カシオが1980年代~1990年代に開発してきたデジタルシンセサイザについて、これまで5回に渡ってDTMステーションの記事で取り上げてきました。具体的には1980年に発売されたカシオートーン201に搭載された子音・母音音源システム、CZ-101などに搭載されたPD音源、VZ-1などに搭載されたiPD音源、CTK-1000などに搭載されたiXA音源、そしてSK-1に代表されるサンプラー/PCM音源…という歴史でしたが、そこから20年の時を経て、ついにカシオがまったく新しい音源方式のシンセサイザを発表するようです。
過去5回の記事のインタビューの中でも、新しい方式のシンセサイザを開発している……という話を聞いてはいたのですが、詳細については、いまひとつハッキリしないまま今日に至っていました。しかし、昨年末にカシオの英国サイトにおいて「Are You Ready?」というページを公開するとともに、新製品に関するティザー広告ビデオを3本公開してきているのです。ビデオ内にはJANUARY 2022という表記があり、新製品発表が間近であることを匂わせています。
※1月12日追記
カシオの英国サイトにおいて1月20日という表記が追加されたため、発表は1月20日(日本時間だと1月21日の可能性も)とみられます。
カシオが2022年1月中に、新音源方式のシンセサイザを発表する!?
その第1弾のビデオが公開されたのは昨年12月9日。Casio Music UKのYouTubeチャンネルにおいて以下のようなビデオが登場したのです。
この時点ではAiX SOUND SOURCEなるロゴ表記があるくらいで、これが何を意味するものなのか判然としませんでした。続いて12月23日に公開されたビデオがこちらです。
このときも、やはりよく分からなかったのですが、「CHECK IT OUT」という文字表示とともに、ボコーダーっぽいボイスで「CHECK IT OUT」と歌っているあたりが非常にきになるところ。そして、最後には第1弾と同様に「Are You Ready ?」と言っているのですが、そういえばこれもボイスサウンドです。
そして、さらに踏み込んだ第3弾のティザーが本日、公開されました。
今度は歌っている歌詞が表示されていませんが、タイトルから見ても「Do you hear the music ?」と、やはり合成音っぽい声で歌っています。そして、ビデオのバックには影で隠されて、ハッキリは分かりませんが、61鍵盤と見えるシンセサイザが映し出されています。これが、その新製品のようなのです。その第3弾ビデオの最後にもJANUARY 2022という日付と「ARE YOU READY ?」という文字ともにロボットボイス。
1月といえば、楽器メーカーにとっては特別な月。そう、毎年、米アナハイムのコンベンションセンターで世界最大の楽器の展示会、NAMM Showの行われる時期。しかし、今年はコロナ禍の影響により、6月に延期が発表されることが決まっており、1月には開催されません。ただし、1月20日、21日に、「NAMM BELIEVE IN MUSIC」というオンライン限定でのNAMM Showが開催されるので、この辺りのタイミングでの発表というのは考えられそうですね。もっとも日本時間においては21日か22日ということになりそうですが……。
では、具体的にどんな製品なのか。現時点で、詳細は分からないものの、この半年間、カシオへの取材を続けながら聞いた情報と、今回のティザーを元に考えると、おそらくは歌声合成・音声合成に関するシンセサイザではないか、と。
実は、1980年代、1990年代のカシオのデジタルシンセサイザを開発したレジェンドである岩瀬広さんにお話しを伺ってきた中、2020年に特許取得をした技術をベースに製品開発をしている、という情報は得ていたのです。
調べていると、「電子楽器、電子楽器の制御方法、及びプログラム」として
という2つの特許をカシオが取得し、その情報が公開されているんですよね。その代表図面として公開されているものがこちら。
これを元に考えると、いろいろな機能が想像できるものの、ここであまり具体的に憶測をしてしまうと、問題が生じそうな気もするので、自粛します。が、特許情報自体は誰でも見ることができるので、ぜひチェックして想像を膨らませると楽しそうです。
もちろん、私のほうでも引き続き情報収集を続けるとともに、詳細が判明し次第、記事にしていこうと思うので、まずは近いうちに来るであろう正式発表を心待ちにしたいと思います。