東京のオーディオブランドLayfic ToneのフラグシップヘッドホンThe Industrial-ist WIRED

東京のオーディオブランド、Layfic Tone(レイフィックトーン)から業務用有線ヘッドホンThe Industrial-ist(インダストリアリスト)WIREDが発売されています。このモデルは、The NAMM Show 2023/2024やInter BEE 2023で国内外のオーディオ系展示場で注目を集めた、フラグシップヘッドホン。リアルカーボンや工業用アルミ、エンジニアリングプラスチックなど、音響特性に優れた素材を採用し、WIRED専用に大口径50mmドライバーも新たに開発。アウターケーブルと内部配線材には、オーディオみじんこ社ディップフォーミングOFC線を採用しています。密閉型ヘッドホンなのに、まるで開放型のようなサウンドが特徴のヘッドホンとなっているのです。

市場想定価格は169,800円 (税込)と、なかなか高級なヘッドホンではありますが、プロに求められる品質を追求して開発しており、高解像度、フラットな音質、正確な低音域やトランジェント感を実現。Layfic Toneだからこそ、この価格で作り上げることができ、通常であれば30万円ぐらいの価格になってしまうのだとか。スタジオワーク・クリエイター・DJ・映像編集・PAなど、音にこだわる人へ向けた最高級のモニターヘッドホンThe Industrial-ist WIREDがどんな製品なのか紹介していきましょう。

クリエイターに向けた最高級モニターヘッドホンIndustrial-ist WIRED

国内外から注目される新興オーディオブランドLayfic Tone

Layfic Toneは、音質、使い心地、デザイン性にこだわった製品を生み出す東京のオーディオブランド。Playful(遊びゴコロ、面白み)+Music(音楽)に、より音を意識させるToneを合わせた造語をブランド名に採用しており、今回紹介するThe Industrial-istシリーズは最高音質に加え、オシャレで尖った見た目と、ふかふかのイヤーパッドで長時間使用可能な、遊びゴコロと実用性をバランス良く兼ね備えたモデルとなっているとのこと。

東京のオーディオブランド、Layfic Tone

ちなみに、現在発売されているのはクリエイター向けのWIREDのみ。来年には、リスニング向けのThe Industrial-ist BROADBANDの発売が予定されています。

クリエイターのための究極までのこだわりIndustrial-ist WIRED

そんなLayfic Tone初の製品であるThe Industrial-ist WIREDは、密閉型のモニターヘッドホンで、インピーダンスは
60Ω、再生周波数帯域は10~40000Hzというスペックとなっています。NAMM Showでは、レコーディング/ミキシングエンジニアやPAに評判がよかったのはもちろん、演奏者からも高評価で、特にリズム隊への受けがよかったとのこと。実際に聴いてみると、音のアタックとリリースが正確で、現代の音楽にマッチするようにローエンドもしっかり再生されています。強調された低音域ではなく、非常にナチュラルで、繊細にローエンドを調整していくことも可能です。

NAMM Showでは、エンジニアとミュージシャン両者からの評価が高かったIndustrial-ist WIRED

また、Layfic Toneはロサンゼルス在住の14歳のミュージシャンYOYOKAさんとのエンドースメント契約を5月に発表しています。YOYOKAさんは、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100」に9歳で最年少選出され、世界的ドラマーサイト、Drummerworld「世界TOP500ドラマー」に11歳で史上最年少、日本人3人目に選出。Billboardなど欧米のメディアでもバフォーマンスビデオが取り上げられており、国際的に注目のプレーヤー。過去にシンディーローパー、Fall Out Boy、Tom Morelloなどと共演歴があります。

世界TOP500ドラマー、日本人3人目に選出されているロサンゼルス在住の14歳のミュージシャンYOYOKAさん

そんなプロのエンジニア、ミュージシャンからの評価が高いThe Industrial-ist WIREDを開発した藤原 敬さんにこの製品を作った背景を少し聞いてみました。
私自身、エンジニアの経験があり、1ユーザーとしてヘッドホンを何十本と試してきました。使っている素材、形状、ケーブルでどのような音になるのか研究を続けていて、The Industrial-ist WIREDでは理想のヘッドホンを体現できたと確信しています。The Industrial-ist WIREDを開発するという話は、2年前ほど前からスタートし、もともと縁のあった工場と二人三脚で開発を進めてきました。このヘッドホンはユーザー視点から逆算して作っており、音質はもちろんのこと、付け心地にも重きを置いています。側圧は弱め、メガネユーザーの方でも長時間快適に使えるよう設計し、イヤーパッド、ヘッドバンドへも妥協を許さず作成しました。一般的な密閉型ヘッドホンのようなコンプ感をなくし、密閉型の使い勝手だけれども、開放型のようなナチュラルなサウンドを再生できるヘッドホンに仕上げています」とのこと。

高級感あふれるヘッドホンとパッケージ

化粧箱はシンプルなデザインで、ポイントでブランドのイメージカラーのブルーがあしらわれています。

ナチュラルテイストの化粧箱

フタを開けると、そこには高級感のある仕上がりのキャリングケースが入っており、

キャリングケースも高級感にあふれている

その中にヘッドホン本体とケーブルが収納されています。

ヘッドホン本体収納とケーブルが収納できるポケットが付いている

ヘッドホン本体の重さは、ケーブルを含まず385g。スペック的には若干重めですが、藤原さんのコメントにもあったように装着を意識して作っているからか、実際に装着してみると、イヤーパッドやヘッドバンドがフィットするので、疲れを感じず長時間でも使用できそうな印象です。ヘッドバンドには、ブランド名とモデル名が刻印されており、金属とレザーの2重構造になっています。金属パーツで、ヘッドホン全体の強度や形を保ちつつ、レザー部分が頭に沿うような構造になっているわけですね。

