みなさんは、自分の音楽作品をどこにアップロードしていますか?YouTubeやニコニコ動画、TikTok、Twitter、Instagram…など、発表する場所はたくさんあるので、それぞれ使い分けている方も多いと思います。そんな中、音楽に特化していて、iPhoneのアプリ内だけで簡単レコーディングできたり、ほかのアーティストとコラボレーションもできるJamStarというiPhone/iPad対応の無料iOSアプリがあるのですがご存知でしょうか?
JamStarは、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が運営しており、楽曲をアップロードできるのはもちろんのこと、ここにアップされた楽曲をソニーミュージックの新人開発スタッフがチェックすることで新人発掘・育成の場としても活用していきたいと考えているそう。ソニーミュージック所属のアーティストとコラボできたり、今後オーディションが開催される予定もあったり、となかなか面白いことになっているのです。実際にJamStarを試してみたので、これがどういうアプリなのか、どんな狙いがあるのかなど、紹介してみましょう。
楽曲をアップロードしておくとプロデビュー!?スマホひとつで録音・投稿・コラボができるJamStar
JamStarは、演奏や歌をレコーディング&シェアして楽しくつながるために作られた無料のiPhoneアプリ。ほかの人がアップロードした楽曲を聴いたり、自分の歌や演奏をシェア・コラボしたり、バンドメンバーだけでクローズドに使えるグループ機能が付いているので、オンラインで楽曲をみんなで作っていくことがが可能で、ミュージシャンのためのコミュニティーともなっている場です。
このJamStarは、初心者でも使えるDAWというかMTR的なものであり、ここにはレコーディング機能が備わっているのはもちろん、トータル8トラックまでの録音が可能で、エフェクトやミキサーも装備。またレコーディングしたトラックのテイク選択機能があったり、A-B間を指定して繰り返し録音ができるパンチイン/アウト的なことができたり……など、まさにDAW的にストレスなく、そして誰でも簡単にレコーディングできる機能が充実しています。
いつでも録音・シェア・コラボを楽しむことができるアプリJamStarの紹介動画がオフィシャルから出ているので、これを見てみるとどんな雰囲気なのか分かると思うので、ぜひご覧ください。
いかがでしょうか?ウェブサイトからは、ほかの紹介動画も見れるので、時間のある方は見ていただきたいのですが、動画にもあったようにiPhone1台使って1人でも楽器を演奏してトラックを重ねていくことができるのは面白いですよね。ちなみにPCでウェブサイトにアクセスするとアップロードされている楽曲は自由に試聴することが可能です。実際に聴いてみるだけでも、どんな感じでみんな楽曲を演奏していたり、歌っているのか参考になると思いますよ。ただ現在レコーディングやアップロードとった操作はiPhone/iPadなどのiOSデバイスのみの対応となっています。
PCからブラウザでアクセスすることで、いろいろな楽曲を試聴可能
さて、JamStarという名前や、この画面を見て、「おや?」と思う方もいるかもしれません。そうこのJamStar、以前Jam Studioという名前でソニーからリリースされていたもので、DTMステーションでも何度か紹介したことがありました。
2017年にソニーからリリースされてサービスを開始したJam Studioは、多くのミュージシャンが集まる場となっていきましたが、運営主体をソニーミュージックに引き継ぐとともにJamStarと名称を変更、サービス内容をブラッシュアップして2021年10月12日に再リリースされたのです。それにともないUIも刷新され、よりポップなデザインになっています。
では、そのJamStarの機能について見ていきましょう。最大のポイントは、ステレオ8トラックまでのレコーディングが可能で、高音質でレコーディングできるとともに、最長で10分まで曲が作れるところ。レコーディングでは、iPhoneやiPadのマイクに直接歌い、その後JamStarに内蔵されているエフェクトを使って加工することが可能。コンプ、EQ、リバーブといったエフェクトが搭載されていて、「エフェクトの使い方がよくわからない……」という人でも扱いやすいように、プリセットも用意されているのは嬉しいところです。
レコーディング時には複数トラックを残しておけるので、ベストなテイクをチョイスしてOKテイクを選択したり、A-B間を指定して繰り返し録音ができるパンチイン/アウト的な機能も備えています。ミキサー機能では、オリジナルの各トラックとのバランスを調整できるので、自分の歌いやすいボリュームに整えることができますよ。
