新製品も飛び出した、ニコニコ超会議の超テクノスクール

幕張メッセで行われたニコニコのイベント、ニコニコ超会議2012。その中に「ニコニコ超軽音部」というコーナーがありました。元々、ニコニコ軽音部とは、楽器が上手くなりたい中高生のために設立されたもので、昨年3月には世界最大のオンライン・ギターレッスンとしてギネス認定されたもの。そのニコニコ超軽音部で4月29日に「超テクノスクール」が開校されました。「松武秀樹・相沢舞の『テクノスクール』」(以下テクスク)は松武秀樹校長を中心に生徒は声優の相沢舞さん、教頭に氏家克典さんというメンバーに加え、さまざまなゲストを呼んでシンセの使い方などをニコニコ生放送の番組として展開してきたもの。そのテクスクがライブイベントとして復活したわけです。

今回のメンバーは超豪華。上記3名に加え、浅倉大介さん、小室みつ子さん、桃井はるこさんの3名が参加。さらには特別ゲストメンバーとしてパーカッショニストのペッカーさんが入ってのライブイベントとなりました。
左から小室さん、浅倉さん、相沢さん、松武さん、桃井さん、氏家さん


タンス(Moog IIIc)をバックにMCを務める相沢さんと松武さん

この超テクスクでは、ちょうど5月9日にデジタルシングル「キミニトドケ」のリリースでのデビューが決まったばかりの相沢舞さんが、ライブとして歌を初披露。また、ペッカーさん指導のもと、会場の観客全員を巻き込んでの「LaBamba」が演奏されたりと大盛り上がり。

真剣に音作りに取り組む浅倉さんとその音を確認しながら首をかしげる小室さん

また出し物として楽しかったのは、松武・相沢ペア、氏家・桃井ペア、浅倉・小室ペアとで競い合った「超お題でポン」というゲーム。会場やネット上から出題された「ドロドロのカッパ」、「ガレージのみつ子さん」というお題に沿ったシンセサウンドを3人のJSPA(日本シンセサイザープログラマー協会)メンバーが3分で必死に作り合うというもの。

超会議で初販売された脳波で動く?ネコミミを装着する桃井さんと氏家さんのペア

まあ、音だけ聴いても意味不明(笑)なわけですが、そこを3人がシンセのうん蓄を交えて解説すると、それっぽく聴こえてくるからななかなか不思議です。

3チームで音作りをしていたのはRolandのシンセサイザ、GAIA

一方、このDTMステーション的な注目点は、ほかにもいろいろ。以前、記事で紹介した植木ロイドが、なかなかすごいことになってきていました。植木ロイドとは松武さんのアイディアでスタートしたもので、ヤマハの最新技術を用いて故・植木等さんをVOCALOID3として蘇らせたというもの。「植木さんが今、存命であれば、きっとこんな歌を歌いたいはず」(松武さん)を実現させていたのです。

松武さんのインタビューを受ける  植木ロイド開発者、フェルナンドさんと剣持さん

ステージには開発者であるボーカロイドの父、ヤマハの剣持秀紀さんと、ヤマハ研究開発センターのヴィラジャセンシオ・フェルナンド(Fernando VILLAVICENCIO)さんも登場。この開発チームによって植木さんの息子さんの声を元に、植木さんの声へと変換した歌声ライブラリが作られ、植木ロイドが実現したというわけです。

現状、この植木ロイドが市販される予定はないようですが、この夏に松武さんが作る植木ロイドのミニアルバムがCDとして発売されるようです。そこに収録される曲なのかは分かりませんが、会場では植木ロイドによる「君といつまでも」が演奏されるとともに、「お呼び出ない。こりゃまた失礼しました」などとしゃべるシーンも披露され、喝采を浴びていました。
Kaossilator2とminikaosspad2を使ってライブ実演するサイモンガー・モバイルさん
一方、協力楽器メーカーによる「プレゼンでポン」では、Roland、KORG、DETUNE、モリダイラ楽器の各社が3分の持ち時間で製品の紹介を行いました。Rolandは、R-MIXを使って、ボーカルを消したり、ボーカルだけを抽出するといったことを実演。KORGは、Kaossilator2minikaosspad2の2つの機材を持って、あのサイモンガー・モバイルさんが登場。そのいで立ちの凄さに、会場もテクスクメンバーも大うけ。サイモンガーさんの気合の入ったプレイで会場は大盛況となりました。

モリダイラ楽器のプレゼンでは、新製品ではないものの、MoogEtherwave Thereminが登場。ここでは、テルミン奏者のRom Chiakiさんが「What a wonderful world」を演奏。間近で聴いていて、あの華麗な演奏は鳥肌モノでした。

初お披露目となったDETUNEのiPadアプリ、iYM2151

DETUNEは佐野電磁こと佐野信義さんが登場して、例の85円アプリ、I am Synthを宣伝していたのですが、最後の30秒で凄いものを、初公開してくれました。それは5月中旬あたりにApp Storeでのリリースが予定されているiPadアプリ、「iYM2151」です。

FM音源の各パラメータを数値で表示し、エディットできる

パラメータの動きをダンプリスト表示できてしまうのも面白いところ
この名前を見て、ピンと来る方とまったく分からない方に分かれると思いますが、YM2151とは昔のシャープのパソコン、X68000に搭載されたり、YAMAHAのMSXパソコンの周辺機器SFG-01などに搭載された8音ポリのFM音源チップ。微妙に仕様は違いますがDX100DX27などのシンセに搭載されていたものとほぼ同等の音源。それをiPadアプリとして再現するものなのです。

詳細については、また後日紹介したいと思っていますが、これはマニア垂涎のアプリとなりそうですね。私個人的にもYM2151はその昔、かなり深く関わった経験があるだけに、とっても楽しみです。

【関連サイト】
松武秀樹・相沢舞のテクノスクール
植木ロイド
日本シンセサイザープログラマー協会
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