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【NAMMレポート9】RHODES初の公式ソフト音源RHODES V8が日本で発売開始に!

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RHODES MUSIC初のソフトウェア音源RHODES V8が日本で発売されました。これはRHODESのフラッグシップモデルMK8から直接サンプリングした30,000以上のサンプルを収録し、本家本元が開発を行った、まさに本物の音を再現する音源。元となったRHODES MK8の価格は9,450ドル、現在のレートで約150万円という代物。それが、上位モデルのRHODES V8 PROで43,681円(税込)、通常モデルRHODES V8で26,213円(税込)で販売されているのです(価格は日々の為替レートで変わります)。

RHODESといえば、エレピサウンドを代表するメーカーであり、いろいろなメーカーが物理モデリング音源を出したり、サンプリング音源を出してきました。そんな中登場したRHODES V8は、RHODES自体がリリースしている音源であり、精度が高く、ハードを完全に再現しているというもの。先日のNAMM Showで、そのRHODES MUSICのCEO、Matt Pellingマット・ペリング)さんにお話しを伺った一方、実際にRHODES V8をインストールして試してみたので、改めてRHODESの歴史を振り返りつつ紹介していきましょう。

RHODES MK8を本家が完全再現したソフト音源RHODES V8

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RHODESピアノの歴史

ローズピアノの原型が誕生したのは1942年。20歳にしてピアノ教室を全米各地でチェーン展開していたハロルド・ローズ(Harold Rhodes)氏が、手軽に弾くことのできるラップピアノ(ザイレット)を開発したことから始まりました。当時ハロルド・ローズは、アメリカ陸軍航空隊に配属され、負傷した軍人たちに治療の一環としてピアノのレッスンと娯楽を提供していました。その際グランドピアノではなく、持ち運びが可能であり、実用的なピアノを開発する必要があり、B-17爆撃機の余ったアルミ管を使って、29音の木琴のような楽器を作り上げました。このローズピアノの原型とも呼べるザイレットは、125,000台以上製造され、戦後この成功を元にローズピアノ(Rhodes Piano)社を設立したのです。

1946年には、ザイレットの進化形を開発。これがローズ初の電動ピアノとなっており、アンプを内蔵し、38鍵のキーボード、木製トップという仕様のローズプレピアノを製作。その後、1959年にフェンダーと提携し、FENDER RHODES ピアノベースの製造を開始しました。FENDERは、1965年にCBSによって買収されるのですが、同じ年にFENDER RHODES MK Iがリリースされ、ここからローズピアノが世界で使われだすようになりました。

1965年に誕生したFENDER RHODES MK I

1974年には、FENDER RHODES MK Iという名称から、RHODES MK Iという名称に変更され、1979年にはRHODES MK Ⅱが登場。その後、1983年当時CBSの社長だったウィリアム・シュルツ(William Schultz)氏がRHODESを買収し、RHODESのCBS時代が終了するのです。この1965年から1984年まで続いたCBS時代には、ローズピアノは25万台ほど製造されたと推定されており、この時代を象徴するサウンドとなったのです。

1965年にRHODES MK I(FENDER RHODES MK I)が発売された

1987年には、日本のローランドがRHODESを買収し、RHODESのピアノ音を内蔵したキーボードを製造するようになります。しかし、創始者であるハロルド・ローズは1996年に脳卒中を起こし、1997年にローランドはハロルド・ローズの友人ジョセフ・ブランドステッター(Joe Brandstetter)氏の助けを借りてローズを返還。ハロルド・ローズが2000年に89歳で亡くなった後は、ジョセフ・ブランドステッター氏が後を引き継ぎ、2004年にRHODESの商標を取得し、RHODES MK7を開発します。その後、2021年Loopmasterの創設者でもある、マット・ペリング(Matt Pelling)氏が商標を取得するとともにRHODES MUSICを設立。そのRHODES MUSICが、最新モデルであるRHODES MK8を誕生させた……という歴史を持っているのです。

