ギターが弾けなくても、知識がゼロでも、パワーコードを思い通りに弾けるギター音源、Rob PapenのPowerChord誕生。発売記念価格で9,020円

曲を制作する上でバッキングにディストーションの効いたパワフルなギターサウンドを入れたいというとき、みなさんはどうしていますか?ギタリストの方で機材が揃っていれば自分で弾いてしまうのが一番手っ取り早いとは思います。でも、そうではない場合、それに合いそうなサンプル素材を見つけてきて、トラックに並べていく……というケースが多いのではないでしょうか?でも、それだと思った通りのリズムではなかったり、音色がちょっと違っていたり……としっくりこないことが少なくないと思います。

そうした中、まったくギターが弾けない人、まったくギターに関する知識がない人でも、「ガガガガッガーガガガ…」といったカッコいいパワーコードサウンドを自由自在に作れてしまう超便利な音源がRob Papen(ロブ・パペン)からリリースされました。その名もずばり、PowerChordというもので、シンセとステップシーケンサによる簡単な操作で、思いうかべた通りのサウンドを簡単に作ることができるのです。このPowerChordは曲の制作用途での利用はもちろん、ライブでのパフォーマンスなどにも活用できる音源でもあります。価格は税込み11,000円で、発売記念のイントロ価格として現在9,040円。またRob Papenの全部入り製品であるeXplorer 9の中にも収録されているので、すでにRob Papen製品を持っている方なら、eXplorer 9へのアップグレードで割安に入手することも可能になっています。そのPowerChordがどんなものなのか実際に試してみたので、紹介してみましょう。

ギターのバッキングトラックを簡単に生成できるRob PapenのPowerChord

独特なシンセ音源が多いRob Papenとしては異色の普通に使えるギター音源

ソフトシンセメーカーとして著名なオランダのRob Papen。これまでも「異彩を放つシンセサイザの数々。シンセアニキ・江夏正晃さんが語る、Rob Papenの魅力」、「Rob Papenが全部入りセットeXplorer 8をリリース。Blue IIIと過激リバーブREVSANEも誕生」といった記事をはじめ、さまざまな記事で取り上げてきました。また以前に社長であるRob Papen氏が来日した先にはDTMステーションPlus!の番組に出演いただいたこともありました。

Rob Papen氏来日時にDTMステーションPlus!の番組に出演いただいたことも…

そんなRob Papen製品は、かなり独自色の強いシンセサイザが中心であり、シンセ好きな人が喜ぶ音源が多いのですが、中には普通に使える普通の音源?(誉め言葉)もあるんです。

Rob Papenの人気製品であるRG=Rhythem Guitar

その1つがRob Papenの人気製品として長い実績のあるRG。リズムギターに特化した音源でアコギやストラトキャスターのクリーンギターサウンドなど、気持ちよく使えるギター音源としてさまざまなユーザーが活用していました。そのRGの中にはもちろんディストーションサウンドのパワフルな音色もあったのですが、その歪みの効いたパワフルなサウンドの部分に特化するとともに、さらに機能・性能拡張して出したのが、今回リリースされたPowerChordなのです。

パワフルなギターサウンドを実現するPowerChord

まずは、Rob Papenが作成したPowerChordの4分ほどの紹介ビデオがあるので、その冒頭だけでもいいので、ちょっと御覧になってみてください。

いかがですか?シンセサウンドではなく、まさに普通に使えるギターのバッキングであることが分かりますよね。

まずは数多くのプリセットが用意されているので、これから選んでいけば、すぐにギターのバッキングトラックを作っていくことが可能です。プリセットを選び、指1本でMIDI鍵盤を弾けば、「ガーガッガッガッ、ガーガッ」といったパワーコードでの演奏ができるので、とっても簡単。このリズムはDAWのテンポと同期しているので、すでにある楽曲にギタートラックを追加するなら、指1本でベース音を弾いてリアルタイムレコーディングするだけでそれなりのものができてしまうで、とっても便利です。

A~Dの4つのステップシーケンサで、リズムギターのバリエーションを構築

とはいえ、プリセットを選んでいるだけだと、やはりサンプル素材と同様の問題が出てきてしまいます。プリセットで鳴るのは「ガーガッガッガーガッ」だけどホントは「ガーガーガッガッガッ」がいいんだ、といった場合です。サンプル素材の場合はあきらめて見つけたものを使うか、さらに別のものを探していくかでしょう。場合によっては、その素材をチョップして、求める形に作り直すという方法もあると思うけれど、結構面倒だし、キレイにはつながらない…なんてこともあるでしょう。

