唯一の国産DAW、Singer Song Writerが大きく機能、性能アップして、Singer Song Writer 10になるということで、ついつい3回もの連続記事となってしまいましたが、ここに来て、大きなニュースが入ってきました! 「SSW 10発売記念キャンペーン」ということで、通常版の購入はもちろん、他のDAWからのクロスアップグレード版の購入であっても、11月30日までにユーザー登録すれば、KORGのUSB-MIDIキーボード、microKEYがもれなくもらえるそうです!
しかも、もらえるのはくKORG microKEY-25 BKRDという赤と黒のツートンカラー。micro KORG誕生10周年記念モデルだそうです。「そんな特典があるなら、取材のときに教えてよ、村上社長!」という気がしないでもないですが、10月9日に公開されたインターネット社の情報ページを見て驚いたところです。先日のシンセフェスタ2012のセミナーでも、そんな話、まったく触れていなかったのに!!
11月30日までにSSW 10を購入、登録するともれなくもらえるmicroKEY
まず、microKEY-25プレゼントの情報を整理すると、対象となるのは
・SSW 10 Professional/Standard 通常版
・SSW 10 Professional/Standard アカデミック版
・SSW 10 Professional/Standard クロスアップグレード版
・SSW 10 Professional/Standard First Studio Pack
それぞれであり、旧バージョンからのアップグレードユーザーは対象外のようですね。
Singer Song Writer 10 Proffesionalのパッケージ
またProfessinal、Standardそれぞれ先着100名の登録ユーザーが、赤黒のモデルとなりますが、それ以降の登録ユーザーであっても通常の白黒モデルはもらえるそうですから、そんなに焦らなくても大丈夫のようですよ。ちなみに、microKEY-25は実売価格が6,000円前後です。他DAWからクロスアップグレードでStandardを購入する場合、24,000円だそうですから、ずいぶんなサービスですよね。多くのユーザーが狙うであろう、Professional版へのクロスアップグレードは40,000円とのことです。
Singer Song Writer 10 Standardのパッケージ
先日SSW 10の記事を書いた後「つい先日、SSW 9を買っちゃったよ!」というTwitter上のコメントを見かけましたが、9月1日以降購入した方なら、無償でSSW 10へのアップグレードが可能だそうです。その場合は、microKEY-25のプレゼント対象にはならないわけですが…。11月9日まで待てないという方も、いまSSW 9を買っても大丈夫ですね。
さて、ここからが本題。今回はSSW 10のオーディオ周りの強化ポイントを見ていきましょう。
今回のSSW 10、オーディオ周りもいろいろと強化されているのですが、やはり一番大きなポイントは、ボーカルエディタの搭載ですね。簡単に言ってしまえば、MelodyneやV-VOCALのような機能の搭載です。レコーディングしたボーカルやVOCALOIDが作ったメロディーをオーディオトラックに読み込んだ上でボーカルエディタを起動すると、ピッチとタイムを自動的に検出し、一音一音をピアノロール風に表示してくれます。
ボーカルにビブラートをかけるといった操作も簡単
そして、音程を補正したり発音の長さ、タイミングをマウス操作によって修正することが可能になるのです。厳密なピッチやタイムはピッチタイムエディットウィンドウを利用することで、ピッチの矯正やFIX、またタイムクオンタイズも行えます。さらに、マウスで自由にピッチラインを描いての編集もできるので、ビブラートをつけたり、いわゆるケロった声も簡単に作り出すことができます。このようにして補正した結果のデータはMIDIデータ(NOTEとPITCH BENDデータ)に出力することも可能になっているのです。
もっとも、こうしたボーカルエディタ自体は、他のDAWの上位版には搭載されていたので、必ずしも画期的とはいえないかもしれません。でも、すごいなと思うのは、この機能自体を独自開発しているという点。某DAWでさえも、他社から買ってきていることを考えると、頑張ってるんだなぁと感心してしまうし、応援したくなりますよね。
リアルタイムでピッチ補正するためのPitch Correct
またボーカルエディタと似た機能として、Pitch Correctというやはり独自開発のVSTプラグインも同梱されています。これはリアルタイムにピッチを検出して、強制的に補正してしまうというもの。AutoTune的な機能といえば分かりやすいでしょうか。左側の鍵盤で使うキーを指定しておけば、そこから外れたものは自動的に補正されるわけです。
ついでに独自開発のVSTプラグインを見ると、ほかにも数多く追加されており、6バンドのパラメトリックEQである6BandEQ、6段のタッッピングディレのTapDelayのほか、サウンドのレベルさを圧縮して音量のばらつきを小さくするRMS COMPRESSOR、リアルタイムピッチシフトのPitch Shift RT、高品位なタイムストレッチを行うAdv.TimeComp 2などがある。
