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「楽器はぜんぜん弾けないんだけど、何か音楽を作ってみたい 」、そんな思いでDTMの世界に入ってくる人も多いと思います。もちろん、打ち込みで音楽を作っていくというのも重要な手段ではあるのですが、Native Instrumentsから、楽器が弾けない人でも使える、まったく新しい音楽制作手法といってもいい、不思議なツールが誕生しました。
先日発売されたばかりの12,800円の音源、FLESHというのが、それ。FLESHはリズム音を元の音源として利用しながら、これをベースラインやリフ、メロディー、パッドなどに変換していくユニークなアイディアの音源なんです。元となる音源は、サンプル素材を利用してもいいし、机を叩いた音やマイクから録った口ドラムなんかでもOK。実際どんなことができるのか、紹介していきましょう。
リズムを元に音楽を作り出してしまうという画期的ツール、FLESH
まずは、私が鳴らしてみた以下のビデオをご覧ください。
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これ、何をやっていたか分かりましたか?最初に鳴っていたのが、サンプリング素材から持ってきたリズム音。LENGTH(音の長さ)、CHARACTER(音の特徴)、SPECTRUM(周波数成分)、MOD(モジュレーション)といったパラメータをいじることで、元の音が変化します。
が、その後、隣の黄色エリアをクリックするとメロディー?が鳴り出しますよね。さらに青いエリアをクリックするとベースが鳴り、赤のエリアでパッドが加わり、緑のエリアでエフェクトが追加され……だんだん音楽になっていきます。
でもこれ、メロディーとかベースラインのフレーズが用意されていたわけではないんですよ。すべて、元のリズム音をFLESHが加工することで作り出しているサウンドなんです。不思議でしょ!?
FLESHを動かすためのプラットフォームであるReaktor 6 Playerは無料配布されている
では、このFLESHについて、もう少し詳しく見ていきましょう。まず、このFLESHというソフト音源はNative InstrumentsのReaktor 6上で動いているものです。今回Reaktorに関する詳細は割愛しますが、数多くあるソフト音源のプラットフォームというべきもので、Reaktor 6 Playerというものが無料で配布されているので、今回はそれを使っています。
Cubase上で動かしたFLESH。テンポがDAW側と揃っていることが確認できる
Reaktor Player自体はスタンドアロンでも動くし、VST、AudioUnits、AAXでも動作するから、FLESHもスタンドアロンで動かせるのと同時に、CubaseやLogic、ProTools、SONARなどのDAWの音源として使うことが可能です。また、このリズムというか音楽のテンポは、もちろんDAWのテンポに追従する形になっているから、もちろん、ほかのオーディオやMIDIと同期させていくこともできますよ。
実際にどう使うのか。プリセットとして、さまざまなリズムパターンが用意されているから、それらを使うのが簡単ですが、FLESHの一番の醍醐味は、自分の作ったリズムパターンをFLESHに与えることです。といっても、やることは単純。予め机を叩いたり、コップや缶を叩いた音を録音してもいいし、口ドラムなんかでもいいので、適当なツールを使って録音しておき、WAVとして用意しておきます。
WAVファイルをドラッグ&ドロップすると、自動解析されて、読み込まれる
これをFLESHのサンプラー画面へとドラッグ&ドロップで持っていくと、FLESHが自動解析した上で、スライスしてくれるんです。必要に応じて、スレッショルドを変更したり、小節数やステップ数などを変更することで、だいぶ違った雰囲気になりますよ。
これがFLESHの元素材となるわけですが、画面からも想像できるように、全部で12個の元素材を同時に読み込ませることが可能になっており、接続しているMIDIキーボードでどれを鳴らすかを選択可能になっているのです。もちろん、単なるスイッチですから、キーボードが弾けるかどうかは関係ないですよ!また、MIDIキーボードがない場合はPCのキーボードを利用することも可能になっています。
BEATNIKを使うことで、リズムパターンを直接加工することができる
この読み込んでスライスした元素材を直接フィルターなどで加工するのがBEATNIKという機能。前述のとおり、SPECTRUM、CHARACTER、LENGTH、MODというパラメータで加工することが可能です。
MONOCULTではリズムを元にして、まったく異なるサウンドであるシンセサイザのメロディーを鳴らすことができる
でも、FLESHの画期的な機能はここから。隣の黄色いボタンをクリックするとMONOCULTというシンセサイザが登場してきます。これは、読み込んだリズムを加工する形でシンセのメロディーを作り出すもの。当然リズムパターンがわかると、それにマッチする形でメロディーも変化していきます。音作りは、普通のシンセのようにレゾナンスとカットオフでフィルターを動かすというのではなく、やはりSPECTRUM、CHARACTER、LENGTH、MODの4パラメータを中心にして操作していくんですね。
ちなみに、このMONOCULTを鳴らしている際に、元素材そのものを鳴らすBEATNIKをオフにしてもOK。するとリズム的なサウンドが消えて、メロディーだけのソロになるわけですね。以下の音源においても同様で、鳴らしたいパートだけを重ねていけばいいのです。
ベースパートを担当するSUB
同様に潜水艦のアイコンをクリックするとSUBというベースシンセが現れます。こちらでは低音パートを担当する音源となっており、先ほどのMONOCULTとはまた違った旋律、音色で鳴ってくれます。
コードをかぶせていくことができるPOLYTHEIST
さらに、赤いアイコンPOLYTHEISTというポリフォニックシンセ。主にパッド系の音を厚くするサウンドを担当してくれますが、音色設定次第で、結構違う雰囲気になってくれますよ。
エフェクトの動作もリズムを元に作り上げていく
さらにfxをクリックするとFLAXという画面が開きます。これはこれまでみてきた4つとは異なり音源ではなくエフェクト。パラメータの設定によってディレイ的なものだったり、コーラス的なものだったりへと変化するので、使い方によって、結構違ったサウンドになってきますね。
でも、なんでリズムがメロディーやベースライン、コードなどに変換されるのかというのが大きな疑問ですよね。それを司っているのが、HARMONYという機能なんです。これは、ある意味シーケンサ的な機能であり、元のリズムをどんなハーモニーへ展開させるかを決める心臓部となっているんです。
リズムを元に、どんなメロディー、ベース、コードを生成していくかを制御するHARMONY
といってもいわゆるMIDIシーケンサ的なものとは大きく異なり、半分直観的に適当に設定するだけで、結構違ったフレーズになってくるんですよね。数時間使っただけでは、どういう仕組みで、こうしたメロディーが生み出されるのかを把握することはできませんでしたが、操作自体はとっても簡単で、適当にいじるだけで、いろいろな音楽が生み出されるのは、本当に驚きでした。
49鍵盤のKOMPLETE KONTROL S49
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実際、上記のビデオはKOMPLETE KONTROL Sシリーズを使ってパフォーマンスしているものです。見かけ、まるで上手に鍵盤を弾いているようですが、よく見ると、単に元素材を鳴らすトリガーとして使っているだけなのが分かると思います。またノブをいじることで、先ほどのパラメータを動かしているわけですが、これならキーボードが得意でない自分でも、弾けるかも…と夢が持てるのも楽しいところですよね。
前述のとおり、Reaktor 6 Playerは無料で入手できるし、FLESHのデモ版も無料ですぐにダウンロードできるので、ぜひ一度試してみてはいかがですか?
【製品情報】
Native Instruments FLESH製品情報
KOMPLETE KONTROL S-SERIES製品情報
KOMPLETE 10製品情報
KOMPLETE 10 ULTIMATE製品情報
【ダウンロード】
FLESHデモ版ダウンロード
Reaktor 6 Playerフリーダウンロード