試作品を持ってみたところ、820gと非常に軽量ながら、驚くべく高機能・高性能システムだったんです。SDカードに入れた楽曲を利用して左右のDECKでDJプレイができるのはもちろんのこと、フィルター含め数多くのエフェクトが搭載されていたり、サンプラーとしての機能があったり、シーケンサ機能があったり、ドラムマシンとして叩けたり、さらにはPCで動くCGのダンサー同期させて躍らせることができるなど……これでもか、というほどの機能が詰まっています。そのGO-DJ Plusが現在37,800円という価格でクラウドファンディングの形で販売がスタートされたとのこと。実際、どんな機材なのか見てみました。
だいたいの雰囲気はお分かりいただけたでしょうか? DJというと、やはりターンテーブルが2つある高価なDJ機材を用意して……というイメージを持つ方も多いと思いますが、このGO-DJ Plusはこれ一つに全部入りという機材。とっても軽く、DJプレイなんてしたことない…という人でも気軽に使えてしまうのが楽しいところです。
音源にはMP3、WAV、AIFFが使えるのでUSB経由で16GBの内蔵メモリー(音楽データ領域は14GBで、そのほかに録音領域1GB、システム領域1GBがあります)にコピーするか、SDカードを利用することで、自由に使うことができます。また左右に表示されるターンテーブル風な画面はタッチスクリーンとなっているので、スクラッチ操作なども思い通りに行えますよ。
MP3やWAV、AIFFのファイルを読み込むと、自動的にBPMも識別される
もちろん曲のBPM(曲のテンポ情報)はファイルを読み込み時に自動で判定されるので、テンポ合わせなどもスマートに行えます。自動で同期させるだけでなく、自分でタップしたテンポでプレイするなど再生速度やピッチも自由に動かしながら、フェーダーを使って左右のプレイヤーのバランスを調整し、ミックスしていくことができるんですね。
そのサウンドはヘッドホンで聴いたり、RCAのメイン出力から出していくだけでなく、本体にはパワフルなステレオアンプ内蔵スピーカーが用意されているので、これだけで楽しめてしまうのも嬉しいところ。そのほかにもステレオミニジャックでの外部ライン入力およびマイク入力も用意されており、マイク入力のほうは、モード設定によりコンデンサマイク、ダイナミックマイクが選択できるなど、結構作りこんでありますよ。
さらに、それとは別にFX Selectというツマミを動かしていくことで、フェイザー、フランジャー、ディレイ、VCF、ロール、ビットクラッシャーと独立した6つのエフェクトが搭載されており、それぞれ掛かり具合を調整しながら使っていくことができます。しかも、どれか1つを選択するのではなく、全部を同時に使えてしまうのもGO-DJ Plusのすごいところ。エフェクトをいっぱい使ったら、ほかの機能に制限がかかるという心配もないんです。これの処理能力のパワフルさは凄いですよ!
さらに、16ステップのシーケンサも用意されているんで、これでパターンを組んでいくことも可能で、それを曲のテンポ同期させて鳴らすこともできれば、このドラムに対して、先ほどのエフェクトを掛けていくこともできるなど、かなりマニアックなプレイまで実現してくれます。
一方で、鍵盤の画面やギターの画面まで用意されているのは、驚きです。楽器として、さまざまな音色が用意されていて、キーボードプレイできるばかりか、ギター画面においては左のディスプレイ上でコードを抑え、右の画面で弦を弾けるという、トンでもないところまで作りこまれているんですよ。
先日、お話しをうかがったJD Sound社長の宮崎晃一郎さん
JD Soundの社長、宮崎晃一郎さんによると「全員エンジニアの会社で、営業といったって私が兼務でするくらいだったこともあり、製品を出してもほとんど誰にも知られることもなく、反響もなかったんです。ところが2013年のSXSWに出店してみたところ、斜め向かいのブースにMONSTERがいたので製品を見てもらいました。その結果、意気投合してライセンス契約となったんですよ。もっとも製造・販売はあくまでも我々が行い、MONSTERのブランドを使わせてもらい、MONSTERの流通にも乗せてもらうという契約ですね」とのこと。
と宮崎さん。とはいえ、価格的に見てGO-DJが59,800円(税別)で、GO-DJ Plusが37,800円(こちらは税込み!)というのは何か裏があるのでは……と気になってしまいます。
「ただ正直なところ2000万円では、赤字かトントンというところで、もう少し売れてくれないことにはビジネスとしては厳しいところです。ただ、こうした企画を通して、多くの人にGO-DJ Plusの面白さが伝わってくれると嬉しいですね」と宮崎さんは話します。
GO-DJ、GO-DJ Plusの心臓部には、かつての宮崎さん達が所属していたファインアーク開発のプロセッサ、FS-503が搭載されている
もう一つ宮崎さんと話をしていて、驚いたのは、その中身がすべてJD Soundのメンバーによって作られたシステムであるという点です。そう、ここにはCPU/DSPであるプロセッサ、FS-503というものが入っているんですが、これ自体も彼らによる開発なんです。正確にいうと、5人中4人は、仙台にあったファインアークというLSI開発メーカーの出身であり、宮崎さんを含め、その多くはモトローラでプロセッサ開発をしていた人達。その辺の詳細を書くと長くなってしまうので割愛しますが、ファインアーク時代に作り出した6コアのプロセッサ、FS-503を内部に採用しているんですね。
ネットで検索してみたところ、この辺のテクノロジー話は以前、週刊アスキーでのインタビュー記事もあったので、そちらも参考にしてみると面白いと思います。
この辺についても、またいずれ実現してきたところで記事にしてみたいと思っていますが、まずは早めにGO-DJ Plusを1台GETしておくといいのではないでしょうか!
【クラウドファンディング】
◎Makuake ⇒ GO-DJ Plus
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