテーションをするということで、それを見に行ったというのが個人的な目的だったのですが、Fender、Gibson、YAMAHA、KORG……といったメーカーが10分程度ずつ、プレゼンテーションをしていく中、Native Instrumentsが登場し、どんな話なんだろう…と見ていました。

Native InstrumentsのCPO、Simon Crossさん

ここではNative InstrumentsのCPO(Chief Product Officer)であるSimon Crossさんが壇上に上がり、先日リリースされたKONTAKT8の話をするとともにTOOLS SDK、LEAP SDKなるものが、今日リリースされた、との発表をされていました。なるほど開発者向けのツールの発表か、ちょっとマニアックな情報だな……と思って見ていたのです。

まずは開発ツールであるTOOLS SDKおよびLEAP SDKが発表された

それに続いて、NKSに関する紹介が始まり「これまで250のブランドが、2,000以上のインストゥルメントやエフェクトを出してきた」という数字が出されたあと、驚くべくブランド名がNIロゴとともに表示されたのです。

NIに呼ばれてAKAIのトップが壇上に!

そう、記事冒頭にあげた写真のとおりで、AKAI Professional、M-Audio、KORG、Nektar、Novationの5つのブランドが、NKSのハードウェアパートナーであるとして、発表されたのです。「どういうこと!?」と思っていたら、Simonさんから紹介される形で、今度はAKAIのトップとういか、AKAIおよびM-Audioブランドを傘下に収めるinMusic BrandsのEVPおよびCCP(Chief Commercial Officer)であるJoe Richardsonさんが壇上に上がり、プレゼンテーションを始めたのです。

inMusic BrandsのEVPおよびCCPのJoe Richardsonさん

スライドを映しながら話を始めたのですが、AKAIのキーボードであるMPKシリーズがNKS対応するとともに、NIのプラグインと連携して動くようになるとの紹介があり、ちょっと衝撃を受けました。いままでNKS対応のプラグインはKontrol S-SeriesをはじめとするNIのキーボードを利用することで、簡単に音色プレビューができたり、各パラメーターを自動でノブに割り振ってコントロールできたり、アーティキュレーションスイッチに相当する鍵盤をLEDでガイドするなどのメリットがあることをNIはアピールしていました。が、そのNKSにおけるNIハードウェアのアドバンテージを他社に開放してしまう、というのは驚きです。

AKAIのキーボードがNKS対応となる

さらにMPCとNIのロゴが一緒に映し出されたものを見て、「えぇぇ!」と思ったのです。言い方、見方はいろいろあると思いますが、AKAIのMPCとNIのMaschineってバチバチにぶつかり合う競合なのに、そこが手を組むのか、と。

MPCがNative Instrumentsとタッグを組む!?

もっとも、ここで発表されたのはMPCのNKS対応ということではないようで、両社のコラボレーションでMPC ExpansionsとMPC Edition Play Seriesを5種類ずつ登場する、というもののようでした。

NIとAKAIが組む形でコラボ企画が実施される

「今回の拡張は、コラボレーションの大きな可能性を示すものです。ミュージシャンにオープンでつながりのあるプラットフォームを提供し、プロフェッショナル品質のツールやインストゥルメント、テクノロジーを、あらゆるクリエイターに向けてより身近にするという当社のミッションにおいて、大きなマイルストーンとなります」

とNIのSimonさんは話していましたが、NIは自社のハードウェアだけを前面に出して戦う手段から、競合を含めたハードウェアメーカーとも手を組んで、NKSの世界を広めていく戦略に打って出る、ということなんですかね…。

inMusicのブースでも、KORGブースでもNKSに関する展示が

その後、NAMM会場でのinMusicのブースにいくと、AKAIとNIのロゴが並んだ大々的な展示がされていました。そして、なんと完全に敵のはずのKontrol S-Series MK3がM-Audioのオーディオインターフェイスと並んで置かれていたんです。

NAMM会場におけるinMusicのブースにNIやNKSのロゴが…

もちろんNAMMは世界中の楽器メーカーが集まる祭典ではあるけれど、この展示もビックりですよね。

inMusicブースで展示されていたKontrol S-Series MK3

一方でKORGのブースについては、先日「【NAMMレポート5】miniKORG 700Sのフィルター搭載オーディオIFも参考出品! NAMM 2025で数々の新製品をお披露目したKORGブース」という記事で紹介しましたが、この記事で触れていなかったのがNKSに関連する部分です。実は、ここにはKORG Keystageが展示されており、これがNKS対応することが発表されていました。そう、KOMPLETE KONTROLのβ版上でMASSIVE Xが動いており、これをKeystageからコントロールできるようになっていたのです。

