先日の記事「V3版Megpoid NativeってV2版と何が違うか、村上社長に聞いてみた」でMegupoid Nativeについて紹介しましたが、そのMegpoid Nativeがいよいよ3月16日に発売されます。実はその発売に先駆けて、ダウンロード版を入手してしまいました。中身を見ると、通常のインストーラとは別に、特別付録として、テクニックや裏技を解説するガイドブック「VOCALOID3 Megpoid Nativeテクニックガイド【VSQXファイル付き】」なるものがついているんです。
パッケージ版の場合は、印刷・製本されたガイドブックのようですが、このダウンロード版の場合はPDFという形で入っています。中を見ると、これがなかなか、「すごーい」と思う技が満載だったのです。「記事で公開したらダメ」とのお達しではあったものの、なんとかお願いした結果OKが出たので、その中身をちょっとだけ紹介してみます。
全16ページのこのガイドブックは7章立て。
第1章 ノートを極める
第2章 ベロシティを極める
第3章 ビブラートの使い方
第4章 抑揚を極める
第5章 別トラックを使う
第6章 裏声や英語のシミュレーション
第7章 Silノート─
という構成になっており、テクニックを解説していると同時に、そのテクニックを使ったvsqxファイルが計18本収録されています。1本のvsqxファイルには、ベタ打ちで入力したものと、調教後のものがそれぞれ収録されているので、何がどう変わっているのか、目で見ながら音で確かめることが可能になっているのです。
VOCALOID3 Megpoid Nativeテクニックガイド
ネット上でも、いろいろな方が調教術を公開していますが、まだVOCALOID3に特化したものは少ないし、音もいっしょに公開しているものは少ないので、これはなかなか貴重な資料ではないかと思います。
たとえば第1章の「ノートを極める」の1つ目、TIPS1は歌詞の入力テクニックなのですが、以下のビデオを見てみてください。
画像の解像度が低くて読みにくいですが、「あなたに」、「あなたを」というそれぞれの歌詞の歌い方に特徴づけをしているのがわかりますよね。そう、前半では「あなたに」を「あなた(ん)に」と小さく「ん」を入れています。また後半では「あなたを」を「あなた(うぉ)」とすることで、独特な雰囲気を出しているんですね。
「あなたに」を「あなた(ん)に」としている
「これはいいかも!」と思ってガイドブックを見ると「ただし、これらはあまり多様するとクドイ歌になる恐れがあります。上手く調整してみましょう」と注意書きがありました(笑)。
もうひとつ紹介してみましょう。今度は第2章の「ベロシティを極める」の2つ目です。ガイドブックには「ベロシティ操作はその語句に対しておこなうものですが、VOCALOID3はその構造上、前後の語句との繋がりも同時に調整しています。ベロシティ調整は前の語句にも影響があるのです。これを上手く利用して言葉のニュアンスを変えてみましょう」とありますが、VEL2.vsqxを再生したのが以下のビデオです。
ベロシティだけでなく、「そら」とか「みてる」の歌詞でのGUMIっぽさを出す跳ねる表現もとても参考になるところですが、ここでポイントとなるのはタイミングの演出。7小節3拍目裏「ら」と8小節2拍目裏「て」以外はその語句の直前の語句の長さを少し短くしたいという意図があり、ベロシティの調整がされているのです。
ベロシティがいろいろと調整されている
なかなか細かな調整ですが、こうした積み重ねにより、リアルな表現ができるわけですね。VOCALOID3は基本的にベタ打ちでOKと言われていますが、やはり調教すると、その良さはさらに引き出すことができるわけですね。
この「VOCALOID3 Megpoid Nativeテクニックガイド【VSQXファイル付き】」は、基本的にVOCALOID3であれば、ほとんどのもので使えるテクニックとなっていますが、現在のところバンドルされるのはMegpoid Nativeだけのようです。これだけでも十分購入の価値があるように思いましたが、いかがでしょうか?
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