iXJ2の最大の特徴はとにかく小さくて軽いオーディオインターフェイスである、ということ。横幅、厚さなどはiPhoneとほぼ同寸であるため、しっかりと接続することができます。この大きさやデザイン的には、iM2とよく似た感じです。またiXJ2の重量はたった30gですから普段はポケットやカバンなどにに入れて持ち歩いても気になりません。
これは入力専用のオーディオインターフェイスなのですが、ユニークなのは入力端子が2つあるという点です。いずれもステレオミニジャックとなっており、垂直方向のINPUT Aと水平方向のINPUT Bの2つ。とはいえ、4chの同時入力に対応しているというわけではなくINPUT SELECTスイッチを使い必要に応じて切り替えて使うようになっているのです。
このスイッチをINPUT AにするとINPUT Aからステレオ信号が、INPUT BにするとINPUT Bからステレオ信号が入るのですが、その中間にSTEREOというものも用意されているのです。この状態にするとINPUT Aが左チャンネル、INPUT Bが右チャンネルのそれぞれモノラルとして使えるようになっています。
ためしにTASCAMが無料アプリとして配布しているTASCAM PCMレコーダーで使ってみたところ、入力される音はiPhoneの標準のヘッドホン端子でモニターすることができます。また写真を見ても分かるようにiXJ2には入力レベル調整ができるボリュームが搭載されています。すぐに動いてしまわないよう、やや重めのボリュームになっているのですが、LとRがそれぞれ独立して調整できるようになっているのも便利なところです。そう、普通に動かすとLとRは連動するのですが、指でLチャンネルを固定しながらRチャンネルを動かせば別々に調整できるようになっているのです。2つの端子を使った場合、当然入力レベルが異なる可能性があるわけですから、これはしっかりと使えそうです。
実際、いろいろと使ってみましたが、ラインも録音でき、プラグインパワー対応のマイクも使えるのはなかなか重宝しそうです。とくに電子楽器を接続したり、ミキサーやプレイヤーを接続するなど、外部機器からステレオのライン信号を録音したいというケースは多々あるけれど、そのために大きなオーディオインターフェイスを持ち歩くというのは面倒です。でも、これがあれば簡単にiPhoneを高性能レコーダーとして使うことができますから、なかなか便利そうです。
ためしにiPad用のDAWとして話題になっているAuriaに接続してみたところ、バッチリ使うことができました。この場合、エフェクトを通した音はiPadのヘッドホンからモニターできることも確認しました。
このようにiXJ2はさまざまなアイディアが詰め込まれた、コンパクトなオーディオインターフェイスです。iU2ほど多機能な機材ではありませんが、いつでもポケットに入れて持ち歩き、いざというときにiPhoneに接続してレコーディングに使う、という用途にはベストです。
またニコ生やUSTREAMなどの放送をiPhoneやiPadで行う場合、マイクやラインで入力できるデバイスとして使えることも確認できました。応用方法はいろいろありそうですね。
ちなみに9月13日、Appleがプレスイベントを開くので行ってくる予定ですが、ここでiPhone5がリリースされるのでは…と言われています。また、噂ではDOCKコネクタが小型のものに変わるとされています。真相はそのときに判明するわけですが、もしそうなった場合、このiXJ2だけでなく、これまで膨大にあるDOCK利用の周辺機器が使えなくなってしまいますよね(まあ変換ケーブルなどが登場するでしょうけれど)。
そんなときは、iPhone5などの新機種はそれとして使いつつ、いま使っている機材も捨てたり、売却したりするのではなく、iXJ2のような機材と組み合わせてレコーディング専用機、放送専用機のようにして考えるのもいいかもしれません。
【関連情報】
TASCAM iXJ2の製品情報
TASCAM iM2Xの製品情報