Cubase 12は2022年春ごろに発売。USBドングルは廃止され、自由度の高いログイン認証形式に変更

毎年11月に新バージョンがリリースされるSteinbergCubase。今年はCubase 11.5が発売されるもの、と思い込んでいましたが、今年に限りちょっと状況が違うようです。11.5というバージョンはリリースされず、来年春ごろをメドにメジャーバージョンアップとなるCubase 12がリリースされることがSteinbergから発表されました。

そのCubase 12における最大のニュースともいえるのが、長年使われてきたCubaseのUSBドングル、Steinberg Keyが廃止され、Steinberg Activation Managerを使ったログイン認証形式になるということ。これでドングルを紛失してしまうリスクや、ドングルを忘れて使えないという心配、そしてドングルが壊れて使えなくなる……といったトラブルから解放されることになるわけです。また、Cubase 12が2022年春ごろにリリースされるというニュースが発表されたのに伴い、本日11月10日よりグレースピリオドがスタートされることになりました。つまり、これからのタイミングでCubase 11を購入すれば、無料でCubase 12が入手できるというわけです。現時点で分かる情報を少しまとめてみましょう。

※2021.12.17追記
昨日、Steinbergから以下のアナウンスがありました。それに基づき記事の一部を修正しました。

お客様から寄せられたご意見を元に、私たち Steinberg は当初の方針を変更いたしました。以前、30日毎にインターネット経由でSteinberg Licensing サーバーに接続する必要があるとしておりましたが、一度アクティベーションを完了させた後はサーバーへの接続を不要としました。また、シングルユーザーライセンスでご利用になれるコンピューターの最大数を2台から3台に拡大いたしました。

Cubase 11.5ではなく、来年春ごろにCubase 12がリリースされることに!

幕張メッセでInter BEEが開催されるタイミングでCubaseの新バージョンが発表されることが恒例になっていたので、そろそろ来るぞ…と身構えていたところ、次期バージョンは例年通りではなく、来年春ごろになる、という情報が入り、ちょっと気が抜けたところでもあります。ただ、Cubase 11.5というマイナーバージョンアップではなく、Cubase 12へとメジャーバージョンアップとなることが確定したため、もしかしたら、また解説書を書く必要があるのかも……と別の緊張感が走っているところでもあります。

Cubase 12の新機能などについてはまだ判明していない。画面はCubase Pro 11

実は、現時点、DAWそのものとしてのバージョンアップ内容に関する情報はまったく入手できておらず、どんな機能が追加されるのか、どんな機能強化が図られるのかについてはハッキリしないのですが、一つ確定しているのがライセンス管理システムが大きく変わる、という点です。

昨年5月、SteinbergがTwitter上で、以下のような情報発信をしていたのをご存じでしょうか?

これに続くツイートで、ドングルを廃止することを明言していたのですが、今回のCubase 12において、それを実施することが決まったのです。

Steinbergチームは、本日、以下のようなコメントを発表しています。

私たちはeLicenserシステムから、新しいSteinberg Licensingシステムへの移行を開始しています。今後Steinber のソフトウェア製品は、メジャーバージョンアップ毎に Steinberg Licensingへ切り替えて参ります。
Steinberg Licensing は、これまでより遥かに便利で柔軟性に富み、皆様のSteinberg ソフトウェアをより新しくパワフルに使えるライセンス管理システムです。たとえば、シングルユーザーライセンスでも2台のコンピューターで製品をアクティベートでき、スタジオと外出先の両⽅で使えるようになります。
USB-eLicenserを出先に持ち歩く必要もなく、Steinberg IDにログインすればダウンロードしたソフトウェアもすぐに使えるようになります。

これは誰にとっても朗報。これでドングルを忘れる心配や紛失する心配、壊れてしまう心配から解放されるわけだし、1つのライセンスで32台まで使えるようになるというのも嬉しいところ。自宅と職場などの32か所で使っている、ノートPCを持ち運びながら使っている……という人も多いと思いますが、これならドングルを持ち歩く必要もなくなるので、圧倒的に使いやすくなりますね。