頭にフィットし、側圧も強くないので、長時間装着しても疲れにくい構造をしている

ハウジングから伸びている特徴的なシャフトを、ショルダーパーツでヘッドバンドへと繋ぐデザインとなっています。このショルダーパーツも含めアルミパーツは削り出しで作られており、表面も美しく、堅牢さも兼ね備えています。The Industrial-ist WIREDでは、よくあるステップ式の調整機構でなく、フリーで調整できる、このシャフトの長さ調節機能を採用。どんな頭の形でも、ちゃんとフィットするようになっています。

フリーで長さ調整できる機構となっている

ケーブルは、オーディオみじんこ社製のものを採用。LとRをヘッドホン本体に繋ぎ、再生機器とは6.3mm標準プラグで接続します。付属ケーブルの長さは2mで、断線やヘッドホンへのダメージを防ぐために、逆にケーブルが抜けやすくなるように作られています。

ケーブルは、Audio Mijinko社製のものを採用している

イヤーパッドは、標準でLayficToneオリジナルのシンセティックレザー+スエード素材のハイブリッドタイプが装着されています。

LayficToneオリジナルのシンセティックレザー+スエード素材のハイブリッドイヤーパッド

また追加で、品質に定評のあるDekoni Audio製交換イヤーパッドも付属しており、Regular Packageにはシープレザー製、Vegan Packageにはベロア製の物が同梱されています。LayficToneオリジナルではラージモニタースピーカー、Dekoni Audioではニアフィールドスピーカーに近い特性へと変化するので、状況に合わせて使い分けることも可能です。

画像はRegular Packageに付属しているシープレザー製のイヤーパッド

さてハウジングには、カーボンを採用。デザイン面だけでなく、カーボンは軽量で、強度が高く、腐食しない素材。理想としている音響特性にマッチした素材がカーボンだったとのこと。カーボンや工業用アルミ、エンジニアリングプラスチックで作られた筐体で、共振を防ぎ、再生したい音をそのまま届けることが可能となっているのです。

カーボン素材のハウジングと、工業用アルミ、エンジニアリングプラスチックで作られた筐体で、無駄な共振を防いでいる

またハウジングはスイーベル機構を採用。片耳でモニタリングしたり、折りたたむことができるので、コンパクトにしてキャリングケースに入れて持ち運ぶのも容易です。

ヘッドホン本体は折りたたんだり、片耳でモニタリングすることができる

ドライバーは、新開発の大口径50mmドライバーを採用。解像度が高く、色付けの少ないものを目指し、「密閉型なのに開放型と見紛うサウンド」と評されているとのこと。ローエンドが重要な音楽ジャンルでも使いやすいよう、現代的なチューニングが行われています。汎用パーツを使用することなく、すべてオリジナルで作ってた、究極までのこだわりとなっているのです。

汎用パーツを使用せず、ドライバまでもすべてオリジナルで開発されている

現代の音楽制作にマッチしたヘッドホンとして開発された

音質については、
カーボン素材やアルミ素材を使っているのですが、これがどういった音になるのかは、これまでマテリアルを研究していた中で判明していました。共振はデットな方向で作り、フラットで素の音が再生されるヘッドホンとして開発しました。密閉型の使い勝手で、開放型のように空間の再現度が高く、ドライバもオリジナルで、現代の音楽にマッチするようディープなローエンドも再生できるという強みがあります。メーカー公式には再生周波数帯域の上は40000Hzと記載していますが、実際には55000Hzまで再生できる性能をしています。ミュージシャンから評価いただけるほどのタイミングのよさ、トランジェント感、リリース感性能も兼ね備えています。また、立体音響にも適しており、SSLさんからも仮想サラウンドシミュレーションシステムとの相性がいいとフィードバックをいただいております」と、藤原 敬さん。

実際に聴いてみると、確かに密閉型のような圧迫感はなく、開放型に近い出音で空間を再現しています。解像度、定位感、周波数バランスがよく、タイミング精度もかなり高いです。タイトなサウンドはタイトに、音のリリースまでもモニタリングすることが可能でした。低音域が強調されているわけでなく、非常にナチュラルに鳴っていて、音楽制作時にとても使いやすいヘッドホンだと感じました。パンチ感のある音、空間を包み込むような音、ボーカルのニュアンス、ギターのピッキング…など、細かいニュアンスもしっかり再生することができました。

空間オーディオにも最適なThe Industrial-ist WIRED

The Industrial-ist WIREDは空間の再現度が高いので、Dolby ATMOSミックスや360 Reality Audioミックスを聴く際も最適です。実際、The Industrial-ist WIREDの導入事例を見ると、イマーシブオーディオのミックスのために入手したというケースが多いようです。実際、標準でイマーシブオーディオに対応するDAWも増えてきているので、The Industrial-ist WIREDを使って、イマーシブミックスに挑戦してみる、というのもよさそうです。

Studio Oneをはじめイマーシブオーディオに対応するDAWも増えているので、それに対応するモニターヘッドホンを選びたいところ

一方で、最近は音楽ストリーミングサービスのデフォルトのフォーマットがDolby ATMOSや360 Reality Audioになっているケースも多くなっています。そうした際にたりするので、The Industrial-ist WIREDで聴くと、より立体的に広がりのあるサウンドで楽しむことができるので、まさにリスニング用途としても優れたヘッドホンだと思います。

以上、Layfic ToneのThe Industrial-ist WIREDについて紹介しました。市場予定価格169,800円 (税込)と高級ヘッドホンではありますが、ぜひ試聴できる場所で一度そのサウンドを確かめてみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
The Industrial-ist WIRED製品情報

【価格チェック&購入】
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