ちなみにWAVファイル、AIFF、MP3といったファイルをJamStarに読み込むことも可能。レコーディング画面にある 「ファイルの読み込み」ボタンをタップすることでステレオの音源がそのままアップロードができます。実際にボタンを押してみると、音楽データが入っている場所を選択できるので、目的のファイルを選べば読み込み完了。
なおPC内のWAVファイルなどをUPする場合は、iCloud経由かLightnigケーブルで接続し、オーディオファイルをiPhone/iPadに転送しておく必要があります。この際に「iPhone/iPadとPCとの連携をスマートに行うiMazing。Googleフォト容量無制限の有料化への対策としても便利だった」や「使い勝手の悪いiTunesやミュージックアプリはさようなら。iPhone/iPadとの連携で圧倒的に自由度の高いiMazing」という記事で紹介した、iMazingを使うと簡単にファイルのやり取りができますよ。
アップロードする際は、もちろんミックスした状態で1トラックにアップロードするのもいいのですが、ドラム、ベース、ギター、キーボード……など、各パートに分けて、JamStar上でミックスできるようにしておくのもあり。するとその曲を気に入ったギタリストがギターパートだけミュートして生演奏で置き換えてくれる、といったほかのユーザーとのコラボが始まるかもしれないですよ。
各パート分けてアップロードしておけば、誰かがコラボしてくれるかも
そんなほかのユーザーとのコラボレーションは、アプリ上で楽曲をタップすると表示されるコラボレーションボタンを押すと、トラックのダウンロードがスタートし、完了するとレコーディングの画面が表示されるので、ここから楽器を演奏したり、歌ったりしていきます。ここのレコーディングでは前述の通り、複数テイクが残せるのでベストテイクをチョイスしたり、A-B間を指定して繰り返し録音ができるパンチイン/アウト的な機能を使ったりすることができます。
ゼロからレコーディングしたり、コラボした後は、次のページで、ソング情報の入力画面に移るので、カバーかオリジナルかの選択、ソングタイトル、アーティスト名、ソングの説明…などを入れていきます。またとりあえず保存はしておきたいけれど、人には聴かれたくない…というのなら、非公開でアップロードすることも可能。もろもろの設定が終わったら「アップロード」を押すことで、ロード画面に移り、しばらくすればアップロード完了です。
手軽にレコーディングできて、簡単にコラボできるのは、なかなか面白いですよね。歌で参加するのはもちろんのこと、DAWでオケを作ってアップロードしていったりするのも楽しそう。また、公式が用意したOfficialコラボもあるので、ここに参加してみるというのもいいと思います。曲によっては、マルチトラックで公開されているので、各トラックごとにどんな音が鳴っているのか聴いてみるだけでも発見があったりしますよ。
ここまでは、コラボしたり、ゼロから録音したり、楽曲をアップロードしたり……、JamStarの基本機能的なところでしたが、実はJamStarにはバンドに使うのに便利な機能も搭載されています。冒頭で少し書きましたが、グループという機能があり、これは完全クローズドで使える機能で、バンドメンバーなど、仲間同士だけでやりとりできる場所となっています。
ここで何ができるかというと、JamStarでレコーディングしたデータやアップロードしたデータをグループに招待した人だけが、試聴、編集、トラック追加などの操作を行えるのです。たとえば、バンドのオリジナル曲のモックアップをここで作っていったり、コーライティング用の場として使うというのもあり。アップロードしたデータはすぐに反映されるので、バンドメンバーや友達と離れていても、電話しながらオンラインで楽曲制作が可能なのです。もちろんこの機能も無料で使うことができるので、この機能目当てでJamStarを使うユーザーも多そうです。
普通に使っても楽しそうですし、バンドで使っても便利な機能が付いている上、楽曲をアップロードしておくと、それがキッカケ新人開発スタッフの目に留まるという、なかなか見かけないサービスだったと思います。今後は、JamStarを使ったオーディションも開かれるようなので、もっと盛り上がっていきそうです。ニコニコ動画やYouTubeのように単に公開を目的とするだけでなく、音楽仲間を広げ、そこで出会った人たちとコラボレーションしていくことができるのが何よりの魅力であり、面白さだと思います。一度JamStarをダウンロードして試してみてはいかがでしょうか?
【ダウンロード】
App Store ⇒ JamStar
【関連情報】
JamStarサイト