みなさんは、プラグインを買うときはどこで買い物をしていますか?現在はインターネットで簡単にプラグインを入手でき、国内代理店や海外のウェブサイト、開発元のサイトなど、同じプラグインでもさまざまな買い方があります。10年、20年前は代理店で買うと、値段が高めで、海外から個人輸入していた人もいたと思います。いまだに、その印象を持っている人も多いようですが最近の実態は大きく変わっています。2021年現在、プラグインやソフトウェアを国内代理店を通しても海外価格とほとんど変わらず、むしろ安いケースも少なくありません。もちろん日本語マニュアルが整備されていたり、サポートがあるなどのメリットがあるので、昔の感覚を引きずっていると損をすることも多くなっています。
11月に入ると、いろいろなプラグインがブラックフライデー/サイバーマンデーのセールを始めるので、この機会にプラグインを買うならどこがいいか検証してみました。ここで例に取り上げてみたのは、「はじめてのiZotopeセット」というiZotopeの主要プラグインのエントリー版11本をセットにした、まさにブラックフライデー向け製品。以前も期間限定で販売され話題になっていたのでご存じの方も多いと思います。そうRX ElementsやOzone Elements、Nuetron Elements……など11本のセットですが、それぞれ通常価格で買うのと比較すると97%オフという、嬉しいセール商品。いくつかの国内の販売店、海外のショップなどで価格比較をしてみるとともに、プラグインを買う上でチェックすべきポイントを検証してみました。
ブラックフライデーにおける買い物はどこでするのがいいのか、検証してみた
プラグインに限らず、買い物は「いいものを、より安く」というのは誰もが目指すところ。とくに価格は一番大きなポイントとなるところですが、海外ソフトであるプラグインにターゲットを絞ると、ソフトそのものの品質に差はないはずなので
日本語マニュアルの有無
日本語でのサポート体制
という3点がチェックすべきポイントとなってきます。
価格については、みなさん、とても意識してどこでプラグインを買うか選んでいると思います。サポートや日本語マニュアルについては、あまり意識してない方もいると思います。もちろん英語にまったく不自由はないという人もいるとは思いますが、やはり日本語マニュアルがあると便利なのは確か。定番のプラグインであれば、YouTubeや記事で使い方を紹介されているケースもありますが、新しいプラグインだと、操作の手がかりがマニュアル頼りだったりするので、ここがしっかりしているかは大切な点だし、楽曲のクオリティを上げる近道になるともいえます。
またサポートについては、いざというときにやはり助かります。もちろん、海外からの購入でも英語でサポートを受けられるはずですが、サービスのクオリティーは一般的には日本の代理店のほうがスピード面、内容面で優れているし、何より日本語でのやりとりが可能なので、国内で購入することのメリットは大きくあります。
とはいえ、価格が海外のほうが圧倒的に安いというのであれば、海外で購入するべき……という結論になりそうですが、実際どうなのでしょうか? ここではSNSなどでもよく話題に持ち上がる海外サイトであるPlugin Boutiqueを例に挙げつつ、国内のネットショップと比べてみます。
国内で比較したネットショップは以下の通り。
・iZotope JP
・サウンドハウス
・宮地楽器
・Amazon
まず比較してみたプラグインは前述した「はじめてのiZotopeセット」。RXやOzone、Neutronなどに興味はあったけど、まだ使ったことがないという人にとってはこれ以上、お得なセットはないというもの。いずれもElementsというエントリー版ではありますが、かなりな機能が使えるので、DAWを持っている人なら持っておいて絶対に損のないものがそろっています。ただし常時ある製品ではなく、ブラックフライデーなどのセール期間にのみ登場するパックとなっているので、この機会に比較してみました。
Rock oN Line eStore
https://store.miroc.co.jp/product/73041
Rock oNの税込み価格は5,900円でポイントも付与される
iZotope JP
https://www.izotope.jp/products/はじめてのizotopeセット/
国内での正規サイトであるiZotope JPの価格は5,900円
サウンドハウス
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/299948/
サウンドハウスも5,899円だが、ポイントが10%付く
宮地楽器
https://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-051821-ak01.html
宮地楽器も同じく5,900円でポイントが付く
Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B09KTMJQQ9/
Amazonはマーケットプレイスの形だが、やはり5,900円
これらをまとめてみると以下の表のようになります。
税込み価格 | ポイント | |
Rock oN Line eStore | 5,900円 | 590 |
iZotope JP | 5,900円 | なし |
サウンドハウス | 5,899円 | 588 |
宮地楽器 | 5,900円 | 59 |
Amazon | 5,900円 | なし |
これを見る限り、どのネットショップも基本的には同価格だけど、ポイントを勘案すると1割程度の差が出る可能性もあります。ただしAmazonの場合、ソフトによってはときどき並行輸入と記載のある、日本語マニュアルなし、国内サポートなしというものがあるので、注意が必要。通常は、価格の微妙な違いや普段どのネットショップを使っているか、自分にマッチするポイントなのか、またパッケージの場合は納期や送料などを加味して選べばよさそうです。
では、気になる海外価格はどうでしょうか?この「はじめてのiZotopeセット」、海外では「Holiday Bundle」といった名称になっているので探してみました。Plugin Boutiqueが一番安い、と信じている人も少なくないようですが、実際どうでしょう?
