ベストセラーオーディオインターフェイスUR12とUR22mkIIの後継機となるSteinberg IXO12とIXO22の実力とは?

Steinbergの大ヒットオーディオインターフェイスUR12UR22mkIIは、これまでDTM入門として選ばれることも多く、長年ベストセラーが続いていました。UR12の発売日は2014年末、UR22mkIIの発売日は2015年と約10年間も発売されるほど大人気の機種。2019年にはUSB-Cを搭載した、UR-Cシリーズも発売されましたが、これは大きさや形は非常に近いもののDSPを搭載した新しいラインナップという位置づけだったこともあり、UR22CとUR22mkIIは併売されてきました。

そんな中、UR12とUR22mkIIは生産完了となり、これらの実質上の後継機として1月のNAMM Showで発表されたのがIXO12IXO22です。ベースとなる使い勝手やシンプルさはそのままに、基本性能を向上させ、さらにコンパクトになり、軽量化にも成功しています。また、現代のスタイルに合わせ、マイクのミュートスイッチやループバックの切り替えもワンタッチで可能になるなど、初心者の方にはもちろんのこと、サブのオーディオインターフェイスとしてもかなり優秀な機材に仕上がっています。カラーは両機種とも2色展開で、価格はIXO12が14,300円(税込)、IXO22が19,800円(税込)となっています。もちろんDAWであるCubase AIのほか、HALion Sonic、Groove Agent SE、Retrologue、Animaなどのプラグインも付属しているので、これ1つあればとりあえずDTM環境が整うというもの。おそらく定番のオーディオインターフェイスとして広く使われていくと思われるIXO12とIXO22を試してみたので紹介していきましょう。

新たな定番、YAMAHA Steinberg IXOシリーズIXO12とIXO22を試してみた

iPad/iPhone/Mac/Windowsと接続可能なオーディオI/O IXO12とIXO22

新たに登場したIXOシリーズのオーディオインターフェイスは現在IXO12とIXO22の2ラインナップで展開されています。どちらも24bit/192kHzまで対応し、iPad/iPhone/Mac/Windowsで使用することが可能。またカラーはブラックとホワイトの2色用意されています。入力のダイナミックレンジは両機種とも106dBとなっており、UR22Cの102dBと比べると向上しているのが確認できます。またUR12やUR22mkIIはD-PREを搭載していましたが、IXOシリーズではIXO MIC-PREという新開発のマイクプリを装備しています。

2カラーで展開されているIXO12とIXO22

ちなみにIXO12とIXO22以外のラインラップとして、ST-H01 モニターヘッドフォンとST-M01 コンデンサーマイクロフォンとIXO22がセットになったIXO Recording Pack。ST-M01 コンデンサーマイクロフォンとポップガードと卓上マイクスタンドとIXO22がセットになったIXO Podcast Pack、というものも用意されており、初心者がすぐにボーカルレコーディングや配信を始められるようになるパックも発売されています。

IXO Recording PackやIXO Podcast PackといったIXO22とオプションがセットになった製品も用意されている

最近のオーディオインターフェイスにはDAWが付いてくるのが定番ですが、IXOシリーズにはそれ以上のおまけが付いてきます。DAWはCubase AI、そしてiOSアプリCubasis LE、楽譜制作ソフトDORICO SEに加え、Steinberg Plusという音源やループが複数入ったバンドル製品が無償でもらえるのです。ここにはHALion Sonic、Groove Agent SE、Retrologue、Anima、といったSteinberg定番の音源をはじめ、Ambient Lounge、Indie Rock、Progressive Houseというループ集が収録されているので、IXO12またはIXO22を買ったその日から本格的な音楽制作をスタートさせることができるのです。

さまざまな音源やループがバンドルされたSteinberg Plusも無償でゲットできる

UR22mkIIと比べて見る、IXO22の進化した仕様

さて、ここからは具体的にIXO12とIXO22がどんな機材なのか見ていきましょう。まずは、IXO22がどんな仕様になっているのか、UR22mkIIと比べながら確認していきましょう。

見た目から、その違いを確認できるのですが、奥行きが約2/3程度になり、かなりスマートになりました。幅と高さはほぼ同じで、奥行きが短くなったことにより、デスクの上に置いてもスペースを取らなくなりました。

幅や高さは一緒だが、奥行きが短くなった。下がUR22mkII、上がIOX22

デザインはUR22mkIIは無骨でThe機材という見た目だった一方、IXO22は洗練されオシャレに仕上がっていますね。オーディオインターフェイスは黒いものが多いので、ホワイトのカラーリングだけでIXOシリーズを選ぶ人も多そうです。

スタイリッシュなデザインに変更された

そして、一番驚いたのがその軽さ。UR22mkIIは約1kgあったのに対し、IXO22は450gと半分以下の軽量化に成功しています。この2in2ioutぐらいのサイズ感のオーディオインターフェイスは、出先で音源を鳴らしたり、簡単なレコーディングをする際に持ち運ぶので、軽ければ軽いほど嬉しいところ。写真に写っているUR22mkIIは見た目の通り、よく持ち出していたのですが、正直ちょっと重かったんですよね。それがIXO22になって軽くなったので、個人的には結構大きいアップデートポイント。サイズも小さくなって、軽くなったので、持ち運び用のサブのオーディオインターフェイスとしても最適ですね。

圧倒的に軽くなり、自宅でも出先でもどこでも使いやすくなった

コンボジャック2基に加えギター入力も装備するIXO22

さて、IXO22のフロントにはコンボジャックが2基搭載されています。それぞれのチャンネルのゲインは、ツマミで調整できるようになっており、さらに各チャンネルにミュートボタンも搭載されています。通常の音楽制作ではミュートボタンの出番は少ないかもしれないですが、配信ではミュートボタンがあるとかなり便利。時代に合わせた進化をしていますね。

