先日のiPophetの記事でも書いた通り、フランス・グルノーブルにある、Arturiaが会社設立15周年ということで、その取材にArturia本社にやってきました。目玉となる新製品発表は、15周年記念イベントのハイライトとなるCEO自らによるキーノートスピーチで、ということで一旦お預けになったのですが、それ以外にもいろいろな製品があるとのことで、チェックしてきました。
ここで登場したのは、Arturiaのキーボード兼コントロールサーフェイスであるKEYLABの88鍵盤バージョンであるKEYLAB88、大人気アナログシンセMICRO BRUTE(マイクロブルート)のカラーバリエーション、さらには新DAWとして注目を集めているBITWIGとKEYLABのバンドル製品であるPRODUCER PACKSなど。とくにこのBITWIGとバンドルパックの場合、BITWIG単体で購入するより安くとあまり変わらない価格で買えそうなので、BITWIGに興味のある人にとっては大チャンスかもしれません。それぞれの新製品について紹介してみたいと思います。
フランス・グルノーブルにあるArturia本社で行われた発表会に行ってきました!
まず、今回の発表会で新ハードウェアとして登場したのがKEYLAB88です。フル鍵盤のUSB-MIDIキーボード兼コントロールサーフェイスであるKEYLABは、これまで25鍵、49鍵、61鍵のそれぞれがありましたが、今回登場した88鍵盤のKEYLAB88は、鍵盤にイタリアFATER社のハンマーアクション型アフタータッチ機能付鍵盤を採用したもの。ピアニストにとっては、非常に演奏しやすいタイプの鍵盤の登場といえそうです。
FATERのハンマーアクション鍵盤を採用したKEYLAB88
また、このKEYLAB88は、大きい機材であるため、譜面台が用意されているほか、ノートPCを設置するスペースも作られ、まさにDTMの母艦として使えるようになっています。また、バンドルソフトとして、他のKEYLAB製品と同様にANALOG LABがバンドルされているだけでなく、UVIのACOUSTIC GRAND PIANOさらにはPIANOTEQのPIANOTEQ 5 STAGEがバンドルされているため、即ピアノとして使うこともできるようですね。
パステルカラー3色のMICRO BRUTE SEが登場
MICRO BRUTEのカラーバリエーションであるMICRO BRUTE SEは、機能的には従来からあるMICRO BRUTEと同様のもの。詳細については、以前書いた「アナログシンセMicroBruteの使い方を氏家さんに習ってみた!」をご覧いただきたのですが、これはArturiaが生み出した、モノフォニックのアナログシンセサイザです。
オリジナルのMICRO BRUTEと比べると、ずいぶんかわいい感じ
15年前、ソフトシンセメーカーとしてスタートしたArturiaが、ビンテージシンセをソフトウェアでシミュレーションするようになり、ハードのデジタルシンセを開発し、ついにはアナログシンセそのものに行き着いてしまったというのは、なかなかユニークな動きだと思いますが、そのMICRO BRUTEは国内外で売れまくりのようなんですね。
出荷されるMICRO BRUTE SEのうち6割はホワイトとなる模様
その大ヒット製品となった現代のアナログシンセ、MICRO BRUTEを、オリジナルのブラックとはずいぶん違った雰囲気のホワイト、ライトブルー、オレンジの3色で作ったのがMICRO BRUTE SEというわけです。このパステルカラーのバージョンが、どれだけウケるのかは微妙な気もしますが、計4000台生産するうちの6割がホワイト、ライトブルーとオレンジは2割ずつというのは、ちょっと納得のいくところです。
シンセ本体としては、オリジナルのMICRO BRUTEと同じですが、ちょっぴり特典もあるようです。まずは分岐可能なユニークなパッチングケーブルが2つずつ付属しているという点。
これは音作りの面では、かなり使えそうですよね。また専用のキャリングバッグもついているということですから、これも魅力的。ライブに出かけるのに、このバッグにMICRO BRUTEを入れて持っていったら、ちょっとカッコいいかもしれません!
Arturia本社には世界中からDTM系の編集者や代理店など50人強が集まった
そして、もう一つ目玉となるのが、BITWIG STUDIOとのバンドル製品である、PRODUCER PACKSです。これは、先日紹介した新しいDAW製品、BITWIGとKEYLAB、さらにはMiniMoogを正確にソフトウェアエミュレーションするMINI Vの3つをバンドルした製品です。
今年の春に発売されたBITWIG STUDIOとKEYLAB、MINI Vのバンドル製品が誕生
BITWIGについては、以前「新DAW、Bitwig Studioがいよいよ発売だ!」でも紹介した、ドイツBITWIG社が開発したDAWであり、Ableton Liveとも似た雰囲気のソフトです。ただ、BITWIG自体は、ライブパフォーマンスDAWとしてだけでなく、CubaseやSONARなどのようなもっとレコーディング、音楽制作に重きを置いたDAWとしても打ち出しており、今回のArturiaとのコラボは、その表れともいえるようです。
つまり、BITWIG STUDOをKEYLABというハードウェアとそれにバンドルされるAnalog Labというソフトシンセ、、さらにはMINI Vと組み合わせて使うことで、打ち込みやレコーディングで使えるDAWであることをアピールする狙いがあるんですね。
KEYLAB25のバンドルセットだと349ユーロと、BITWIG STUDIO単体価格よりも安い!
ユーザーにとって気になるのは、その価格と、国内でのサポート体制でしょう。まず価格については、ヨーロッパにおいてKEYLAB25のバンドル製品が349ユーロと発表されており、BITWIG STUDIO単体で購入するよりも、安く設定されています。のと50ユーロしか変わりません。
これについてArturiaの国内代理店であるフックアップに確認したところ、最終価格は現在調整中とのことですが、国内でもやはりBITWIG STUDIO単体で購入するよりも安くなるそうです。のと5,000円程度しか差がないようです。
※改めて10月6日、フックアップに確認したところ、最終価格はまだ確定していないけれど、実売価格差は税抜きで5,000円程度となりそう、ということでした。
もちろん、バンドルされているBITWIG STUDIOは、ディリゲントから単体販売されているBITWIG STUDIOとまったく同じもの。しかも、国内でのサポートは、ディリゲントが行ってくれるということなので、安心して買うことができそうですよ。
Arturiaがあるグルノーブルは1963年に冬季オリンピックが開催された自然豊かな場所
いま別のDAWを使っているけれど、BITWIGに興味があるという人は、この機会に購入してみるというのもよさそうですね。ここではあまり詳しく説明しませんでしたが、KEYLABに標準で付属するソフトシンセであるMINILABはRolandのJupiter 8を再現したJupiter 8V、Sequential CircuitsのProphet-5を再現したProphet V、ARP 2600を再現したARP 2600V、YAMAHAのCS-80を再現したCS-80V、さらにはエレピとして著名なWurlitzer 200A electric pianoを再現したWURLITZER Vなどから、おいしい音色を抜き出して1つにまとめた便利なソフトシンセ。このMINILAB目的に入手しても決して損のないパッケージなので、かなり魅力的な製品だと思いますよ。
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