ちょっと宣伝っぽくなりますが、年末、私の書いた新刊が発売になります。タイトルは「ボーカロイド for Cubase公式完全マスター」。ヤマハが監修になっている本で、その名のとおり、「VOCALOID Editor for Cubase(ボカキュー)」に関する解説書です。本当はもっと早く出すつもりだったのですが、ボカキューがCubase Elements 7やCubase AI 7、Cubase LE 7で動作するようになるという情報を得たので、それに合わせて書こうということになり、10月末からバタバタと執筆作業をしていたのでした。
すでにボカキューを使っている方も多いとは思いますが、これはWindowsユーザーもMacユーザーも使えるVOCALOIDのシステムであり、DAWであるCubase上で動く環境です。ただ、初心者ユーザーの場合、CubaseとVOCALOIDを組み合わせて使うということにハードルの高さを感じている人も少なくないはず。とくに、これからDTMを始める人にとっては、乗り越えなくてはならない山がいろいろあるのは事実です。そこで、この本ではどうやってオーディオインターフェイスを設定するのか、オーディオをレコーディングするには、どんな操作をすればいいのか、など基本の基本から丁寧に解説しています。
年末の発売が決まった筆者の著書「ボーカロイド for Cubase公式完全マスター」
その上で、Cubase上でボカキューを動かす手順や、実際に歌わせるための操作、さらには調教の仕方や、その後のエフェクト設定からミックスダウン、マスタリングまで細かく紹介しているのです。
「ボーカロイド for Cubase公式完全マスター」のページイメージ
もっとも、入り口は初心者用に書いていますが、中盤以降はかなり突っ込んだ使い方まで紹介しているので、すでにVOCALOIDを使ってきた人、またCubaseを使っているという中級以上のユーザーにとっても役立つ内容、満載となっています。
たとえば、
・ディアクティベーション機能を使ったPC引越し術
・ひらがなでは表現しきれない音を発音記号で歌わせる技
・簡単にできる「しゃくりあげ」テクニック
・ささやき声の出し方
・スコアーエディターで歌詞をエディットするとどうなるか
・ロジカルエディターを使った論理的なエディット法
・コードトラックを利用したコーラスパート作成術
・PitchCorrectを利用した声質変更テクニック
・Macでも使えるVariAudioを活用した「ぼかりす」もどき
などなど、この本にしかないようなネタもいっぱいあるので、ぜひご覧いただければと思います。
またこの本では、ボカキューを活用する4人のミュージシャンにインタビューをしています。敢えてボカロPと呼ばずにミュージシャンといったのは、多方面で活躍されている方々だからなのですが、具体的には
・青木繁男(@groundescape)さん
・キャプテンミライ(@tanzi)さん
・とくP(@toku_grnd)さん
・TeddyLoid(@TeddyLoidSpace)さん
の4人。それぞれ、かなり面白い話を伺えたので必見ですよ!
キャプテンミライさんインタビュービデオ
ところで、ちょうどこの本のリリースとほぼタイミングを合わせる形で、ヤマハ側でも、いろいろと仕掛けてきているので、その動きも要チェックです。まず、一つ目は、20人のボカロPのビデオインタビューの公開です。
ダルビッシュPさんインタビュービデオ
上記4人のうち、キャプテンミライさんだけ、ダブルでの登場となっていますが、buzzGさん、10日Pさん、ダルビッシュPさん、みきとPさん……など、見ているだけで、結構タメになること、面白いネタがいっぱいです。
石黒千尋(結月ゆかりの中の人)さんインタビュービデオ
が、個人的にビックリしたのは、以前にDTMステーションでもインタビューした、結月ゆかりの中の人、石黒千尋(@chihiro_ishi)さんのビデオインタビューです。彼女が、以前から打ち込みをやっていたという話は聞いていましたが、最初に買ったのがVOCALOID1のLEONだったなんて、知らなかったですよ!国内でも数少ないVOCALOID初期の初期のユーザーだったわけですね。
そしてヤマハが打ち出した第2弾が、「めざせ!ボカロP」VOCLAOID体験版キャンペーン」です。具体的には
・Cubase Elements 7
・ボカキュー
・VOCALOID3 Library Mew
の3つが機能無制限の体験版として配布するというものです。ただし、Cubase Elements 7は30日間、ボカキューとMewは14日間の利用という期限になっています。
3つのソフトの体験版を配布している「めざせ!ぼかろP」のページ
ボカキューがいいとはいえ、やはり使ってみないことには、分からない面も多々あるでしょう。上記3つともWindowsでもMacでも使えるので、冬休み中に試してみるというのもいいと思いますよ。可能なら、前出の著書「ボーカロイド for Cubase公式完全マスター」を教科書に、使ってみると、よく分かると思いますよ!その上で、気に入れば購入すればいいわけですから!
初音ミクでもらえるCubase LE 7上でも、体験版のVOCALOID Editor for Cubaseはしっかり動作する
ちなみに、先日記事「気前いいにも程がある!?初音ミクでCubase LE 7をGETだ!」で紹介したCubase LE 7でもボカキューの利用は可能です。初音ミク(V2でもV3でも)があれば、それをボカキューで使うことも可能ですから、どんなものか試すのにはいいと思いますよ。
そして、第3弾は、DTMステーションによるスクープ!、ボカキューへの新機能搭載についてです。実は、2014年1月にボカキューのアップデータ、VOCALOID Editor for Cubase Ver1.1.0がリリースされ、ここに
・ピアノロールのマウスクリックで発音
・音符バーのクリックや移動で発音
・音符バーへの歌詞入力で発音
といったことが可能になる機能が搭載されるのです。さすがに歌詞の流し込みでの発音には対応していないようですが、リアルタイムに発音を確認できないのが、ボカキューのネックであったので、これで使い勝手が大幅に向上します。
画面左上にはスピーカーアイコンが追加され、これがオンになっていると発音する
USB-MIDIキーボードを接続しておけば、鍵盤を弾くと、レイテンシーはちょっとありますが、リアルタイムに歌わせることができるようになるというのは、ちょっと画期的な感じがしますね(発音は「あ」に固定されますが)。また
ピアノロール画面であるキーエディターを使えば、1音1音、歌声を確認しながらステップ入力ができるのも大きなポイントです。ただリアルタイムレコーディングはできないようですね。
開発者に確認したところ、「リアルタイムレコーディングは、現時点では非対応」という、ちょっと意味深な表現をしていたので、今後の動きにも期待したいところです。
なお、ヤマハ側でこの新機能に関する解説ビデオも作っていたので、以下に掲載しておきます。
以上、ボカキュー関連の情報を一気にまとめてみましたが、VOCALOID関連、気になっている方は、ぜひチェックしてくださいね!
【関連情報】
VOCALOID Editor for Cubase NEO製品情報
「めざせ!ボカロP」VOCALOID体験版キャンペーン
ボーカロイド for Cubase公式完全マスター