DTMによる音楽制作というと、Macが中心という印象を持っている人が多いかもしれません。しかし、実際にDTMステーションで2018年1月にアンケートを行った結果を見ると、62.8%がWindowsユーザー、36.2%がMacユーザーとWindows:Macが約2:1という形になりました。一方でWindowsでもMacでもない、という人も1.0%の投票があり、「どういうこと?」と思う人も少なくないと思います。
このWindows vs Macを問うアンケート、これまで2013年、2015年、2017年、2018年と4回行ってきました。そこで、それまでの比率の変遷がどのようになっているのか、一方で、現在各DAWのWindows、Mac対応状況がどうなっているのかなどについて、少し考察してみたいと思います。
2018年1月に行ったWindows vs Macのアンケート調査結果
まずは、2018年1月のアンケートにお答えいただいた799人のみなさん、ありがとうございました。このアンケート、お答えいただいた方だとお気づきの人もいるかもしれませんが、同じ人、同じIPアドレスからの二重投票がシステム的に禁止されているため、いたずらに不正な票が上積みされている可能性は少ないと思います。
また単純にWindowsかMacか、を聞いたのではなく
- Windows 10
- Windows 8.x、7以前
- macOS 10.12以降
- OS X 10.11以前
- その他
としており、結果は先ほどのとおり、Windows 10が46.1%と半分近くになっていたわけです。いろいろな人と話をしていると、「Windows 7が安定しているので、ここから変えられない」といったことをよく耳にしていましたが、実際は大半の人がWindows 10にしていたわけですね。
一方、Macの中での比率を見ると74.0%がmacOS 10.12以降と大半となっていました。投票結果を見て思うのは、いまオーディオインターフェイスやDAW、プラグインの対応が完全になっておらず問題になっているmacOS 10.13=High Sierra以降と、macOS 10.12=Sierra以前で聞けばよかったな…と思うところです。
では、WindowsでもMacでないユーザーというのは何を指しているのでしょうか?これに投票したのは8名。すべてが判明しているわけではありませんが、アンケート投票におけるフリーコメントを見てみると
- Ubuntu
と答えている方が2名います。「Ubuntuって何?」という人も多いと思うので簡単に紹介しておくと、これはフリーのOSであるLinuxのディストリビューションのひとつで、初心者ユーザーでも使いやすいとされているもの。Windowsの動かすPCでも、Macのハードウェアでも、どちらにでもインストールできる、WindowsでもMacでもないOSですね。
2017年1月のアンケート結果
このUbuntu上ではardour、LMMS、Rosegardenといった無料のDAWが存在しているほか、最近ではBITWIG StudioやWaveformといったWindows/Macで動作するDAWのUbuntu版があったり、WINEというツールを使うことで、WindowsベースのFL Studioなどを動かすこともできるようです。
さて、ここでWindowsとMacの過去のアンケート結果の変遷を見てみましょう。以下がその流れです。年によって多少の違いはありますが、概ねWindows:Macが2:1ということは変わらないようですね。
Windows vs Macの変遷
もっとも、プロの業務用限定とすると、レコーディングスタジオの大半がPro ToolsのシステムをMacで導入していることもあってMac比率は断然大きくなると思います。ただ、プロのアレンジャーの話を聞くと、結構Windowsを使っているユーザーも多いようなので、プロなら全員がMacというわけでもないようですね。
では、各DAWのWindowsとMacの対応状況はどうなっているのでしょうか?Linux(Ubuntu)を含めた対応状況をざっとまとめてみたのが以下の表です。
Windows | Mac | Linux | |
Ability | ○ | × | × |
Bitwig Studio | ○ | ○ | ○ |
Cubase | ○ | ○ | × |
Digital Performer | ○ | ○ | × |
FL Studio | ○ | ○ | × |
GarageBand | × | ○ | × |
Live | ○ | ○ | × |
Logic Pro | × | ○ | × |
Music Maker | ○ | × | × |
Pro Tools | ○ | ○ | × |
Reaper | ○ | ○ | × |
Reason | ○ | ○ | × |
Singer Song Writer | ○ | ○ | × |
SONAR | ○ | × | × |
Studio One | ○ | ○ | × |
Waveform | ○ | ○ | ○ |
