iPhone/iPad/Macで使える日本製“ポン出しアプリ”が登場。誰でも無料で使えるベータテスター募集中

みなさんは、いわゆる「ポン出しソフト」って使ってますか? ボタンを押せば、そこに仕込んだ効果音が再生され、「ピンポン」「ブブー」「ジャジャーン」などのSEやBGMを簡単にならすことができるので、配信やテレビ番組、舞台など、リアルタイムで進行する場面でよく使用されています。ハードウェアに音を仕込んで鳴らしたり、DAWに音を仕込んでMIDIデバイスを使って鳴らしたり、iPadを使ってコントロールしたりと、さまざまな方法があるのですが、なかなか定番というものがないようにも思えます。業界によってある程度傾向があるものの、人によって使っているものが違うのが現状です。

そんな中、合同会社イホリシステムが、現在その名もズバリ「ポン出しアプリ」(英語名はLivePlaybackSoftware)というアプリを開発しているというのです。そして今、ベータテスターを募集しています。正式版は有料でApp Storeで販売される予定ですが、無料でポン出しアプリを使えるチャンスでもあります。ベータテストに参加することで、意見を送り、それが反映され、一番使いやすいポン出しアプリを一緒に作ることができるのです。開発の段階から参加できるというのもなかなかない機会。実際に現在はどういった状況なのか、ベータテスターに参加する方法など紹介していきましょう。

日本製アプリ「ポン出しアプリ」のベータテスター募集中

配信、テレビ、舞台、ラジオで日常的に使われているポン出しソフトやハードウェア

個人で配信する人も、仕事で生放送を担当する人も、ラジオや舞台でも必要なのが、ポン出しの環境。サンプラなどを使って、タイミングに合わせて、効果音やBGMを鳴らすときに使われるのがポン出し機材。個人配信向けにオーディオインターフェイスとポン出し機能が合体したものや、フィンガードラムで使うようなサンプラに効果音を仕込んだり、PCソフトやiPadアプリで鳴らしたり、たくさんの選択肢があります。ハードウェアの場合は、動作は安定しているものの音を仕込むのに少し手間が掛かったり、ポン出し専用の機材というのはないので、ちょっと操作が複雑だったりします。

舞台などではAbleton Liveがよく使われていますが、DAWとMIDIデバイスを連携させる場合も、特別ポン出し専用機材というわけではないので、気軽に使い始めるというのは難しいです。そんな中、PCやスマホを持っているのであれば導入コストの低くて操作が簡単な、PCソフト、スマホやタブレットアプリのポン出し環境がおすすめ。慣れればソフトやアプリはすでにいくつか種類はありますが、英語表記のものが多かったりする事実。中には、できることが多すぎて複雑なものや、逆にシンプル過ぎたり、現在ポン出しソフトやアプリを使っているけど、不満点は少なからずあると思います。そんな中登場したのが、日本人が作る、その名も「ポン出しアプリ」なのです。

日本人が作る、日本人のためのポン出しアプリ

まだベータバージョンであるものの、日本人が使いやすいポン出しアプリを目指しており、日本での使用環境にこれから最適化されていくのだと思います。ちなみに日本語では「ポン出しアプリ」、英語表記では「LivePlaybackSoftware」という名前で展開され、iPhone,iPad,Mac対応のアプリとなっています。バージョンは、iOSは17.5以降、macOSは11.0以降となっています。ベータテストには後述する応募フォームから誰でも参加可能で、使ってみて「こういった機能がほしい」とか「ここのUIを改善してほしい」など、気軽に送ってOKとのこと。すべて反映されるわけではないですが、随時更新されていくので、その過程を見るのも楽しいと思いますよ。ちなみに、アップデート状況はXのアカウント@live_playbackから確認することができますよ。

現状iPhoneでは、4つのパッドが表示されるシンプルな作りになっている

基本的な機能は搭載されたポン出しアプリ。ここから、さらに使いやすく進化していく

まだまだ骨組みの状態であり、最低限の機能を搭載した「ポン出しアプリ」であるものの、ざっくりどんなことができるのか簡単に紹介しましょう。なお、さらに細かい仕様は、ご利用マニュアル(https://live-playback-app-store-help.pages.dev)からも閲覧可能です。

ポン出しアプリは、iPhone,iPad,Macで同じ使用感で使うことができる(画面はiPad)

基本的に使い方は非常にシンプル。iPhone,iPad,Macすべて同じ使用感となっています。ここでは、Macを使って紹介していきますね。まずアプリを立ち上げたら、グループを追加します。左上の+ボタンを押すと、グループを追加することができ、左側のグループ一覧に、どんどんグループが追加されていきます。

