iPadやiPhoneってすごく面白いけど、やっぱりCPUパワーがPCと比べると低いからDAWとしては使えないよね……、当初そんな風に高をくくっていましたが、アプリもだんだん進化してきて状況も変わってきました。
先日Ver2へアップデートされたMusic StudioはオーディオとMIDIが計127トラックまで利用可能なDAWでソフトシンセにエフェクトも装備。スペック的にも機能的にもGarageBandを大きく上回るiPadにおける最強のDAWへと進化しています。
DAWとして大きく進化したMusic Studio
このMusic StudioはオーストリアのAlexander Grossという会社が開発したアプリ。もともと非常に強力なMIDIシーケンサとして国内でも多くのユーザーが評価していた、人気のアプリとなっていました。先日紹介した、FL StudioのiPad版もこのMusic Studioがベースとして開発されているようで、デザインが多少異なるものの、ほぼ同等の機能、スペックを持つソフトでした。
MIDI、オーディオ合わせて計127トラックが利用できる
そのMusic Studioが今回バージョンアップされ、さらに強力になっているのです。最大のポイントはオーディオトラックを装備したこと。これによってボーカルはもちろん、アコースティックギターなどの生楽器もレコーディング可能となったわけです。フォーマット的には16bit/44.1kHzとなっていますが、非圧縮でレコーディングできるので音質的にも満足いくものとなっています。また正式にCoreAudioに対応しているため、Camera Connection Kit経由でオーディオインターフェイスに接続したり、先日紹介したAlesis iO Dockなども利用することができます。
65種類のソフトシンセ音色を標準装備
一方、MIDI機能ももちろん健在。ピアノ系、ストリングス系、ブラス系といった楽器のサンプリング音色はもちろんのこと、エレキギター、シンセ系のキーボードなどさまざまなジャンルの65種類の音源が使えます。音色のエディットに関してはアタックとリリースをいじれる程度ですが、これだけでもかなり楽しめると思いますよ。さらに必要あればオプションで60種類の音源を追加することも可能です。
MIDIとオーディオが使えるiPad用のDAWとしては、もちろんGarageBandが第一に挙げられるわけですが、GarageBandと比較した際の最大の違いといえるのはエディット機能でしょう。GarageBandは基本的にMIDIやオーディオの編集機能はほとんどなく、録ったものをそのまま使うコンセプトですが、Music StudioはMIDIもオーディオも結構編集できるのです。
たとえばオーディオの場合、録音した後にノーマライズをかけたり、一部分を選んでフェードイン、フェードアウトという処理をすることができます。もちろん、不要な部分をカットしたり、コピーしたりといったことも自在に行えます。
従来どおりピアノロールでのMIDI編集も可能
またMIDIのほうはピアノロール画面が用意されています。入力方法に多少クセはあるものの、ここでゼロの状態から入力していくこともできるし、リアルタイムレコーディングした結果を修正していくことも可能。クォンタイズ機能なども用意されているので、まさにシーケンサ、DAWとして利用していくことができるわけです。
各種エフェクトも搭載、画面はリミッター
エフェクトのほうはリミッタ、リバーブ、ディレイ、EQ、アンプシミュレータ、フィルタ、ピッチシフトのそれぞれが用意されています。さすがにCPUのパワーの問題なのでしょう、各トラックに自由に無制限でかけるというわけにはいかないのですが、トラックごとにエフェクトをかけるかかけないか、特定のエフェクトのみを通すかといった設定が可能になっているので、それなりに使うことができます。見た目の楽しさではGarageBandに負けるかもしれませんが、機能的には十分なものになっています。
ところでGarageBandには楽器が弾けない人でもそれなりに演奏を楽しめるSmartPiano、SmartGuitarといった機能があり、これがとっても便利です。これについてはMusic Studioは負ける面もあるのですが、一応それに対抗しようということなのでしょう、新機能としてChordPadという機能が用意されており、簡単にコード演奏してレコーディングできるようになっているほか、さまざまなドラムパターンも用意されているので、これらを読み込んで利用することもできるので、インスタントに曲の骨子を作ってしまうこともできるのも大きな魅力だと思います。
ChordPadで簡単コード入力も可能
これだけの機能を備えて1,300円。iPadアプリとしてはやや高めかもしれませんが、機能を考えると安すぎるようにも感じます。私自身、まだiPadでしか使っていませんが、iPhoneとのユニバーサルアプリとなっているので、iPhoneでも使えるようです。なお、FL Studioのほうは今のところ従来のMIDIシーケンサのままの状況でオーディオ機能は追加されていないようです。
ALESIS iO DOCK
販売元:アレシス(2011-09-16)販売元:Amazon.co.jp
コメント
藤本さん、こんばんわ。
いつも有用な記事をいただきありがとうございます。
素人ながら基本的な質問をさせていただきたく失礼します。
この現在最強に近いと思われる作曲アプリはベロシティつまり鍵盤プレイできてかつ鍵をたたく強さに対応しているのでしょうか?