NAMM会場で会った、RHODES MUSICのCEO、マット・ペリングさんミニインタビュー

ーーマットさんがRHODESのCEOになった背景を少しお話いただけますか?
マット:それはいい質問ですね(笑)。本当に偶然のことからなんですよ。私はLoopmastersというサンプリングデータの会社を設立し、CEOとして今も務めています。そのLoopmastersで以前、RHODESのサウンドをサンプリングした、KING OF THE RHODESというサンプルパックをリリースしていたんです。これはプロデューサーAndy Leeによる、ネオソウル、ヒップホップ、ハウス、RnB、ジャングル、ディスコなどにフィットするものでした。ところが、このサンプルパックにRHORDSのロゴを使っていたことから、ある日、RHODESから連絡が来たんです。

NAMM会場でお会いした、RHODES MUSICのCEO、マット・ペリングさん

--どんな話だったんですか?
マット:これはRHODESが商標権を持っているものだから……、というもので、けんか腰というか、いったん製品の販売停止の直前までなったんです。そこで、一度、会いに行って、話をしてみると、ウチのビジネスなどに興味を持ってくれて、意気投合してしまい……。

--まさか、それでCEOに…とはならないですよね!?
マット:そこでは、よかったらRHODESの商標権などを丸ごと買わないか、と提案されたのです。世界中でRHODESの商標を使う権利ですね。かなりな金額ではありますが、ファンドなどとも相談をしてお金をかき集めて買ったというのが実際のところですね。

--ということはRHODESという会社そのものを買収したのではなく、RHODESの商標権を買った、ということなんですか?
マット:簡単にいえば、そういうことだね。実際、その時点でRHODESという会社自体は消滅してなくて、RHODESという商標権だけが残っていた状態だったんです。そこで、商標権を買うとともに、まったく新しい会社としてRHODES MUSICという会社を立ち上げた、というのがこの会社です。その後、いろいろな経緯もあって、RHODESの過去の資産を引き継ぐとともに、新たなテクノロジーを投入したRHODES MK8を開発、販売するとともに、ソフトウェア版であるRHODES V8もリリースしたのです。もともとソフトウェアが専門でもあるからRHODES V8を出すことは最初から考えていたわけです。

RHODES MUSICのCEOマット・ペリングさんとRHODES MK8

--海外での発表から少し遅れ、日本でも発売になったわけですよね。
マット:SONICWIREからすでに発売されましたが、これも当初から想定していたものです。というのも、SONICWIREを運営するクリプトン・フューチャー・メディアとは、Loopmastersにおいて、長い付き合いがあり、これまでもずっと一緒にビジネスをしてきたので、当然、RHODES MUSICの製品もSONICWIREを通じて日本でも出したいと思っていました。ぜひ多くの日本のユーザーにRHODES V8を使ってもらいたいですね。

--今後はどんな製品展開をしていくのですか?
マット:将来のことは、現時点ではまだ何も言えませんが、いろいろ出していくのでぜひ楽しみにしていてください。

RHODES MK8を音源化したRHODES V8

そんなRHODES MK8を音源化したのが、RHODES V8であり、冒頭にも書いたようにRHODES MK8から96kHz/24Bitで30,000以上のサンプルを収録しており、最大127のベロシティレイヤー、14のアーティキュレーション、メカニカルノイズを搭載し、本物を再現しているのです。

最新版のRHODESピアノRHODES MK8を本家がソフト音源化した

また、エフェクト部分を取り出したV-RACK(17,831円税込)、RHODESの特徴的なパンニングを取り出したV-PAN(5,346円税込)もリリースされています。

エフェクト部分を取り出したV-RACK、RHODESの特徴的なパンニングを取り出したV-PANも発売されている

前述の通り、RHODES V8はスタンダード版であるRHODES V8と上位モデルのRHODES V8 PROの2ラインナップで展開されています。違いとしては、プリセットの収録数やエフェクトの調整可能なパラメータ数、収録ウェーブフォームなどあるので、詳しくは製品ページ(https://sonicwire.com/product/C6160)を確認してみてください。より詳細にサウンドを作っていくのであればRHODES V8 PROですが、RHODES V8でもRHODESサウンドを十分に体感することが可能ですよ。

