手元に捨てるに捨てられないカセットテープがいっぱいある……、なんていう人も少なくないでしょう。私の場合は、実家にそんなテープが膨大にあるのですが、もう10年、いや20年近く再生していないかもしれません。また気づくと、ラジカセは壊れて捨ててしまったし、カセットテープのウォークマンも動かずで、再生する手段がなかったりもします。
まあ、大手量販店にいけば今でもラジカセなどは売っているので、再生手段がなくなる心配はまだ無さそうですが、今さら、そんな機材を買う気もしません。そんな中、USB接続可能なコンパクトなカセットデッキがAHSから間もなく発売されます。ノイズリダクション機能や音質補正機能、そしてCD作成機能なども備えたソフトとセットで定価9,800円、ハード単体なら5,000円(AHSストアでのみの販売)という安価な設定です。4月26日発売ですが、一足先にお借りすることができたので、紹介してみましょう。
PCとUSB接続できるウォークマンタイプのコンパクトなカセットデッキ
今回発売される「テープ・レコードきれいにCD USBカセットプレイヤー付き」という製品。ご存知の方もいるかもしれませんが、これは従来からあった「テープ・レコードきれいにCD ハードウェア付き」という製品に付属していたオーディオケーブルをカセットデッキに置き換えたもの。ケーブルがデッキに変わっても価格据え置きというのが、ちょっと驚きですが、ソフト自体は従来のものとまったく変わっていないようです。
「テープ・レコードきれいにCD」というソフトとのセット商品になっている
ここで一番気になるのは、そのカセットデッキがどんなものなのか、ということ。まあ、この価格帯ですから、高級オーディオデッキの音質を期待すべきものではないわけですが、そもそもカセットテープですから、そこそこの性能があれば十分でしょう。大きさ的には、いわゆるウォークマンサイズであり、オートリバースに対応しています。
USBでPCと接続し、電源供給できるとともに音をデジタルで送れる
録音機能はなく、再生のみのデッキですが、最大のポイントはここにUSB端子が搭載されていること。そう、このUSB端子を通じてこのカセットデッキに電源供給できるとともに、再生した音をUSBでデジタル的にPCへ送ることができるのです。
接続すればWindowsからはUSB Audio Deviceとして見える
実際PCと接続すると、ドライバも不要で、Windowsの録音デバイスのところに「USB Audio Device」というものが登場するので、これがそうですね。Macでも試してみたところ、問題なく認識することができました。ただし、Macはサポート対象外とのことなので、その点は自己責任ということで。
操作ボタンは昔ながらのプッシュ式でオートリバースにも対応
もっとも操作自体は昔ながらのアナログ方式。再生(PLAY)、停止(STOP)、早送り(FF)、巻戻し(REW)の各ボタンがあるので、これらをガチャコンと押して使います。またオートリバースがオンになっていれば、テープが最後までいったところで反転します。また反転(DIR)ボタンを押せばそこで、テープ再生が反転するようになっています。
ちょっと妙なのはカバーの開き方。OPENボタンを押すとと横に開く
またテープデッキ本体にヘッドホンジャックも搭載されているので、テープの再生音はここから直接聴くことができます。しかも、ここには単3電池2本が入れることができ、こうすれば、まさにウォークマン風に持ち歩いて再生することだって可能なのです。ただ、このヘッドホンジャックからの音は、正直なところノイズが多くてあまりよくないです(笑)。USB経由でPCのヘッドホン端子から音を出したほうがいいですよ。
電池を入れて普通にウォークマン風に持ち歩いて使うこともできる
このようにカセットデッキ本体だけでも、使えるのですが、せっかくならソフトとセットで使いたいところです。「テープ・レコードきれいにCD」というこのソフトは、ドイツMAGIX社製(以前紹介したMusic Maker MXと同じメーカーですね)のもので、初心者でも簡単にカセットテープのデジタル化ができるようになっています。
バンドルソフトはMAGIX社製で画面の指示に従って操作すればデジタル化ができる
また単に録音するというだけでなく、ノイズ除去する機能も搭載されているのです。画面を見ると分かるとおり、クリックノイズ、クラックルノイズ、クリップノイズ、そしてテープ特有のヒスノイズ、ハムノイズなどその他のノイズといろいろなノイズを必要に応じて機能させて取り除くことができます。どれをどう使えばいいか分からないという人のために自動的にノイズを分析して取り除くこともできるので安心ですね。
ノイズが消えたら、最後はマスタリング。イコライザで音質を調整したり、音圧を上げたり、さらにはステレオエンハンス機能で音の広がりを調整するなど、いじることができるため、元のカセットテープの音よりも格段によくすることができるのです。
このソフトを使っていて非常に便利なのは、自動トラック分割に対応していることです。つまりアルバムがテープに入っている場合も、曲間の空白を感知し、自動的に1つ1つの曲データとして切り分けてくれるのです。そのため、付きっ切りで操作するようなことなく、半自動でアルバムを収録できるのも、大きなメリットです。
なお、このカセットデッキ本体にはDolby BやDolby C、またdbxといったノイズリダクション機能は搭載されていません。ただし、ソフト側でDolby Bのデコードは可能になっているので、Dolby Bの場合はこれを使ってみてください。またほかのノイズリダクションの場合も、そのままにするか、Dolby Bの設定でデコードするのがよさそうです。それでも、まだ違和感があるようでしたら、パラメトリックイコライザやグラフィックイコライザで高域を少し下げるなどの調整をして聴きやすい音にしてみるといいでしょう。
またクロムテープやメタルテープにも対応はしていません。とはいえ、これも壊れるわけでなく、普通に再生できるので、とりあえず取り込んだ後にイコライザなどで調整してみるとなんとかなると思いますよ。昔はHiFiなどといわれていたメタルテープやdbxなども、MP3には到底かなわないものなので、あまり過度な期待はせず、トライしてみてください。
以上、「テープ・レコードきれいにCD USBカセットプレイヤー付き」について紹介してみましたが、いかがでしょうか?これだけ充実した内容で、定価9,800円(実売では9,000円弱)で購入できるのですから、とりあえず買っておいて損はないと思いますよ。
【関連サイト】
テープ・レコードきれいにCD製品紹介ページ(AHS)
AHSストア