本日、2月16日、Native Instrumentsから新しい音源、Session Bassist Prime Bassが13,400円で発売されました。これは、これまで発売されてきた人気ギター音源のSession Guitaristシリーズのベース版で、記念すべき1作目の製品となっています。NIのホームページによると、1981年アメリカ製チェリーサンバースト塗装のソリッドボディベースをサンプリングした世界で最も敬愛されるエレキベースのサウンドを再現した音とのこと。見た目からも、某F社のPなんとかだな……って分かりますよね(笑)。
インストール容量が8.72GBとかなりボリューミーではありますが、Session Guitaristシリーズ同様に、一切ベースが演奏できない人でもプロベーシストのような演奏を簡単に実現できるのが特徴。ここには350種のパターンを収録されているので、細かく打ち込まずにも、指一本でリアルな表現が可能となっているのです。またキースイッチで操作できる表現力の高いアーティキュレーションが収録されているので、リアルタイムにカッコいい演奏をしていくことができるのです。ちなみにPrime Bassは、Windows、Macで利用可能なKONTAKT音源。Session Bassistの1作目ということもあり、かなり幅広い音楽ジャンルで、独自のベースラインやソロメロディをはじめ、フィンガー、ピック、スラップ、ハーモニクス…などの演奏技法を組み合わせながら、ベースラインを奏でることができます。実際どんなものなのか、Prime Bassを紹介していきましょう。
Native InstrumentsからSession Bassist Prime Bassがリリース
まずは、Prime Bassを使ったMP3でのデモソングがNative Instrumentsのサイトにあるので、このサウンドを聴いてみてください。
いかがでしょうか?どう聴いてもベーシストが演奏したようなサウンドになっていますよね。さまざまな演奏技法が使われていますが、Prime Bassの特徴を前面に打ち出したサウンドに仕上がっています。
KONTAKT上で起動するSession Bassist Prime Bass
冒頭でPrime Bassは、KONTAKT音源と書きましたが、これについて簡単に説明しておきます。KONTAKTはサンプリングされた音を再生できる、一般にプレイバックサンプラーと呼ばれるソフトウェア音源で、最新版はKONTAKT 6.7。ゲーム機にゲームカセットを入れるといろいろなゲームができるように、KONTAKTにライブラリを読み込むことによってさまざまな音色を鳴らす音源に変身してくれます。しかも、単にサンプリングした音を鳴らすというだけでなく、さまざまなUIを実現し、さまざまな音作りやアーティキュレーションを実現できるのもポイントで、同じKONTAKT上で動作していながらも、まったく違うソフトに見えるのが面白いところです。たとえば、ハードウェアシンセサイザをサンプリングしたライブラリやストリング、ピアノ、民族楽器のライブラリ……など、その種類は非常に多くあり、どのライブラリを読み込むかによって、その音色はもちろん、機能やUIが変化するのです。
Prime Bassはアメリカ製ソリッドボディベースをサンプリングした音源
そのライブラリとして、今回Session Bassistシリーズの第1弾となるPrime Bassがリリースされたわけです。冒頭でも振れたとおり、おそらくはFenderのPrecision Bassをサンプリングしたものと思われます。Session Bassistシリーズは、これが初めての製品ではありますが、これまでギター版Session Guitaristシリーズはいくつかリリースされており、ユーザーから高い評価を受けてます。たとえば、レスポールタイプのギターを元にしたElectric Sunburst、1973年製のMartin 00-21をモデルにしたPicked Acoustic、1934年製Martin 0-17とGuild F-412をモデルにしたStrummed Acoustic 2などがあります。以前「50年代モデルのギターサウンドを再現するNative Instruments、Session Guitarist Electric Vintageの実力」という記事で、テレキャスを元にしたと思われるElectric Vintageを紹介したこともあるので、ぜひチェックしてみてください。
Fenderのテレキャスターの50年代モデルをベースにしていると思われるSession Guitarist Electric Vintage
このPrime Bassを動かすためには、KOMPLETE 13以上のグレードにも入っている最新版のKONTAKT 6.7もしくは無料で入手可能なKONTAKT 6.7 Playerというプラグインソフトをインストールしておく必要があります。無償版のKONTAKT PlayerとKONTAKTの最大の違いはKONTAKTでしか読み込めないライブラリがあること。とくにフリー版のライブラリなどは通常、KONTAKT Playerに読み込めないので、この点だけみてもKONTAKTを導入する価値はあります。
無料のKONTAKT 6 Playerは機能制限があるが、Prime Bassを動かすなら機能・性能差はない
ちなみに、現在KONTAKT 6の半額セールも実施中なので、もしKOMPLETEを持っておらず、このタイミングでPrime Bassの導入をするのであれば、セットで購入しておくのもよさそうです。以前、セール展開をしたとき「業界標準サンプラーKONTAKT 6が半額セール開催中!音楽全般に使える万能ソフトウェア音源を格安で入手するチャンス」という記事でも紹介したことがありましたが、単にプレイバックサンプラーというだけでなく、結構多くの音源もセットで入っているので持っておいて損はないはずです。