ここではFL StudioのMac対応について○としましたが、正確には今年の春に発売される新バージョン、FL Studio 20以降が○となり、FL Studio 12以前はWindowsのみでした。これがMac対応になって、今後どう変わっていくのかは気になるところですね。
まあ、いまやWindowsだ、Macだと戦う時代ではなく、状況に応じてうまく使い分けるのが正しい時代なんだとは思います。とはいえ、こうやってデータで見てみるのも面白いですよね。
DTMステーションの過去のアンケート結果はPC画面の左側でいつでもチェックすることが可能です。また2018年2月は「どこのメーカーのオーディオインターフェイスをメインで使ってますか?」というアンケートを実施中です。スマートフォンの方は「デスクトップ用サイト表示」に切り替えることで画面右上から投票できるので、ぜひご協力のほど、よろしくお願いします。
コメント
これって音楽のみならず制作全般がそうなんですよね。
私は映像も趣味なんですが、3DCGソフトの基盤がwindowsに寄って来たのでwindowsに乗り換えました。
音楽についても特にmacのアドバンテージがあるようには見えませんね。(複雑なルーティングなどするなら別かもしれませんが)
ただ、iOS vs androidなら圧倒的にiOSですね(笑)
問題は今のAppleが経営資源をiPhoneに集中していて、Mac、特にデスクトップ機が捨て置かれている状況下で他に選択肢が無い、我慢するしかないという事ですかね
ジョブズ復帰前のサードパーティー製のMacが選択できた時代やハッキリ言えばOSだけ売ってくれたら一番良いのですが
Macのハードに力が入らなくなってきた今こそ、MacOSは単体で外販すべき時期かも知れないですね。売りはするけどサポートはアップルが認定したPCに限る、それ以外はシラネってのでも構わないので。その方がMac miniみたいな半端な機体を出すよりよっぽど、Macの普及に貢献しそうに思うんですが。
OSの構造上、macの方が優れている部分(例えばCMS等)は多々あることは認めますが、潤沢なソフト資産を活かすには問答無用でWindowsですからねぇ。
iOSもマルチメディア面などでAndroidに圧勝していますけれど、一般人からしたらゲームとかでしかメリットが感じられないかも知れませんよね。
実際に趣味レベルで制作をしている私には何でもこなせるWindowsとAndroidが身の丈にあっています。
個人的には、残すはiPhone向けソフトがXcode以外でビルド出来るようになればmac OSに価値は見出だせなくなってしまいますね。
まあ、iPhoneにリソース割くのも多くのiOSデベロッパにmacを売りたいからなんじゃないんですかね?
単純にみんなお金がないからWindows10にしてるわけで「世相だな〜」と思いますw Windowsなら10万円あれば一式揃いますからねw PC+DAW+オーディオI/F+MIDIキーボード、これら全部買っても10万円(エントリークラスではありますが)。Macの場合、10万円でMacBookAirを買ってからのスタートになるので(あくまで一例として)予算は2倍必要に。Windowsが増えたのは単純にコスパの問題かと思いますw
あとは影響あるとしたらタッチの標準化ですかね
ワコムペンが内蔵されたノーパソでDTMしてるんですけど快適ですよ
cubaseのツマミはiOSシンセみたいにタッチで動かせますし
(liveは何故か値が高速でぶっ飛んでいく)
daw界にペンが普及して使いやすくならないかなあ…と思ってます。マックベースだとそれはあり得ない動きですよね。
今だと Ryzen で Windows 組んで DAW マシン作ったほうが全然速いし、おまけにスペクター/メルトダウン問題も関係なしなのでWindows update かけて遅くなることもないでしょうし
ところでSONAR難民さんはやっぱりCubaseに移動してるんでしょうか?このへんもアンケートで調べられると面白そうですね
オッサンになってからMacでDTMを始めました
LogicとLiveを併用してるので物覚えが悪いのでWindowsには乗り換えられませんw
最近のiPad ProはDAWを立ち上げられるくらい処理が早くなってきてるので
スペクター/メルトダウン問題と無縁なiOSがMac OSを飲み込む形で統合されるかもしれません
その時iOSでLogicとLiveが立ち上げられるのであればiOSデバイスに完全移行したいと思います
Meltdown(CVE-2017-5754)/Spectre(CVE-2017-5753,CVE-2017-5715)に興味を持たれているようですが、どうやら誤解が多いですね。ご存知の通りMeltdownはIntelのCPUにおける脆弱性ですが、SpectreはIntelだけでなくAMDやArmベースのCPUでも影響を受けます。
事実Appleも発表後すぐに声明を発表しました。以下を読んでいただければわかります。
“Apple has released updates for iOS to help defend against Spectre.”
