RØDEから、NTH-100というモニターヘッドホンが発売されているのは、ご存知でしょうか?RØDEといえば、NT1-AやNT2-Aといった定番のコンデンサマイクをはじめ、カメラに着けるガンマイクなど、マイクのメーカーというイメージがあると思います。なので、「なぜ、RØDEがヘッドホンを発売したの?」と疑問に持つ方もいるでしょう。
そもそも、RØDEのスタートは、レコーディングスタジオで使用されるコンデンサマイクであり、その後映像との関わりを持つガンマイクをリリースするなど、発展を続けてきました。そして、数年前からは音楽のみならず、映像や配信など、幅広いクリエイターに向けた製品の開発を積極的に行うようになっており、その流れで新しくモニターヘッドホンも開発したのです。そんなNTH-100はフラットな音質はもちろんのこと、高級車に使われるような素材アルカンターラを採用したり、RØDEが独自に開発をしたイヤーパッド内のCoolTechジェル素材による高い放熱性で、圧倒的な快適さを実現。数々の工夫が施されており、ハイコストパフォーマンスなRØDE NTH-100は、世の中のモニターヘッドホンを研究し尽くして作られたとのことなのです。実際どういったモニターヘッドホンになっているのか紹介していきましょう。
世の中のモニターヘッドホンを研究し尽くして開発された、圧倒的な快適を誇るモニターヘッドホンRØDE NTH-100
RØDEといえば、エントリーモデルの代表でもあるNT1(現行機種はNT1-A)ですよね。エントリーの定番なのでとりあえず買ってみたというケースは多く、RØDEがどんな会社なのか、国内ではあまり知られてないのも事実。なので、以前「意外と知られていない!? 定番のコンデンサマイク、RØDE NT1-A、NT2-Aが生まれた背景とその実力」という記事では、RØDEの成り立ちについて、その歴史を紹介しました。
定番のコンデンサマイクRØDEのNT1-A(左)、NT2-A(右)
そこにも書いてあるように、RØDEはオーストラリアのシドニーに拠点を持つオーディオ機器メーカーであり、そのRØDEを生み出した親会社、フリードマン・エレクトロニクス社は1967年設立なので、今年設立55年を迎えるという歴史のある会社。2000年には、最新の機械と技術に多大の投資。2000年初頭には、カメラ用のマイクとしてVideoMicが発売され、2008年にベストセラーと、映像の分野にも20年前から本格的に参加しているのです。
そして、近年ではマイク以外の製品開発も行っており、今回ピックアップするモニターヘッドホン以外にも、ワイヤレスシステムやポッドキャスト用のミキサーも開発。マイクメーカーから、もっと広い分野としてのメーカーに進化を続けているのです。そのためロゴも変更され、Microphones表記がなくなり、マイクカプセルを表すゴールドドットも大きく書かれることになったのだとか。
マイクだけでなく、総合的な業務機器メーカーへと進化する中、先日ロゴも変更した
そんなRØDEが新たに発売したNTH-100の価格は24,750円(税込)となっており、音質について詳しくは後述しますが、十分な性能を有しています。特筆すべき点は、装着の快適さであり、まずはこの部分から紹介していきます。
圧倒的な快適を実現するために工夫されているのは、ヘッドバンド、イヤーパッドの素材をはじめ、ハウジングの形、ヘッドバンドの機構……などなど。ハウジングは、三角形になっており、これが人間の耳にフィットする形になっているそう。
円形ではなく、耳にフィットするように三角形にデザインされている
ちょうど耳に当たる、イヤーパッドは、人それぞれ好みがあると思いますが、夏になると蒸れやすかったりするので、通気性のいい素材を選ぶ方が多いと思います。そんな通気性について、NTH-100はイヤーパッドの内部に独自素材の「CoolTech(クールテック)」というジェル入りクッションを採用することにより、高い放熱性を実現。また高級人工皮革Alcantara(アルカンターラ)を表面に使うことで、高い通気性を確保し、蒸れにくい状況を作っています。なので長時間装着できるということなわけですが、実際に装着してみると表面の肌触りがよく、ちょうどよくひんやりしていて、気持ちがいいのです。ほかのヘッドホンでは、見かけたことがないので、ナイスアイデアだなと感じました。
イヤーパッドの内部には、RØDE独自素材の「CoolTech™(クールテック)」を採用
またヘッドバンドには、イヤーパッドと同様に通気性・耐久性に優れた高級人工皮革Alcantara(アルカンターラ)を採用。これは高級車の内装にも使われている素材とのことなのです。ヘッドバンドも含め、一回装着しただけで、着け心地に関してトップクラスだということが分かります。
ヘッドバンドには、高級車にも使われる高級人工皮革Alcantara®(アルカンターラ)を採用
ケーブルなしの状態で、重量は約350gなので、ほかのヘッドホンと比べるとやや重めですが、それ以上に快適さについてのポイントが高いので、重量は気にならない印象でした。なお、装着時の側圧は、割としっかりしており、ドラムの演奏時に使ったりしても外れたりすることはないでしょう。
