来年の1月に10周年を迎えるプロ作曲家養成講座「山口ゼミ」の第38期 受講生募集がスタートしています。山口ゼミとは、音楽プロデューサーである山口哲一(やまぐちのりかず)さんがオーガナイザーを務める講座で、「業界標準、完全プロ仕様」をテーマに、著名な作曲家、アレンジャー、エンジニアなどを講師に招いて実践的で少数精鋭のセミナーを実施するというもの。卒業生からは、NexTone Award2019 Gold賞受賞者やレコード大賞受賞者を輩出するなど、数多くの実績を上げています。
そんな山口ゼミは、最近国内でも増えてきたCo-Writing=コーライティングを日本で最初に提唱してきたところとしても知られています。山口さんがいうには、コーライティングが一番早く成長することができる手法であり、同時に、プロへの近道にもなっているとのこと。実際に山口ゼミとはどんなもので、なぜ成長できるのかなど、塾長である山口さんと、プロデューサーであり副塾長である伊藤涼さんにインタビューしたので紹介していきましょう。
プロ作曲家養成講座「山口ゼミ」の第38期 受講生募集がスタート
--改めてではありますが、山口ゼミについて教えてください。
山口:山口ゼミでは、7日間のオンライン授業+音楽制作コミュニケーションツールCo-Writing Studioを利用した約3ヶ月間の講座を通して、採用につながる曲を作るための最短距離を指南しています。具体的には、コンペに勝つデモテープの作り方やプロ作曲家が知っておくべき著作権と業界慣習、第一線で活躍しているゲスト講師を招待した講座、プロ作曲家の心得、疑似コンペ公開添削を行っています。
--山口ゼミに入ることのメリットとは、なんなのでしょうか?
山口:やはりコーライティングができるということに集約されますね。パソコンとDAWソフトの普及によって、誰でも自宅で作曲できるようになりましたが、その反面孤独な作業になってしまったり、昔だったらプロのエンジニアや演奏家と仕事をすることで学べたことが、学べなくなってしまいました。さまざまな人と関わり合うことで、音楽に携わる人間は切磋琢磨していたわけですが、その環境が少なくなってしまったのです。こういった仕事を通した成長は、副産物的なものかもしれませんが、とても重要なことだと考えています。
伊藤:だからこそ、コーライティングを通した複数人での作曲で得られる経験値は貴重であり、現代におけるプロの最短ルートになるわけです。コーライティングは、作曲家だけでなく、エンジニアがいたっていいわけですし、そこで実際に出会える技術やアイディアは、1人で作曲していては見つけられないのです。もちろん、人脈を作れるというのも大きいですね。
--山口ゼミでは、ゲスト講師による講座や仲間たちとのコーライティングを通して、大きく成長できるというわけですね。
山口:これまでゲスト講師には、音楽プロデューサーの本間昭光さんや作曲家の鈴木Daichi秀行さん、今井大介さん、ヒロイズムさん、Akira Sunsetさん、Carlos K.さん、白戸佑輔さん……など、多くの豪華メンバーに来てもらっています。ちなみに山口ゼミを修了したら、希望者は実践的な上級コース山口ゼミextendedというものに進めます。ここでは、半年間全13回の講座に加え、オンラインで丁寧なフォローアップを実施しています。そして、山口ゼミextendedの中で実力を認められたメンバーが所属できるクリエイター集団であるCo-Writing Farmでは、実際に継続的なコンペ参加、恒常的なコーライティング環境、キャンプや勉強会などの独自イベントを実施しています。Co-Writing Farmに入るには、コンペに耐えれるクオリティが作れる必要があり、試験がありますが、落ちたとしても受け直すことができます。正直Co-Writing Farmに入り、優秀な人とコーライティングできれば、世の中に楽曲が発表できてしまいます。スキルはその中で磨いていけばいので、実績は不要です。エネルギーさえあればプロの作曲家になれますよ。一番若い人で中学生、上は60代の人もいます。ボリュームゾーンは、20代後半から30代。作曲家に年齢は関係ないです。
山口ゼミ、山口ゼミexteneded、CO-WRITING FARMの関係
--Co-Writing Farmでは、国内外でキャンプをしていますよね。そこでは、海外クリエイターともコーライティングしているのだとか……。
山口:来年の2月にも台湾でキャンプを実施しますよ。これまでも国内外でキャンプを実施してきましたが、海外へのネットワークをさらに広げていくことが、次のフェーズだと考えています。アジアをはじめ、世界中でコーライティングできるようにしていき、参加者はグローバルで活躍できる人材になってほしいと思っています。キャンプは、コロナで一度ストップしてしまいましたが、来年のゴールデンウイークぐらいからは、国内も海外も活性化させていきます。