NAMMのKORGブースではKeystageがNKS対応して動作している様子を展示していた

このKeystageについては以前「世界初、MIDI2.0プロパティエクスチェンジ対応の最先端キーボード、KORG Keystage誕生」という記事で紹介したこともありましたが、これはMIDI2.0のプロパティエクスチェンジに対応したキーボードです。このNKSとMIDI2.0プロパティエクスチェンジはかなり似た性格を持つプロトコルですが、だからこそ、両方に対応させた、ということなのかもしれません。

2月20日にKOMPLETE Kontrol 3.4.0がリリース

とはいえ、各社の製品がNKS対応するには、まだまだ開発に時間がかかるのだろう、と思っていました。NAMMではパートナーシップの発表をしただけで、実際に使えるのはかなり先の話だろう、と。

Native Accessを見ると、すでに2月20日に各メーカーの機器をNKS接続可能にするKOMPKETE Kontrol Ver3.4.0がリリースされていた

ところが、前述の5ブランドのメーカー、全36製品が、この3月にはすでに使えるようになっていました。NKS対応するのだから、各製品ともファームウェアアップデートが必要なんだろう……と思いこんでいましたが、そうではありませんでした。

最新のKOMPKETE Kontrol

そうNative InstrumentsのソフトであるKOMPLETE Kontrolが2月20日に3.4.0というバージョンにアップデートされ、これをインストールすることで、各種製品がNKS対応製品として変身するのです。具体的な対応機器としては以下の通りです。

AKAI Professional MPK Mini MK3
MPK Mini Play
MPK Mini Plus
MPK249
MPK261
KORG Keystage 49
Keystage 61
M-Audio Hammer 88 Pro
Oxygen 25 MKV
Oxygen 49 MKV
Oxygen 61 MKV
Oxygen Pro 25
Oxygen Pro 49
Oxygen Pro 61
Oxygen Pro Mini
Nektar Impact LX25mk3
Impact LX49mk3
Impact LX61mk3
Novation 49SL MKIII
61SL MKIII
FL key 37
FL key 49
FL key 61
FL key mini
Launchkey 25 MK3
Launchkey 25 MK4
Launchkey 37 MK3
Launchkey 37 MK4
Launchkey 49 MK3
Launchkey 49 MK4
Launchkey 61 MK3
Launchkey 61 MK4
Launchkey 88 MK3
Launchkey Mini 25 MK4
Launchkey Mini 37 MK4
Launchkey Mini MK3

何ができるのかは、当然、機器によって異なるのですが、基本的にはノブやパッドがKOMPLETE Kontrol用にマッピングされる形ですね。

KOMPKETE Kontrol Ver3.4.0にはさまざまなキーボードを設定する画面が用意されていた

現時点においてはやはりNIのKontrol S-Series MK3ほどの機能を持ったものはありませんが、今後各社がどこまでのものを出してくるのかは楽しみなところです。

KOMPLETE 15 Selectが各NKS対応製品にバンドル

一方で、このNKSハードウェアパートナー・プログラムの一環として、Novation、Nektar、KORG、M-AudioのNKS対応ハードウェアを持っているユーザーには、Native InstrumentsのKomplete 15 Selectが無償提供されます。クリエイターは下記3つのエディションから、自身のワークフローに合ったものを選択可能です。

Beats Edition: ポップ、ヒップホップ、R&Bに最適なシンセやサウンドパック
Band Edition: ギター、キーボード、スタジオエフェクトを揃え、ソングライターやライブパフォーマーに最適
Electronic Edition: ハウス、テクノ、トランスなどのプロデューサー向けに高度なシンセやツールを収録

またAKAI ProfessionalのMPKシリーズを購入したユーザーには、Komplete 15 Select が付属します。こちらのバンドルには、Native InstrumentsのMassive XやBattery 4、iZotopeのNectar 4 ElementsやOzone Elementsなどが含まれているとのことです。

このKOMPETE 15 Selectがもらえるというのが、これから新たに製品を買う人だけが対象なのか、すでに持っている人も対象なのか、完全には把握できてませんが、たとえばAKAI製品であれば、以前に購入してユーザー登録した人でももらえるようですね。対象製品を持っている方はぜひ、メーカーの情報をチェックしてみてください。

今後、NKSに関して新しい情報などあれば、発信していきたいと思っています。

【関連情報】
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