QUAD-CAPUTRE(UA-55)の発売から6年。本当に久しぶりという感じでRolandからDTMのメインストリームとなるオーディオインターフェイス、Rubix 22が発売されます。これはRolandの新オーディオインターフェイス、Rubixシリーズの第1弾となるもので、24bit/192kHzに対応した2IN/2OUT+MIDI IN/OUTで、実売価格17,000円前後(税抜き)というもの。
露骨な比較はやめておきますが、SteinbergのUR22mkIIと真っ向勝負する形で出てきた製品であり、Windows、Macで利用できるのはもちろんiPhone/iPadでも利用できるようにするなど、現在のDTMシーンにマッチする形で、Rolandが自信を持って出してきた製品です。発売直前の量産モデルを一足早く触ってみたので、実際どんな製品なのかレポートしてみたいと思います。
Rolandの新オーディオインターフェイス、Rubix 22
Rubixシリーズは4in/4outのRubix 44、2in/4outのRubix 24、そして2in/2outのRubix 22の3製品となっており、最初に発売されるのがRubix 22なのです。
QUAD-CAPTUREと並べてみると、まったく新しいシリーズになったことを実感できますが、大きさもデザインも、そして重さもかなり違うんですね。QUAD-CAPTUREの場合はアナログの2in/2outに加え、S/PDIFコアキシャルというデジタル端子を使った2in/2outを備えていたわけですが、Rubix 22はデジタル端子は廃して、横幅はコンパクトになっています。
重ねてみるとQUAD-CAPTUREより幅は小さく、奥行きが長くなっている
持ってみて圧倒的に違うのが重さ。どちらも金属ボディーではあったのですが、Rubix 22のほうが、より強固なものとなっておりガッチリしたものになっているため、重いのです。スペックで比較してみるとQUAD-CAPTUREが185(W)x134(D)x44(H)mmで570gであったのに対し、Rubix 22は145(W)x165(D)x46(H)mmで1.0kgとなっているので、だいぶ違うのが分かりますよね。
Rubix 22のリアパネル
PCとUSB接続すれば、外部電源不要で動作するのはQUAD-CAPTUREと同じですが、ドライバ関連はいろいろと変わっているので、まずはこの辺から解説してみましょう。Rubix 22はUSBクラスコンプライアントの設計となりUSB Class Audio 2.0に対応したデバイスとなりました。そのためMacの場合、接続すればすぐに利用することができます。またWindowsの場合、Windows 10であれば、接続するとデバイスを自動認識するとともに自動的にドライバがダウンロードされてインストールされる仕掛けになっています。Windows 8.1以下の場合はドライバをインストールすることで使うことが可能です。
Windows用ドライバーをインストール
当然MacならCoreAudioドライバで、またWindowsであればASIOドライバおよびWASAPI、MMEのドライバで動作させることが可能なオーディオインターフェイスとなっていますから、Cubase、Studio One、SONAR、Ableton Live、Ability、Pro Tools、FL Studio、BITWIG Studio……と、どんなDAWとの組み合わせにおいても動作させることができますよ。
Rubix 22にはAbleton Live 9 Liteのラインセンスがバンドルされている
ちなみにRubix 22にはAbleton Live 9 Liteのライセンスがバンドルされているので、Webからダウンロードした上で、WindowsでもMacでも利用できるようになっています。
では、実際に使いながら見ていきましょう。まずフロントパネルの左側にはフォンでもキャノンでも接続可能なコンボジャックが2つ搭載されており、これが入力端子となっています。左側の下にはHi-Z端子があり、これをオンにすることで左側の1chのみギターやベースなどをダイレクトに接続することが可能になっています。
適度な音量の入力があるとインジケータが緑に点灯する
また右側の下には48Vと書かれたボタンがありますが、これがファンタム電源。これをオンにすれば1ch、2chとも+48Vのファンタム電源が供給されてコンデンサマイクを使うことが可能になります。
レベルオーバーするとインジケータの色は赤に変わる
実際に入力してみると分かるのは、適音量の入力があると、端子横のインジケーターが緑に点灯し、レベルオーバーすると赤く点灯するのです。見てみると分かるとおり、このLEDのインジケーター部分が前面パネルだけでなく、本体上部にまで切り込みが入って点灯するようになっており、かなり凝ったデザインになっていることが分かりますよね。
