Audientからイマーシブオーディオに特化したオーディオインターフェイスORIA(税込想定売価423,500円)が発売されています。これは、ステレオから9.1.6 chまでの完璧なマルチチャンネルスピーカーの調整、コントロール、管理が可能なUSB-C接続のオーディオインターフェイス。キャリブレーションで有名なSonarworksとの提携もしているため、付属のSoundIDリファレンスマイク、SoundID Reference for Multichannelソフトウェア(60日間無料トライアル)を使って、正確で遅延の少ない再生を可能としています。
そんなORIAに搭載された高性能AD/DAコンバーターは、この手の機材としては最高レベルの126dBのダイナミックレンジを誇り、細かいニュアンスまで捉えることが可能。また、ORIAに搭載された2機のマイクプリアンプは、20年以上の歴史がある大型アナログコンソール譲りのクラシックなアナログの暖かみあるサウンドとなっています。さらに超低ノイズと低歪みを実現しており、マイクやラインはもちろん、ハイインピーダンスの楽器入力にも最適。そんなイマーシブオーディオ特化のオーディオインターフェイスAudient ORIAの概要を紹介していきましょう。
イギリスのメーカー、Audientとは?
Audientは、1997年にDavid DeardenとGareth Daviesによって設立されたイギリスの会社。メインの事業は、プロのスタジオに導入されるミキシングコンソールの開発であり、Audient製品は、アビーロードスタジオ、ピートタウンゼントのイールパイスタジオ、アメリカのハウスオブブルース…など、世界中の多くの主要スタジオで使用されています。ちなみにジョン レノンのプライベートアスコットサウンドスタジオ用のカスタムミキシングコンソールや、ジョージ ハリスン、リンゴ スター、ガス ダジョン、クリス スクワイア用のコンソールの構築も創立者の1人David Deardenが担当しています。そのAudientは、DTM用途のオーディオインターフェイスも数多くリリースしており、いずれも「一歩上を行く」ハイクオリティー製品であることが特徴で、これまでも「昔使ったハードエフェクトをDTMの世界へ。アウトボードのポテンシャルを引き出すコンパクトなオーディオIF、Audient iD24」、「英audientからプロクオリティーの10in/6outオーディオインターフェイス、iD14 mkIIが誕生。実際どんな機材なのか試してみた」、「英コンソールメーカー、audientが出した14,000円のオーディオインターフェイスEVO4と上位版のEVO8を試してみた」といった記事でDTM用途のオーディオインターフェイスを紹介したこともありました。
最大9.1.6chのDolby Atmosスピーカーセットアップに対応したオーディオI/F、Audient ORIA
そんなAudientが新たにリリースしたのが、イマーシブオーディオに特化したオーディオインターフェイスのORIAです。ステレオから最大9.1.6chまで対応しており、マルチチャンネルスピーカーの調整、コントロール、管理が可能で、音楽、映画、テレビ、ゲーム、VR などあらゆるジャンルで活躍する機材となっています。また最大9.1.6ミキシングワークフローに対応する強力なUSB-Cオーディオインターフェイスとして優れているのはもちろんのこと、既存のスタジオセットアップにADAT入力を介したスタンドアローンのモニターコントローラーとして使用することもできるようになっています。高度なスピーカープロセッシング、優れたオーディオパフォーマンス、Audientコンソール・マイクプリアンプ、Sonarworksとの提携、など、最高品質の機材となっているので、順にその詳細を見ていきましょう。
ORIAはフロントのボタンで直感的なコントロールができる
ORIAは、1Uサイズの機材となっており、電源を接続するとフロントのロゴマークが点灯します。シンプルながらも洗練された美しいデザインで、フロントの左側には入力のジャックやボタン、中央には各種情報を表示するディスプレイとコントロールホイール、各機能にアクセスするボタン、右側にヘッドホン端子が2つ搭載されています。
