定番ドラム音源、Addictive Drums 2のラインナップが刷新。エンジンも改良され、より購入しやすい製品体系に

ドラム音源の定番中の定番である、XLN Audio社のAddictive Drums 2が昨年9月にラインナップを大きく刷新し、より購入しやすくなっていたのをご存じでしょうか？ソフトウェア自体の仕様やUI自体は従来から変わっていませんが、エンジン部分は随時アップデートされており、高品質化するとともに、最新版であればWindows 11、macOS 12 Montereyにも対応しています。

このAddictive Drums 2はその中枢となるエンジンのほかにドラムキットであるADpaks、MIDIビートパックであるMIDIpaks、シングルドラムであるKitpiece Paksなど、さまざまなラインナップから構成されているため、初めて導入しようとした際、何をどう選べばいいのか混乱してしまうケースもありそうです。そこで、ここでは現在のAddictive Drums 2のラインナップがどのようになっていて、どう選べばいいかを紹介してみましょう。

定番ドラム音源、Addicitive Drums 2の製品ラインナップが刷新され、より入手しやすくなった

Addictive Drums 2はスウェーデン・ストックホルムにあるメーカー、XLN Audioが開発・販売するドラム音源。以前「積極的な音作りもできるAddictive Drums2を使ってみた」という記事で紹介したこともありましたが、まさに音を作りこんで、自分だけのドラムキットにすることができる強力なドラム音源として、プロからアマチュアまで幅広く使われているソフトウェアです。

Addictive Drums 2のリリース当初からのユーザーとしても知られるTom-H@ck（@TomOshima_TH）さんがAddicitive Drums 2の活用解説動画を出しているので、どんな音源なのかを知るには良さそうですよ。

そのXLN AudioのAddicitive Drums 2、国内ではハイ・リゾリューションが輸入代理店として取り扱っており、楽器店でも各種ライセンスが販売されている一方、ハイ・リゾリューションからダウンロード購入も可能になっています。たとえば、「Addictive Drums 2 : Heavy Rock Collection」というヘビーにチューンナップされたロックドラムのセット製品の場合、

がセットになって、20,028円（税込み）という手ごろな価格。

Addicitive Drums 2 Heavy Rock Collectonには２つのADpaksと２つのMIDIpaksが含まれている

でも、ちょっと難しく感じてしまうのは、上記の製品構成。「Addictive Drums 2 : Heavy Rock Collection」という1つの製品を購入すると5つが入っているというけれど、それがどんな意味を持っているのか、特に初めての人だと分かりにくいところでしょう。簡単に説明するとAddictive Drums 2エンジンというのは、まさにAddictive Drums 2というソフト本体のこと。スタンドアロンでも起動できるし、VST2/VST3、AudioUnits、AAXと各種プラグインとしても使うことができ、これを使って演奏していくことができるのです。

ただし、このエンジンは、いわゆるサンプラー型のドラム音源であるため、サンプリングデータが入っていなければ、何も音を出すことができません。そして、どんなサンプリングデータを読み込ませるかによって、まったく違うドラムへと変身するのです。

そのサプリングデータがADpaksであり、先ほどの例でいうとBlack Velvetというアリーナスタジアムで演奏されるようなオルタナティブ / グランジロックに最適なドラム音源、そしてUnited Heavyという世界でも有数のドラムルームと言われる部屋でブティックなドラムキットを使ってレコーディングされたパワフルな音源の2種類が入っているのです。

必要に応じてドラムキットの内容を自由に差し替えることが可能

どちらを選ぶかによって、まったく違うドラムサウンドになるのですが、自由にカスタマイズ可能なAddictive Drums 2だから、スネアはBlack Velvetのものを使用しつつ、タムはUnited Heavyのものを使う…といった使い方も可能となっています。ちなみに、現在、そのADpaksのラインナップは、Black Velvet、United Heavyを含め、全部で21種類となっています。

ADpaksは現在21種類がラインナップされている

一方のMIDIpacksは、ドラムフレーズのデータ集です。ユーザーはDAWのMIDI機能を使ってドラムフレーズを打ち込んでいくことができますが、単純に打ち込んでもなかなかプロのドラマーが叩くようなフレーズはできません。そこで、まさにプログラマによる実際の演奏フレーズ集がMIDIpaksとして用意されているのです。Loud Beats & Songsは激しいヒットと正確なビートグランジからモダンロックにまたがる190以上のパフォーマンスを収録したもの、Heavy Beats & Songsはトップセッションミュージシャンによる演奏を200以上収録したもので、とくにUnited HeavyのADpakとマッチするように作られている、といった具合なのです。

ドラムフレーズ集であるMIDIpacsで、即、カッコいいフレーズで演奏でき、ドラッグ＆ドロップでDAWに反映できる

ここでは「Addictive Drums 2 : Heavy Rock Collection」を例に紹介しましたが、ほかにも「Addictive Drums 2 : Pop Collection」、「Addictive Drums 2 : Breaks & Beats Collection」など10種類と、「Addictive Drums 2 : Custom Collection」というものがラインナップがあります。

このCustom Collectionというのはまさにその名の通りで、自分の好きなADpaksとMIDIpaksを組み合わせることができるというもの。どれだけの数を選べるかによって3つの製品に分かれており、CustomはADpakとMIDIpakを3つずつ選ぶことができ、Custom XLは6つずつ、さらに、今回登場したCustom XXLは10個ずつとなっているので、ユーザーのニーズに応じて選択できる、というわけなのです。

好みのADpaks、MIDIpaksを自由に選べるCustom Collectionは、３つのラインナップがある

昨年9月までも、こうした組み合わせて買う方式ではありましたが、用意されている組み合わせが少なかったり、セットとなっているADpaks、MIDIpaksの数に違いがあったのですが、より購入しやすい形に進化した格好です。

ちなみに、現在も楽器店の店頭などには旧ラインナップの在庫が残っているケースがあると思いますが、もちろんこれを今購入しても、組み合わせの違いだけなので、まったく問題ありません。もし安く販売されていたりしたら、チャンスかもしれませんね。ダウンロード時には最新版が入手できるので、中身的にはまったく心配はいりません。もちろん、すでに購入し、インストールしている人も、専用インストーラーアプリであるXLN Online Installerを使うことで、いつでも無料でアップデート可能ですよ。

XLN Online Installerでインストールのし直しやアップデートも簡単

なお以前の製品体系と変わったことで、1点注意しておくべきことがあります。それは、以前のADpaksにはAddictive Drums 2エンジンが含まれていたのですが、現行製品には含まれていなこと。つまり、昔はADpaks単体を購入してもドラム音源として使うことができたのですが、現在のADpaksの単体製品はAddictive Drums 2ユーザーのための拡張音源という位置づけであること。ネット上での古い記事などは、昔の製品体系での情報となっていることがあるので、その点はご注意ください。

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