プリセットとフロントパネルを操作して、さまざまなサウンドを鳴らすことができる

さて、ここからはRHODES V8 PROを起動しながら、その機能を少し紹介していきましょう。RHODES V8 PROを起動すると、以下のような画面が表示されます。

最初の画面には、フロントパネルと鍵盤だけが表示されている

フロントパネルにあるPREAMPセクションにあるVOLUMEでは、プラグインの出力ゲインを単純に調整することが可能。ENVELOPEは、RHODES MK8用に設計された新機能となっており、EQのミッドバンド周波数を変調することができ、EQのミッドフリケンシを最小に設定して、ミッドのゲインを最大に上げ、このENVELOPEのツマミを操作することで独特なワウ感を得ることができます。DRIVEでは、アナログ感のある心地よい歪みから、かなりアグレッシブなサウンドまで作ることのできるようになっています。

PREAMPセクション

EQUALIZERセクションには、LOW、MID、HIGHのシンプルなEQが装備されており、LOWやHIGHを上げると存在感のあるサウンドを作ることができ、逆にカットすることで、オケに馴染むサウンドを作ることができるようになっています。

EQUALIZERセクション

VARI-PANでは、あのRHODESらしい独特な左右の揺れをコントロールすることができるようになっています。LFOの波形を使って、左右のチャンネル間の動きを変更することができ、古典的な左右を行ったり来たりする動きから、左から右へ移動して、また戻って来るといった動きまで設定することが可能です。

VARI-PANセクション

そして右側にあるFXセクションには、COMP、CHORUS、PHASER、DELAYが搭載されているので、これらを使って音色を作っていくことができるようになっています。

FXセクション

まずRHODES V8を使い始める際は、豊富な種類の中からプリセットを選択し、このフロントパネルで音作りをしていくだけでも十分。

豊富なプリセットも用意されている

RHODESピアノの内部を調整することも可能

なのですが、実はRHODES V8では、RHODESピアノの中身まで調整することが可能となっています。右上のタブにあるSETUPをクリックすると、LEVEL、DAMPER、FINE TUNE、TIMBREを調整することができるようになっているのです。

SETUP画面で、RHODESをチューンナップすることができる

ここを使いこなすのはなかなか難しいですが、PRESETの横にある、PROFILEには、この中身だけを変更するプリセットが並んでいるので、これを参考に自分だけのサウンドを作ってみるのも面白いかもしれないですね。

PROFILEからRHODESピアノのカスタマイズを選択できる

さらにDETAILでは、フロントパネルのさらに詳細なパラメータだったり、メカニカルノイズを加えたり、収録するマイクや出力するアンプを変更することが可能となっています。ここのAMP/CABには、RHODES MK1とMK2のスーツケースキャビネットも用意されており、MIC TYPEをコンデンサマイクにすればダークで、オーバードライブのエッジ感を感じれるサウンドに、ダイナミックマイクを選べばチープで味のあるサウンドを楽しむことができますよ。

DETAIL画面では、メカニカルノイズを調整したり、アンプやマイクを選択可能

以上、約150万円のエレピRHODES MK8をソフト音源で完全再現したRHODES V8を紹介しました。RHODES V8は、14日間無料で試すこともできるデモ版もあるので、ぜひ歴史あるRHODESピアノを試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
RHODES V8製品情報
RHODES V8 PRO製品情報
RHODES V-RACK製品情報
RHODES V-PAN製品情報
RHODES ANTHOLOGY製品情報

【価格チェック&購入】
◎SONICWIRE ⇒ RHODES V8
◎SONICWIRE ⇒ RHODES V8 PRO
◎SONICWIRE ⇒ RHODES V-RACK
◎SONICWIRE ⇒ RHODES V-PAN

コメント

  1. ローズといえば横倉裕 より:

    MK8の販売も期待したい。
    それとコンパクトデジピの様にスピーカー内蔵しデジタル音源やvst音源インストールできるバージョンが欲しい。

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