これまでにない画期的イコライザをEventideがリリース。新技術で狙った音を作れるSplitEQが1月3日までイントロセール中

先日Eventideから、これまでにない画期的なイコライザー、SplitEQが発売されました。Eventideが開発したStructural Splitテクノロジーを搭載したことで、予めトランジェント(TRANSIENT)とトーナル (TONAL)に分割した上で、それぞれの成分にイコライジングが可能になっているのが大きな特徴です。これによってギターのピッキング音を抑えつつも高音域の煌びやかな部分を強調したり、音を前に持ってきたり、後ろにしたり、繊細にコントロールすることが可能になったのです。従来、これと同様のことを行うにはトランジェントデザイナーやディエッサー、ダイナミックEQ、マルチバンドコンプ……などさまざまなエフェクトを組み合わせるとともに、熟練したスキルが必要でしたが、SplitEQの登場により、ワークフローが単純化できるだけでなく、1つのプラグインでスムーズに狙った音に作れるので、初心者でも精度の高い音を作ることが可能になったのです。

リリースと同時に、国内でもプロを中心に話題となっているSplitEQですが、トランジェントとは何か、トーナルとは何かなど、分かりにくい面もあるので、その点も含めてSplitEQの使い方や、その効果を紹介していきましょう。なお、このSplitEQ、発売記念として2022年1月3日までイントロセールが実施されています。通常価格19,470円(税込)から約45%OFFの10,780円(税込)で販売されているので、早めに入手しておくのがよさそうです。

これまでにない画期的イコライザをEventideがリリース。新技術で狙った音を作れるSplitEQ


SplitEQを開発したEventideは、アメリカに拠点を構えるデジタル・オーディオ・プロセッシングの老舗的メーカー。これまで数多くの名器を開発し、世界中のアーティストが愛用してきました。たとえば、1972年に発売されたフェイザー、Instant Phaserは、Tod d Rundgren(トッド・ラングレン)が愛用してきたことで知られているほか、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)の「Kashmir」や「Presence」で使われてきた機材として知られています。また1976年発売のInstant FlangerはDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)の「Ashes to Ashes」、Cyndi Lauper(シンディローパー)の「Time After Time」などに使われてきた名機。さらに1976年に発売されたハーモナイザー、H910に代表される同社のビンテージ製品を、最近は自らプラグインで再現し、誰でも手軽に使えるようにしていたりしています。

1976年に発売されたハーモナイザー、H910をプラグイン化したもの

そんなEventideが今回リリースしたのは、ビンテージ機材をシミュレートしたプラグインではなく、オリジナルのプラグインとなっています。使ってみる前はSplitEQと名前からイコライザーの側面が強いものだと思っていましたが、実際に使ってみるとトランジェントデザイナーのような機能も搭載しており、これまでになかったプラグインに仕上がっていました。

先日新たに発売されたEventideのプラグイン、SplitEQ

そもそもトランジェントとは、一言で説明すると、音の輪郭です。ギターやベースのピッキング、スネアドラムをスティックで叩いたときのバチッという音、ピアノを弾いたときの打鍵音……など、アタックとはまた違った、その楽器を特徴付けるもの。現代では、トランジェントをコントロールするためのプラグインとして、トランジェントシェイパートランジェントデザイナーと呼ばれるプラグインが複数ありますが、SplitEQはそれらとまた違ったアプローチをする製品となっています。

SplitEQの最大の特徴は、TRANSIENT(トランジェント)とTONAL(トーナル)というパラメータが搭載されている点。TRANSIENTは、前述の通り楽器を弾いた瞬間の音をコントロールすることができ、TONALではトランジェント以外の持続音、サステイン、倍音、共鳴音などをコントロールします。たとえば、従来のEQを使ってスネアの高音域をブーストした際に、一緒にトランジェント部分が持ち上がってしまって、耳障りなサウンドになってしまうケースも、SplitEQであればトランジェントとトーナルを分割して調整できるので、狙った音にアクセスすることが可能なのです。文章だけでは、少し伝わりにくい部分があると思うので、どんな効果が得られるのかは公式の動画では説明しているので、ぜひご覧ください。

