ゲーマー、配信者向けオーディオミキサー兼インターフェイスのコンパクトモデル、BRIDGE CAST ONEがRolandから登場

9月17日、RolandからBRIDGE CASTシリーズの新モデル、BRIDGE CAST ONE(税込実勢価格:27,500円)が発表されました。これはRolandが昨年発売したゲーマー向けに特化して開発されたゲーミングオーディオミキサー、BRIDGE CASTのコンパクト版で、標準モデルのBRIDGE CAST、ビデオ入力にも対応した上位版のBRIDGE CAST Xに続いて登場するシリーズ、3機種目のものとなります。従来の2機種と比較して圧倒的にコンパクトでありながら、機能面ではほぼ同等のものを持つとともに、USBバーチャルサラウンド機能の搭載、Game Limiter、Game EffectsのAUXへのアサイン機能を持つなど、さらに進化させたものとなっています。

これにより、一人でゲームをプレイする際の最高のオーディオ出力機器として利用できるのはもちろん、知人と音声チャットをしながらゲーム配信を行うといったことができたり、さらには非ライブでの動画配信で利用するのにも便利に設計されています。そしてUSBバーチャルサラウンドを利用することで音楽鑑賞や映画鑑賞用としても大きな威力を発揮する、というユニークで画期的な機能も搭載されました。実際そのBRIDGE CAST ONEとはどんな機材なのか、一足早く試すことができたので、紹介してみたいと思います。

RolandからBRIDGE CASTシリーズの新モデル、BRIDGE CAST ONEが登場

手のひらサイズのコンパクトなボディーのBRIDGE CAST ONE

RolandからBRIDGE CASTシリーズの新モデル、BRIDGE CAST ONEが発表されました。これはこれまであったBRIDGE CASTおよびBRIDGE CAST Xと同様、ゲーマー向け、配信者向けのゲーミングオーディオミキサーで非常にコンパクトなモデルとなっています。

左からBRDIGE CAST X、BRIDGE CAST ONE、BRIDGE CAST

「ゲーミングオーディオミキサーって何だ?」と不思議に思われる方も多いと思いますが、昨年BRIDGE CASTが誕生した際の記事「ゲーム実況で使うミキサーの完成形!?ゲーマー社員の熱意によって開発されたRoland BRIDGE CAST」をご覧いただくと、分かりやすいと思います。が簡単に言うと、ゲームをする際に非常にプレイしやすいサウンドで聴くことが可能なオーディオインターフェイスであるとともに、ネットを通じて友達と音声チャットをしながらゲームプレイをしたり、さらには配信していくのに最適化されたユニークな機材なのです。

BRIDGE CAST ONEのリアパネル。外部入力はマイクやAUXくらいしかないが…

ミキサーといってもこれ自体にはマイク入力とAUX入力があるくらいですが、BRIDGE CASTでの操作によって、マイク入力とともに、ゲーム音、音声チャット音、BGM、システム音、さらには効果音などコンピュータの出す各サウンドのバランスをここで調整できるようになっているのです。

非常にコンパクトなBRIDGE CAST ONE

そして、そのように調整した結果を手元のヘッドホン、スピーカーで鳴らすことができるだけでなく、OBSのような配信ソフトに送り出すことにより、そのままゲーム実況配信などができる、というのが大きな特徴です。もちろん、従来のオーディオインターフェイスでもループバック機能を持つものであれば、コンピュータの出す音を配信に乗せることは可能でしたが、こうしたバランス調整まで可能にし、ゲーム実況に特化した形で設計されているという点で、ほかにない優れた機材なんです。

ワンノブながらミキサーとしての操作性は抜群

でも「ミキサーなのに、ワンノブで大丈夫なの?」と心配される方もいるかもしれません。確かにBRIDGE CASTやBRIDGE CAST Xには4つのボリュームノブと複数のパラメータノブが用意されていましたが、BRIDGE CAST ONEには大きなノブ=ダイヤルが1つと、ヘッドホン用の音量調整ノブがあるのみです。

大きなダイヤルで各チャンネルの音量調整をしていく

しかし、これがよくできているんです。このダイヤルをプッシュするごとに、赤=MIC、緑=CHAT、青=GAMEと周りのLEDの色が変化するとともに、役割がそれぞれのボリュームに変わっていくので、簡単に調整ができるんです。

ダイヤルをプッシュするとダイヤルの周りのLEDの色が変化するとともにチャンネルが切り替わる

BRIDGE CASTおよびBRIDGE CAST XではMIC、CHAT、GAMEに加えてAUXがあったので、調整項目が1つ減ってはいるのですが、「主に調整するのはこの3つでOK!」という方なら、BRIDGE CAST ONEで事足りそうです。もっとも常に配信の視聴者を意識しながら、事細かに音量調整を行っていく、というのであれば4つノブのあるBRIDGE CASTやBRIDGE CAST Xのほうがよさそうですが、そこまでのきめ細かさを求めなければ、大きいダイヤルをプッシュして切り替えるBRIDGE CAST ONEでも一通りのことは可能です。

