以前もDTMステーションで紹介したことがありましたが、また今年、JASRAC=一般社団法人日本音楽著作権協会による「音楽著作権とJASRACに関するアンケート」が実施されています。これは、JASRACのメンバーであるか否かに関わらず、作詞・作曲・編曲などを手掛ける音楽クリエイター全般に向けて行っているアンケート。クリエイター向けとしては今回が2回目の実施となり、ここでの意見を基にJASRACをよりよいものにしていくことが目的とのこと。
前回のアンケート結果も公開されており、また実際にあった意見についても、ちゃんとJASRAC側に届いているようでしたよ。音楽を制作している多くの人たち、DTMユーザーにとって、JASRACをより便利で使いやすい団体にするために、自分の思いをぶつけるチャンスともいえる、このアンケート。前回の記事では、広報担当者に話を聞きましたが、今回は乃木坂46の「気づいたら片想い」や「おひとりさま天国」の作曲などを手掛け、音楽プロダクション 株式会社ホバーボード 代表取締役でもあるAkira Sunsetさんに、このアンケートを見た率直な意見、クリエイターから見たJASRACの印象を伺ってきました。
前回の「音楽著作権とJASRACに関するアンケート」結果が公開された
以前「JASRACに自分の思いをぶつけるチャンス。『音楽著作権とJASRACに関するアンケート』実施中」という記事で、JASRACのアンケートを紹介しました。2023年9月4日から10月27日までの間に行われた「音楽著作権とJASRACに関するアンケート」の結果は、こちらからアクセスすることができます。
回答者数は、約2000人。すでにJASRACと直接著作権管理委託契約を締結している人の74%は、JASRACの印象が「とても良い印象」「まあ良い印象」と回答している一方、直接契約していない非メンバーは「とても良い印象」「まあ良い印象」と回答した比率が24%と大きな差があったりと、ちょっとアンケート結果をのぞいてみると面白いかもしれませんね。
ぜひ、前回アンケートに答えた方も、もちろん初めて回答するという方も、自分の音楽活動のために「音楽著作権とJASRACに関するアンケート」に、参加してみてはいかがでしょうか?
実施期間:1月21日〜2月28日
アンケート対象者:作詞・作曲などを手掛ける全ての音楽クリエイター
記名の有無:無記名
回答所要時間:約5分
アンケートの方式:ウェブ方式(※)
※下記URLからアクセスください
Akira Sunsetさんが話す、JASRACへの思いとAIがおりなす未来の音楽制作
数々のヒット曲を作る作詞・作曲家であるAkira Sunsetさん。JASRACの正会員でもあるAkiraさんはJASRACについてどのように見ていて、今後の音楽制作がどう変わっていくと考えているのか。JASRACのアンケート結果などを見ながら話を聞いてみました。
もっとJASRACのメリットを分かりやすくしてほしい
--今回、音楽著作権とJASRACに関するアンケートというものがスタートしますが、どう思いますか?
Akira:アンケートのことの前に言いたいことがありまして、まず根本的なことですが、JASRACに入るとどんなメリットがあるかというのを、もっと打ち出したほうがいいと思うんですよね。たくさんいろいろなサポートをしてくれていて、説明もしてくれてるんだと思うのですが、難しくて伝わってこないんですよ。若手のクリエイターもJASRACに入る意味あるの?と思っているので。海外で利用された場合もちゃんと管理してくれるとか、非営利団体だから利益はすべてクリエイターに還元されるとか、信託者であれば年会費が掛からないとか、もっとメリットを打ち出していってほしいと思いますね。それでいうと、アンケートに、「知っていますか?」という形で、JASRACに入ると得られるメリットが書かれている設問があるのは、かなりいいと思います。でも、ちょっとかたいですよね。
--以前「DTMerもJASRACに入れば、YouTube動画再生収益が増えるってホント?JASRACに行って聞いてみた」という記事を書いて、かなりのアクセスが来ましたが、そういった身近なトピックスがあるといいんですかね。
Akira:そうだと思います。海外で使用された楽曲が徴収されるようになるといってもイメージしづらいじゃないですか。それよりも、YouTubeで利用されたらどうなるのかがわかると、自分事にもなると思うので、スッと入ってくると思うんですよね。パッと分かりやすいキャッチフレーズが必要ですよ。YouTubeでバズった動画に自分の楽曲が使われていると結構入ってくるので、そういう話とか、ここのチャンネルで使われているということを伝えれば、分配されるみたいなこともあるわけじゃないですか。JASRACに問い合わせれば、知りたいことも全部教えてくれるし、普通にメリットだらけなので、そういった部分をギュッとして、打ち出していってほしいですね。
最前線で活躍するAkira Sunsetさんが予想するAIの未来
--そういったクリエイターの意見を言える場所が、今回のアンケートになっているみたいですよ。最後にアンケートにもありますが、AIについての興味はどうですか?
Akira:めちゃくちゃ興味ありますね。これからどうなっていくのだろうと思いますね。詳しく使っているわけではないですが、Suno AIとか、レベルが高くて、もう僕らクリエイターの仕事はいらなくなっちゃうんじゃないかという危機感を感じます。ちゃんとツールとして使っていく側になっていく必要はあると思います。すでに著作権の問題とか、いろいろあるとは思いますが、この流れは止められないですよね。
--すでにAIを業務で使われてたりしますか?
Akira:まだ実践投入はしていないですけど。YouTubeのバックで流す楽曲の発注とかを受けることがあるのですが、たぶんAIで作ってるところも多いんだろうなとは思ってます。ただ、AI楽曲を選ぶ作業、キュレーター的な仕事が生まれると思いますね。ちゃんといいものだよとか、整合性が取れているよとか、結構大事な気がするので。たとえば、中田ヤスタカさんが選曲したとなると、ちょっと信憑性あるじゃないですか。AIが作った曲が全部いいってわけではないので、曲を選ぶということが、ブランド化する時代になると思いますね。
--ありがとうございました。
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