昨年登場して大きな話題となったPro Tools 9。それまでのPro Tools LE 8の後継という位置づけながら、トラック数が増え、自動遅延補正も搭載されたことで、レコーディングスタジオ御用達のPro Tools|HDにグッと近づいた存在となっています。しかも、従来のLEと異なりMboxなどのAvid(現在はDigidesignブランドではなくなってます~消えたDigidesignブランド )製品を使わなくても、一般のASIO/CoreAudioドライバ対応のオーディオインターフェイスで利用可能というのが目玉です。
このPro Tools 9はMacは当然ながらWindowsでも動作するわけですが、せっかくなら高速な動作環境であるWindows 7 SP1の64bit版で使ってみようと試してみました。
Pro Tools 9は64bit版Windows上で動くのか?
すでにご存知の方も多いと思いますが、Pro Tools 9は63,000円で販売されているソフトウェアとしてのDAW。従来のMbox2ファミリーを買った登録ユーザーであれば、Crossgrade版というものがあり、26,250円と安価に入手できます。私もそのCrossgrade版を購入し、MacおよびWindows 7の32bit版でちょこちょこと使っていました。
が、先日の記事でも紹介したとおり、64bit版のWindows 7 SP1があまりにも快適であることに改めて気づき、32bit版で使っているのも馬鹿らしいと思って、64bit版にPro Tools 9をインストールし直して、問題なく動作するかを試してみたのです。
オーディオインターフェイスをオープンにしただけに、ある意味、CubaseやSONARなどと真っ向勝負してきたPro Tools 9ではありますが、1つ大きく負けているのは、64bit版というものがないこと。そう、OSは64bitであっても、アプリケーションであるPro Tools 9本体は32bit版なんですよね。とはいえ、たいていのアプリケーションは問題なく使えるので、インストールして起動してみたところ、とりあえず問題ないようです。
Pro Tools 9、64bit環境でとりあえず、問題なく起動して使える
まだあまり多くのオーディオインターフェイスで試したわけではありませんが、とりあえずSteinbergのMR816csxでは、まったく問題なく使えます。快適ですよ。
一方、最近のAV WatchのDigital Audio Laboratoryでのテスト結果の中では好成績を記録した本家の第3世代Mbox Proでちょっとした問題が発生してしまいました。なんと、ドライバがインストールできないのです。32bit版と64bit版のドライバが分かれておらず、以前32bit版Windows 7にインストールしたのと同じドライバをインストールしたら、途中でエラーが出てしまうのです。第3世代Mboxファミリーはいずれも同じ結果でした。エラーメッセージを見る限り、古い開発ツールを使っているために不具合がおきているようです。
ただいろいろ試してみた結果、解決方法を発見!第2世代であるMbox2のドライバを先にインストールすると、うまくいくようです。もし、これで困っている人がいたら試してみてください。
あとは問題なく動作してくれます。アプリケーション自体が32bit版なので、ReWireのトラブルもなくReasonともVocaloid2とも連携してくれます。またMac版のCubase 6とMTC/MMC接続してみても、うまく同期してくれましたらこの点でも大丈夫ですね。
さらに、以前Mbox2を購入した際にオマケでついてきたFXpansionのVSTラッパーであるVST to RTAS Adaptor 2.11もインストールしてみました。そうVSTインストゥルメントやVSTプラグインエフェクトをPro Tools環境で使うためのユーティリティですが、これもまったく問題なく動きます。たとえば、先日紹介したMini Moogを再現するフリーウェア、RA Mowgもしっかり動いてくれましたよ。
FXpansionのVSTtoRTASをインストールしてみた
まあ、それほど使い込んでいないので、どこかに不具合がないとは言い切れませんが、64bit版Windows 7 SP1+Pro Tools 9、なかなか快適です。
【関連記事】
DAL第442回:わずか63,000円になった「Pro Tools 9」の狙いとは?
~Tim Carroll副社長に聞く、ハードウェア開放の戦略 ~
コメント
はじめまして。Windows7 64bit版でのPro tools9動作確認レポート大変ありがたく読ませていただきました。私は現在、WindowXPでSonar8を使っていますが、Windows7のPro tools9に乗り換えようと考えています。Avidのサイトを見ますとハードウェアの要件が結構きつい感じがします。私のマシンは自作で、gigabyte製のマザーボードでチップセットはIntel P45express,CPUはcore2quad9550sですが、この環境でPro tools9は動作するもんなんでしょうか?
こんにちは。
ProTools9がとくに重たいDAWである、ということはないと思います。要件がキツイのはオーディオインターフェイス側のほうが大きいのではないでしょうか?
スペック的にみてCore2Quad9550s(私もこれ使ってました)であれば余裕だと思います。問題はオーディオインターフェイス。これは相性の問題なので、動作することを確認しておいたほうがいいでしょうね。
早速のご回答ありがとうございました。PCのマザーボードとかチップセットなどのハードウェアとProtools9の相性の問題はないでしょうか?オーディオインタフェースはQuadCaptureを買おうと思っています。
確証はありませんが、それほどCPUとかチップセットでひっかかるという話は聞いていないので、大丈夫だと思いますよ。それからQuadCaptureは実際に動くのを確認しているので、問題ないはずです。
お忙しいところどうもありがとうございました。
興味深くこちらの記事を読ませていただきました♪
ところで、最近MBOX2なるものを買いました。
その際にPro Tools LE8(8.03)がついてきたのですが(まぁこれ目的でしたが(笑))インストールしようとしたところ、welcome to pro tools LEという言葉が一番上に出た白い箱が出たきりインストールできません。
いろいろ調べた所、win7 64bitには対応していないのかな?と思いました。(8.05は対応しているようなので、インストールさえできればすぐに8.05にアップグレードしようと思っています。
ただ、インストールできない事にはどうにもならないな〜と考えていたら、友人から藤本先生のお話を聞きまして駆けつけた次第です。
私のPCはwin7 64bit core i7です。
もし方法がございましたら、ご教授頂けますと嬉しいです。
長文失礼いたしました…
Protools 8 は確か途中からWindows7に対応したもので
完全にWindows7に対応しているのはProTools 9/10
あたりです。
ProTools8.03がインストール” さえ”できて動作が不問であれば
ProToolsではやったことがありませんがインストーラーを
互換性オプションでWindows Vista だと思い込ませてインストールする方法があります。インストーラーを右クリックしてプロパティを出して互換性オプションでWindowsのバージョンを指定させます。
春さん、こんにちは。RESが遅れてすみません。
そうですね、上記の方がおっしゃっているとおりで、ダマせばインストールは不可能ではないと思いますが、あまりお勧めはできません。
PT8は基本的に64bitOSへのインストールを想定していないし、ドライバの問題もあるので、トラブル可能性大だと思います。やはり9または10へアップグレードするか、古いOSへインストールしないとダメでしょうね。
もっともハードはAvidがWin7-64bit用のドライバを出しているので、それを使えば利用可能です。