またこのダイヤルの特長的な操作方法として、バランスモードというのがあり、CHATとGAMEチャンネルの音量を1つのダイアルで調整できるようになっているのも、非常にユニークで便利です。これによりチャンネルを切り替える頻度が極端に減るため、ゲームに集中することができます。

ダイヤルの下にミュートボタンが並んでいる

またこのダイヤルの下にはMIC、CHAT、GAMEというボタンがあり、これを押すことで各チャンネルをミュートすることが可能になっています。

専用アプリで徹底的に使いこなすことが可能

が、実は内部的にはBRIDGE CAST ONEはBRIDGE CASTやBRIDGE CAST Xとほぼ同様になっていて、入力チャンネルとしてMIC、CHAT、GAMEに加え、AUXさらにはMUSIC、SYSTEM、SFXと計7チャンネルの入力を備えているのです。

BRIDGE CAST ONEを100%使うためのBRIDGE CASTアプリ

そして、専用アプリであるBRIDGE CASTアプリを使うことによって、これら7チャンネルをコントロールしていくことが可能になっています。そのうちの3チャンネルをBRIDGE CAST ONEのダイヤルやボタンで直接操作できるようになっているわけです。また、そのダイヤルをプッシュして切り替える3チャンネルを何に割り当てるかはユーザーが自由に設定することができるようになっています。また必要に応じて、その色も調整できるようになっています。

ダイヤルで切り替えるチャンネルは7種類の中から自由に設定可能

また、3つのミュートボタンはミュートするチャンネルを切り替えられるだけでなく、さまざまな機能を割り当てることが可能な、アサイナブルボタンとなっています。

ミュートボタンはミュート以外にもさまざまな機能を割り当てられる

たとえば、これをポン出し用に設定することで左のボタンを押すと「ピンポーン」と鳴り、中のボタンを押すと「ブブー」と鳴る、なんて設定も可能。ほかにも後で紹介するエフェクトを割り当てたり、出力側のミュート機能を割り当てるなど、ユーザーの使い方に応じて、さまざまな設定ができるようになっているのです。

32bit処理のDSPで高品質なオーディオ処理を実現

では、さらにこのBRIDGE CASTアプリを使いながら、BRIDGE CAST ONEの内部を見ていきましょう。

このBRIDGE CAST ONEには、BRIDGE CASTおよびBRIDGE CAST Xと同様、32bitのDSPを内蔵しているため、この本体内でさまざまなオーディオ処理ができるようになっています。

MIC TYPEを設定することでコンデンサマイクなどを利用することが可能になる

まずはマイク関連の調整、エフェクト処理です。BRIDGE CASTアプリのMIC SETUPを開くとDYNAMIC、CONDENSER(+48V)、HEADSETからマイク入力を選択できるようになっています。たとえばCONDENSER(+48V)を選ぶとコンデンサマイク対応となり48VのLEDが点灯するとともにファンタム電源が供給されてコンデンサマイクが利用可能になります。

MIC REHEARSALボタンを押し、画面の指示に従っていくと最適化することが可能

さらにMIC REHEARSALボタンを押して指示に従っていくと、エアコンの音やコンピュータのファンノイズなどを認識した上で、ノイズをカットし、声を聴きやすい音量に自動調整してくれるため、非常に便利に使うことができます。

MIC CLEANUPでマイクに対する各種エフェクト設定ができる

またMIC CLEANUPを選択すると、マイクに対して各種エフェクト設定が可能です。これは今のMIC REHEARSAL機能とも連動しているのですが、手動でローカット、ノイズサプレッサ、ディエッサ、コンプレッサの設定が可能となっています。

さらにこうしたエフェクトはマイクだけでなく、音声チャットの相手の声に対してもコンプレッサやディエッサをかけることができるようになっているので、相手の声が聴きとりにくいようなケースでも、最適な音にすることができます。

ゲームを快適に行うため、各種ゲームに最適化したプリセットを数多く搭載

そしてBRIDGE CASTシリーズの最大の特徴ともいえるのは、ゲーム音に対してもDSPによってエフェクトをかけることができ、これによって、ゲームをより快適に、そして有利に進めることを実現してくれます。どういうことか?

たとえばFPSゲームの場合、対戦相手の足音などがゲームを進める上で重要なファクターとなるわけですが、これをしっかり聴きとれるかによって、ゲーム展開は大きく変わってきます。そこで、こうした足音などをDSPで強調して、聴きとりやすくすることができる、というわけなのです。

デフォルトでは

1.APX V-Surround
2.VLRT
3.COD
4.RPG V-Surround
5.MUSIC / MOVIE

と5つのエフェクトが用意されていて、これらに切り替えることができるようになっています。見れば何のゲームなのか、なんとなく想像がつくかと思います。

が、実はこの5つ以外にもLIBRARYとして下の表のように24種類が用意されており、これらを選ぶことが可能です(ライブラリ名から見て、おそらくこのゲームだと思われるものを右に並べてみました)。

