URシリーズなどに付属のCubase AI 9を無料でGETしてみた!

12月7日に発売され大きな話題になっているCubaseの新バージョンCubase 9。すでにオンラインダウンロード購入の形でCubase 8やCubase 8.5からバージョンアップしたという方も少なくないと思いますが「サンプラー機能をDAWに統合した新バージョン、Cubase 9が誕生」の記事でも書いた通り、Cubase 9シリーズにはCubase Pro 9を最上位に、Cubase Artist 9Cubase Elements 9Cubase AI 9Cubase LE 9と5種類のラインナップがあり、そのすべてが一斉にリリースされました(Cubase LE 9のみはモノはあるものの、ダウンロードは1月からサービススタート)。

このうちCubase AI 9はオーディオインターフェイスのUR22mkIIUR12などのURシリーズ、VOCALOID 4 Editor for CubaseAG03AG06などのミキサー、またYAMAHAのMOTIFシリーズなど、数多くの製品にバンドルされている無料のバージョンです。しかも、これまでダウンロードしていなければ、かなり古い製品であっても、いま登録することで、最新のCubase AI 9が入手できてしまうという嬉しい仕組みになっているんです。そこで、実際にCubase AI 9を無料で入手し、使ってみたので紹介してみたいと思います。


Steinberg、YAMAHA製品にバンドルされるCubase AI 9を入手して使ってみた 



ご存じの方も多いと思いますが、Cubase AIはSteinberg製品、YAMAHA製品にバンドルされる無料版のCubaseです。同様にCubase LEというものもあり、こちらはその他メーカーの製品にバンドルされるものであり、とっても近い製品でありながら、AIのほうがさまざまな面で優れているんですよね。その辺の事情については、以前「Cubase AI 8とLE 8がこっそり登場していた!」という記事にも書いているので、参照していただければと思います。

そのCubase AI、これまではCubase ProやCubase Artistが発表されてから1年近く経過してからの登場というのが慣例でしたが、今回のCubase AI 9は同時にリリースされ、いまURシリーズなどのパッケージの中に入っているダウンロードコードを利用すれば、古い製品であっても最新のCubase AI 9が入手できるんです。

4年くらい眠ったままになっていたフィジカルコントローラー、CMC-AIを引っ張り出してみた

私もSteinbergやYAMAHAの製品は結構いっぱい買っているので、使わないで放置しているダウンロードコードが数多くあります。そこで、あえてちょっと古いものを引っ張り出してきました。


入っていたDownload access codeはCubase AI 6用と記載されていたが… 

これはまだ現役の機材であり、実際にCubase 9シリーズでも便利に使えるUSBフィジカルコントローラーのCMC-AIというもの。このパッケージの中には、「CUBASE AI 6 DOWNLOAD INFORMATION」という紙が入っており、ここにダウンロードのためのURLとDownload access codeというものが記載されています。

ダウンロードサイトにアクセスしてみるとCubase AI 7と出てきた…

普通これを見れば、「入手できるのはCubase AI 6である」と思いますよね。そして記載されているダウンロードのURLを入力するとCubase AI 7の表示が出るので、「1つバージョンが上がったものが手に入るのだろうか…」と思うところですが、その後ブラウザ上で指示通りに操作を進めていくと、Cubase AI 9のダウンロードページへと行きつくんです。


Download access codeやシリアルナンバーなどを入力

別に裏ワザを使っているわけではなく、Steinberg/YAMAHAではそのような仕組みを提供しているんですよね。ただし、すでに以前にこの用紙を使ってダウンロードしてしまった場合は、その時に入手したCuabse AIのバージョンとなり、今からCubase AI 9を入手することはできません。

その後、画面の指示に従っていくと、Cubase AI 9が入手できた! 

 

ただしオンラインショップで、5,400円支払うことで、Cubase AI 9の上位版であるCubase Elements 9を入手することは可能です。もちろんCubase Aritst 9やCubase Pro 9へも、それぞれ27,000円、48,600円でアップグレードすることは可能ですよ。


インストーラを起動すると、Elements 9、AI 9、LE 9のそれぞれのロゴが表示される 

ちなみにCubase AI 9のインストーラー、容量的にはWindows版が5GB、Mac版が5.1GBですから、それなりに大きいです。またインストーラを起動してみればわかる通り、プログラム自体はCubase Elements 9もCubase AI 9もCubase LE 9も同じものなんです。自分が持っているのがどのライセンスであるのかによって、利用できる機能や同時使用可能なプラグインの数などの制限が変わってくるだけの仕組みなんですよね。


Cubase Pro 9のドングルを刺した状態でAI 9を起動すると、Elements 9として起動する 

実はCubase Pro 9のUSBドングル(eLicenser)を刺した状態でCubase AI 9を起動すると、自動的にCubase Elements 9として起動するんですよ。知ってましたか?