伊藤:本来であれば、今年に台湾とオーストラリアでキャンプをし、その流れを作りながら、来年、再来年と進めてい行く予定でしたが、コロナで少し止まっていました。なので2月の台湾から加速度を付けていきたいですね。Co-Writing Farmの次のフェーズという意味では、国内でも実績ができて認知度も上がり、コミュニケーションもとれるようになり、ネットワークも広がってきたので、今後は海外での実績を強化していきたいところですね。
--やはり、コロナで海外に行けなかったのは辛いところだったわけですね。
伊藤:海外に限らず、国内でもやりにくい状況が続いていましたが、オンラインも使いながら、個人のスタジオで行うというハイブリッドでのコーライティング・キャンプというのは模索してきたし、実績もでてきています。この先もいくつか予定が決まってきています。ただ、最初にリアルに会っているかどうか、という点は大きな違いになり、最初に会っているとハイブリッドでも流れはスムーズになりますね。
--コーライティングを通して、一言では言い表せないような経験ができそうですね。
山口:近年では、実際に目に見える形で実績が出ており、2019年には著作権管理団体NexToneが著作権使用料分配額一位の楽曲としてここにいる副塾長のの伊藤涼さんと第1期生の安楽謙一さんのコーライト曲 安室奈美恵『In Two』がNexTone Award2019でGold賞を受賞。2021年には、第14期生Kaz Kuwamuraさんと、第23期生中山翔吾さんのコーライト曲 Da-iCE『CITRUS』が日本レコード大賞を受賞しています。中山翔吾さんはプロ初採用の楽曲だったので、夢のような経験だったと思います。最近のリリースでいうと、中島美嘉「wish」やkis-my-ft2「想花」などドラマやアニメの主題歌もCo-Writing Farmによる作品です。また卒業生は、ディレクターになっていたり、本人の憧れだったヒロイズムさんの事務所に入ったり、とさまざまなところで活躍しています。
これまで、数多くの作品がリリースされてきた
--人脈作り、ネットワークづくりという意味でも大きい…と。
伊藤:ある程度実績ある人たちだったら、同じように実績ある仲間たちに声をかけて、自分たちでコーライティングしてくことはできると思います。でも実績もないし、実力もまだない。どうやってコーライティングしていけばいいのか分からない…、という人たちにとって山口ゼミが、1つの入口になると思います。ここに入ることによってCo-Writing Farmという出口もあり、ここにいるコーライトに特化した実績のあるクリエイターたちと一緒に曲を制作していけるようになります。Co-Writing Farmメンバーは現在150人余り在籍していてとても多様性がありユニークなコミュニティになっています。ここを軸に出会っていった外部のクリエイターとの繋がりも多いですし、コーライティングすることによってどんどん人脈が広がっていきます。人脈が広がるってことはチャンスも増えるということになりますからね。
--まさにプロになるための最短ルートですね。まずは、山口ゼミに入るところだと思いますが、どうしたらいいのでしょうか?
山口:2023年1月18日水曜日からスタートする講座の募集を行っているので、まずは「【2023/1/18(水)開講!】『プロ作曲家養成オンライン講座 〜山口ゼミ〜 第38期』受講生募集中!音楽をライフワークにしよう!」にアクセスしていただければと思います。一般受講料は、44,000円。学生受講料は、35,200円です。
--受講する前に山口ゼミについて、もう少し詳しく知りたい人もいると思うのですが、その場合どうしたらいいですか?
山口:12月15日木曜日には、「山口ゼミ 10周年記念対談 プロ作曲家になりたいあなたに」という無料のイベントがあるので、そちらに来ていただければと思います。20:00~21:30で、オンライン(Zoom)で行うので、気軽に参加してください。
12月15日木曜日 20:00~21:30 「山口ゼミ 10周年記念対談 プロ作曲家になりたいあなたに」
--最後にDTMステーション読者に向けてコメントをお願いいたします。
山口:プロの作曲家になるということだけでなく、作詞家になりたい、DJになりたい……など、夢を叶えるための手助けになるはずです。音楽業界だけに限らず、個人の時代。そこを生き抜くための力は、ここで身に着けることができます。実績がない人ほど、山口ゼミに入るべきだと思います。ゲスト講師として来ている音楽家を見れば分かるのですが、本当に幸せそうに仕事をしているのです。この職業は、本当に目指す価値があると思います。
伊藤:必ずしも、いま作曲をしている人だけではなく、普段DAWを使ってミックスなどをしている人にとっても、コーライティングに参加してみる価値は大きいし、コーライティングの中で大きな役割を担うことができるはずです。そこから自分のできることを少しずつ広げていくというのも一つの方法だと思います。
--ありがとうございました。
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