ピッチとフォルマントを独立してコントロール可能なAdv.Pitch Shift2
さらに、以前の記事「声質を自在に変化させられる無料の調教プラグイン、Formant Shift VSTを使ってみた」で紹介したプラグインの有償版であり、ピッチとフォルマントシフトを独立してコントロール可能なプラグイン、Adv.Pitch Shift2もバンドルされています。
SSW 10のオーディオ機能という意味では、やはりエンジン部分の強化という点も見逃せません。先日の記事でも紹介したとおり、Windowsの32bit版だけでなく64bit版でもネイティブで動作させることが可能になったため、64bitOSで利用すれば、より高速に処理可能になっています。また、いずれの環境でも32bit浮動小数点演算、64bit浮動小数点演算を選択することができ、当然64bit浮動小数点演算を設定したほうが、高音質な処理になります。もちろん、そうすることによりCPUパワーは喰うので、自分のPC環境に合わせて選択するとよさそうです。
いずれの場合でもオーディオデータの編集機能がブラッシュアップされ、オーディオデータをカーソル位置で分割、ドラッグで移動の際に波形表示などを、よりスピーディーで正確な編集ができるようになっているとのこと。この辺の機敏さも期待できそうですね。
従来バージョンからもあった1つのテイクを選択するActiveモード
もうひとつオーディオ編集機能の強化でピックアップしたいのが、いわゆるコンピングのためChainモードの搭載です。従来のSSW 9でも範囲指定した上でオーディオのループレコーディングをすると、バーチャルトラックに記録することができました。そして、複数テイクした中からベストテイクを選ぶということはできたのです。SSW 10ではこの方法をActiveモードとして残しつつ、さらにテイクを分割した上で、気に入った部分をつなぎ合わせてベストテイクを作成するChainモードが搭載されたのです。これによってレコーディングや編集効率はグッと上がりそう。
気に入った部分をつなぎ合わせてベストテイクが作れるChainモード
ほかにもさまざまな機能が強化されたSSW 10。今回の大きなアップグレードのタイミングで乗り換えてみる、もしくは併用しているというのもよさそうですよ!
コメント
記事とても参考になりました!
SSW10なかなか使えそうな気がしてきました。
現在SSW9.0とSONAR X1を併用しており、
オーディオ機能アップということでSSW10で
ほぼ作業完結させる形もありかなと思えてきました。
少し話がそれるのですが、
SONARに付属してきたVSTプラグインをSSWで
使用することは、だめなことなのでしょうか?
SSW9.0で読み込むと一部は使用可能みたいなのですが。
(他は読み込めない、SONAR専用のメッセージを表示)
つまり、SSW10メインでSONARを音源拡張として使うという
やり方なのですが、これはありでしょうか?
ふじさん、こんにちは
そうですね、やはりプロテクトのかかっているプラグインは使えません。
SSW9で使えなかったものが10で使えるようになることはないと思います。
ただ、ちょっとしたワザとしては、SSW10とSONAR X1の双方を起動して、ReWire接続するという手はあると思います。SSWは9でもそうですが、ReWireのマスターとしてもスレーブとしても機能するので、非常に扱いやすくなっています。つまり、SONARで作りたいフレーズはSONARで作ってしまい、ReWireでSSWへ持ってきてしまえばいいわけです。逆も可ですが。
はじめまして。初心者なので、いつも参考にさせていただいています。
ちょっと、お答えし辛い内容かとは思うのですが、敢えて質問させてください。。
スコアエディターがとても便利なので、SSWのLite 7 を使用しているのですが、
64bit版ネイティブ対応ということで、SSW10 に非常に興味があります。
ですが、こちらの記事ではいつも、SSWシリーズについて、
「併用」ということをお勧めされているのが、とても気になっています…。
Cubase など、多くの有名DAWの機能はほぼ横並び、とのことですが、
SSW は、ミキシングなどの最終的な音作りにおいて、
正直、それらに一歩劣る…というのが、一般的な評判のように思うのです。。
それは、SSWが10 になっても、根本的には変わらないものなのでしょうか?
SSWは、具体的に、どの部分の性質において、他DAWに劣ると言われているのでしょうか?
お答えいただける範囲で構わないので、客観的なご意見をお聞かせいただけたら、非常に参考になります。
宜しくお願い致します。
ほだぎさん
こんにちは。SSW10は十分ほかのDAWと横並びであって、特段何か劣るということはないですよ。普通に使えるし、この一連の記事にも書いたとおり、MIDI機能については一歩上を行く内容になっています。
それに対し、SSW Lite7はやはり、オーディオ機能にしてもMIDI機能にしても、機能が限定されているので、見劣りするのは事実です。そのため、このスコア機能を使いつつ、ほかのDAWと併用するというのがいいのではないか、という話だと思います。
すでにSSW Lite7に慣れているのなら、SSW10への移行もしやすいと思いますよ。
お答え、ありがとうございました!
参考にさせていただきたいと思います!