ミュートボタンが新たに搭載され、配信用途としても便利に使える

またUR22mkIIはコンボジャックが2基だけでしたが、IXO22にはコンボジャック2基に加えギター入力端子も装備されています。UR22mkIIは2chをHI-Zボタンで切り替えてギター入力していましたが、IXO22はこの端子に接続すればOK。ちなみに2chのゲインのツマミはコンボジャックとギター入力端子共通で、もしどちらもケーブルを接続している場合ギター入力端子が優先され、2chのコンボジャックの信号はカットされます。

ギター入力単体の端子が用意されている

+48Vのボタンは、UR22mkIIはリアにありましたが、これがフロントへ移動しました。UR22mkIIを使っている方なら分かると思いますが、リアにスイッチがあると意外と切り替えにくいんですよね。ファンタムスイッチがフロントに移動したのは、地味に嬉しいポイントです。

フロントにファンタム電源の切り替えがあるので、オンオフを行いやすい

MONITORボタン一つでループバックやダイレクトモニタリングを操作

次に、大きな変更点としてMONITORボタンがIXO22には搭載されています。UR22mkIIに搭載されていたINPUT/DAWのツマミが廃止され、このMONITORボタンが装備されることになったのですが、これがなかなか便利。このボタンでは、ダイレクトモニタリングのオン/オフ、ループバックのオン/オフを行うことができます。ダイレクトモニタリングはモノラルまたはステレオを選択で、モノラルにした場合は1chも2chもセンターから鳴り、ステレオにした場合は1chは左、2chは右から鳴るようになります。

ループバックやダイレクトモニタリングの切り替えもワンタッチで変更可能

ループバックをオンにしたまま、ダイレクトモニタリングをオンにするといった使い方も可能となっており、ワンタッチで設定を変更することができます。UR22mkIIやUR22Cなどは、専用のソフトミキサー上でループバックを切り替える必要があったので、それが手軽に切り替えられる仕様になっています。どちらがいいかは好みですが、コンセプトとしてUR-Cシリーズは内部DSPを使ってエフェクトやミキサーをコントロールできる一方、IXOシリーズはDSPを内蔵していないので物理キーなどで切り替えるシンプルなオーディオインターフェイスとなっているのです。

最後にフロントの右側はモニタリング周りが集約されており、リアに接続したスピーカーのボリュームをコントロールするノブ、ヘッドホン端子、ヘッドホンのボリュームノブが搭載されています。

IXO22はリアの出力とヘッドホン出力のボリュームが独立している

続いて、リア側を見ていきましょう。UR22mkIIにはMIDIの入出力端子がありましたが、IXO22ではこれがなくなり、LINE OUTの端子が右側から左側に移動しています。

UR22mkII(下)とIXO22(上)のリアパネル

PCとの接続はType-C端子が採用され、iPhoneなどを接続した際に電力が足りないときに使う5V DCINもType-Cになっていますね。ちなみに付属しているケーブルは、USB-A to USB-Cでした。

USB Type-Cの端子が搭載されている

IXO12とIXO22の違いは、入力端子とボリュームノブとMONITERの切り替え

続いて、IXO12とIXO22の違いについても簡単に見ていきましょう。大きさや重さ、リアの端子類などは一緒です。UR12のときは、リアの出力端子がRCAだったので、DTM用途として使うのであればIXO12がTRSに変更されたのはGoodポイントですね。

リアの端子類は同じ

続いてフロントですが、IXO12はコンボジャックが1つになっていたり、ヘッドホンのボリュームがなくなり、大きいノブでヘッドホンとリアに接続したスピーカーの出力を共通でコントロールする仕様になっています。自宅でスピーカーも使うし、ヘッドホンも使うという方の場合、ここのボリュームノブが分かれていないと若干使いにくいのでIXO22を選ぶのがおすすめです。一方、ヘッドホンでしかモニターしないよ、という方であればIXO12でもOKですね。

IXO22(下)とIXO12(上)のフロントパネル

またMONITORスイッチの仕様も若干異なり、IXO12はモノラルのダイレクトモニタリングしか行えないようになっています。それ以外、ファンタムスイッチやミュートボタンなど同じとなっています。

コンボジャック1基とギター入力端子1基を搭載したIXO12

ちなみにCubase上からIXO12とIXO22の入出力を見てみると以下のようになっています。

IXO12のインアウト

IXO22のインアウト

どちらも2in2outのオーディオインターフェイスに見えますが、前述の通りIXO12の2chはギター入力端子のみになっているので、そこが違いますね。また両機種ともTHRUというチャンネルがありますが、これはPCからのオーディオ出力信号をそのまま別のオーディオ入力信号として使用することのできるもの。たとえば、配信でOBSを使用する際に、音声ミキサーでマイクの音量とPC内で再生した音を別々に調整し、バランスをとる際などに使用することができます。具体的なセットアップ方法は、マニュアルにも記載があるので、ぜひそちらも確認してみてください。

以上、IXO12とIXO22について紹介しました。なにかビックリするような新機能を搭載しているわけではないですが、単純にマイクプリの性能が上がり、ミュートスイッチやループバックスイッチをワンタッチで切り替えられるなどの利便性の向上、スタイリッシュなデザイン、小型化軽量化、などシンプルにさらにいい機材へと進化していましたね。これから音楽制作を始める方にもおすすめですし、サブデバイスとして、さらにはUR12やUR22mkIIからの買い替えも検討する価値ありですね。ぜひ1度試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
IXO12製品情報
IXO22製品情報

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