画面の下部にある32ステップのシーケンサ

でもPowerChordなら、そんな心配はなく、自由自在にパターンを組んでいくことが可能です。そのパターン作りを行うのが画面したの32ステップのシーケンサ。シーケンサといっても、ピアノロールで音程を打ち込んでいくわけではなくもっと全然簡単で、まさにドラムの打ち込みに近い感じです。

つまり「ガッガッガッガッ」という短い音ならSTROKE、「ガー」と長めに弾くならLONG STROKE、さらにはミュートしながら細かく「クックッ」といった弾き方ならGHOST STROKEを選べばいいだけだから、思い浮かんだパワーコードのリズムをそのまま打ち込めばOK。あとはMIDIキーボードを指1本で弾いていけばいいのです。

STROKE、LONG STROKE、GHOST STROKEを使ってパタンを組んでいく

その際ドを弾けばCのパワーコード、ミを弾けばEのパワーコードが設定したリズムにしたがって演奏されるわけです。もちろん、場合によっては基本はCだけど3番目の音はFにして、7つ目の音をGにしたい…なんてケースもあるでしょう。その場合、+5、+7のように設定することも可能です。

Bを選ぶことで、別のシーケンスを組むことができる

さらによくできているのは音色はそのままに4つのシーケンスパータンを切り替えながら使えるようになっている、という点です。PowerChordにはA~Dという4つのステップシーケンサがあるので、それぞれに好きなパターンを入力していけばいいのです。これの切り替えは、単純にオクターブとなっているんです。つまりC1~B1がシーケンサA、C2~B2がシーケンサB、C3~B3がシーケンサC、C4~B4がシーケンサDとなってるんですね。ちなみにC5~B5はシーケンサAに戻る感じですね。

シンセサイザ的に音を作りこんでいくことも可能

一方で、このPowerChordのギターサウンドの音作りのほうはどうなっているのでしょうか?そもそもサイト上での製品説明やマニュアルを見ても、PowerChordがどんな音源なのか記載が見つかりません。が、使ってみた感じだと、もともとパワーコードを弾きアンプを通したサウンドがサンプリングされており、これを元にフィルタ、EQ、そして各種エフェクトなどを通して加工しているようです。

MODELの選択肢として、ベースとなるギターサウンドを選ぶ

実際、MODELという選択肢があり、Solo、Grunge Stacks、PowerDrop Stacks、PowerChord Stacksのカテゴリ内に、さまざまなコードを録ったものを選べるようになっており、それぞれさまざまなアンプで鳴らしているようで、音の雰囲気が違います。

もちろん、そのサンプリングされた音をそのまま使うこともできるのですが、これを元にしてシンセっぽい音作りも可能になっています。まずFILTERのところにディストーションが用意されており、ここで種類を選ぶとともにDISTORTのパラメータを上げていくとガンガン歪んでいきます。

フィルター、エンベロープ、LFO、アンプなどで音を作りこんでいくことができる

そのうえで、フィルタ部分は、やはりさすがRob Papenという感じで、かなり強力というかマニアック。基本操作はFREQとQを動かすだけなのですが、フィルタの種類が膨大にあるのです。選択メニューを見てもわかる通り、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタがdBごとにいろいろあるほか、ボーカル、フォルマント、コムフィルタ、さらにはリングモジュレーター…などなど。使いようによっては、普通のギターサウンドとはかけ離れたシンセ的なサウンドにもなったりするので面白いですよ。

その右側にはENVと書かれたエンベロープジェネレータがあり、アタック、ディケイ、サステイン、リリース、そしてフェードとこちらもシンセサイザそのものな音作りが可能。このエンベロープジェネレータはアンプにかかっていくだけでなく、先ほどのフィルタ部分にあるENVを上げていくことで、フィルタの動作具合をコントロールすることも可能になっています。さらに右側にいくと、FILTER LFO、PITCH BEND、AMPとあり、シンセサイザ的な音作りをしていくことができるわけです。