グリーンのハンドルでTRANSIENTを操作して、ブルーのハンドルでTONALを操作できるわけですが、なによりも操作性に優れていて、直観的に使えるのは嬉しいところです。グレーのハンドルでは、TRANSIENTとTONALを同時に動かすことができるので、従来のEQのような使い方も可能ですし、TRANSIENTとTONAL別々で設定できるハイパスとローパスも搭載しています。SplitEQは、これ1つで何役もこなせるので、PCへの負荷も減らすことができますし、これまでの環境よりも圧倒的に簡単に音作りを行うことができます。

グリーンのハンドルでトランジェントを調整可能

また、それぞれの周波数帯域のステレオ感を調整することもできるので、低音域成分の多いキックのステレオ感を狭めてモノラルにしたり、シンバルといった高音域成分の多い音色のステレオ感を広めることも可能です。ストリングスの高音域部分のステレオ感を広めるといった手法は、よく使われてたりするので、これがSplitEQでもできます。だたほかのプラグインと違うのは、やはりトランジェントとトーナルを別々に処理できるので、左右に広げたいけど、トランジェントがある部分をぼかしたくない場合など重宝しますよ。

ステレオ感を調整することもできる

全体のパラメータとしてはシンプルなのにも関わらず、技術力と発想力で、便利すぎるところが多いので、今後の必需品となってきそうなSplitEQ。より細かくカスタマイズすることも可能で、トランジェントとトーナルのすみ分けをコントロールすることもできます。よく使われる楽器に関しては、プリセットも用意されており、ピンポイントを調整していくことも可能。

トランジェントとトーナルのすみ分けを微調整できる

トランジェントとトーナルをソロにしてモニターできるので、細かい確認をすることもできます。

トランジェントとトーナルをソロにしてモニターすることも可能

使用例としていくつか挙げるとすれば、まずはアコギに使う場合に高音域にあるキラキラした部分を持ち上げたいのにピッキング音が一緒に上がってしまって、耳障りな音になってしまう際に、TONALを上げることで倍音部分をきれいにブーストすることが可能。これについても、これまではさまざまなエフェクトを使って処理していたので、手間が省けるのはもちろん、位相など考慮すべきところが多かったことが少なくなり、いい音へのアプローチが簡単になりました。

アコギに使用してみた

ドラムの音作りでは、パーツの音作りに使えるのはもちろんのこと、2mixになっているドラムのループでもSplitEQは活躍します。ハイハットの鳴りがうるさい場合にTRANSIENTとTONALをコントロールして抑えつつ、なおかつスネアのトランジェント感を失わずに音作りができます。キックに関してもトランジェントをもっと強調したいけど、胴鳴はそのままにするといった使い方もできますね。

2mixのドラムに使ってみた

プリセットも150種類以上用意されているので、まずはここから試してみて、たとえばボーカルならどのように使っていったらいいかなど、参考にすることもできます。実際に使ってみた感想としては、プロが今後愛用している場面を多く見かけそうだな、ということ。また初心者でも、作曲をして、ミックスを自分でするのであれば持っていて損はないだろうと思いました。

150種類以上のプリセットが用意されている

なお、冒頭でもお伝えしたように現在イントロセール実施中なので、2022年1月3日まで、通常価格19,470円(税込)から約45%OFFの10,780円(税込)で販売されています。また日本国内正規販売店での購入* 限定で、日本語翻訳版マニュアルのPDFダウンロードリンクがついてくるそうです。(* Eventide日本正規代理店であるタックシステム株式会社が輸入・サポートを行なっている製品 )

以上、SplitEQを紹介しました。ミックスや音作りをする際に必需品とされているものにすぐに仲間入りを果たしそうなプラグインでしたね。SplitEQは、30日間無料で使える体験版も用意されているので、ぜひこの機会に試してみてはいかがでしょうか?

【製品情報】
SplitEQ製品情報

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