むうみんさん
こんにちは。これ、もうだいぶ昔の記事なので、現在最強なのかというと疑問もありますが…。
改めてためしてみたところ、外部にMIDI鍵盤をつなげばベロシティを検知してくれますが、
iPad標準の鍵盤ではベロシティを検知してくれませんでした。
DAW系のキーボードでベロシティ対応しているのがGarageBandくらいかもしれません。
Cubasisも対応していないようでした。
藤本さん、おいそがしいなかありがとうございます。
実験ありがとうございます、アイパッド単体だとやっぱりそうなんですね。
MIDI鍵盤ですか、曲作りにはいずれにしても大事なツールであったほうがよさそうにおもいました。
ガレージバンド、うごかしてみました、すごいですね、これ、素人ながらストリングスの操作法に驚きました。
でもいろいろ制限もあるみたいなのでいずれはこのアプリみたいな本格的なDAWをつかいこなせたらと思いました。
また記事を全部拝見してないのですが失礼でなければいまげんざいのおすすめDAWを御教えいただけますと幸いです。
ちなみに藤本さんの記事はたぶんインターネット普及期のかなり最初ぐらいにも拝見していました。
学生時代からのいろんな思い出がかけぬけてほんとになつかしいです。
そして楽譜もよめないのにいまさら自分でも音楽を記録したいなと思いまして、かってですねえ。
ありがとうございました。
むうみんさん
DTMステーション、iPhone/iPad関連だけでも膨大な記事を書いていますが、PCでご覧いただいているのなら、画面右側のカテゴリー別アーカイブでiPad/iPhoneをクリックすると、関連記事が一通り出てくるので、タイトルだけでもななめ読みしていただけると雰囲気がわかると思います。いまのDAWとしてはその2つのほか、Cubasis、Auria、Multitrack DAW、FL Studio Mobile HDといったものがあり、それぞれ一長一短あります。記事でも書いているので、ご覧になってみてください。サイト内検索すれば一発で出てくると思いますが…。
藤本さん、ありがとうございます、PCで拝見しています。
たくさんの記事を参考にさせていただきます。
iRigも購入したのですこしづつがんばってみます。
いつも藤本さんの記事から勉強させていただいてます、文字通り素人です。
突然ですみません。少し質問したいことがあります。
iphoneとiRigMIDIで外部機器を操作したくてMIDIシーケンスアプリを探しています。
受け側のアナログシンセでは1chがシンセ、10chがドラムと固定されています。
Mobile Music Sequencerで試してみましたが、8chまでということで断念しました。
次にMusic StudioかFL Studio Mobileを検討しているのですが、
これらのアプリのMIDIシーケンサーで上記のアナログシンセは操作できるのでしょうか?
出来るのであれば、どちらがおすすめでしょうか?
素人さん
お返事が大変遅くなって失礼しました。
まず、Music StudioでもFLでも1~16chまで外部MIDIをコントロールできるのですが、
基本的には内部音源を鳴らすためのツールであり、外部音源についてはオマケという感じ。
実際ためしてみたところ、1chのみとか10chのみを出すことはできても、異なるトラックで別の
MIDI chを鳴らすことはできないみたいです…。
Cubasisあたりなら可能なのですが、ちょっと高いですもんね…
こんにちは。見てたらぜひ返信下さい!
KORGのmicroKEI にカメラコネクションキットを付けてiPod touchに繋いでるのですがGarageBand では音が出るのにMusic Studioでは音が出ません。もしかして対応してませんか?してないとしたらどうしたら音が出ると思いますか?