Cubase 12においてはUSBドングル=Steinberg Keyは使われないことになった(旧バージョンについては従来通りの形)

気になるのはライセンスをどのように新しいSteinberg Licensingに移行するかですが、Steinbergによると

Steinberg Licensingでは、お客様はご購⼊のソフトウェアをダウンロードし、Steinberg ID にログインするだけですぐに使用を開始することができます

とのことで、とくにユーザーはライセンスの移行などの作業をするは必要なさそうです。Steinberg ID自体はCubaseユーザーであれば、みなさん持っているはずなので(基本的にはメールアドレスですね)、インターネット接続環境において、そこにログインするだけでOKというわけです。ただし、Steinberg Licensingで管理されるライセンスはCubase 12以降になるため、11以前のバージョンを使う場合は、従来通りドングルが必要となります。

従来のライセンス管理システムであるeLicenser Control CenterからSteinberg Activation Managerへ切り替わる

また新しいSteinberg Activation Managerというソフトウェアを用いてライセンス状態を確認することができるようになるそうです。これはCubase 12など、今後、Steinberg Licensingを採用するソフトウェアをインストールする際に自動的にインストールされるようになるので、まさに従来のeLicenser Control Centerからこれに切り替わるわけですね。

でも、中には「スタジオにあるPCは、セキュリティー対策のため、あえてネット接続はさせていない」、「ノイズを極限まで減らしたいという考えからネット接続はしていない」という人もいると思います。そうした方でも使えるように、一度アクティベーションを完了させた後はサーバーへの接続は不要ログインしてアクティベートしたのち、30日間はネット日接続でも使用することが可能になっている、とのこと。その意味ではアクティベート時だけはネット接続が必要とはなるものの、通常はネットを切断していても問題はないようです。

ただ、どうしてもオフライン状態で使いたいという人のために、オフラインアクティベーションをするためのオプションも準備中とのこと。これはCubase 12のリリース時には間に合わない可能性もありますが、これが完成すればオフライン環境でも1年間製品を使えるようにするのだとか。Steinbergによると

⼀時的にインターネットに接続してあとは切断する方法と、別のオンラインのコンピューターでライセンスを生成し、オフラインのコンピューターにライセンスを移せる方法を開発しております

とアナウンスしています。

今後はUSBドングルを持ち歩かなくてよくなるのは嬉しい

なお、すでに32台インストールした状態で43台目のコンピュータで利用したいという場合は、不要になったコンピュータのライセンスをディアクティベーションすることが可能とのことなので、その辺も安心して使えそうです。

そんなライセンス管理の変更がされるCubase 12が発売されるのは来年春ごろとのことなので、「今年Cubaseを買うぞ!」と考えていた人にとっては、先に延びてしまった格好ですが、実は、本日よりGrace Period(グレースピリオド)というものがスタートしています。

11月10日よりグレースピリオドがスタート

Grace Periodとは、いま現行バージョンを購入しても、新バージョンリリース時に、その新バージョンを無料で入手できるというサービス。つまり、今日、Cubase Pro 11を購入しても来年春にCubase Pro 12がリリースされたタイミングで新バージョンが無料でもらえるというわけです。

もちろんCubase Artist 11を購入すればCubase Artiste 12が、Cubase Elements 11を購入すればCubase Elements 12が入手できますので、「買ったらすぐに新バージョンになってしまって、損した……」なんてことがなく、安心して購入できるわけです。これは通常版に限らずバージョンアップ版、クロスグレード版においても同様となっています。

ちなみにCubase 12の価格については現時点、何もアナウンスはないので、おそらく変更はないものと思われますが、海外の物価が急に上がってきている状況を考えると、来年の発売のタイミングで値上げされる可能性もなくはなさそうです。そういうことを考えると、今のうちに買ってしまうという選択もありだと思います。

【関連情報】
Cubase 11製品情報
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Steinberg LicensingについてのFAQ

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