搭載された2機のマイクプリは、大型アナログコンソール譲りのクラシックでアナログの暖かみあるサウンドが特徴で、超低ノイズと低歪みを実現しています。60dBまでゲインを上げることができ、どんなソースでもクリーンにキャプチャすることが可能。1または2ボタンを押して、ホイールを回すとゲインを上げ下げすることができ、隣にある48VやINSTボタンを押せば、コンデンサマイクやギター、ベースを簡単に録音していくことができます。また1または2ボタンを長押しでミュートすることも可能です。
中央のディスプレイにはインプットとアウトプットの信号が表示されており、ホイールはボタン式にもなっているので、押すごとに表示する項目を切り替えることができます。長押しすれば、電源のオンオフやその右側にあるファンクションボタンの割り当てを切り替えたりと、専用のソフトウェアを立ち上げずとも、さまざまな機能にアクセスできる柔軟性を持ち合わせています。
VOLUMEボタンを押してホイールを回せば、スピーカーの音量を調節でき、長押しすればミュート。PROFILEを押せば、登録した4つのお気に入りのスピーカー設定を切り替えることができ、DOWN MIXではDolbyレンダラーのダウンミックス機能を直接コントロール可能。即座にステレオで確認するといったことができるようになっています。2つのヘッドホン端子のコントロールは非常にシンプル。HP1またはHP2を押して、ホイールを回せば、ボリューム調整。長押しでミュートの切り替えとなっています。
充実した入出力を搭載
リアパネルには、主に出力端子が搭載されています。右側には、STEREO OUTPUTSを装備しており、ここにステレオ2系統分スピーカーを接続することが可能。その左隣りには、サラウンド出力の端子が16ch用意されており、設置したスピーカーに合わせて接続を行えます。その隣は、デジタルI/O類がまとまっており、AES出力、ADAT入力を装備。なおAES出力とアナログのサラウンドスピーカー出力は同時に利用できない仕様となっています。さらに隣には、ワードクロック、PCと接続するためのUSB-C端子、電源端子などが配置されています。また今年の夏頃リリース予定ですが、16ch AoIPカードを追加することでDANTEにも対応できるようになるとのこと。
ORIAの専用ソフトでは、各チャンネルのモニタリングができたり、直感的にスピーカーのコントロールを行うことができます。またORIAには、2つのキャリブレーション方法が用意されています。1つは手動によるキャリブレーション、もう1つは付属するSoundIDリファレンスマイクとSoundID Reference for Multichannelソフトウェアの60日間無料トライアルを使った自動セットアップです。なお、キャリブレーションが手動かSoundIDによるものかに関わらず、すべて超高速のオンボードDSPデュアルプロセッサーによって、高度なスピーカープロセッシングが直接実行。なので、大規模セッションでも、PCに負荷を掛けずに低レイテンシーで使用可能です。
手動でルームキャリブレーションを行う際は、ORIAの専用ソフトに搭載してある、すべてのスピーカーレベルを個別でコントロールできるTrim、スピーカーからの音声が同時にミックスポジションに届くように調整できるSpeaker Delay、Bass Management機能、8Band EQなどを使用します。調整したいスピーカーを選択してSETUPボタンを押せば簡単にコントロールしていくことが可能。
自動でセットアップする場合は、Sound ID Reference for Multichannelソフトウェアを使用して、カスタムSound IDプロファイルを作成。それをORIAに読み込むことができるようになっています。マルチチャンネルのセットアップに必要となる正確な測定およびキャリブレーションを1時間以内に終えることができるのです。
また、こちらも今年の夏ごろ公開予定で、ORIAのiPad用コントロールアプリがリリースされるとのこと。ORIAの全機能にタッチ操作だけでリモートアクセスできるようになるので、より便利に使えるようになります。
以上、Audient ORIAを紹介しました。ほか、Audientの対象製品を購入すると、Cubase LE 12、Retrologue 2、strymon BigSky Plug-in…など8種類のDAWやプラグインもゲットすることが可能です。ぜひ、イマーシブオーディオの導入を検討している方はAudient ORIAをチェックしてみてはいかがでしょうか?
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