Plugin Boutique
Plugin Boutiqueは5,568円でポイントも£1.82と国内通販サイトと同等か、やや安く見えるが……
Plugin Boutiqueの価格は5,568円で、ポイントもあるので、なるほど国内代理店より確かに安く見えますね。でもよく見るとYour Price (+ TAX)と書かれているところが、ちょっとした罠になっています。カートに追加して、中を見てみると、ここで消費税が追加されるようになっているのです。
カートに追加して決済しようとすると、ここで消費税が追加され6,125円と国内通販サイトより高くなる
なので、実際の価格は6,125円が税込み価格となり、国内代理店で買うより225円高いという結果になります。そもそもが安い製品なので、大きな差ではありませんが、実はほかの大半の製品も同様なんです。もちろん海外ショップだから、日本語でのサポートも日本語マニュアルも付いていないので、総合的に考えると国内代理店でプラグインを買う方が、価格面でもサービス面でもいいという結果になります。
せっかくなので、もうひとつiZotopeの製品で、マスタリングツールであるOzone 9 Advancedの価格についても比較してみました。
Rock oN Line eStore
https://store.miroc.co.jp/product/65338
Rock oNでは24,100円
iZotope JP
https://www.izotope.jp/news/izotopeblackfriday2021/
iZotope JP価格もBlack Fridayセールで24,100円
サウンドハウス
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/268873/
サウンドハウスは24,100円に加え10%の2,410ポイントが付与される
宮地楽器
https://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-092819-mk01.html
宮地楽器も24,100円のセール中
Amazon
https://www.amazon.co.jp/iZotope-アイゾトープ-Ozone-9-Advanced/dp/B0874MDX71/
Amazonはマーケットプレイスで、島村楽器からの出品だが同じく24,100円
Plugin Boutique
Plugin Boutiqueは22,726円と、商品検索すると安く表示されるが…
決済する段階で消費税が追加されて24,999円となるので要注意
以上の結果を表にまとめたのが以下のものです。
税込み価格 | ポイント | |
Rock oN Line eStore | 24,100円 | 2,410 |
iZotope JP | 24,100円 | なし |
サウンドハウス | 24,100円 | 2,410 |
宮地楽器 | 24,100円 | 460 |
Amazon | 24,100円 | なし |
Plugin Boutique | 24,999円 | £7.27 |
海外違法サイトにも要注意
ブラックフライデーのセール価格でも国内の価格は変わらず、Plugin Boutiqueだけがやや高いという結果になりました。読者のみなさんの中には、「あれ?以前はPlugin Boutiqueって、消費税取られなかったような……」と思う方もいるかもしれません。そう、実は1年前まで、日本ユーザー向けに日本語も使って販売しているけれど、消費税は取らないという方針で運営されていました。実は、これ、国際取引において完全は違法であり、脱税だったのです。数多くの指摘がされていたので、Plugin Boutique側も認識した上で、違法状態を続けていたようですが、昨年12月2日にその状況を是正したんですね。
詳細は省きますが、現在の国際的な取り決めで、デジタルコンテンツを海外販売をする場合、お店側が消費税を徴収し、それを購入者が居住する国に収める形になっています。なので、それを行わない場合は、完全な違法であり、脱税。購入者側が捕まるということはないはずですが、脱税に加担するというのは、あまりよろしくない状況でしょう。
そういう意味ではPlugin Boutiqueは正しく納税するようになったわけですが、海外ダウンロードサイトの中には、今も脱税状態を続けているサイトが少なくありません。そこはモラルを持って対応すべきだと思います。
もちろん、国内で取り扱っていないプラグインもあるので、海外からの購入をすべて否定するものではありません。しかし、「代理店を挟むと高くなる、中抜きがすごい」、といったことは過去の話。頭をリセットした上で、冷静に選んでみてはいかがでしょうか?