DS-10、KORG M01、iMS-20、I am SynthそしてiYM2151と大ヒット音源を作り続けてきているDETUNEの佐野信義さん。みなさんご存知のとおり、ゲームミュージックの著名作曲家でもあり、佐野電磁の名義で幅広く活躍されています。その佐野さん、名古屋のAMラジオ放送局、CBCラジオで毎週土曜日の夜9時~11時半で「電磁マシマシ」なるUSTREAMと連携させたすごい番組を持っています。
AMラジオ放送ですから対象はタクシーの運転手さんなど、本当に一般の人のはずなのに、I am SynthだとかiYM2151などと超マニアックなネタを展開している、「大丈夫なのか?」という番組。ただ聞いてみると佐野さんのハイテンションな面白トークで誰もがファンになってしまう、すごい番組でもあります。その「電磁マシマシ」に先週、私がゲストとして呼ばれて出てきましたので、そのエピソードを紹介してみたいと思います。
佐野さんのラジオ番組「電磁マシマシ」に出てきました!
そもそも、この「電磁マシマシ」に出演することになったキッカケは、先日行われたAV Watchの記事「第507回:マニアックなFM音源がiPadで復刻~DETUNEとヤマハが組んだアプリ「iYM2151」 ~」でのインタビュー。ヤマハのエンジニア、加瀬光さんを交えての3人の対談という感じだったのですが、あまりにも盛り上がったので、その続きをラジオでもう一度やらないか、ということで佐野さんから声をかけていただいたのです。
ただ結果的に加瀬さんの都合がつかず、続きという話は実現不可能に。一方で、DX7時代には私も音色データでいろいろとお世話になった生福の福田裕彦さんがゲストに出ることが決まったので、そこに相乗りする形で呼んでいただく、ということになったのです。ところが当日になって、大トラブル発生。福田さんが緊急入院で出られなくなったので、私、一人で出る形になったのです。
都内にあるCBCラジオのスタジオのコントロールルーム
野球のナイターが早く終わったため、通常通り9時からラジオ放送、USTREAM放送がスタート。私も以前、何度かUSTREAMでの放送は見ていましたが、間近で見ると、あのハイテンションのトークは本当に凄いですね。このノリに付いていけるんだろうか…と不安がよぎりつつも、あまりにもの面白さにコントロールルーム側で笑って見ていました。
10時になってスタッフに呼ばれてスタジオ側に。台本も進行表もなく、話の展開を打ち合わせしていたわけでもないので、まさにぶっつけ本番の、成り行き放送。佐野さんのリードの元、いろいろと話が始まったのですが、「ちょうどアメリカでE3の開催直後ということで、HAL研究所時代の話を」と振られたため、話題は30年前に…。
常にハイテンションの佐野さん
以前、DTMステーションの記事「任天堂社長・岩田さんの新入社員時代にいっしょに作ったDTMソフト」でも書いたエピソードを話たり、当時まだ本当に小さい会社だったころのHAL研が秋葉原の裏道にあったことなどで、ひと盛り上がり。さらに、本題でもあるヤマハのリアルチップであるYM2151を使った音源ボード、「響(HIBIKI-8800)」の開発話などをしていました。
公共の電波を使って、こんなマニアックな変な話をしていて大丈夫なんだろうか…とも思いつつ、この「電磁マシマシ」がすごいのは、同じ内容をリアルタイムにUSTREAMでも放送していること。USTREAM側を見ると、視聴者数がどんどんと増えていく一方、タイムラインにはしゃべった内容へのコメントがどんどんやってくるんですよね。
USTREAMでも同時に放送。タイムラインはすごい勢いで流れていく
慣れていない私には、タイムラインを追う余裕はまったくなかったのですが、佐野さんが面白いコメントをどんどん拾ってくるし、昔の話なので、分からないこと、忘れたことを放送で問いかけると、タイムラインから答えがどんどん返ってくるのも面白かったですね。
そのタイムラインに流れたTwitterでのコメントは、その後「20120609『電磁マシマシ』UST記録」としてまとめられているので、ご覧になってみると面白いと思いますよ。これを見ると分かるとおり、USTREAMでの総視聴者数は1万人を超え、同時視聴者数も600人超。Twitterだけでコメント数でも1,500も寄せられるんですから、すごいですよね。シンセマニアや8bitマイコン時代を懐かしむ方などが、いっぱい集まる一方、ラジオの視聴者には話が通じるのだろうか……など少し気にはなったものの、佐野さんの勢いの元、さらにマニアックに展開していったのです。
そのラジオ放送は野球中継による編成変更により11時に終了。11時から11時半までは、そのまま続きをUSTREAMで行っていたのですが、このあたりから番組プロデューサーやディレクターも加わって、マニアック度も加速。実は彼らも、シンセ好きでいろいろ買い漁っているみたいなんですよね。だから、こんな番組がまかり通っているんだな、と納得した次第です。
ディレクターによって持ち込まれたYAMAHA RX21
スタジオの机の上にはヤマハのビンテージドラムマシン、RX21とRX21Lが置かれていて、なんだろうと思っていたら、なんとそのディレクターがそれぞれ1,000円で最近某所で購入したというのです。これはちょっと驚きの情報。音を出してみると、やはりタイムライン上では大うけなんですよね。私も、今度、こうした掘り出し物を真剣に探してみようかな…なんて思っているところです。
この「電磁マシマシ」毎週土曜日にCBCラジオとUSTREAMで放送しているので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。私もまた登場することがありそうな感じです(笑)。