とある通りiOSも影響を受けます。すでに脆弱性に対する緩和パッチがリリース済みですのでiOSを最新版へ更新しておけば影響は軽微です。
https://support.apple.com/en-us/HT208394
勿論AMDのzenもSpectreの脆弱性がありますが、Windowsでは既に緩和パッチがリリースされています。
DTMerからすれば、IntelのMeltdownパッチのによって不具合が生じたり、今回のIntelのパッチによるパフォーマンスの低下などが気になります。
とはいえ脆弱性を悪用するマルウェアが既に確認されている以上、パッチを適用しないで運用するというのは不可能ですから致し方のないことです。
(かくいう私もCoffeelakeを買ってしまったのでIntelを憎んでいます)
とはいえ、それを加味してもまだまだモバイル向けのRISC CPUの性能では本格的な制作など到底できようもないですが。
あとはzenアーキテクチャですね。AMDはzen2アーキテクチャでSpectreに対応して設計変更を行ったらしいですから待てるならzen2のほうがセキュアかもしれません。そのころまでには流石にDRAMの価格も落ち着くでしょうから絶対買い替えるつもりです。
ついにFL for Macが今春に正式リリースか…
今はLogicを主に使用しててFLのBeta版も同じく弄ってるけど正直FLの方が打ち込みしやすかったからずっと正式版待ってた…
早く使いたい!
FL Studioが最初はWindowsだけだったし
海外製の優秀なプラグインがWindows先行ででてくるような時期もある状況でMacを選択する理由が一切ない
物事をシンプルにしたいならmac一択でしょうね
私も墓石のようなゴツいwinマシンを所有していますが最後まで出番はありません
最近はiPad or Macでほぼ終わっちゃいますから…
今の時代、Logic Pro、Pro Tools使わないならWinで全く問題ないですからね。
Macってスペックの割にコスパは悪くないんですが、継ぎ足しできる自作と比べるとやはり、アプデで遅くなったり、HDDが劣化したりすると買い換えなければいけないのでお金がかかってしまいます。
※11
一切無いってことは無いと思いますよ
Midi、オーディオ周りはmacの方が優れてますからね
あとUAD使いにとってチップの相性問題でUSB接続に不具合がでるDOSV機は使いにくいです
未だにレコーディングスタジオでmacがデファクトスタンダードなのは安定性重視だからですよ
それでも最近は不具合多いですが
※14
>それでも最近は不具合多いですが
これ単純に業界が石頭でっかちな連中で最新、環境の変化いやがってついてこれてないってだけだよ
※15
何処の業界でも安定性第一なんですが一体何処の業界ですかね…
まぁそれはいいとして、私にはお金がないからWindowsっていうのがよくわからないですね…
Macと同等のパーツで構成すれば自作WinとMacは言われるほど差が無いってのはあまり知られてないのかな
後、エフェクトも音源も外部に処理させるのが普通なので中核システムはなるべく安定させたいですよねーって事で私はMacを中心に足りない部分をWinで補ってます
MAC OSは、世代が変わるごとに動かなくなるソフトがあってついていけなくなる。構造が変わるのはWINも一緒ですけどまだ時間がたつと互換対応して動くがマックは過去資産の切り捨てが起きることです。なので世代間の隔絶からプラグインもWIN優勢な状態になりやすいことです。
ソフト切り捨てとハードのコストの両面からWINが選ばれることが多い。
次のマックプロは形を変えて拡張しやすくするような話もあるのでそれを早く見てみたいですね。
そもそもWindowsとmacじゃ母数が違いすぎますね
Net Applicationsの調査だとmacのシェアは5~6%
そう考えるとこのアンケートに於けるmac比率は驚異的です
印刷関係(DTP)、レコーディングスタジオに関してはまだmacの需要はあるようです
ただ昨今はプロユーザーが使うには保守性が悪すぎますが…
Macユーザー自体DTMなんて言わないと思うし
見てる人が少ないんじゃないでしょうか?
Winはカスタマイズ性に富んでいて、高性能なパーツで固めたハイスペックな環境を構築する際にコスパがいいし、Macはあれこれ覚えることも少なくて操作が簡単だしサポート面でも楽、安定性も高い。一長一短ありいずれかが100%有利なんてことはないんだから好きなの使えばいいかと。
機材やプラグインなどもそうだけど、音楽なんてジャンルや主観、用途によって捉え方が変わるものだから「さいこうのそふと」や「さいきょうのきざい」なんてもんは存在しないです。絶対的ではなく相対的なものなので。特定のモノを絶対視して多様性を失い、排他的になるのはタチの悪い宗教みたいなもんです。
ubuntuSTUDIOつかっている方いませんかー
LMMSやAUDOURだって相手にしてほしい…w
winは今や大多数の方が利用するグローバルスタンダード。 macは古代から脈々と培われた歴史があり、その筋の方々からは大きな信頼を得ていますが、macが目指すところは誰もが直感的に操作できるGUIとハード的な操作性、つまりはiOSに行き着いたのでは?
個人的な感想ですが、winでDTMはマシンがそこにあるから。macでDTMは気が乗らない。やはりカリッカリにチューニングしたubuntuSUTUDIOでjack立ち上げてDTMするのが一番楽しいかなぁ(あくまでも個人的な感想で)。
長いですね…なんかすみませんでした。