映画、ゲーム音楽はもちろん、ポップス、エレクトロニカ……さまざまな楽曲で活用できる世界最大級の中国楽器コレクション、Encyclopedia of China

二胡中国琵琶馬頭琴古琴……、みなさんはどのくらいの中国の楽器についてご存じでしょうか?日本のDTMユーザーにとっては、あまり馴染みのない中国楽器ではありますが、非常に多くのバリエーションがあり、欧米・日本をルーツとする楽器とはまったく違ったサウンドを奏でることができます。こうした楽器は中国伝統の楽曲で利用できるのはもちろんですが、ギター、ベース、ドラム、シンセ…といったサウンドと組み合わせることで、非常に幅広いジャンルの楽曲で応用することが可能であり、ちょっと変わった雰囲気を取り入れたり、アクセントとして楽曲を引き立てることも可能です。

もちろん、こうした中国楽器を取り入れたライブラリもありますが、中国楽器専門のライブラリというのはあまりなかったように思います。そうした中、非常に充実したライブラリを出しているのが中国・北京にルーツを持つ音源メーカー、Sound Magicです。AI系など非常にユニークで強力な技術を持つメーカーとして、これまでもDTMステーションでとりあげてきたことがありましたが、今回は20年以上にわたってさまざまな中国の楽器をレコーディングし続け、1,000人以上のミュージシャンが参加して作られたという、中国楽器音源の集大成、Encyclopedia of China(中国百科事典)について紹介してみましょう。

映画、ゲーム音楽はもちろん、ポップス、エレクトロニカ……さまざまな楽曲で活用できる世界最大級の中国楽器コレクション、Encyclopedia of China

中国の伝統楽器、60種類以上を集めた中国楽器音源の決定版、Encyclopedia of China

60種類以上の中国楽器、23種類以上の中国楽器アンサンブルを収録

中国の伝統楽器を取り込んだインストゥルメントというとNative InstrumentsのEast AsiaやEastWestのQL RA、Spitfire AudioのORBIS……などいろいろあるにはありますが、これらはアジア、エスニックの音源の一つという位置づけで中国楽器を扱っているので、中国楽器専門、というわけではないのが実情です。

Encyclopedia of Chinaは中国伝統楽器ばかりを集めたプラグイン音源ライブラリ

そうした中、現在において世界最大級の中国楽器のライブラリを出しているのが、Sound Magicです。同社では、これまで20年間の歴史の中で、膨大な中国楽器を録り溜めてきたとのことで、中国楽器の種類としては60種類以上、そのアンサンブルとしては23種類以上を収録しており、7,316,200以上のサンプル、11.32TB(非圧縮において)という、途方もないほどのライブラリとなっています(インストールベースでは300GB弱)

まずはどんな雰囲気のサウンドなのか、以下のデモをちょっと聴いてみてください。

Sound Magic · Encyclopedia of China

結構いろいろなジャンルの曲が入っていますが、これは自分の楽曲に活用できるかも、とピンと来られた方も多いのではないでしょうか?もう少し詳細について見ていきましょう。

中国北京にルーツを持つハイテク音源メーカー、Sound Magic

Sound Magicに関してはこれまで「EQの常識を覆す画期的なイコライザ、AIが調整すべき周波数帯を自動で割り出してくれるNeo EQシリーズのスゴさ」、「AIエンジンでボーカルをいい具合にしてくれるEZVoxが誕生。EQ、ディエッサ、コンプ、ダブラー、リバーブなどを自動で調整」、「Bechstein D 282、Bösendorfer 290SE、Yamaha C7…、8種の最高峰ピアノを再現する1TB超のサンプリング音源、Neo Pianoの実力」……といった記事で紹介してきましたが、まさに最先端の技術を持つ、プラグインメーカーです。

Sound Magicは2007年に中国北京で小さな音源メーカーとして設立され、現在はカリフォルニア州アナハイムやロンドンなどにも支社を構えるメーカーへと進化しています。同社はNAMM SHOWにおいてプロフェッショナルなオーディオおよびサウンドプロダクション業界における技術的な卓越性と創造性を称える賞であるTEC AWARD(Technical Excellence and Creativity Award)において、2013年以降、ほぼ毎年のように受賞したりノミネートされている世界的にも実績のある会社。

Sound Magicは、ここ10年近くNAMMのTEC Awardで毎年ノミネートされたり受賞している

そして、Piano Oneというフリーウェアを出しているメーカーでもあるので、使っているという方も少なくないのではないでしょうか?そう、YamahaのグランドピアノC7をサンプリングした1GBの音源を無料でリリースしているので、それこそ使わないと損。同社としては、Sound Magicの実力を多くの人に知ってもらおうと、これを無料提供しているんですね。

中国楽器のライブラリ化に強い意志を持って取り組んできたSound Magic

そのSound MagicはAIを活用したユニークなエフェクトなどを出す一方、ピアノ音源、ギター音源、ベース音源、ドラム音源、さらにはブラス音源、弦楽器をはじめとするオーケストラ音源……とさまざまな音源をリリースしてきているのですが、やはり中国ルーツのメーカーだけに中国伝統楽器にはかなり力を割いてきたようです。

たとえば二胡や中胡、金胡、格胡など、胡琴楽器コレクションを集めたLegendary Hu、また中国のリュートともいえる中国琵琶を再現するLaurel Pipa、モンゴルの伝統的な擦弦楽器である馬頭琴を再現するMorin Khuur……などなど数多くの音源をリリースしてきています。