グループの名前の変更や列、行の追加、全体ボリューム、全体のパンなどは、右側の上段で設定する

グループの設定は上段で行える

下の四角形のパッドに音を仕込んでいくことができ、ドラッグ&ドロップまたは、歯車マークを押して音源ファイルを選択します。

Mac版であれば、ドラッグ&ドロップで簡単に音声ファイルが仕込める

ちなみに読み込むことのできる音声ファイルは以下の通りです。

ファイル形式 データ形式
AAC (.aac, .adts) ‘aac ‘
AC3 (.ac3) ‘ac-3’
AIFC (.aif, .aiff,.aifc) BEI8, BEI16, BEI24, BEI32, BEF32, BEF64, ‘ulaw’, ‘alaw’, ‘MAC3’, ‘MAC6’, ‘ima4’ , ‘QDMC’, ‘QDM2’, ‘Qclp’, ‘agsm’
AIFF (.aiff) BEI8, BEI16, BEI24, BEI32
Apple Core Audio Format (.caf) ‘.mp3’, ‘MAC3’, ‘MAC6’, ‘QDM2’, ‘QDMC’, ‘Qclp’, ‘Qclq’, ‘aac ‘, ‘agsm’, ‘alac’, ‘alaw’, ‘drms’, ‘dvi ‘, ‘ima4’, ‘lpc ‘, BEI8, BEI16, BEI24, BEI32, BEF32, BEF64, LEI16, LEI24, LEI32, LEF32, LEF64, ‘ms\x00\x02’, ‘ms\x00\x11’, ‘ms\x001’, ‘ms\x00U’, ‘ms \x00’, ‘samr’, ‘ulaw’
MPEG Layer 3 (.mp3) ‘.mp3’
MPEG 4 Audio (.mp4) ‘aac ‘
MPEG 4 Audio (.m4a) ‘aac ‘, alac’
NeXT/Sun Audio (.snd, .au) BEI8, BEI16, BEI24, BEI32, BEF32, BEF64, ‘ulaw’
Sound Designer II (.sd2) BEI8, BEI16, BEI24, BEI32
WAVE (.wav) LEUI8, LEI16, LEI24, LEI32, LEF32, LEF64, ‘ulaw’, ‘alaw’

各パッドの設定は、歯車マークから行います。ここでは、タイトル、音源ファイルの選択、背景色、選択しているパッドの音量、再生モード、ループさせるかどうか、そしてMIDIノート番号を設定可能。再生モードは、再生/一時停止、再生/リプレイ、再生/停止から選択できます。またMIDIノート番号の設定から分かる通り、MIDIキーボードを繋いで、「ポン出しアプリ」をコントロールすることも可能です。

各パッドの設定は歯車マークから行える音源を読み込んだり、MIDIノート番号を選択したら、閉じるを押して、設定を保存します。各パッドに番号やアルファベット書いてあるように、キーボードから音源を鳴らしたりすることも可能。MIDIキーボードでも再生ボタンを押しても、ポン出しを行うことができるようになっています。

キーボードやMIDIデバイスからポン出しを行える

ちなみにオーディオの出力先やMIDIコントローラーの設定は、左上にLivePlaybackSoftwareと書かれたところをクリックして、設定を選択。ここにある「オーディオ/MIDI」から設定することができます。

LivePlaybackSoftwareにある設定から、オーディオの出力先やMIDIデバイスの接続設定を行える

iPhone/iPadでは画面下の「オーディオ/MIDI」から設定できます。実際試してみたところUSB-MIDIデバイスはもちろん、Bluetooth-MIDIのコントローラやキーボードも使うことができました。

ざっくりとした使い方は、こんな感じです。実際に触ってみると、特にマニュアルも必要なく簡単に使えると思います。

 

では最後にベータテストへの参加方法についても紹介しましょう。ベータテストへの応募は、こちら( https://forms.gle/j2DQ8HEopL6B8zc27)から行います。メールアドレス、姓(ハンドルネーム可)、名(ハンドルネーム可)を入力して、プライバシーポリシーにチェックを入れ送信します。

Googleフォームに必要事項を記載して応募完了

その後、イホリシステムからメールで、ベータテストに関してやTestflightについての説明があります。ちなみにTestflightとは、Appleが提供するベータ版アプリの配信を行うためのアプリ。App Storeからダウンロードでき、イホリシステムから届くコードを入力すれば、「ポン出しアプリ」が使えるようになります。

このTestflightからメッセージでフィードバックを返すことで、開発者へ要望が送られます。また可能であれば、応募者の方にインタビューを行えればとのこと。ぜひ、気軽にフィードバックを送って、いいアプリを作っていきましょう。

正式版のリリースは年内予定。ベータテスト参加者には特典も!?

開発者の堀江一成さんに、なぜ今回ポン出しアプリを作ったのか、正式版のリリース日や金額などオンラインでインタビューしたので、その内容を紹介していきましょう。

――なぜ今回、ポン出しアプリを作ることにしたのでしょうか?
堀江:もともと、別のポン出しソフトを使っていたエンジニアの方から、愛用していたポン出しソフトのサービスが終了し使えなくなった、と聞いて今回ポン出しアプリを作ることにしました。ポン出しにはいろいろな方法があるけれども、定番中の定番といった環境がない、英語表記のものも多い、などいろいろな問題点を見つけたので、実際にユーザーの方と密に連携を取り、よりいいものを作ろうとベータテスターを募集しています。

――正式版のリリース日は決まっているのでしょうか?
堀江:もし、ユーザーの方のフィードバックで、大きい開発が必要な場合は年末になると思いますが、ここからある程度の機能追加であれば、秋頃リリースできると考えています。正式版の金額についてもぜひみなさんの意見をいただきたく考えています。サブスクなのか、通常版とプロバージョンを分けて作るのかなど、ユーザーの方が納得いただける形でリリースできればと思います。

――ベータテストに参加した方にはなにか特典などあるのでしょうか?
堀江:今のところ、クーポンを発行し、正式版をお得にゲットできるようにしたり、そのままベータ版を使用できるようにする、など特典についても検討しています。ぜひ、気持ちよくベータテストに参加していただきたいので、なにかしら、恩返しを考えています。最新情報については、Xのアカウント@live_playbackをフォローして、ご確認いただけましたら幸いです。

――ありがとうございました。

以上、ポン出しアプリについて紹介しました。ユーザーが本当に使いやすいアプリを一緒になって作れるチャンス。ただ単純にiPhone、iPad、Macで無料でポン出しアプリが使えるようになるので、ぜひポン出しアプリのベータテストに参加してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
ポン出しアプリ Xアカウント
ベータテスト応募Googleフォーム
ポン出しアプリ マニュアル

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