UI的にはCubase Pro 9と同様、下ゾーンが表示され、1画面ですべてが収まるようになっている

というわけでCubase AI 9を起動し、プロジェクトを読み込んでみました。UI的にはCubase Pro 9と同じように、下ゾーンにMixConsoleも収まる1画面設計。また右ゾーンに表示されるVSTインストゥルメントもCubase 8時代のように間抜けに大きい表示でなく、小さくシンプルになりつつも、パラメータ自体は減っていないというのも嬉しいところですね。


オーディオクリップをダブルクリックすれば下ゾーンにはサンプルエディターが表示される

オーディオクリップをダブルクリックすれば下ゾーンにサンプルエディターが表示されるし、MIDIクリップをダブルクリックすればキーエディターが表示されるのも同様だし、画面一番下にはトランスポート表示ができるというあたりもCubase 9シリーズ全部に共通するところのようですね。

MIDIクリップをダブルクリックすれば、下ゾーンにスコアエディターが表示される

ただし、Cubase 9シリーズの最大のポイントともいえるサンプラートラックの機能はCubase AIやCubase LEにはありません。これが利用できるのはCubase Elements 9以上となっているため、サンプラー機能が欲しいという場合には、5,400円支払ってCubase Elements 9にアップグレードする必要があります。


5,400円でアップグレードできるElements 9ならサンプラートラックを利用できる

また、MixConsoleの履歴機能はCubase Pro 9とCubase Artist 9のみの機能となっているようで、やはりCubase AI 9では使えないんですよね。

とはいえ、無料で入手できるCubase AI 9で、MIDIの打ち込みからオーディオレコーディング、エフェクト、ミックスに至るまで一通りのことができてしまうというのは、やはりすごいですよね。もし、「Cuabse AIのライセンスコードを使わずに、そのまま放置していた」という方がいたら、ぜひ、この機会に入手して使ってみてくださいね。

ところで、先日の記事で触れなかったCubase 9シリーズ全体の補足事項としていくつかの情報を紹介しておきましょう。

まず1つ目はCubase 9シリーズから、完全な64bitアプリケーションとなり、32bit OSを非サポートとしたという点です。最近のPCを使っている人であれば、その大半が64bit OSになっていると思いますが、Mac OS X 10.5以前であったり、Windowsの32bit OS上では動作しないというか、インストールもできないので、ご注意ください。

また64bit専用になったのに伴い、これまで搭載されていたVST Bridgeも搭載されなくなりました。VST Bridgeとは32bit版のVSTプラグインを64bit版のCubaseで使うための橋渡しするための変換ツール。これがなくなってしまったので、古い32bit版のプラグインが使えなくなっています。とくにフリーウェアプラグインでは今も32bit版が広く普及しているため、これらが使えなくなります。どうしても使いたいという場合はjbridgeなど他社製の変換ツールが必要になります。


32bitプラグインや一部のプラグインがブラックリスト入りして使えなくなります。 

そしてもう1点は、これまでのCubase Pro 8.5やCubase AI 8などで使えていたVSTプラグインが使えなくなってしまうという問題。その一つは前述のとおり、32bitプラグインが非サポートになってしまったためのもので、変換ツールを入れないことには、どうしようもないのですが、中には64bitプラグインなのにプラグインのリストから消えて使えなくなってしまっているものが少なくありません。
実はこれ、プラグインマネジャーを見ると、ブラックリスト入りしていて、使えなくなっているのです。でも、その大半は、ブラックリストにあるプラグインを選んで「再アクティベート」ボタンをクリックすることで、使用可能になるようです。Cubase 9の発表会においてもデモを行っていた青木繁男(@groundescape)さんによると


サウンドプロデューサー、マニピュレータの青木繁男によると、再アクティベートで大半のプラグインが使えるようになるとのこと

Cubase Pro9起動時にPlug-inスキャンを行う際、ドングルなどのオーサライズ情報を確認するのですが、ドングルやハードディスクのアクセスが遅かったりすると『ライセンスがありません!』と勘違いしてブラックリストへ入れてしまうのが原因と考えられます」とのこと。再アクティベートさえすれば、普通に使えるようになるようです。もっとも、VST規格に準拠していない怪しいプラグインを弾くという機能もあるので、動作に支障を与えるようなフリーウェアなどは、ホントの意味でブラックリスト入りするケースもあるようです。

とはいえ、しっかりしたメーカーのVSTプラグインで64bit対応であれば、ほとんどが使えるはず。あれ?と思ったら、「再アクティベート」を試してみてくださいね。

 

【関連情報】
Cubase 9シリーズ製品情報

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