古くからあるDAWでありながら、意外と初心者ユーザーに知られていないのが、ソニーのDAWであるACID(アシッド)です。CubaseやSONAR、Live、Logic……といったDAWの影に隠れてしまっていますが、とくにDTM初心者にとっては、とっても使いやすく、分かりやすいのが特徴のソフトです。
最大の特徴は、音楽に関する知識がなくても、ドラム、ベース、ギター、ピアノ……など気に入った素材を選んで並べるだけで簡単に曲を作っていくことができること。いわゆるループシーケンス機能を中心に据えたもので、VOCALOIDのバックパートを作るためのソフトとしても非常に使いやすいDAWなのです。そのACIDに、先日「プロデューサー優待版」という嬉しいオマケ付のパッケージが発売されたので、改めてACIDがどんなソフトなのか紹介してみたいと思います。
パッケージも新たになり、ソニーのイヤフォンも付属するACID Music Studio 9
これまでACIDについては、このDTMステーションでも何度か取り上げているのでご覧になっている方も多いとは思いますが、改めてACID MUSIC STUDIO 9(実売価格1万円前後)について紹介してみたいと思います。
ACID Music Studioは確かにSONYブランドのDAW
「ソニーってDAWも作っていたの?」と不思議に思われる方もいると思いますが、開発元はアメリカ法人であるSONY CREATIVE SOFTWARE。Sony Corporation of Americaの子会社なので、日本のソニー本社から見れば孫会社という位置づけなんですね。
そのため、ソニーが直接販売しているわけではなく、フックアップが代理店として販売を行っています。とはいえソニーのリニアPCMレコーダーやUSB端子搭載のアナログレコードプレイヤーなどには、同社開発の波形編集ソフト、Sound ForgeのLE版がバンドルされていたりもするんですよ。
Windows 8.1上で動かしたACID Music Studio 9
さて、本題であるACIDはWindows専用のソフトながら、Macにも大きな影響を与えてきたソフトです。その辺の経緯は以前「GarageBandの遥か昔に登場していた元祖ループシーケンサ、ACID」という記事で紹介しているので、そちらをご覧いただくとして、個人的にはループシーケンサとしては、今でもACIDが一番使いやすい、という印象を持っています。
もちろん初心者の方だと、「ループシーケンサって何?」「本当に初めてだから、自分で使えるのか心配……」と思う方も多いと思います。そんな不安に感じる方がいたら、ぜひ以下のビデオを見てみてください。
どうですか?ここでは気に入ったループ素材をただ並べているだけなのですが、これなら何の知識、経験がなくてもすぐにできそう、というのがお分かりいただけると思います。ちなみに、製品に標準で入っているループ素材の数は3,000以上。必要に応じてループ素材を追加購入することもできるし、ネット上にあるさまざまなフリーのループ素材をダウンロードして利用することも可能です。
3,000を超えるループ素材がACID Music Studio 9に同梱されている
まあ、ループシーケンス機能は、今では、さまざまなDAWに搭載されているので、ACIDだけのものではありません。でも、やっぱり元祖だけあって使い勝手は抜群だと思います。またACIDではこの並べたループの音程を変更すること(ピッチチェンジ)ができるのですが、このときの音質がいいんですよね。
このようにオケを作っていった上で、自分で歌ってボーカルをレコーディングしていってもいいし、VOCALOIDで歌わせたデータをWAVで書き出した上で、ACIDのトラックに読み込めば、曲として完成させることができるのです。ちなみにピッチチェンジ用のエンジンはélastique Pro V2という高性能なエンジンが搭載されています。
もちろん、すべてをループシーケンス機能に頼るのではなく、ドラムだけを先ほどのようにループを並べて作り、ほかのパートは自分で楽器を弾いてレコーディングするとか、MIDIを使って打ち込んでいくといったことも可能です。
こうした操作になってくると、ほかのDAWと同様、それなりの手間は必要になるし、ある程度は使い方などを習得する必要がありますが、逆に言えば、いろいろなことができるソフトなのです(MacOS上で使うことはできませんが……)。
そのACID Music Studio 9ですが、年末に登場した「プロデューサー優待版」には、ソニーの密閉型インナーイヤー型のイヤホンがバンドルされます。モノはMDR-EX33LPというもの。調べてみたら、国内ではすでに生産完了となっている製品ですが、パッケージを見ると逆輸入(?)の海外版のようですね。まあ、定価2,468円の製品ですから、過剰な期待は禁物ですが、ちょっと嬉しいオマケです。
発売元であるフックアップに確認をしてみたところ、ACID Music Studio 9がすべてこのパッケージに置き換わったわけではなく、従来のものも一緒に発売されているのだとか……。で、価格は変わらないけど、従来のパッケージには、このイヤホンは入っていないとのことですから、ここは要チェック。
左がイヤフォン入りの新パッケージ、右が従来からあるパッケージ
見分け方としては、従来パッケージはいかにも「海外デザイン」という男性3人のバンドのイラスト(写真かな?)であるのに対し、イヤホンバンドルの新パッケージは、女の子のイラストとなっています。もっとも、一番重要なソフトそのものは、どちらも同じだそうですが、せっかく買うなら新パッケージがいいですよね!
なお、この「プロデューサー優待版」は「DAW、VOCALOIDシリーズなどの音楽ソフトウェアを既にお持ちの方が対象になります」と注意書きのある数量限定製品。まあ、購入時にそれを証明したりする必要はないそうですが、「VOCALOIDを購入したけど、どうやって曲にしていけばいいかわからなくて…」と戸惑っているような人にはピッタリの製品かもしれませんね。
【価格チェック】
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