ライブラリ名 想定されるゲーム・タイトル
APX APEX
VLRT VALORANT
FRTNT Fortnite
COD Call of Duty
FPS General FPS General
HDMI V-SURROUND  
APX V-SURROUND APEX
RPG V-SURROUND  
MUSIC / MOVIE  
4RK ARK: Survival Evolved
CoS2 Counter-Strike 2
DT2 Dota2
DbyDL Dead by daylight
EFT Escape fromTarkov
GR The A Grand Theft Auto V
Le o Le Leage of Legend
MineC Minecraft
OW2 Overwatch 2
PVBG PUBG: BATTLEGROUNDS
Rain SS Rainbow Six Siege
RPG  
Rvst Rust
ST6 Street Fighter 6
TN8 TEKKEN 8

基本的にはEQを使って調整しているようで、ゲームによって、そのEQの設定が変わっている形。別の見方をすれば、用意されているプリセットに関わらず、自分の使っているヘッドホンやスピーカーでより聴きやすくなるよう、EQさらにはリミッタの設定を調整して、自分専用のプリセットを作って保存しておくということも可能になっています。

リアルタイムに声を変えるボイス・トランスフォーマー機能も

このDSPの活用として、もう一つ大きいのがボイス・トランスフォーマー(ボイスチャンジャー)の搭載です。これもBRIDGE CASTおよびBRIDGE CAST Xに搭載されていた機能ですが、ピッチやフォルマントを調整することによって、男性が女性っぽい声にするとか、怪獣のような声にしてしゃべり、それを配信していく、といったことが可能になっています。

VOICE TRANSFORMER=ボイスチェンジ機能で、さまざまな声にリアルタイム変換できる

さらにリバーブも搭載されているので、声の演出という面で、いろいろ活用できそうです。

このようなボイス・トランスフォーマーを使う際、AVATER(VTuber)モード、SINGモードというものも用意されています。これらを設定することにより、しゃべりでの配信だけでなく、歌においても快適な形でエフェクトがかかるような設定が可能になっています。

バーチャルサラウンドモードで5.1chや7.1chをヘッドホン/ステレオスピーカーで

そしてもう一つ、今回のBRIDGE CAST ONEとともに登場した新たな機能として、バーチャルサラウンドモードというものがあります。

これは5.1chや7.1chのサウンドをヘッドホンやステレオ2chのスピーカーで快適に聴くことを可能にする画期的な機能です。これまでも5.1chに対応した特殊なヘッドホンなどは存在していましたが、この機能を使えば、ゲームはもちろん映画、音楽などあらゆるサラウンドのコンテンツを、手持ちのヘッドホン、スピーカーで聴くことが可能になっているのです。ただし、後述のCONSOLEモードでは動作せずWindowおよびMacで利用するものとなっているのが注意点ではあります。

5.1chや7.1chのサラウンドサウンドをヘッドホンやスピーカーで聴くためのバーチャルサラウンド機能

その際、各サラウンドスピーカーをどこに配置するのかを仮想的に設定することも可能になっているので、ゲームなど関係なしに、サラウンド/イマーシブオーディオを気持ちよく聴くためだけを目的にBRIDGE CAST ONEを購入する、というのもいいかもしれません。

なお、このバーチャルサラウンド、このBRIDGE CAST ONEだけでなく、既存機種であるBRIDGE CASTおよびBRIDGE CAST Xでもファームウェアアップデートするとともに、新しいアプリを使うことで利用可能となります。同様に、前述のゲームエフェクトのLIBRARYについても、BRIDGE CASTおよびBRIDGE CAST Xでも使えるとのことです。

PlayStation 5やNintendo Switchで利用できるConsoleモードを搭載

このようにBRIDGE CAST ONEはWindowsやMacとUSB接続することで、さまざまな機能を実現することができる、コンパクトながら非常に強力な機能を持った機材です。が、これをコンピュータ用のゲームだけでなく、家庭用ゲーム機でも利用したい、というユーザーも少なくないと思います。

リアのスイッチをPCからCONSOLEに切り替えることでゲーム機での利用も可能になる

それを実現するためにBRIDGE CAST ONEにはリアにスイッチが用意されており、これをPCからCONSOLEに切り替えることにより、PlayStation 5およびNintendo Switchで利用することが可能になります。

この場合、本体のみの操作となり、BRIDGE CASTアプリから直接操作することができなくなります。ただしCONSOLEモードの状態でUSB端子をWindowsやMacに接続して、BRIDGE CASTアプリで設定した後、接続をゲーム機に切り替えることで、BRIDGE CASTアプリで設定したものがそのまま使えるようになっています。

そして、もう一つのスイッチであるGAME EFFECTSを通常のUSBからAUXに切り替えると、前述の各種エフェクトをUSBからの入力ではなく、AUXからの入力に掛けることも可能になっています。これによりさまざまな機器でのゲームサウンドを快適に使うことが可能になるのです。

なお、BRIDGE CAST ONEにはBRIDGE CASTやBRIDGE CAST Xに用意されていた補助電源用のUSB端子がないため、スマホで使うことはできません。間に電源供給ハブを噛ませることで、無理やり動かすことはできそうですが、iPhoneやAndroidを使う場合には、BRIDGE CASTまたはBRIDGE CAST Xを使うことをお勧めします。

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