モンゴルの伝統的な擦弦楽器である馬頭琴

もちろん、単にこれらの音源を適当にサンプリングした…というわけではありません。楽器ごとに専門のプレイヤーが弾いた音を最高のスタジオ、機材でレコーディングしているとのこと。たとえば、中国琵琶の場合は北京の名門中国国立オーケストラの名手を招き、彼らの多彩な音をレコーディングスタジオで録音しているとのこと。

琵琶は北京の名門中国国立オーケストラの名手を招いてレコーディングしている

もちろん、打楽器系もいろいろ揃えていて、中国打楽器コレクションであるChina Percussionというものがあったり、編鐘という中国のゴングを再現するBianZhongなんかも面白いところ。そのBianZhongを紹介するビデオがあるので、見てみると面白いですよ。

Sound Magicの中国楽器をすべて揃えたEncyclopedia of China

一つ一つピックアップしていくとキリがないのですが、そのSound Magicの中国楽器のすべてをまとめた製品がEncyclopedia of Chinaという製品(通常価格は$1,999)。これは大きくは

China Impression
China Ensemble
Neo Orchestra CE

という3つの製品をセットにしたもの。Neo Orchestra CEはオーケストラ音源なので、直接中国楽器とは関係ないため、オマケということなのかもしれませんが、以前「手ごろな価格でフルオーケストラサウンドを実現できるSound MagicのNeo Orchestra CEの実力」という記事でも紹介した非常にパワフルな音源です。

ではChina Impressionは、というと、これは前述の中国楽器、60種類をセットにしたもので、それぞれソロ楽器として使うものとなっており、通常価格は$999.00というもの。$1=150円で計算すると約15万円なので、結構なお値段ではありますが、これで一通り全部揃うと思うと、かなり手ごろといえそうです。また現在ブラックフライデーに向けたセールがすでにスタートしており、$499.00と半額になっています。

60種類の中国楽器(ソロ楽器)の音源をライブラリ化したChina Impression

一方の、China Ensembleは大規模な中国の伝統的なオーケストラを表現するために設計された音源となっています。この中国の伝統的オーケストラはフル交響楽団と比較しても大きい規模のものだそうです、そのような大規模な中国オーケストラをサンプリングするのは、莫大な資金、時間、技術が必要となります。しかも楽器によって中国でも地域が異なり、それぞれに適した場所でのレコーディングが必要となるため、途方もないパワーが必要になるそうです。

このプロジェクトは12年の歳月をかけて何千人もの演奏者、何百もの録音セッション、膨大な費用をかけて作り上げたもの。6,310,000 を超えるサンプル、24 の楽器アンサンブル セクションが含まれています。そして、すべての楽器アンサンブル セクションは、マルチ ベロシティ レイヤー、ラウンドロビン サンプル、マルチマイク位置で録音されているなど、非常によくできた音源に仕上げています。このChina EnsembleもChaina Impressionと同様、通常価格は$999.00ですが、現在セールで$499.00となっています。

利用するのはSound Magicのプレイバックサンプラー、Neo Orchestara

このChina Impression、China Ensemble、Neo Orchestra CEそれぞれに共通するのはプラグインとして、Sound MagicのプレイバックサンプラーであるNeo Orchestaraを用いるという点。

Sound MagicのプライバックサンプラーであるNeo Orchestaraを用いる形になっている

Native InstrumentsでいうならばKONTAKT Player、UVIでいうならUVI Workstationに相当するものと考えるといいと思います。機能面でいうと、KONTAKTなどと比較すると、劣ってしまうし、UIの面でもやや寂しい面はありますが、音源として使う上で、特に困ることもなさそうです。機能が少ない分、シンプルで分かりやすいかもしれません。

実際、二胡の進化版であるNeo Erhuを読み込んだ際の使い方の紹介ビデオがあるので、これを見るとその雰囲気がわかると思います。

いずれもWindows、Macのスタンドアロンで使うことができるとともに、VST2、AudioUnitsの環境で利用することが可能です。現時点においてVST3、AAXに対応していないのが難点ではありますが、この辺は近いうちに対応してくれることを期待したいところです。

セール期間でありつつ、さらに20%オフで入手可能!

そんなSound Magicの中国楽器のコレクションですが、前述のとおり、現在セール期間となっているので、通常の30%~50%オフで購入することが可能です。もし特定の楽器のみほしいのであれば単品で購入することも可能ですが、セットのほうが、より割安で買えるようになっています。

手軽なセットでというのであれば、China Impressionの中から16種類の楽器だけをピックアップしたChina Impression Lite(通常価格は$399.00)といううものがあり、これに関しては、現在$169.00と58%オフになっているので、ちょっと試してみるのにはよさそうです。

さらに、DTMステーションの読者のみなさん向けにクーポンコードが用意されているので、これを使うことで、さらに20%オフにすることが可能です。

クーポンコード:DTM20%OFFSS

たとえば、全部入りであるEncyclopedia of Chinaの場合、通常価格が$1,999($1=150円換算で約30万円)が、現在セール中で$999(約15万円)となっているところ、さらに上記クーポンで$799.20(約12万円)とすることができます。またお手軽セットのChina Impression Liteであれば$134.20(約2万円)とすることができるので、またとないチャンスだと思います。ぜひ、この機会に入手してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
Encyclopedia of China製品情報
China Impression製品情報
China Ensemble製品情報
China Impression Lite製品情報
Sound Magicサイト