また、ヘッドバンドには、ロック機構が備わっており、一度決めたヘッドバンドの長さを固定することができます。FitLock(フィットロック)という名前の機構で、長方形のパーツを90度回すことで、ロックするかどうか選択可能。実はこのヘッドバンドの長さは重要な要素であり、フィット感によって聴こえ方が微妙に変わるので、エンジニアによっては毎回ヘッドバンドの長さを完璧に同じにする方もいるほど。一度ロックを掛けてしまえば、付け直したときの位置の調整がいらなくなるので、細かいながらも便利な部分ですね。
FitLock™(フィットロック)を使って、ヘッドバンドの長さを固定できる
そして、このヘッドホン、自宅やスタジオの使用のみならず制作現場の厳しい環境も想定しているそうなので、ヘッドバンドにはバネ用ステンレス鋼を使用し、2万回以上もの極圧試験に耐えた高い耐久性を誇っているのです。イヤーカップをつなぐワイヤーも25kg以上の力に耐えるよう設計。まさしくプロ仕様の堅牢な作りになっています。
ケーブルについては、ヘッドホン本体の左右どちらからでも接続できる、着脱式になっています。ヘッドホンの多くは、左からケーブルが出ていますが、たまに機材の位置関係で右からケーブルが出るといいな、と思うことありますよね。それを簡単に実現できるので、この点も嬉しいところです。ちなみにヘッドホン側の端子は3.5mmのロック機構付き。着脱式なので、断線時にも即座に対応することができますね。また、たまにケーブルを踏んだりして、過度にケーブルが引っ張れて、ヘッドホンが飛んでいったり、そもそもヘッドホンが壊れてしまったりした経験がある方もいると思います。それに対しNTH-100は、あえてケーブルに過度なテンションが掛かった際には、ケーブルが壊れるようにできているそう。ヘッドホンが壊れたら終わりですが、ケーブルの予備を持っていれば、ケーブル断線に対応できるので、かなり現場目線の仕様になっているなと感じます。
ちなみに、左右どちらにもケーブルを挿した場合、音源はミックスされます。つまり、片方にオケを流しながら、もう片方をギターアンプのヘッドホンアウトに繋いだりして、楽器練習の環境を簡単に作ることも可能。普通であれば、PCにオーディオインターフェースを繋いだり、ミキサーを挟んだりする必要がありますが、ほかの機材なしに音源をミックスできるのは、地味に便利なポイントですね。
さて付属品は、着脱式ストレートケーブル(2.4m)、収納ポーチ、6.3mmステレオ標準プラグアダプター、カラーIDリングセット(4色)という内容になっています。このカラーIDリングセット、以下の画像のようにケーブルの両端に装着することが可能。これにより、どのヘッドホンを使えばいいか意思疎通が行いやすくなりるので、特に複数のヘッドホン使うスタジオなどでは、重宝するのではないでしょうか。
また、別売りではありますが、1.2mのカラーケーブル5色が各3,960円(税込)で展開されています。ピンク、オレンジ、グリーン、ブルー、ブラックの5色で、カラーIDリングと同様にヘッドホンの識別に役立ちます。もちろん、好みでケーブルを付け替えられるという楽しみもありますね。ちなみに今後2.4mのカラーケーブルも発売される予定とのこと。
1.2mのカラーケーブル5色展開されている。自分好みにカスタマイズが可能
ここまで紹介してきたNTH-100。気になるのは音質ですよね。最初聴いてみて思ったのは、NTH-100は定番のモニターヘッドホンになりえるクオリティだということ。使用用途として向いているのは、スタジオでのボーカルや楽器のレコーディング時に本人が使うヘッドホン。また、それをモニターするエンジニア。映像系の収録時のモニタリングなどなど。全体的にフラットな出音で、歯切れのよさもあり、定位感もしっかりしています。音場が広すぎることもなく、スタジオユースとしての音質に仕上がっています。色付けもなく、スタジオの定番に置き換わろうとする姿勢が感じられます。
RØDEがいうようにミキシング、音声や映像の制作、ロケ先での録音、動画配信やゲーミングなど、あらゆる環境に使えるヘッドホンであり、音質だけでなく、細かい工夫も好印象でした。前述したように耐久性は抜群なのですが、万が一故障した場合でも、日本総代理店である銀一株式会社は正規流通品に限り2年間保証をしているので、安心して長く愛用することができそうです。
記事公開後、TwitterやFacebookなどを通じ、試聴できるお店はないかとの問い合わせを多数いただいたので、代理店に問い合わせてみたところ、現時点以下のお店で試聴できるとのことでした。
・銀一
銀一スタジオショップ
・島村楽器店
札幌パルコ店、新宿PePe店、津田沼パルコ店、梅田ロフト店、三宮オーパ店、金沢フォーラス店、名古屋mozoオーパ店、博多店……ほか
・イケベ楽器店
Power Rec、あなデジ、プレミアムギターズ
・e☆イヤホン
秋葉原店
・フジヤエービック
・ヨドバシカメラ
AKIBA店、新宿西口店など
・Rock oN
SHIBUYA
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