コンデンサマイクを接続して入力した音をヘッドホンからモニターして感じたのは、非常に低ノイズでクリアな音質であるという点。QUAD-CAPTUREもいいオーディオインターフェイスですが、それと同等か、個人的にはRubix 22のほうがいい音のように思いました。ただし、QUAD-CAPTUREで謳われていたVS PREAMPという表記はないんですよね。これについてRolandのマーケティング担当の方に確認したところ「今ではVS PREAMPの時代よりもいいデバイスが使えるようになっているので、Rubixではそれを使ってプリアンプを設計しました。結果的にVS PREAMPとは異なる構成になりまして…」とのことでした。
そのモニターの仕方で競合製品と大きく異なるメリットが1つあります。それはダイレクトモニタリングする際にステレオであるかモノラルであるか、さらにはダイレクトモニタリングをしないかの3つをスイッチで切り替えられるという点です。たとえばギターを1chに接続してモニターする場合はモノラルにすれば、両チャンネルからモニターされ、ギターの音がセンターに来ます。一方で、1ch、2chそれぞれにマイクを接続した場合、ステレオの設定にすれば1chは左から、2chは右から出てくるようになるのです。
リアにあるDIRECT MONITORスイッチでMONO、STEREO、ダイレクトモニタリングOFFを選択
この切り替えはリアにあるスイッチで行うのですが、とっても便利ですね。ちなみにDAW側でエフェクトを通したうえでモニターしたい、という場合はダイレクトモニタリングをオフにすればOKです。
前面の右側にあるつまみでヘッドホンおよびメイン出力のレベルを調整する
あとはヘッドホンは一番右のつまみで音量をコントロールでき、それとは独立した形で、隣の大きなつまみでメイン出力をコントロールできるようになっています。
ここで1つ試してみたのはRubix 22のWindowsのASIOドライバを使った際のレイテンシーです。このレイテンシーはドライバの設定画面でバッファサイズの切り替えで大きく変わるのですが、Rubix 22で設定できるのは7段階。このうちの一番小さい1を選んで192kHzでチェックしてみたところ5.47msec。
192kHzでの実測レイテンシーは往復で5.47msecだった
これだけの数値が出ていれば、使用する上ではまったく問題はなく、非常に快適に使えそうですね。レイテンシーに関しては、後日、AV Watchの連載記事「藤本健のDigital Audio Laboratory」でも詳しく取り上げてみようと思っております。
microUSBで電源供給しつつLighting-USBアダプタ経由でiPadと接続してみた
さて、もう一つ紹介したいのがQUAD-CAPTUREにはなかったiPhone/iPadとの接続機能です。リアパネルの左側にはmicroUSBの端子がついていますが、これをACアダプタと接続してRubix 22に電源供給を行います。そして隣のスイッチで電源をmicroUSB側に設定するとともに、USB Type Bの端子にLightning-USBアダプタ経由でiPhoneやiPadと接続すれば完了。
iPadのDAW、Auria ProからもRubix 22を認識し、Rubix 22に接続した音をレコーディングできる
こうすることで、iOSからはRubix 22を認識するとともにオーディオ入出力の制御が内蔵のオーディオ機能からRubix 22に切り替わるのです。つまり音楽を再生すればRubix 22から高品位な音が出てきますし、Rubix 22のマイク端子に取り付けたコンデンサマイクの音を、iPhoneやiPadのアプリでレコーディングしていくことも可能になるのです。
Rubix 22のMIDI入出力も認識されている。画面はbs-16i
また、iPhone/iPadアプリからはRubix 22のMIDI入出力も同時に認識してくれますから、ここにMIDIキーボードを接続して、リアルタイム演奏なんてこともできるわけですね。
以上、Rubix 22のファーストインプレッションということで紹介してみましたが、なかなか使えるオーディオインターフェイスが登場した感じです。現在の熾烈なオーディオインターフェイス競争の中で、台風の目のような存在になるのではないでしょうか?今後、Rubix 24やRubix 44が登場してきたタイミングで、また詳しく紹介できればと思ってます。
【関連情報】
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【価格チェック】
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