2013年9月に発売された歌声合成&音声合成ソフトのCeVIO(チェビオ)、以前にも「ボカロに有力対抗馬登場!? 新歌声合成ソフトCeVIOの衝撃!」、「ボカロとまったく作法が異なるCeVIO Creative Studioを使いこなせ」といった記事で紹介したことがありましたが、その後、私も、しっかりと状況を追うことができていませんでした。
しかし改めてチェックしてみたら、昨年11月にCeVIO Creative StudioからCeVIO Creative Studio Sへと進化して、音質も向上するとともに、ライブラリ単独での発売もされていたんですね。先週にはVOCALOIDのIAの発売元である1st PLACEからもトークボイス「ONE -ARIA ON THE PLANETES-」が発売になるなど、結構動きがあるようでした。そこで、改めて最新版をインストールして少し試してみました。
CeVIO Creative Studio Sと名前も変わり、最新バージョンは3.1.4.0へと進化
CeVIOについてご存じない方も少なくないと思うので、改めて簡単に紹介すると、これはヤマハのVOCALOIDのように歌わせることができるソフトであるのと同時に、AHSが発売するVOICEROID(開発はエーアイ)のようにしゃべらせることもできるソフトです。
ただし、VOCALOIDやVOICEROIDとはまったく異なる合成エンジン、HMMというものが使われており、そのエンジンは名古屋工業大学が開発したという、いわば産学共同プロジェクト。エンジンが異なるだけに、その作法はVOCALOID、VOICEROIDとはかなり異なるのですが、音符情報と歌詞情報を与えると歌い、テキストを与えればしゃべるという点では同じといってもいいかもしれません。
まずは、以下にCeVIO Creative Studio Sの短い紹介ビデオがあるので、ご覧いただくと、その使い方や歌声、しゃべり声の雰囲気はつかめると思います。
VOCALOIDの歌声をよく知っている人であれば、明らかに違う、という感覚は持つと思います。その上でより自然な歌声と感じる部分と、ぎこちないと感じる部分もあって、多くの人が「一長一短あるな」と思われているのではないでしょうか?これがVOCALOIDエンジンとCeVIOのHMMエンジンの違いということなんでしょうね。
これを見てもお分かりいただけた通り、トークとソングという2種類のトラックがあり、トーク・トラックではしゃべりを、ソングトラックでは歌を作っていくわけですね。いずれもHMM合成エンジンを使ってはいるものの、しゃべりと歌という、大きく異なるシチュエーションのものが1つのソフトに統合されているわけです。
画面右の「声質」パラメータを調整するだけで大きく雰囲気が変わる
この2種類のうち、ソングのみを見たとき、VOCALOIDよりも明らかに有利と思われるのが、声質の調整機能です。VOCALOIDでもある程度、声質は調整可能ですが、CeVIOのそれは、まったく違う歌声といってもいいほどに変化させることができるので、1つキャラクタだけでも、かなり多くのバリエーションを作れるのが面白いところです。
また、それ以外のパラメータもVOCALOIDのものとは少し異なり、タイミング、ピッチ、ボリューム、ビブラート振幅、ビブラート周期などとなっていて、一つ一つのパラメータを細かく調整できるのもCeVIOの特徴です。
一方の、トーク側にも「声質」というパラメータがあって、変化させられるほか、「元気」、「普通」、「怒り」、「哀しみ」、「クール」、「照れ」、「へこみ」といったパラメータがあり、これらを調整することで、結構雰囲気が変わりますね。
こうした点については、以前に紹介したときから、基本的には変わっていませんが、昨年11月のアップデートでCeVIO Creative Studio Sとなった時点で、いくつか変わった点もあるので、まとめておきましょう。
CeVIO Creative Studio Sになったタイミングで「ソング」メニューが追加されている
まずは、その配布の体制についてです。従来はCeVIO Creative Studioというパッケージ製品とCeVIO Creative Studio FREEという無料配布のダウンロード版がありました。FREEのほうは、いろいろと機能制限があった体験版となっていましたが、バージョンアップによって、FREE版の配布が廃止された変わりに、製品版もダウンロード可能になるとともに、体験版として使用することが可能になっているのです。
そう、ダウンロードしたCeVIO Creative Studio Sはとりあえずお金を払わなくても30日間は機能制限がまったくない形で使用することが可能になっているのです。30日経過した後に、やっぱり欲しいということであれば、ここでライセンス購入してアクティベートすればいいわけですね。
この形になったことで、トークにおいても、「さとうささら」、「すずきつづみ」、「タカハシ」の3人のキャラクタが使えるようになっているし、ソングでの声質調整も自在にできるようになっていますよ。
またライセンス購入の際、フルパッケージ(12,960)としての購入のほかに、
・CeVIO さとうささら トークスターター(6,480円)
・CeVIO すずきつづみ トークスターター(6,480円)
・CeVIO タカハシ トークスターター(6,480円)
・CeVIO さとうささら ソングスターター(8,640円)
・CeVIO さとうささら ソング&トーク スターター(10,800円)
という単独機能のみの販売もされています。つまりさとうささらの歌声だけでよければ、ソングスターターを購入すればよく、しゃべりだけならトークスターターを購入すれば、安くすむというわけですね。
1st PLACEから「ONE」(オネ)というトークボイスが登場
また、後からボイスのみを追加することも可能になっています。残念ながら現時点において、歌を歌えるのは、「さとうささら」のみですが、トークボイスにおいては、フルパッケージに入っている3つのキャラクターに加え、1月27日より「ONE」(オネ)というトークボイスが新たに発売されたのです。これが前述の1st PLACEがリリースしたもので、「ボーカロイドIAに続く、ふたつめのARIA ON THE PLANETES」とのこと。以下のビデオを見ると、その雰囲気がわかりまよ。
1st PLACEからは公式MMDモデルも配布されているようですね。
なお、CeVIOで生成する音声の利用ルールがCeVIO Creative Studio Sとなった時点で、より使いやすくなっているようです。無料で利用できる範囲としては個人および同時サークルの趣味の範囲内で行う場合は原則無料となっており、以下のような規定になっています。
1. 動画投稿での利用:
個人で投稿する場合、広告収入の有無にかかわらず、無料でご利用いただけます。
2. 音楽CDの販売:
パッケージには「CeVIO」及びキャラクターの名前をクレジットしていただくようお願いします。
3.音楽データの配信:
個人で配信サイトに登録する場合、無料でご利用頂けます。
4. クラブイベント、コンサートでの利用:
個人で参加して利用する場合、無料でご利用頂けます。
5. アプリ,ゲーム等の販売,配信:
個人でゲームを販売する場合やアプリを配信サイトに登録する場合は無料でご利用いただけます。
6. 授業での利用:
教育関連に携わる個別の教員がご自身の授業や部活動で利用する場合、無料でご利用頂けます。ただし、資料の配信・共有等を行う場合は個別にご相談ください。
完成した歌声、しゃべり声はファイルメニューからWAVで書き出して利用する
なお、商用利用になる場合は問い合わせフォームを用いて応相談とのこと。プロ・ミュージシャンが楽曲制作において使う場合は、商用利用ということになりそうですが、そうでなければ、大半が無料で使えそうですね。
【ダウンロード】
CeVIO Creative Studio S無料体験版
【購入サイト】
CeVIO Creative Studio Sフルバージョン
ONE – ARIA ONE THE PLANETS-
【パッケージ購入】
CeVIO Creative Studio