PreSonus(国内代理店はエムアイセブンジャパン)から、驚異的なDTMセット製品が発売されました。AudioBox iTwo STUDIOというのがそれ。オーディオインターフェイスであるAudioBox iTwoを中核にDAWであるStudioOne Artist、コンデンサマイク、モニターヘッドホンとDTMに必要なものがすべて入っており、実売価格は税込みで27,800円というものです。
これからDTMを始めてみたいという人にとって、WindowsユーザーでもMacユーザーでも、これだけ買えばすべて揃ってしまうので非常に便利。また、すでに利用しているDTMユーザーにとっても、追加機材、予備機材としても魅力的ですよね。そのAudioBox iTwo STUDIOを使ってみたので、どんなものなのか紹介してみましょう。
PreSonusのDTM全部入りセット、AudioBox iTwo Studio
一昔前は、Rolandのミュージ郎やYAMAHAのHello!Music!のような全部入りDTMセットが中心でしたが、最近は機材の選択肢が増えたこともあり、バラバラで調達するのが一般的でセット製品というのはあまり見かけません。でも初心者にとっては、何を揃えればいいのかが難しいし、すでにDTMをしているユーザーにとっても安いセット製品というのは魅力があるんですよね。
AudioBox iTwo Studioのパッケージの中には、これだけのものが入っている
そんな中に登場したPreSonus AudioBox iTwo STUDIOは、すべて揃っているから、安心して購入できるし、とにかく信じられないような低価格なことに驚きます。具体的なセット内容を列挙すると
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・AudioBox iTwo(オーディオインターフェイス)
・Studio One Artist 2(DAW:ソフトウェア)
・M7(コンデンサマイク)
・HD7(モニターヘッドホン)
・XLRケーブル
・USBケーブル
・キャリーバッグ(マイク用&ヘッドホン用)
・日本語マニュアルとなっています。
今注目の強力・多機能なDAW、Studio One Artistもバンドルされている
でも、このセットを見て、「あれ、これってだいぶ前に見たような……」と思った方は正解!そう、これは2年前に記事で紹介したAudioBox STUDIOの後継製品なんですね。
もちろん、新製品となっただけあって、機能・性能ともに大幅強化されているんです。最大のポイントは以前のオーディオインターフェイスであったAudioBox USBが24bit/44.1kHzまたは24bit/48kHz対応であったのに対し、新製品のAudioBox iTwo最高で24bit/96kHzまで対応する高性能、高音質なオーディオインターフェイスになっているんです。
2つのコンボジャックの入力を持つオーディオインターフェイス、AudioBox iTwoのフロントパネル実際使ってみたAudioBox iTwoはフロントにコンボジャックが2つあるのですが、ともにマイクおよびラインの接続が可能で、+48Vのファンタム電源を備えているからコンデンサマイクの接続もできます。また、入力1、入力2それぞれ独立したインストゥルメント(Hi-Z)スイッチが搭載されているので、エレキギターとエレキベースを同時に接続といったことも可能なのです。
また個人的にはヘッドホン端子がフロントに来た点は大歓迎。やっぱりヘッドホンはフロントに接続したいですからね。このヘッドホン出力と、リアのメイン出力は同じ信号が出るのですが、音量はそれぞれ別に設定できるというのも便利なところです。
ちなみにAudioBox iTwo(単体価格18,800円)にはAudioBox iOne(単体価格13,800円)という弟分もあります。こちらはモノラル入力が基本で、マイク入力とインストゥルメント入力が1つずつ装備されてます。AudioBox iTwo STUDIOのようなセット製品はありませんが、より低予算でというのであれば、選択肢としてありですよね。
AudioBox iOne(上)とAudioBox iTwo(下)
このオーディオインターフェイスであるAudioBox iTwoにはオーディオ入出力だけでなくMIDIインターフェイス機能も装備しているので、これとDAWであるStudioOne Artistがあれば、オーディオのレコーディングやMIDIの打ち込みはもちろんのこと、エフェクト処理、ミックス、マスタリングまで一通りのことは全部できてしまいます。
このレコーディングの際に重要になるのがマイクなわけですが、結構多くのDTMユーザーでトライできていないのがコンデンサマイクの導入ではないでしょうか?「とりあえずダイナミックマイク持っているし、コンデンサって高そうだし……」、「コンデンサマイクは欲しいけれど、専用の乾燥器に保管しなくちゃいけないんでしょ……」といった理由から敬遠してしまっている人が多いようです。確かにノイマンやAKGの高級コンデンサマイクともなると数十万円しますが、手ごろなものなら1~2万円で買えるのでぜひトライしてみるべきだと思いますよ。とはいえ、RODEやBLUE、SHUREといったメーカーの低価格帯のもので2~3万円ですから、その価格を出せばPreSonus AudioBox iTwo STUDIOが買えちゃうわけですよ。そして、そのセットの中にも、そこそこ使えるコンデンサマイクが入っているのです。
実際に試してみると、非常に感度もよく、ささやくような歌声でも、すごく弱く弾いたアコギの音でもクッキリと捉えることができます。それより、部屋に置時計なんかがあると、秒針の音まで思い切り入っちゃうので、注意が必要なくらいですからね。