5バンドEQと3系統のエフェクトを装備

こうしたシンセサイザ的な要素はあまり触らずに、普通にギターとしてエフェクトで音作りをしていくことも可能です。一つは先ほどのフィルターの中にあったディストーションですが、その下には5バンドのEQがあります。

5バンドのEQで音を調整していくことも可能

60Hz、200Hz、600Hz、2kHz、6kHzと周波数固定でのFixedモードと、周波数可変の完全なパラメトリックEQとなるParaモードのいずれかを選択でき、これを使うだけでもかなりサウンドを変化させられます。

3系統のエフェクトが装備されている

さらに、その右にはFX 1、FX 2、FX 3と3系統のエフェクトが直列に並んでおり、これらでギターサウンドを加工していくことが可能です。具体的には

Delay/Reverb
Chorus/Flanger/Phaser
Filter Effects
Distort Effect
Stereo/Gate Effect

と大きく5系統、計34種類のエフェクトがあり、作っていく音のバリエーションは非常に豊富。このDistort Effectの中にはアンプシミュレータも入っているので、さらに歪み系を調整したい、という人にとってもニーズは満たしてくれそうです。

モジュレーションマトリックスで、かなりマニアックな音作りも

もう一つ面白いのが画面の一番下に、横にスライドするリボンコントローラがあり、これによって音を変換させることが可能になっています。先ほどのビデオの中でもその様子が映し出されていましたが、操作のニュアンスとしては画面上で横方向に動かせるピッチベンダーのような感じで、マウスで横スライドさせた後、手を放すとバネによる力で中央部に戻っていきます。リボンコントローラの右にあるパラメータによって、バネの力を調整したりオフにして戻らないようにすることも可能です。

画面下部にあるリボンコントローラ

もっともリボンコントローラの目的はピッチを動かすというよりはモジュレーションホイールのように音色をコントロールするのがメイン。そのため、プリセット音色を見てみると、リボンコントローラはエフェクトのかかり具合やフィルターを調整したりするのに用いられています。

では、リボンコントローラが何のパラメータを動かすのかをどこで決めるのか、というと、それがEQ画面と切替で表示されるMOD MATRIX=モジュレーション・マトリックスです。この辺になると、まさにRob Papenの製品という感じではありますが、縦横無尽にパッチングできるようになっています。

MOD MATRIXで最大8つまでのパッチングができる

つまりモジュレーションをかける元(SOURCE)と先(DESTINATION)、それに量(AMT)を指定することが可能で、最大8つの設定ができるようになっているのです。そのSOURCEとしてribonを選び、DESTIONATIONに各エフェクトやフィルターなどを設定することで、リボンコントローラでのサウンド調整が可能になるわけです。もちろんリボンコントローラだけではなく、MIDI入力の各パラメータやもちろん、PowerChord内のLFOをはじめとしたパラメータを割り当てることも可能になっています。

こんな感じで自由に音作りも可能なRob PapenのPowerChord、ギターのバッキングトラックを作りたいというニーズに対しては非常に便利に使える音源だと思います。

Rob Papenの全部入りeXplorer 9を激安で入手する方法

PowerChordも含め、すべてのRob Papen製品、全30製品が収録されているeXplorer 9。せっかくならこれを入手するというのもいい機会だと思います。このeXplore 9、標準価格は税込み66,000円となっているので、躊躇してしまう人も少なくないと思います。しかし、すでに旧バージョンのeXplorerを持っている人ならバージョンアップ価格9,900円で入手できるほか、単体でのRob Papen製品を持っている方なら、その数に応じて以下のような価格で入手可能になっているのです。

通常価格
eXplorer 1~8ユーザー向けのバージョンアップ版 9,900円
Rob Papen製品いずれか4製品のユーザー向け 15,400円
Rob Papen製品いずれか3製品のユーザー向け 23、100円
Rob Papen製品いずれか2製品のユーザー向け 30,800円
Rob Papen製品いずれか1製品のユーザー向け 46,200円

そして実はエフェクト製品であるUniMagicやLOWSANEならそれぞれ3,300円で入手でき、DALSANEなら5,500円。つまりこれらを先に購入してからeXplorer 9を購入すると断然安く購入することが可能になっているのです。Rob Papen製品が気になっている方はぜひ、こうしわワザを使って安く購入してみてはいかがですか?

【関連情報】
PowerChord製品情報

【価格チェック&購入】
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◎Dirigenオンラインショップ ⇒ eXplorer 9