キタエリにインタビュー、CULの中の人ってどんな気分?

人気声優のキタエリこと喜多村英梨さん。すでにみなさんご存知のとおり、キタエリさん、インターネットから昨年12月に発売されたVOCALOID3CULの中の人(キャラクタボイス)を担当。徐々にニコニコ動画などにアップされているCULの楽曲も増えてきています。
そのキタエリさん(以下、敬称略)に、先日のニコニコ超会議での出演の合間を縫ってインタビューさせていただきました。VOCALOIDに対してどんな思いを持っていたのか、実際にCULの歌声を聴いてどんな感じなのか、聞いてみました。
お話を伺った、CULの中の人、喜多村英梨さん


--キタエリさんがボーカロイドの存在を最初に知ったのっていつごろなんですか?
キタエリ:それこそ「みっくみく」のころですよ。周りの友達にもボカロファンも多くいて、聴かせてもらったらすごくよくて……。その後、ボカロ曲をカラオケで真似して歌ったりもしましたね。藤田咲ちゃんともよく話をしていたので、いつか中の人をやってみたいな、と思っていました。
--そんなに思い入れがあったんですね(笑)。今回CULの中の人を担当されたわけですが、この話はいつごろ来たのですか?
キタエリ:私がラジオでボーカロイドの話をしていたんです。本当にたわいのないミーハーなことを話していただけなんですが、それをボカロレボリューションのプロデューサーであるヒロトPが聞いてくれていたんです。まさか、そんな本格的な人が聞いてくれていたとは思ってもいなくて……。それがキッカケとなってCULの中の人としてやらないか、というお話をいただきました。確か2011年の1月ごろだったと思います。ボカレボでちょうどCULの絵ができている状態だったので、それに自分の声がマッチするのかな……とも思いましたが、事務所の人からその話を聞いて、本当にビックリしましたよ。
VOCALOID3のCULキャラクタ
--その後、レコーディングされたわけですが、どんな感じでしたか?
キタエリ:実際にレコーディングを行ったのは、それからだいぶ経った6月でした。噂には聞いていましたが、ボカロのレコーディングというのは、普通のレコーディングとはまったく違う、とても繊細な発声技術が求められるものでしたよ。普段行っているキャラソンではキャラクタに合う形で感情を乗せて歌うわけですが、ある意味それとは真逆で無機質なものでした。決められた尺の中、メトロノームが鳴っている中でレコーディングするんです。歌うというよりも、呪文を発声する感じでしたね(笑)。アニメの物語りの中での決められた世界観で歌詞やメロディーラインを表現していくのではなく、自分の声帯から出て行く音を不思議な呪文を使って決められた音符の長さで切り取っていく……。
--実際そのレコーディングはどのくら時間をかけたのですか?
キタエリ:収録は丸一日かかりました。とにかく何もかも初めてで、必死に発声していました。藤田咲ちゃんからも、不思議なレコーディングとは聞いていたけれど、具体的なことは教えてもらっていなかったのでね。
ニコニコ超会議、VOCALOID AREAのステージでのキタエリさん
--そうやってレコーディングした結果がCULになったわけですが、実際のCULが歌うのを聴いてみていかがでしたか?

キタエリ:自分が普段歌えるキーの範囲外の音域が出せるというのが面白いですよね。最初に公式のデモソングを聴いたのですが、そのときは、「確かに自分の声なのに、自分とは何かが違う」という不思議な印象でした。また、あのレコーディングからどうすると、こんな歌声ができるのだろう、と興味もだんだん沸いてきたんですよ。

--自分の声なのに自分と違う?
キタエリ:そう、公式デモソングではそう思いました。でも、リリース後、いろんなジャンルのいろんな音階の曲を聴くようになりました。自分だったら、こういう歌、こんなジャンルの歌を歌う機会はないな、という曲もいっぱいあって楽しいですね。ある意味、未知の自分に出会ったような気もしました。最初の公式デモソングでは、自分ではないように感じましたが、自分が得意としている音域、つまり中音域や高域を歌うCULの声を聴くと、「あ、これは自分の歌声だ」と思うこともよくあるんですよ。確かに尺の使い方や、感情のふり幅とかはPによってニュアンスは結構違うんです。でも、声質は確かに自分だな、ということが。
-CULとキタエリさん本人の歌の違いってどこにあるんですかね?
キタエリ:そうですね、たとえばロックなどのジャンルだと、ニュアンス勝負というところがあるので、CULはCUL、私は私とハッキリと違いがあります。ところが、打ち込みやハイキーでの電波曲などは、わざとエフェクトをかけてつくりますよね。そうした加工した歌声はとくに似ているんですよね。
中央左のキタエリさんと、右はLiaさん(ニコニコ超会議にて)
--CULの作品、結構聴いているんですね!
キタエリ:ほとんどの作品を聴いているんじゃないかな。新しい曲が上がるとたいていヒロトPがTwitterで紹介してくれるので、それを中心に聴いています。もっとも最近はかなり曲数も増えてきたので、100%追えてはいないかもしれませんが……。
--CULで曲を作ったら、キタエリさんが聴いてくれるというのは、多くのボカロPにとっても大きな励みになりそうですよね。
キタエリ:CULを使って曲を作ってくれているみなさんには、本当に一人ひとりに「ありがとう」ってお礼をいいたいんです。ぜひ、これからもCULを使っていっぱいの作品が登場してくれることを楽しみにしています。

--ありがとうございました。

【関連サイト】
VOCALOID3 CUL製品紹介ページ
喜多村英梨 つばさBlog
ボカレボウェブ(VOCAREVO WEB)