またコンデンサマイクは保管が難しいとはいいますが、まあ、そこまでの高級品ではないし、普通に扱っていても大丈夫ですよ。夏の梅雨の時期などは、使わないときに乾燥剤とともに密閉した箱に入れておくのが無難かもしれませんが…。私も安いコンデンサマイクは、その辺に置きっぱなしですが、壊れたりすることも音質劣化することもほとんどないので、あまり気にしなくても大丈夫ではないでしょうか?一方、HD7という付属のモニターヘッドホンは単体で6,000円で販売されているセミオープンタイプ。とっても軽いヘッドホンですが、ネオジウム・ドライバーを採用しており、低域もしっかり出てくれます。リスニング用と比較すると、高域がちょっと強めに感じられると思いますが、それこそが高解像度なモニターヘッドホンの特性。細かな音色の違いをハッキリと聴きわけることができますよ。
AudioBox iTwonのリアパネル。PCと接続のためのUSB 2.0端子と、iPadに接続するDEVICE端子があるさて、このAudioBox iTwoおよびiOneには、前モデルのAudioBox USBにはなかった、もう一つの大きな特徴があります。それはiPadと接続できるという点です。しかも、iPadとの接続は、普段使っているUSBの充電ケーブルでOK。Lightning-USBカメラアダプタとかCamera Connection Kitなんて使う必要もないんです。
iPadとも簡単に接続できる。しかも接続ケーブルはiPad付属の充電ケーブルを用いるそう、リアパネルを見てみるとWindowsマシンやMacと接続するためのUSB 2.0という端子のほか、DEVICEと書かれたUSB端子がありますが、DEVICEのほうに、iPad標準の充電ケーブルを使ってiPadと接続すればいいわけです。ただし、PCと接続する場合はUSBバス電源供給で動作しますが、iPadの場合はそれだけの電力がないため、別途AudioBoxへ電源供給する必要があります。ただし、これも専用のACアダプタなどは不要。iPadを充電するためのACアダプタを利用しUSBケーブルで接続すれば動いてしまうんですね。これはなかなか汎用的で便利な設計ですよ。
PreSonusが無料で配布しているiPadアプリ、Capture for iPad DUOこうしてiPadと接続すれば、GarageBandはもちろん、CubasisでもAuriaでもFL Studio Mobile HDでも何でも使えてしまうのですが、PreSonusからも強力なiPad用アプリが登場していたのをご存じですか?
Capture for iPadというアプリがそれ。機能的にはAudioBox iTwo/iOneと接続して、オーディオをレコーディング、編集するというもので、最高で24bit/96kHzまで対応しています。AudioBoxを接続しない状況でも、iPad本体マイクでのレコーディングは可能ですが、その場合は44.1kHzか48kHzでの動作になります。
AudioBox iTwoを接続すると、認識されて中央下にアイコンが表示される。96kHzでのレコーディングも可能無料で入手可能なCapture for iPad Duoは2トラックまでの利用となっていますが、1,000円のCapture for iPadのほうは32トラックまでのレコーディングが可能。まあ、それだけなら「GarageBandだって、多少制限はあるにせよ32トラックまでいけるじゃん!」という人もいると思います。
ところが、このCapture for iPad、無料版でも有料版でも、レコーディングした内容を、そのままStudioOneへ送ることができるんですよ。しかもこれまでのどのソフトよりも連携が簡単なんです。画面右上の転送ボタンを押すと、同じLAN内にあるStudioOneを探してくれ、選択すると、そのまま直接StudioOneへトラックデータが丸ごと送られるんですよ!
画面右上の転送ボタンを押すと、LAN内で起動しているStudioOneが認識されるそう、iTunesを介してやり取りするとか、いったんファイルに保存してからインポート……といったことをせず、まさに直接アプリtoアプリ。これはメチャメチャ便利ですね。このCaputure for iPadは、PreSonusのオーディオインターフェイスだけでなく、他のオーディオインターフェイスでも動作することは確認できたので、StudoOneユーザーならGetしておくといいですよ!
PC上のStudioOneにはCapture for iPadでレコーディングしたデータが即転送されると、ややAudioBox iTwo STUDIOから話がそれましたが、最後にもう一つ重要なポイントが!AudioBox iTwo/iOneのスペックやマニュアルを見ても、iPad対応となっているだけで、iPhone対応とは書かれていないんです。でも、iOS7以降、iPadで接続できてiPhoneで動かない機材って見たことないので、これはできるのでは…と思い、手持ちのiPhone6 Plusと接続してみました。結論はバッチリ動作!確かにCapture for iPadはiPhoneへインストールすることすらできないので、使うことはできませんが、GarageBandをはじめとする各種アプリで使うことができるので大丈夫ですね。
iPhone6 Plusとも、まったく問題なく接続でき、GarageBandでのレコーディングもできたAudioBox iTwo STUDIOは、まさにオールマイティーに利用できる、DTMの全部入りパッケージです。ドル安が進んで値上げなんてことになる前に、早めに入手しておくのがおすすめですよ!
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