Windows/Macハイブリッド対応のReaperというDAWをご存知ですか?パッケージ販売されているものではないから、あまり一般的ではないものの、DTMマニア(?)の間では、非常に評判のいいソフトであり、非常に軽く、しかも機能的にも充実したDAWなのです。
$60(ビジネスで使う場合は$225)という安いソフトではあるけれど、とりあえず全機能がタダで使えるのも嬉しいポイント。「有料ソフトだから、買ってね」という英語の表示が出て、多少の時間を待たなくてはならないものの、60日間は普通に使えます。また、60日を過ぎても機能制限なく使えてしまうようですね。私自身も、かなり久しぶりに触ったのですが、これがどんなDAWなのか、簡単に紹介してみましょう。
とりあえず無料で使え、非常に動作が軽いDAW、Reaper
Reaperはアメリカ・ニューヨークのcockosという会社が開発したDAW。2005年に登場した当初はフリーウェアとして配布していたので、「Reaperはフリーウェア」という印象を持っている人も少なくないようです。事実、2006年7月27日にリリースされたv0.999というバージョンまではフリーウェアであり、現在もそのフリーウェア版はダウンロード可能になっていて、それなりに使うことが可能です。
Reaperの起動画面。とてもシンプルだけど、デザイン的にもカッコイイ
しかし、それから7年の間に機能はどんどんと向上し、2013年8月15日現在のバージョンはv4.402。ほかのDAWと比較しても見劣りしないどころか、ある意味高性能といっても過言ではないものになっているのです。そのため、やはり今使うのであれば、新しいバージョンを使うことをお勧めします。
購入しない状態でReaper 4.xxをすると、こんなメッセージが数秒間表示されるが、ただそれだけ。
このReaperの最大の特徴は、とにかく軽いこと。Windows版、Mac版ともに32bit版と64bit版が用意されているのですが、たとえば、Windows 64bit版のダウンロードサイズは、そのv4.402でたったの9MB。ほかのDAWがDVD4枚組だとか5枚組だといっているのとは、桁が4つくらい違いそうです。それだけに、動作も非常に機敏であり、1世代前のPCでもサクサクと動作してくれるのは嬉しいところです。
Windowsの場合、ASIOのほかWASAPI、WDM/KSなどもサポートされている
もちろん、オーディオインターフェイスやMIDIキーボードなどと連携して、それらの性能を十分に発揮することが可能です。Windowsの場合、ASIOドライバはもちろん、MME、DirectX、そしてWASAPI、WDM/KSと何でもサポート、Macの場合もCoreAudioに対応しています。
画面を見ても分かる通り、DAWだから、MIDIでもオーディオでもレコーディングができるし、ACIDデータを持ってくればループフレーズとして利用することも可能です。
もちろんDAWだから、MIDIもオーディオも自由に扱うことができる
またMIDIのピアノロール画面も用意されているから、ここで細かくエディットしていくこともできるし、一から打ち込んでいくことだって可能です。オーディオの波形編集機能は装備していませんが、外部ソフトを連携させる機能も持っているので、1つのソフトのようにして扱うことが可能になりますよ。
ここで気になってくるのは、音源やエフェクトについてだと思います。やはり、ファイルサイズが小さいだけに、それほど充実しているわけではありません。一応音源としては、サンプラー系、アナログシンセ系など3種類が用意されているほか、エフェクトもディレイ、コンプ、EQ、リバーブ……と17種類が入っているので、一通りのことは可能です。
ただ市販のDAWと比較すると、見た目も地味だし、プリセットなどもないので、初めてのDTMユーザーが飛びついても、なかなか使いこなせないというのが実態かもしれません。しかし、拡張性のほうは抜群です。WindowsであればVST/VSTiはもちろん、DirectX/DXi、そしてReWireにも対応しているから、自分のお気に入りのプラグインを自由に追加していくことが可能です。また、Macであれば、AudioUnitsに対応していますから、その点でも安心です。だから、中上級ユーザーにとっては、自分の好きなDAWへと環境構築でき、しかも軽いので、ユーザーも多いのでしょう。
ちえPさんのパッチを当てると、メニューもしっかり日本語化される
ここで1点気になるのは、このソフトが英語表記になっているという点。いくら、いいソフトでも、英語だとちょっと抵抗がある……という人もいると思います。でも、大丈夫。ちゃんと日本語で動かすことも可能になっています。
細かな設定項目もすべて日本語表記になるので安心して使うことができる
といっても、開発元が日本語版を作っているというのではなく、有志の方々が日本語対応をさせているのです。フリーウェア版のv0.999用には「フリーソフトでDTM」というサイトで日本語化パッチを配布している一方、v4.xxx用にも、REAPER Japanese Patchというものが配布されています。
このREAPER Japanese Patchを開発したのは、女性ボカロPとして著名な、ちえP(@chiepomme)さん。もちろん自身の曲もReaperを使って作成しているようですが、細かな部分まで日本語化されているので、セッティングなどの面でかなり使いやすくなると思います。このREAPER Japanese Patchは無償配布されているので、ぜひ、Reaperのインストールを終えたら、すぐにこのパッチを当てて日本語化することをお勧めします。
【関連サイト】
Reaper
Reaper Japanese Patch