KONTAKT 6にはKONTAKT FACTORY LIBRARYなど、多くの音源がセットで収録されている
もっともPrime Bassを使うだけが目的であれば、KONTAKTでもKONTAKT Playerでも機能、性能に違いはありません。いずれもWindowsおよびMacのスタンドアロンで動作するほか、プラグインとしてVST2、VST3、AAX、AU(Macのみ)で動作するようになっています。ちなみに当然ながら、今回新たに登場したPrime BassはKOMPLETE 13シリーズの中には入っていません。それは最上位のKOMPLETE 13 ULTIMATE Collector’s Editionでさえも未収録なので、KOMPLETEユーザーであっても別途購入することが必須となります。
さて、実際にKONTAKT上でElectric Vintageを読み込むとGUIが現れ、ここでさまざまな操作、音作りができるようになっているので、どんなことができるのか以下のYouTubeの機能紹介ご覧ください。
Prime BassのライブラリをKONTAKTに読み込むとMELODYやPATTERNというものが表示され、これに応じたMIDIキーボードの鍵盤を押すと、それだけで演奏がスタートするようになっています。聴いてみると、まさにベーシストが演奏しているようですね。Prime Bassは、パターン専用のインストゥルメントと、メロディとパターンを自由に組み合わせられるインストゥルメントの2つが収録されています。この2つのインストゥルメントを使って、さまざまな演奏スタイルや演奏技法を表現可能。
メロディとパターンを組み合わせてベースの演奏ができる
またPrime Bassには81のソングプリセットがあり、ここには350種類を超えるパターンが用意されています。ジャンルタブから、よさそうなプリセットを選んだら、MIDIドラッグ&ドロップ機能で簡単に自分の楽曲のピッチに合わせることが可能。またアクセントの位置を変えて、ノリを強調したり、スウィングさせたりしてグルーヴを楽曲に取り入れることもできます。ループ音源では、こういったことが難しかったりするので、これは大きな特徴ですし、使い勝手がかなりいいと思います。
また、フィンガー、ピック、スラップ、ポップス、オープン、ミュート、クロマチックデッドノート、ハーモニクスなど、あらゆる演奏スタイルに対応するアーティキュレーションを備えており、ハンマーオン、プルオフ、フレットノイズが自動的に加えられるので、かなりリアルなベースサウンドを鳴らすことができます。低い音程から高い音程に向かうレンジの広いスライドの再現も可能で、本物のベースさながらの表現が可能です。
さまざまなアーティキュレーションを備えており、幅広い表現が可能
もちろん、ベース自体の音色をいろいろといじっていくことも可能です。Bass Settingsというタブを開いてみると、D.I.SIGNAL、MIC 1、MIC 2、DAMPING、TUNINGといった項目が用意されており、これらのパラメータを動かすことで、ベースサウンドは変化していくし、もちろん予め多くのプリセットも用意されています。
ベース自体のサウンドをエディットしていくこともできる
一方、アンプやエフェクターも充実しており、ビンテージモデルのトーンコントロールを調整、トランスと真空管のサチュレーションを加えて、定番ベースが持つ個性を存分に引き出すとのこと。2つのマイクの音をミックスしたりすることもでき、本格的なレコーディング環境のようなものも再現しています。アンプ類は、ギターアンプが2つ、キャビネットが13個、KONTAKT 6.7に新しく追加された2つのベースアンプ、Bass InvaderとBass Proが用意されています。またビンテージコンプレッサー、スタジオEQ、リバーブ、ディレイ…など19種類のエフェクトが搭載されているので、音作りも自由。
Prime Bassは、サンプリング音源であるものの、アンプを通して鳴らした音がサンプリングされているというわけではなく、ベースの音そのものがサンプリングされており、そこにアンプ、キャビネット、エフェクトなどを通すことで、本物のベースサウンドが鳴るようにできています。揺れのある人間らしい演奏ができたり、バッチリ決まった演奏ができたり、操作は簡単なのにも関わらず、いろいろな表現ができるのがPrime Bassというわけです。
必要の応じてアンプやキャビネットを交換したり、各種ストンプエフェクトを追加していくこともできる
説明しきれない部分もありますが、まずは概要としてPrime Bassを紹介しました。誰でも簡単にイケてるベースを演奏できてしまうのに13,400円なのは、安いなと感じますね。Session GuitaristシリーズのようにSession Bassistシリーズのラインナップは、今後充実していきそうですから、すごく楽しみですね。
【製品情報】
Session Bassist Prime Bass製品情報
※2022.2.18追記
以下のスケジュールで、このSession Bassist Prime Bassを特集するYouTube/ニコニコ生放送番組、DTMステーションPlus!の配信を行います。ここでは、Prime Bassの魅力をじっくりとお伝えしていきます。お楽しみに!
DTMステーションPlus! 第191回
特集:Native Instrumentsが放つ重低音なサウンドのベース音源、Prime Bass
【ニコニコ生放送】https://live.nicovideo.jp/watch/lv335790413
【YouTubeLive】https://youtu.be/mIrCAtsvuYs